ひとつの物語の終焉
はじめまして。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。夢を見ています。
いやあ。来ましたね、弊社の社内構成変化。いやその、あったのは10月頭のことなんですが。
なんと、私の所属するベルカードチームが解体されました。ベルカード業務は極限まで縮小され、CS部門(わかりやすく言えばお客様対応部門です)に統合されたわけですね。
その都合で、私はひいこら言いながら注文を見て住所や名前をチェックしたり封筒のラベルを印刷したりする研修を受けています。こんなことをやりに入社したわけではないんですが、やらない義理もない以上頑張ってますよ。
というわけで、ベルカードは原則として「要望欄にて質問や相談を記入したお客様に」対応するという形になります。
「ベルカード希望」だけとか自分語りだけとかのご注文に対しても一応ベルカードが届きますが、後半にびっしり「お前の望んでいたものはもうきっと還らない」とか「自分語りを聞かされる身にもなれ」を極限までオブラートに包んだ文言が入ります。
この企画は、「前人未到のデッキを組むことを目指し、毎週一本ずつ新たなデッキを作成する」ものとなっています。
というわけで、夢のように不確かにやっていきましょう。今回のテーマは、こちら。
《ダイヤモンド・カミタイオ》
【 進化クリーチャー 】
種族 ジャイアント・スノーフェアリー / 文明 自然 / パワー7000 / コスト5
■自分のスノーフェアリーが3つ以上あれば、このクリーチャーの召喚コストを[自然(1)]にしてもよい。
■進化:スノーフェアリー・クリーチャー1体の上に置く。
■W・ブレイカー
■このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から1枚目をタップしてマナゾーンに置いてもよい。その後、カードを1枚、自分のマナゾーンから手札に戻してもよい。
というわけで、今回のテーマは《 ダイヤモンド・カミタイオ 》。
「ファンタジーBEST」で登場した、スノーフェアリーの進化獣ですね。
今回は、彼女を活かして「ファンタジーBEST」の時にやっときゃよかったネタを消費していこうと思います。
さて。このカード……というか、「ファンタジーBEST」の【スノーフェアリー】強化で信じられないほど強化を受けたデッキタイプが存在します。それは。
《 ダイヤモンド・カスケード 》をメインエンジンにするタイプの、《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》ループです。
要するに、毎ターン《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》を使用する体制を整えて相手のターンを凍らせつつ、ターンはじめのドローだけ蓄積させて勝つやつですね。
以前格安で近いことをやって以来、妙に心惹かれるようになってこっそり研究してたんですよね。とりあえず、最低限人間の前で回すデッキではないという研究成果が出ています。
とにかく手間がかかるうえ、デッキをスノーフェアリーで染める必要があることから「1-2ターン凍らせてる間に殴り勝つ」タイプや「ゴスペルやアメイジンを軸にしてフィニッシュだけこれにする」タイプ比べて格段に成立が難しいんですが、なんでかこのパックでこれをサポートするカードがめちゃくちゃ出てきちゃったんですよね……。
というわけで、今回はこのソリティアの研究成果の夢を見ていきましょうか。
とりあえずこのデッキの基本ムーブをざっくり説明すると、以下のようなものになります。
- とにかくもう何でもいいのでマナと手札を稼ぎ、フェアリー5枚と引き換えに《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》を使う
- 次のターンに《 ダイヤモンド・カスケード 》を召喚すると、マナのカードをごっそり手札に回収しつつ、墓地に最低5体はいるフェアリーがマナに送られて浮きマナができる
- その手札で《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》を使いつつ、余ったリソースでさらにリソースを稼ぐ
- 稼いだリソースと回収なども交えて、《 ダイヤモンド・カスケード 》《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》 を交互に使い続けられる体制に入る
- 全リソースを掌握したら、何らかの山札切れ対策を施したうえで《 ダイヤモンド・カスケード 》《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》をループさせていく
見るからに曲芸コンボであるうえ実際全然決まらないんですが、それでも新カードの登場で(これまでと比べると)格段に決まりやすくなったんですよ。ここからは、それぞれのカードがいかに革新的だったかをご紹介しますね。
まず、《 完璧妖精サエポヨX 》。
これはまあ言わずもがな。軽減により手を進めやすくなるのはもちろん、ハイパー化のマナ召喚はデッキに強烈な柔軟性をもたらしてくれます。
もともとあっちこっちのゾーンにカードが散らばりまくるデッキだけに、うっかり手順をミスった際にもリカバリが効くありがたみは抜群。要は選択肢が二倍になるわけです。
あと、ソリティア中に下手にブーストしても《 ダイヤモンド・カスケード 》でリセットされることもしばしばのデッキですので、軽減形式のほうがありがたいという説もありますね。一番隊式ならなおよかったんですが、まあさすがにダメでしたね……。
で、次は《 完璧妖精ゴメスX 》。
序盤はブーストしながらメタクリをどかし、中盤以降はバトルゾーンに出ちゃったカードをマナに引き戻して実質的に使い回させる役割が見込めます。
マナに戻るってことは手札に戻るってことですし、手札に戻るってことは墓地に落ちることですからね。ループ中なら、事実上あらゆるカードに化けてくれるも同然ですよ。
相手に選ばせるのがちょっとネックですが、それでも彼女の登場でほぼスノーフェアリー単でこの手のムーブができるようになったのは大成長です。
そして、本題の《 ダイヤモンド・カミタイオ 》。
盤面にスノーフェアリーが並ぶ中盤以降、1マナで山札を掘れるのはかなり破格。しかも万能マナ回収なので、欲しいカードをほぼ確実に手札に加えられます。
このカードのおかげで、浮いたマナをブーストや手札に変換していけるようになったのはめちゃくちゃ嬉しいわけです。
また、このカードは進化獣。性質上手札が大量に必要となるうえ最低でも《 ダイヤモンド・カスケード 》を必要とするこのデッキに、《 進化設計図 》を搭載することを許容してくれるのです。
だいたい16枚くらい搭載すればドロー期待値は2枚を超えるので、それくらいを目途に進化獣を積むことが許容されそうな気配です。
そして何より……
ヤケクソみたいに進化元を重ねた《 氷結龍 ダイヤモンド・クレバス 》の上に重ねてからバトルゾーンを離すことで、下のカードを手札以外のゾーンに送れるようになったんですよ!
いやこれマジで革命的でして。実はこのデッキを準緑単かつスノーフェアリー単にすると、手札→墓地と移動させる手段が《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》しかないので、ソリティア開始後に手札がめっちゃだぶつくんですよね。
また、バトルゾーンから一気に回収して使いまわす手段は原則《 氷結龍 ダイヤモンド・クレバス 》くらいしかなかったんですが、バトルゾーンを離そうにも手札にしか行かなかったんですよ。これまでは。
ですが、手札のうち要らないパーツや寝かせたマナ、バトルゾーンに溜まったカードたちを巻き込んで進化→《 ダイヤモンド・カミタイオ 》→《 完璧妖精ゴメスX 》でマナ送りと動くことで、瞬間的に大量のアンタップマナを生成できるようになったんですよね。
これを活かして一気にリソースを稼ぎに行ったり、また《 ダイヤモンド・カスケード 》でごっつり回収したりしているといつの間にか山札は極限まで薄くなり、墓地には《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》が溜まっているはず。
こうなれば、あとは《 オキヨメ・水晶チャージャー 》で山札回復→《 ダイヤモンド・カミタイオ 》で水晶マナを回収→《 氷結龍 ダイヤモンド・クレバス 》に巻き込んで回収……と繋がるはずなので、無限への突入はすぐそこです。
ここまで相手が付き合ってくれるほど私は人間の善性を信じていませんが、それでも勝ちは勝ち!ループをミスっても《 氷結龍 ダイヤモンド・クレバス 》で雑に殴ればなんとかなるし!
というわけで、完成したデッキがこちらです。
きったないレシピになったのと引き換えに、ほぼ単色+全生物がスノーフェアリーの構成に仕上がりました。
盾落ちは《 天体妖精エスメル 》でカバーしつつ、《 天真妖精オチャッピィ 》→《 ダイヤモンド・カミタイオ 》などで《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》の水増しを行えば多分何とかなるはず!
ゴールが近付いたら、2回《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》を使ってから《 ダイヤモンド・カスケード 》を使って10マナほど強引に捻出してしまえば安心です。
最終的には山札を《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》4枚の状態にして、毎ターン適宜カードを引きながら 《 オキヨメ・水晶チャージャー 》 で《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》を山札に戻すのを繰り返すとループが完結する……はずなんですが、手順を明記しようとすると頭が爆発したのでいったんこのへんで勘弁してください。
たぶん普通に回すとマナが足りなくなるので、完全なループの形にするには「毎ターン《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》を使いながら2-3ターンに1回《 オキヨメ・水晶チャージャー 》で山札修復」みたいなパターンが要求される気がしてます。
さて。このデッキが真に「未踏」のデッキかを確認するためには、あと一工程必要です。それは。
デッキメーカーによる、先行研究チェックです。
キーパーツ数枚程度を含むデッキを検索することで、このアイデアが既出か初出があるかが見込める……ということですね。この検索結果が「1件」ならば、晴れて私は未踏の地に到達したことになります。
というわけで、《 ダイヤモンド・カミタイオ 》《 清浄のカルマ インカ/オキヨメ・水晶チャージャー 》《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》《 ダイヤモンド・カスケード 》での検索結果は……!
『未踏』、失敗……!
先行研究では進化生物+《 進化設計図 》ギミックを削り、《 死儀妖精ベラドマイ 》などの闇入りのスノーフェアリーで墓地を稼ぐことで山札削りの速度を高める構成を狙っておられた模様。マナの文明は《 アカシック・C/「叩き潰すのよ、クラッシュ!」 》で捻出されるようですね。
《 ダイヤモンド・カスケード 》で回した際にタップインになるとはいえ、山札を削り切ってループ条件を整えるまでの速度が格段に速くなる……という、理に適った構成ですね。
手札の関係で初回の《 エンドレス・フローズン・カーニバル 》はちょっと遅くなりますが、こちらもちょっと試してみたくなりました。
あとなにより、ちゃんと受けが積めてるので通常の対戦にも持っていけるのがデカいです。この一点で、俺のデッキの万倍価値があります。
対戦相手がいる時は進化設計図ギミックを減らしてまともなカードを積むところからですね
というわけで、夢を見ていました。
まあ、見てのとおり受けもほぼない不安定なソリティアデッキなんですが……その分、一人回しはたいへん楽しい品に仕上がっております。いわば知育玩具。
作っておいてなんなんですが、たぶん現状のレシピは(対戦はもちろん、一人回し用としても)最適解ではないと思ってるので、ぜひ一度「これこそが最高の知育玩具じゃ!」とばかりに独自の40枚を作ってすべてを凍り付かせていってください。まあ対戦相手いないなら凍り付くのは無為に過ぎる自分の時間だけなんだけど……。
まあその、「ものすごく狭い業界に革命を起こすカード」っていうのは掘り甲斐があると思いますよ。それこそ特定のキーパーツを確定調達できるヨビニオンとかもそうなれる可能性が高いですし(申し訳程度の最新弾要素)。
この記事の感想などありましたら、#未踏のデッキの夢を見てでのPostや拡散などなど心よりお待ちしております。
それでは、次の夢で。北白河でした。