こんにちは、神結です。
皆様は、ループは好きですか? 私は長らく苦手意識がありました。
対戦すること自体はいいのですが、個人的にはループを覚えるというのは非常に苦手で、実はこれを克服したのって割と直近も直近、【ダンタルサガ】くらいなんですよね。
ループというものを暗記ではなく、デッキの構造や「どのようなギミックでループが成立しているのか」を把握すると覚えやすいと知って、そこから割とループへの抵抗感はなくなりました。
ですのでこのシリーズは実はループデッキの解説自体が少なかったりするのですが、デュエマの歴史を語る上では欠かせないということで、今回から3回に渡ってループデッキの解説をしていこうかと思います。
その1回目となる今回は、天門ループに革命を起こしたデッキを紹介しましょう。
「歴代名作デッキ紹介」と題しまして、過去の名デッキの振り返りをしていくこの企画。

今回は【緑天門】です。
目次
本日の名作デッキ紹介
天門の世界に革命を起こした「緑天門」
というわけで今回の名作デッキは天門界の革命児、【緑天門】になります。
リストはこんな感じ。


今回紹介する天門ループは、天門ループのVer.4に該当するでしょうか。
Ver.1は、以前紹介しました《埋没のカルマ オリーブオイル》の入った構築で、その後に《目的不明の作戦》が登場後にVer.2が完成。
2015年度末に《奇跡の精霊ミルザム》の殿堂を経てリペアが組まれることになりますが、このダウングレード版がVer.3。

(プレミアム殿堂カード) 【 クリーチャー 】
種族 エンジェル・コマンド / 文明 光 / パワー11000 / コスト9
ブロッカー
ウルトラシールド・プラス-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から5枚まで、裏向きのまま、自分のシールドいずれか1枚の下に置いてもよい。(こうして重ねたカードの束を1枚のシールドとみなす)
W・ブレイカー
そして2016年5月のGP2ndにてベスト8となったこの緑天門は、大幅なアップデート入ってVer.4となります。
ループの方法の自体は、《フォース・アゲイン》と《目的不明の作戦》を複数使って《奇跡の精霊ミルザム》と《音感の精霊龍 エメラルーダ》のストックを山のように作り、山札をそれらのカードで作り直すことで、《奇跡の精霊ミルザム》で作るシールドを固定。


最終的には《転生スイッチ》で繰り出した《黒神龍ザルバ》に《フォース・アゲイン》を無限に撃つことで、相手をLOさせる……というデッキになります。
このように、ループそのものは従来と変わらず、ループそれ自体に緑のカードが直接関与する訳ではありません。
ではどうして緑が入ることになったのか。
それは《ディメンジョン・ゲート》と《五郎丸コミュニケーション》という2種のクリーチャーサーチカードが存在していることが大きいでしょう。
《ディメンジョン・ゲート》はこのベスチャレ版のこのイラストが好き。
そしてこれは、《奇跡の精霊ミルザム》の殿堂とは切り離せない関係があります。
というのも、《奇跡の精霊ミルザム》の殿堂後の天門ループは《クリスタル・メモリー》によって《奇跡の精霊ミルザム》をサーチしていた訳ですが、無視出来ない問題がありました。
これだと、バイクに間に合わない。
バイクの動きは、《一撃奪取 トップギア》→4バイク+侵略というものです。となると3ターン目に攻撃が始まりますが、これだとバイクの殴り始める際に《奇跡の精霊ミルザム》が手札になく、《ヘブンズ・ゲート》を踏んでも返せません。
また当時は「シールドは1枚ずつブレイクする」ルールだったため、例えば《轟く侵略 レッドゾーン》のT・ブレイカーに対しても《クリスタル・メモリー》→《ヘブンズ・ゲート》の順番で踏んでくれないとダメなんですよ。
まぁ《一撃奪取 トップギア》が絡んだ先攻の3ターン目の攻撃についてはバイク側の上振れでもありますからここは多少妥協するにしても、ただでさえ《熱き侵略 レッドゾーンZ》で楯勝負の確率を下げてくる相手です。
ある程度殴り出される前に《奇跡の精霊ミルザム》は抱えておきたい。
そこでシラハアローが立ったのが、自然文明ということになるわけです。
《ディメンジョン・ゲート》+《五郎丸コミュニケーション》であれば3ターン目にサーチが可能であり、かつ2種で最大8枚まで採用が可能です。実際は5~6枚が一般的な採用枚数ですが、これなら相手の殴り出しに間に合うことが多いですし、更に先攻であれば《一撃奪取 トップギア》が絡んでいても《奇跡の精霊ミルザム》を加えることが出来ます。
また緑を採用することで《フェアリー・シャワー》や《フェニックス・ライフ》というブーストカードも採用できるようになっています。
ですのでかなり上振れの動きではありますが、3ターン目のサーチから楯の内容を把握し、4ターン目に《フェアリー・シャワー》、そして5ターン目に6マナから《黒神龍ブライゼナーガ》を放り投げて、そのまま勝ってしまう……なんてことも実現するわけです。

(殿堂カード) 【 クリーチャー 】
種族 ドラゴン・ゾンビ / 文明 闇 / パワー9000 / コスト6
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のシールドをすべて自分の手札に加える。(その「S・トリガー」を使ってもよい)
W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)
このデッキ、元祖ブライゼシュートと言ってもいいかもしれません。
サーチを複数種類採用することで、楯の中にサーチカードが埋まる可能性も上がるので、このようにサーチで《黒神龍ブライゼナーガ》を持ってきて、そのままブライゼシュートからサーチ+《ヘブンズ・ゲート》で勝つ、ってこというルートです。
《目的不明の作戦》も実質的にはサーチになるので、サーチの枚数自体はかなり多いんですよ。
一部では「緑天門は《ヘブンズ・ゲート》を撃って入るよりも《黒神龍ブライゼナーガ》投げて入る方が多かった」なんて話があったりなかったり。
楯を確認しつつ《黒神龍ブライゼナーガ》を投げて勝つという「ブライゼシュート」というギミックの強さを認識されたのも、このデッキだったと言えるかも。
更に緑入りの特典として、《深緑の魔方陣》の存在もあります。

【 呪文 】
文明 自然 / パワー- / コスト4
S(シールド)・トリガー(このカードをシールドゾーンから手札に加えるとき、コストを支払わずにすぐ使ってよい)
自分のマナゾーンからカードを1枚選び、裏向きにしてシールドに加える。
受けトリガーとしてカードを仕込めるのはもちろんですが、これまでの天門だと《ミスティック・クリエーション》などが担当していたマナ回収について、シールド経由で回収できるようになったんですね。

もちろん《ミスティック・クリエーション》にもカードそれ自体の強さはありますが、受けトリガーとして強力なカードがマナ回収を兼任しているというのは、枠削減という意味でも非常に大きな意味がありました。
こうして緑天門は、《奇跡の精霊ミルザム》の殿堂という大きな壁を、緑を採用するということで乗り越えて、天門ループ界に大きな変化をもたらしたのでした。
緑天門が革命的な存在であると書いた理由、お分かりいただけたのではないでしょうか。
おわりに
「DM歴代名作デッキ」、第151回は【緑天門】でした。
このデッキの登場は、2016年5月に開催されたGP2ndでしょう。
当時最大数を誇った【赤侵略】系のデッキに対しては上記の通り「先にミルザムをサーチ」することで勝負できるようにし、【アナカラーデッドゾーン】などのハンデスを絡めてくる相手には《黒神龍ブライゼナーガ》によるフィニッシュを、《龍覇 イメン=ブーゴ》や《龍覇 サソリス》などの緑系の相手は厳しいですが、《フェアリー・シャワー》からのブーストでワンチャンを取れるといったように、メタゲーム上で勝てるように構築されたデッキでした。
実際、このデッキをしようしたちゃそ選手が見事ベスト8に。最終的にはサソリスに敗れてしまったものの、結果を残しました。
天門ループはこの後も更なる変化があったりしますが、それはまた追って紹介していくことにしましょう。
というわけで、今回はここまで。
「このデッキを紹介して欲しい」といったリクエストも受け付けておりますので、#DM歴代名作デッキでご感想をお待ちしております。

それではまた来週会いましょう。
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