【はみるとんのデッキビルドTips】「手札誘発」に潜む罠!

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【はみるとんのデッキビルドTips】「手札誘発」に潜む罠!

はじめに

皆さんはデッキを組むとき、「とりあえずこのカードは必ず入れる」というようなお決まりのカードはありますか?

昔から《ハーピィの羽根帚》《サンダー・ボルト》のような強力な汎用制限カードはどんなデッキで使ってもパワーが高いため、とりあえず入れるという人が多かったと思います。

昨今の遊戯王ではこういった枠に「手札誘発」が来ている人が珍しくないと思います。

「手札誘発を入れなければ現代遊戯王では通用しない」というような言葉もしばしば耳にします。

しかし、その言葉、本当に全ての人・全てのデッキに当てはまるのでしょうか?

今回は「手札誘発は入れないとゲームにならない。とりあえず入れ得」と思っている人に読んでほしい内容となっています。

 

目次

そもそも手札誘発とは?

手札誘発とは、「手札に存在する状態で発動する誘発効果・誘発即時効果」を持つカードの総称です。

この中でも特に「相手のターン中に手札から発動する事ができ、相手の展開を止める事が出来る能力を持ったカード」の事を指す事が多く、《無限泡影》などの手札から発動する事のできる罠カードも含みます。

【 チューナーモンスター 】
星 3 / 炎 / アンデット族 / 攻0 / 守1800

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを手札から捨てて発動できる。
その効果を無効にする。
●デッキからカードを手札に加える効果
●デッキからモンスターを特殊召喚する効果
●デッキからカードを墓地へ送る効果

出典:遊戯王OCGカードデータベース

手札誘発の歴史

遊戯王は元来、相手を止める手段として罠カードが使われていました。

よって、相手への妨害は先攻を取ったプレイヤーが罠を伏せる事で2ターン目から成立するもので、そもそも相手の先攻1ターン目に手札から発動できるカードというのが殆ど存在していなかった事もあり、先攻1ターン目のプレイは不可侵なものでした。

しかし、《エフェクト・ヴェーラー》をはじめとした相手ターンに手札から発動できる誘発効果・誘発即時効果持ちのカードが増え、また「展開が通ってしまったらまず返せない」というような先攻展開が出来るデッキも増えてきたことにより、1ターン目のプレイに対して手札誘発を投げ、それをどう超えるかといったやり取りが昨今多くなってきました。

手札誘発はカード効果自体は弱い

手札誘発を使う上で最も意識しなくてはならないのは、「手札誘発カードの持つ効果は基本的には弱い」という事です。

メジャーな手札誘発を、同様の効果を持っているカードと比較してみましょう。

【 チューナーモンスター 】
星1 / 光属性 / 魔法使い族 / 攻0 / 守0
①:相手メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送り、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

出典:遊戯王OCGカードデータベース

【永続罠】
フィールドの効果モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、その表側表示モンスターは攻撃できず、効果は無効化される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

出典:遊戯王OCGカードデータベース

【カウンター罠】
①:1500LPを払って以下の効果を発動できる。
●モンスターの効果が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを特殊召喚する際に発動できる。
その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する。

出典:遊戯王OCGカードデータベース

《エフェクト・ヴェーラー》は相手のモンスター効果を止める事の出来る手札誘発として採用率の高いカードで、「相手のメインフェイズ時にフィールドのモンスターを対象を取ってターン終了時まで無効にする」という効果を持っています。

同様に「相手のモンスターの効果を無効にする」という効果を持ったカードと比較してみましょう。

カード名 《エフェクト・ヴェーラー》 《デモンズ・チェーン》 《神の通告》
タイミング 相手メインフェイズのみ いつでも モンスター効果の発動にチェーン
無効の期間 そのターン中のみ 永続的に無効 実質的に永続的に無効(破壊するため)
その他の追加効果 なし 攻撃を封じる 破壊する・フィールド以外の発動にも打てる・特殊召喚も無効にできる

《エフェクト・ヴェーラー》は「タイミング指定があり一時的にしか無効化できない」のに対し、《デモンズ・チェーン》は「永続的に無効かつ攻撃も封じる」事ができ、《神の通告》は「無効にするだけでなく破壊」も行う事が出来ます。

このように、カード1枚分の仕事として類似カードよりもスペックが低い事が多いのが手札誘発の特徴です。

手札誘発は「手札誘発が強いタイミング」でのみ輝く

手札誘発にしか担えない役割

では、そんなスペックの低い《エフェクト・ヴェーラー》が広く様々な人に使われ、逆に《デモンズ・チェーン》の採用率が低いのは何故なのでしょうか?

それは、これらのカードは「強いタイミング」が異なるからです。

現代遊戯王では、よほどの事故がない限り先攻1ターン目にエクストラデッキを使った多種多様な展開方法によって、デッキのギミックを回転させて圧倒的なアドバンテージを得たり、後攻の動きを完封するような妨害手段を多数立てるようなデッキが多くなっています。

こうなると、初期手札5枚が実質7枚分の妨害になるような事も珍しくなく、こうなってしまうともはや後攻の手札6枚では返しきれなくなってしまいます。

これに対応するためには、手札誘発を使用して「先攻1ターン目に相手のモンスター効果を無効にする」必要があるわけです。

罠カードである《デモンズ・チェーン》《神の通告》は、当然相手の先攻1ターン目には発動できないので、この「手札誘発が強いタイミング」では仕事をする事が出来ません。

罠カードの「強いタイミング」とは、そのカードを伏せた次のターンです。

その為、罠カードが1枚分以上の仕事をしたところで、相手に7妨害構えられていたりすると返す事が出来ないわけです。

これらが、効果のスペックが低い「手札誘発」を採用する理由です。

 

「手札誘発が強いタイミング」以外では手札誘発は弱い

さて、上記の「手札誘発の効果は基本的には弱い」「手札誘発のみが強いタイミングがある」という2つの話をまとめると、次の結論が導きだされます。

「手札誘発は、相手の先攻1ターン目には唯一無二の役割(手札誘発の強いタイミング)を担う事が出来るが、それ以外のタイミングでは類似する効果のカードに比べてスペックが低いカードである」

これ、今日一番伝えたい話なのでよく頭に入れておいてください。

上記の結論から、遊戯王における理想的な手札とは「自分が後攻を取った時は手札誘発を引きたい」「自分が先攻を取った時は手札誘発ではなく罠の方が引きたい」というような状態となります。

実際、サイドチェンジ有りの大会では次の試合の先攻後攻がある程度予測できる状態でカードを入れ替えるため、上記のような理想が達成できるような構築を行います。

また、手札誘発に役割が無くなる場面としては「自分が先攻を取れた場合」以外にも、「その手札誘発を撃たないまま自分にターンが回って来た」場合も想定する事が出来ます。

 

例えば、以下のようなシチュエーションを考えてみましょう。

◇先攻:相手プレイヤー

相手の手札:《E・HERO エアーマン》×3

自分の手札:《エフェクト・ヴェーラー》×3、《闇魔界の戦士 ダーク・ソード》×2

  1. 相手は《E・HERO エアーマン》を召喚し、サーチ効果を発動。
  2. それに対して自分は《エフェクト・ヴェーラー》を発動し、効果を無効。
  3. 相手はそのままターンエンド
  4. 自分のターンに入り、《闇魔界の戦士 ダーク・ソード》を召喚して攻撃宣言して《E・HERO エアーマン》と相打ち
  5. そのままターンエンド
  6. 相手のターンに入り、《E・HERO エアーマン》を召喚してサーチ効果を発動
  7. それに対して自分は《エフェクト・ヴェーラー》を発動し、効果を無効。
  8. 相手は《E・HERO エアーマン》でダイレクトアタックした後、そのままターンエンド
  9. 自分のターンに入り、《闇魔界の戦士 ダーク・ソード》を召喚して攻撃宣言して《E・HERO エアーマン》と相打ち

このように、相手の先攻展開を《エフェクト・ヴェーラー》で無効化して止め、返しのターンにモンスターで戦闘破壊して突破、というような理想的なシチュエーションです。

これがもし「《神の通告》×3、《ジェネティック・ワーウルフ》 ×2」という手札であったなら、先攻1ターン目に《E・HERO エアーマン》の動きは止める事が出来ず、大変なフィールドが作り出されていました。

よって、この展開に持ち込むためにはこの3枚の無効札のうち1枚は《エフェクト・ヴェーラー》である必要があったわけです。

 

では、3ターン目の動きについてはどうでしょうか?

6.相手のターンに入り、《E・HERO エアーマン》を召喚してサーチ効果を発動7. それに対して自分は《エフェクト・ヴェーラー》を発動し、効果を無効。

この部分については、既に一度自分のターンを迎えているため、「手札誘発が強いタイミング」は終えており、罠カードでも代用が効くわけです。

仮にここが《神の通告》であった場合、《E・HERO エアーマン》は効果を無効にされただけではなく破壊されていたため、ダイレクトアタックを食らう事もありませんでした。

さらにフィールドがガラ空きであるため、次ターンに《闇魔界の戦士 ダーク・ソード》を召喚して相打ちを取る動きが、逆にこちらが一方的にダイレクトアタックを決めた上に《闇魔界の戦士 ダーク・ソード》が場に残るという結末に変わります。

よって、この状況では、「《エフェクト・ヴェーラー》×1、《神の通告》×2、《闇魔界の戦士 ダーク・ソード》×2」が理想的な手札だったという事になるわけです。

これはあくまで結果論にすぎませんが、要するに「確実に〇枚は1ターン目に妨害を投げないと止まってもらえないだろう」というような想定を自分が遊ぶ環境に応じて行う必要があります。

自分が遊ぶ環境にあった手札誘発が引けるように、採用枚数の期待値を調整して「ちょうど必要な分だけ手札誘発を引く」という確率を高める事が出来るわけです。

「今の遊戯王は手札誘発がないと話にならない」といって採用する全ての妨害カードを手札誘発とした場合、最初の例のような手札誘発だらけの初手となります。

「相手の先攻1ターン目の動きを確実に止める」という目的こそ達成できるものの、その後枚数差が覆せずにジリ貧になっていくという試合展開が予想出来ます。

相手の先攻にて動きを手札誘発で止めたにも関わらず、その後バトルなどを通してズルズルとアドバンテージ差がついていって最終的に勝てなかった」というような試合に心当たりはありませんか?

それは恐らく、適切な手札誘発の枚数の調整を行う事が出来ておらず、手札誘発がただの「スペックの低いカード」としての機能しか持たない時間が長くなった結果といえます。

結論

「手札誘発にしか担えない役割のみ手札誘発に任せて、その他の役割はより相応しい別のカードに任せる」事が、最もうまく手札誘発を使う事の出来る構築となります。

  • 誘発が少なすぎると相手の強力な展開を通してしまう
  • 誘発が多すぎるとデッキ全体のパワーが落ちてしまう

この2つの要素のバランスをいかに取っていくか、というのが最も重要となります。

 

「お互いに消耗した場合の強さ」を考える

手札誘発とは、カードゲーム用語では「打ち消し」と呼ばれるような存在で、「自分が手札を消耗する事によって相手の得るハズだったアドバンテージを失わせる」という役割を持っています。

例えば相手が《増援》を発動しこれに《灰流うらら》を打った場合、お互いに手札は4枚。

さらに《E・HERO エアーマン》に《エフェクト・ヴェーラー》を、《死者蘇生》《屋敷わらし》を、といった感じで手札誘発を投げていくと、お互いの手札は3枚、2枚と減っていきます。

このように、相手が何らかの動きを行う⇒それを手札誘発で止める といった試合展開は、お互いに少ない手札枚数で戦う試合展開になるという事です。

この状態では、「少ない枚数から動けるデッキ」にとっては非常に有利な試合展開という事になりますが、「複数枚のコンボによって動くデッキ」にとっては手札枚数が少ない分動きづらい状態となってしまいます。

言い換えるなら、手札誘発を大量に撃ったあとの試合は「初手2~3枚でデュエルをする」という特殊ルールで遊戯王をしているような物なのです。

カジュアル環境にありがちな失敗

大会レベルではないカジュアルの環境で遊んでいる人を見ると、以下のような考えでデッキを組んでしまい、手札誘発の扱い方を失敗してる人をよく見かけます。

とあるファンデッカーAさんの話

俺のデッキ、〇〇のテーマを主体にしたいんだけど、デッキパワーが低いんだよな……

先攻で〇〇出されたら詰みだし、手札誘発のパワーに頼るしかないな。
やっぱ手札誘発はパワカだし、入れればその分強くなるもんな……

自作のコンボデッキに手札誘発を大量に投入する

 

初手:《灰流うらら》《エフェクト・ヴェーラー》《屋敷わらし》《無限泡影》、コンボ用パーツA

うーん、これは事故!
やっぱコンボデッキは事故率高いわ~

弱小テーマだから誘発たくさん入れてパワカに頼らないと現代遊戯王では話にならないからな……
やっぱこのテーマで勝つの無理なのかな……

 

はい、これ10000回見てきました。

上記の失敗は「手札誘発はパワカなので入れておけばデッキパワーが上がる」という勘違いが最も大きな要因ですが、「手札誘発を打ちさえすれば有利にデュエルが進行する」という部分を取り違えているのも大きいです。

コンボデッキは1枚1枚が強力な仕事をするのではなく、特定の役割を持つカードが複数枚揃った時に「1+1が10」になるというような感じのコンセプトで組むデッキなので、「手札枚数が多いほど強い動きが出来るデッキ」です。

よって、「お互いに初期手札が少ない状態でデュエルをする」という状況を疑似的に再現してしまう手札誘発の使用は、デッキとしての狙いに反した状況を作り上げてしまうのです。

手札誘発が入ってないデッキの例

実際、これを環境レベルで実証しているのがペンデュラム系のデッキです。

こちらはとある大会の【エンディミオン】の優勝デッキレシピですが、メインデッキに一切手札誘発が入っていません。

ペンデュラムデッキは「上下のPスケール+P召喚用のモンスターが必要」であることや、エンディミオンテーマも「魔力カウンターを乗せられるカード+複数の魔法カード」という組み合わせで初めて輝くカードです。

その為デッキに手札誘発を大量投入してしまうと、少ない初期手札でパワーの低いカードを単体で使わなければならないようなデュエルを行う事になってしまいます。

テーマとしてのポテンシャルを全く発揮できない状態となってしまうわけです。

こういったデッキでは、手札誘発の中でも1枚で複数の妨害を踏み越えられる《原始生命態ニビル》や、チェーンを許さず妨害全てを無力化する《冥王結界波》など、1枚で後攻での展開のための妨害乗り越えの役割を担えるカードがサイドデッキに採用されています。

「とりあえず《灰流うらら》は3積み」「とりあえず《無限泡影》は3積み」というような人はかなり多いと思いますが、本当に自分のデッキはそういった妨害の仕方によって有利な状況が作れるデッキなのかを考えてみてください。

 

誘発を入れやすいデッキとは?

では、「誘発を入れやすいデッキ」とはどんな物でしょうか?

「手札誘発は入れすぎるとデッキ全体のパワーが落ちてしまう」というのを踏まえた上で、それでも誘発を大量に積む事が出来るデッキタイプというのが存在します。

少ない枚数で動く事ができ、継続的にアドを稼ぎ続けられるデッキ

まずはこちらの【閃刀姫】のデッキレシピを例として見ていきましょう。

【閃刀姫】デッキは《閃刀姫-レイ》《閃刀起動-エンゲージ》から《閃刀姫-シズク》を出す事で「閃刀」カードをサーチする事ができ、そのまま維持すれば毎ターン閃刀姫モンスターをリンク召喚してリソースを確保する事が出来ます。

こういったデッキでは、「先攻で返せないレベルの展開をさせない」ことさえできれば、あとは「少ない枚数同士のデュエル」が始まり、そうなると「1枚が継続的にアドを産む」ことによってこのアドバンテージレースで優位に立つことができるため、手札誘発との相性が良いといえます。

単体で完結したパワーカードが多いデッキ

こちらの【召喚ドラグマ】デッキは、 《召喚師アレイスター》1枚で《召喚獣メルカバー》+手札コストの状態を用意したり、《教導の聖女エクレシア》から《ドラグマ・パニッシュメント》をサーチし、効果で《灰燼竜バスタード》を落として次の《教導の聖女エクレシア》に繋げたり、1枚から強力な動きを生み出す事のできるカードが数多く採用されています。

これにより、例えばお互いに手札が1枚しかない状態でデュエルをしたとしても、1枚のリソースから最後まで戦えるような高いスペックを持っているため優位に立つことが出来ます。

こういったデッキは複数枚のコンボへの依存度が低いため、手札が多くなくとも戦う事が出来るわけです。

 

まとめ

というわけで、今回は「手札誘発」というものがどんなものなのかについて、様々な観点から掘り下げて解説していきました。

「手札誘発ってこういうもの」という漠然としたイメージは色々あったとおもうのですが、実はその多くは過大評価であったり、特定のシチュエーションでのみ通用する話を広く取り過ぎていたりする事も少なくありません。

どんなカードにも正しい使い方、輝ける使い方があり、それを外してしまえばパワーカードでも途端に弱いカードに成り下がってしまうのです。

皆さんもデッキに入れるカードを考える際はどういった用途で入れるのか、その用途で使える別のカードは無いかなど、よく考えて見直してみてください。

今まで「〇〇は必須」などと、固定観念として固まっていた物が崩れて視野が広がるかもしれません。

それでは、最期まで読んでいただきありがとうございました!

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