【第5回TWC】再び選ばれた遊戯王――20年ぶりに遊戯王に復帰するまで

PV 3,975 いいね 26 コメント 3

【第5回TWC】再び選ばれた遊戯王――20年ぶりに遊戯王に復帰するまで
トレカライターコロシアム(TWC)とは

読者参加型の記事投稿企画!
最終投票で賞金を手にするのは誰だ!?

記事一覧・参加受付はこちら

駅から降り立つと、どこからかウミネコの鳴き声が聞こえた。

出典:遊戯王OCG公式カードデータベース

海沿いには、ところどころ更地があり、海と陸の境には立派な堤防がそびえる。

借り家の鍵を受け取るために寄った不動産屋は、「何もないところでしょう」と言った。

二年の予定の長期派遣で訪れたのは、岩手県の沿岸部。

風光明媚で、食事のおいしいこの地域には、一つ、困った特性があった。

娯楽が、なかったのだ、

目次

●その①:娯楽として再発見

岩手県沿岸部は、山と海に挟まれた村や集落が点在する地域だ。

当然、専門店の絶対数が少なくなり、娯楽と言えば、飲み屋とパチンコぐらいしかなくなってしまう。

それでも最初の数か月は、名勝を訪れ、登山に挑戦し、ダイビングもしたが、やがてそのどれにも不向きな冬が訪れる。

「室内でできる娯楽が必要だ!」

と考えた。

幸い、車で行ける距離に、おもちゃ屋があった。

雪道を、ノロノロと進む。車のスピードに反比例して、やる気は上がる。

「よーし、二〇年ぶりにミニ四駆をやるぞ!

実は最初、ミニ四駆を買いに行ったのだ。

そのおもちゃ屋にはサーキットがあり、日々おっちゃんたちがチェーンと肉抜きにいそしんでいると、ツイッターで情報を得ていた。

初めての凍結した路面の中、教習所以来五年ぶりのバック駐車を敢行する。←西日本出身のペーパードライバー

四苦八苦しておとずれたおもちゃ屋の、入ってすぐのところに、案内があった。

「カードゲーム大会日程」
・遊戯王 
・デュエルマスターズ
・ヴァンガード
・ヴァイスシュバルツ

「ああ、ヴァイスシュバルツやってるのか

何を隠そう、少し前にヴァイスシュバルツを始めていたのだ。

デッキは持ってきていなかったものの、本来の住み家に戻ればある。

次の長期休暇で家に戻った時、当然、真っ先に手に取ったのはヴァイスシュバルツのデッキだ。ちなみに「艦これ」と「ごちうさ」だ。

そこで、ふと、思い立つ。

「ヴァイスシュバルツの大会は月一回しかない」

もう一種類、デッキを用意すべきだろう。

デュエマも、ヴァンガードも、触ったことがあるぐらいのレベルで、デッキを持っていなかった。

となれば、「遊戯王」に白羽の矢が立つのは成り行きであった。

私は、クローゼットの奥、小学校の「工作」の授業で作った木製のトランクから、デッキを二つ、取り出した。

【青眼の白龍】と、【デッキ破壊】だ。

●その②:小学生デッキの完敗

次の遊戯王のショップ大会に臨んだ時、私の頭脳は完全に旧式だった。具体的に言うと、遊戯王2期で止まっていた。

初代のアニメの終了とともにプレイする機会が消滅し、その後5D'sのアニメは少し見たものの、デッキを扱うのは久方ぶりだ。

ほぼ十数年ぶりに、遊戯王OCGに復帰しようとする自分の知識は、以下のものだった。

・「禁止カード」という概念が設定されているらしい。

・攻撃力3000の《青眼の白龍》を超えるカードが、ごろごろいるようだ。

・モンスターと魔法を合体させた「ペンデュラム」カードが強い。

・通常モンスターは、あまり(というかほとんど)使わないみたいだ。

以上をかんがみるに、守備力2000の強固な守備力で盤面を維持して、生け贄召喚を狙う【青眼の白龍】では、時代についていけない可能性が高い。

「しかし、デッキ破壊なら・・・」

出典:遊戯王OCG公式カードデータベース

地雷デッキとして、ワンチャンあるかもしれない。(なお、《ワンチャン!?》の存在も知らなかった)。

「もちろん、無強化では無理だろう」

さっそく、小学生の頃には使えなかった手段――インターネットを使い、【デッキ破壊】に相性のよさそうなカードを調べ始める。

「ふむ。俺が使い続けている《墓守の使い魔》は、《マクロコスモス》と相性がいいのか――」

「お、リバースモンスターをデッキから持ってこれるカードがある! こりゃ、勝ったな!」

途中、なつかしいが関係のない通常モンスターのページばかり読む欲求にとらわれたが、なんとか完成させる。

当然、時間をかけたのだから、無条件に愛着がわく。

「昨今はドローするカードが多いと聞く。つまり、俺のデッキにとって至極有利な時代と言うわけだ!」

一人壁に向かって回し始める。愛着が意気へと変わる。

「こりゃあ、優勝は無理でも準優勝ぐらいはしちゃうかもな!?」

意気は揚々と高まり、おもちゃ屋へと向かう。

最初の相手は―― 

出典:遊戯王OCG公式カードデータベース

【オルターガイスト】とやらか。

お互いのデッキをカットし、手札を五枚引く。

もちろん、可能な限り予習をしてきたから、先攻ドローがなくなっていることも知っている

「よろしくお願いします!」

今まさに、東北の地に、新時代のデッキが――デッキを破壊するデッキが――爆誕するのだ!

【】デッキレシピ一覧

        予定されていた戦術は、こうだった。

        まず、《光の護封剣》で相手の攻撃を防ぎつつ、場に《墓守の使い魔》《マクロコスモス》をそろえる。 → これでロックが完成する。

        《墓守の使い魔》は、墓地に送らなければ攻撃宣言できないが効果だが、《マクロコスモス》のおかげで「墓地に送る行為」そのものができない。 → ロックの完成。

        ロックが完成したら、《メタモルポット》《月の書》《月読命》で何度もひっくり返し、相手のデッキを削る。

        → 最後は《ニードルワーム》で相手のデッキだけを削り、無事勝利。

        ・・・

        ・・・・・・

        ・・・・・・・・・うん、まあ、デュエルの結果は明らかだと思う。

        いちおう、ダイジェストだけ、お送りしておこうかな。

        相手「《メタポ》の反転召喚成功時に、《灰流うらら》。なにかありますか?」俺「ファッ!?」

        相手「《ツイツイ》を使います。手札一枚切って、《マクロコスモス》《墓守の使い魔》を破壊したいです」俺「なにその、《サイクロン》の上位兌換」

        相手「あ、ならないよ。リンクモンスターなんで、守備表示にならないよ!」俺「え――(伏せた《月の書》をドヤ顔で発動しつつ)」

        せめてもの慰めを言っておくと、あまりにも珍妙なデッキのため、デュエルでみんなを笑顔にできた。

        むろん、笑顔にしている方は不本意もはなはだしかったけどな!

        ●その③:インターネットの活用

        つまずいたどころか、各座して炎上した復帰後の第一戦だったが、得るものはあった。

        なにもかもが足りないことに、気がついたのだ。

        知識と、そしてカードだ。

        最新の記事を読み、動画を研究し、ネット通販を駆使するのだ。

        カタカタカタッターン! と調べた結果、以下の情報を仕入れた。

        ・もうずいぶん前から、遊戯王のトレンドは「ワンキル」である。
         →ロックデッキは絶滅寸前

        《灰流うらら》《増殖するG》を持っていない人間に、人権はない。  →持っていない

        ・罠カードは、対策カードが増えすぎたため、特殊なテーマを除いて使われない。
         →自分のデッキ罠カードが多め

        ・「テーマデッキ」が、主流。
         →テーマうんぬん以前に、ほとんど通常モンスターしか手元にない

        「テーマデッキ、か・・・」

        なるほど、確かに自分の持っているカードのほとんどは、ルール的には使えるに過ぎないカードなのだろう。

        だが、自分もかつてはデュエリスト。かつては誰もがあこがれて、一枚は持っていたカードを、三枚持っている。

        出典:遊戯王OCG公式カードデータベース

        《青眼の白龍》だ。

        「やっぱり、小さいころから使っているカードを使いたいよな!」

        幸い、【青眼の白龍】は、公式に愛されたテーマだ。

        20年たった今なお、新たなカードが追加され続けて、かつてのデュエリストたちの購買意欲をそそっている。俺もそそられた一人だ。

        「よっしゃ。ネット通販で、買いそろえたるで!」

        《増殖するG》  980円 《灰流うらら》  1050円 《青き眼の賢士》 1500円 《青眼の亜白龍》 キズあり、5000円から

        「う・・・高いね、君たち・・・」

        当時、自分が一か月あたりにホビー(カードだけでなく、ゲームソフトとかプラモデルとか)に使える予算を、5000円と決めていた。

        ゴキブリと幼女の人権セットを買ったら、なんぼも残らないではないか!」

        いったい、一つのデッキを作るのに、何か月かかるというのだ?

        こうして、遊戯王熱の再燃は起りつつも、動画で気を紛らわせる日々が、続くのだった・・・

        ●その④:現地の友人との研鑽

        きっかけは、仕事先が岩手県の内陸部へ、うつったことだった。

        近くにいくつかホビーショップがあり、機会が増えたのだ。

        そうしてやってきたとあるショップ。

        自分の手持ちは、《トリックスター・キャンディナ》+《トリックスター・リンカーネーション》+《ドロール&ロックバード》を追加して、いくぶん害悪度を増した【デッキ破壊】だった。

        常連の人々に一発で、顔とデッキを覚えられてしまった。

        流行りのテーマをとりいれつつもなお、古さを隠しきれていないインパクトは、デュエル以外で発揮されたのだ

        SNSのアドレスを交換し、次の週末にも会うことを約束する。

        それからは、毎週末、どこかのショップに集まってデュエルをする日々だった。

        新しいテーマを試し試されして研鑽を積み、時にはデッキを交換して対戦した。

        デュエルだけでなく、カードに関係したいろいろな交流もあった。

        新パックの開封を見守り、20年ぶりにカードのトレードを行った。

        出戻り組のためにルールの解説をしてくれたし、時にはカードを(テーマを丸々一つ分)くれることもあった。

        あるいは、アニメキャラの声マネ動画の話題で盛り上がった。

        ありがとう【デッキ破壊】。キミはデッキは半端にしか破壊できないけど、かわりに友情をはぐくんでくれた。

        そんなある日、声をかけられた。

        「いっしょに店舗代表戦に出ないか?」

        ●その④:初めての店舗代表戦

        「店舗代表戦」というのは、うわさでは聞いていた。なんでも、時にジャッジキルさえ行われる弱肉強食の世界だという。

        いまだ私は身内でのエンジョイ勢にとどまっており、参加したことはなかった。

        だが、ぜひ参加したいという意欲はあった。

        自分がどの程度か、というを知りたかったし、それにお世話になった彼らと何か、思い出を作りたいとも思っていた。

        東北に来てすでに二年がたち、数か月後には私は元の場所へ帰ることになっていたのだ。

        【デッキ破壊】は「トリックスター」要素のみを残し大改修され、【トリックスター】デッキになった。

        すでに遊戯王のみに使っていた月5000円の予算は3倍に増えていた。

        私は「人権」をまんべんなく手に入れ、さらにデュエリストとしの高みを目指した。

        私は20年ぶりに、本気で考え、可能な限りよいと思うデッキを組みあげた。

        【】デッキレシピ一覧

              そして迎えた店舗代表戦。

              ピリピリする気配。遠方から来た、未知のデュエリスト。そして約束の時間。

              「よろしくお願いします!」

              相手は、【サンダードラゴン】だった。

              ※ ※ ※

              私は一回戦目で敗れた。1勝2敗だった。

              同じく参加した友人のうちの一人は二回戦目で敗れ、決勝まで残ったもう一人は、私を降した【サンダードラゴン】にひざを折った。

              全力を出したので、後悔はなかった。

              「地元に戻っても、遊戯王続けてくださいね」一人が言った。

              「続けるよ」そう答えた。

              こうして私は、本来の住み家へと帰還した。

              カードと、思い出と、「遊戯王に20年ぶりに出戻った」という事実を残してだ。

              そうして今、こうやって記事を書いている。ぜひに、文として書き起こしてみたかったからだ。

              このような形で、「遊戯王OCG」の記事を書くのは初めてだ。

              つたない文章を読んでくれたデュエリスト諸賢に、感謝したい。

              ガチまとめからのお知らせ

              関連記事

              コメント (3)

              匿名

              コメント失礼します。僕も復帰組なので記事を読んで共鳴させてもらいました。辞めたのはユニオンの降臨発売くらいなので共鳴する部分多かったです。復帰のきっかけは会社の後輩と趣味の話になった時に成り行きでです。リンクはもちろんのことシンクロもエクシーズも知らないので全てが新鮮で楽しめてます。

              0
              ユウヤ(第5回TWC参加中)

              こちらも《シューティング・クェーサー・ドラゴン》で無効化されたり餅カエルでお持ち帰りされたり《ヴァレルソード・ドラゴン》にワンキルされたりしてますが、楽しんでいますいます。

              0
              匿名

              いい記事やこれは……

              0

              ※コメントを投稿する際は「利用規約」を必ずご確認ください。

              26