【2023年7月環境】オリジナル最強デッキランキング【Tierランキング】

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【2023年7月環境】オリジナル最強デッキランキング【Tierランキング】

はじめに

 環境、激変。

 ドローソース+墓地リセットという一見シンプルなメタカード・《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》の登場は【サガループ】対策の新たな地平を切り拓き、これまで【サガループ】に対して為す術もなかった様々なデッキが新たな武器を手に入れました。

 特に中・低速のデッキが受けた影響は多大。これまでは存続すら危ぶまれていた受け主体のデッキも環境で一定のポジションを確立し、メタゲームの動き方に大きな影響を与えています。

 新たな体制で動き始めたオリジナル環境の「今」について、今月も徹底的に解説していきたいと思います!

2023年6月の環境はこちら!

目次

「最強」の定義

 本記事では最強デッキを「デュエル・マスターズ競技環境での相対的な強さ」と定義します。

 Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。

 Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。

 Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。

Tier1

サガループ【Tier1】


 環境「最強」のデッキ、【サガループ】。

 メタカードの登場でやや立ち位置が悪くなったとはいえ、デッキとしての強さにはいっぺんの曇りもなし。堂々たるTier1です。

 構築の傾向としては、3枚に減らされていることも多かった《サイバー・K・うウォズレック/ウォズレックの審問》や《ドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」》を4枚まで増やし、1枚積みのユーティリティカードで対応力を上げるよりも、基礎的なゲームプランを一貫させやすくする方向にシフト。

 その分だけ狭くなった1枚積みのカードたちの枠争いは、以前よりも熾烈になってきています。

 直近のトピックで言えば、メタ除去・トリガー枠の《邪招待》と墓地リセット対策・妨害・準フィニッシャー枠の《蒼神龍ヴェール・バビロニア》の採用が増加中。

 《邪招待》は《勝熱と弾丸と自由の決断》と違ってただの除去でしかないうえに1対1交換しかできないなど、欠点も少なくありません。

 しかし、S・トリガーの有無や《蒼狼の大王 イザナギテラス》から唱えられる点など、単純な軽さにとどまらない小回りの良さが何よりの評価点。

 ビートダウンの台頭で高速化しつつあるメタゲームに対応するべく、採用数が増加したカードだと考えられます。

 《蒼神龍ヴェール・バビロニア》の強さは、【DOOM型サガループ】で採用されていた際に知られた通り。

 チャージャーがない分《絶望神サガ》から踏み倒す必要はあるものの、一度盤面に定着させれば猛烈な速度で山札を掘り進め、必要なカードを手札に揃えられます。

 また、メインループ後に無限にストックされた《龍素記号 wD サイクルペディア》をやりくりして《蒼神龍ヴェール・バビロニア》を任意回出し入れさせれば、相手の山札の中身をすべて掌握。

 この時点で相手の手札が2枚以上あれば、相手の山札の順序と手札をこちらの自由に作り変えられます。仮に1枚以下であっても、山札をぐるっと周して好きな位置でストップさせるところまでは可能です。

 これで逆転が難しい状況を作って攻め切るのも一つの勝ち筋に数えられるのが【ダンタル型サガループ】における《蒼神龍ヴェール・バビロニア》の強みです。

 わかりやすい対策カードが追加されたことでこれまでよりも勝ちづらくはなったものの、このデッキが環境を定義していることには変わりありません。今後もしばらくは最も警戒するべきデッキタイプであり続けるでしょう。


赤緑アポロヌス【Tier1】


 現環境におけるビートダウンデッキの最有力候補。

 1、2ターン目に手札を整えながら進化元となるレクスターズを用意し、3ターン目に《カチコミ入道<バトライ.鬼>》へと進化して攻撃。

 《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》を含む2体以上の侵略クリーチャーへと同時に進化し、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》のメテオバーンで相手のシールドを全てブレイク、ダイレクトアタックを決めるコンボチックなビートダウンデッキです。

 上記のメインプランの他にも、3ターン目に《パーリ騎士の心絵》で墓地リセットしてから4ターン目にシンカパワーでマナの侵略先を回収して走り出したり、2ターン目に《オンソク童子<ターボ.鬼>》を登場させていきなり《轟く侵略 レッドゾーン》や《覇帝なき侵略 レッドゾーンF》へと侵略したりと、最終的にビートダウンで勝つことには変わりないものの、サブルートも豊富です。

 デッキとしては、一般的なビートダウンデッキと比べて独自の強みを多く有しているのが最大の特徴でしょう。

 G・ストライクをはじめとする攻撃中止をものともしないアタック中の全シールドブレイク、止められても相手に被害を与える被選択時2ランデス、《カチコミ入道<バトライ.鬼>》や《轟く侵略 レッドゾーン》によるブロッカー・メタクリーチャーの除去など、防御側に簡単に対策させない様々な要素を持ち合わせています。

 トリガーは基本的にケアできないため、選ばないタイプの除去トリガーや踏み倒しトリガーによる展開を作られてカウンターに持ち込まれるとかなり厳しめ。

 対策手段自体は数多く存在するため抗うのは難しくありませんが、他のデッキに意識を割いているといつの間にかマークが手薄になっているデッキタイプです。

 現在の環境ではかなり流行しているため、構築の段階からある程度意識しておくことをオススメします。


Tier2

メタジャオウガ【Tier2】


 早期のメタクリーチャーで相手の展開を遅らせつつ、その隙に優秀なアナカラーの3マナ域でリソースを補填。

 これらのクリーチャーを同時に2体踏み倒せる《キユリのASMラジオ》で大きくアドバンテージを先行しながら打点を確保し、素早く7マナまで到達して《CRYMAX ジャオウガ》でゲームを決着させます。

 概念的にはメタビートに近しいデッキタイプですが、単体でシールドを5枚割り切れるフィニッシャーの存在や、リソース補填要員がそのまま打点にもなること、《キユリのASMラジオ》による特定のメタカードへのアクセス率など、様々な面でこれまでのメタビートとは一線を画します。

 とはいえメタビートらしい弱点も持ち合わせており、軽量メタクリーチャーの採択の難しさはその代表例でしょう。

 《とこしえの超人》、《ボン・キゴマイム》はほとんど確定枠として、《キャディ・ビートル》や《若き大長老 アプル》といった定番どころはもちろん、

・ミラーや【5cザーディクリカ】に強く、闇単色が嬉しい《星空に浮かぶニンギョ》

・踏み倒しを軸としたビートダウンや《キユリのASMラジオ》軸のデッキに対して有効で、選ばれない打点としても《CRYMAX ジャオウガ》とシナジーがある《異端流し オニカマス》

・様々な対面を緩く妨害しつつ、高いパワーでバトル除去やマイナス修整に強い《リツイーギョ #桜 #満開》

・【青魔導具】や【サガループ】といった呪文主体のデッキに対して時間を稼ぎつつ、除去も撃たせづらくする《ガチャンコ ミニロボ1号》

 など、相手やデッキ全体の色バランスに応じて多種多様なカードが採用候補に挙がります。

 いくら《天災 デドダム》と《キユリのASMラジオ》でアクセス性が高いとはいえ、採用できるメタカードには限りがあります。どのデッキをどの程度意識し、そこに対して何枚のメタカードを採用するかは環境読みのスキルが問われるでしょう。

 また、対面に応じて必要なメタクリーチャーを引かなければ序盤戦が厳しいのもまた事実です。特に猶予が少ないビートダウンデッキ相手には、その傾向が顕著にあらわれます。

 元々のデッキパワーが高く、《CRYMAX ジャオウガ》の押し付けがある分だけ他のメタビートと比べればメタクリーチャー運に左右されにくいところはありますが、完全に目を瞑れるほどかと言われれば答えはNO。

 一強環境ではメタのフォーカスがしやすいため活躍しやすいデッキですが、メタが定まらない雑多な環境では扱うのが難しいデッキだと言えそうです。


赤単我我我ブランド【Tier2】



 ビートダウンとしては【赤緑アポロヌス】の後塵を拝している【赤単我我我ブランド】。

 GP2022-1stでの活躍以降主流となっている《烈火大聖 ソンクン》や《U・S・A・BRELLA》を採用したメタビート気味の構築も引き続き活躍中ですが、よりビートダウンに特化した新たな形も登場。

 「忍邪乱武」で新登場した《襲撃者 「鎧」ドライブ》を4枚起用し、最序盤から積極的にビートダウンを仕掛けていく前のめりな構築がバリエーションに加わりました。

 2ターン目に1コス域+《襲撃者 「鎧」ドライブ》+《龍装者 バルチュリス》で最大3点叩き込むスピード感はまさに「速攻」の鑑。

 受けが少ないデッキに対しては速度で圧倒できる反面、除去手段を失ったことによるメタ耐性の低さや早期に踏み抜いた踏み倒しトリガーに対する対抗手段の乏しさなど、全体として「丸い」構築だった《烈火大聖 ソンクン》採用型と比べてビートダウンデッキとしてより先鋭化しているのが特徴です。

 これはどちらの構築にも共通することですが、高速で過剰打点を形成することに長けているため単体除去の1、2枚程度ではそうそう止まらないものの、直接的にトリガーをケアする手段は持ち合わせていないため多面処理をはじめとして乗り越えられないトリガーというものがどうしても存在します。

 G・ストライクも踏み方次第では有効に機能することもあり、どれだけ最善の攻撃パターンを組み立てたとしてもシールドの噛み合いを要求されてしまうのはこのデッキの最も気難しいところだと言えるかもしれません。

 強力なデッキではあるものの、現在のメタゲームでは【赤緑アポロヌス】との差別化がやや難しい印象です。《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》の登場で受け主体のデッキが盛り返してきたのも向かい風。


5cザーディクリカ【Tier2】


 《ナウ・オア・ネバー》による手札からの踏み倒しと《灰燼と天門の儀式》・《ブレイン・スラッシュ》による墓地からの踏み倒し、両者を起点に《龍風混成 ザーディクリカ》を展開して呪文を駆使しつつバトルゾーンを制圧していくビッグマナ色の強いコントロールデッキです。

 有力な踏み倒し手段が軒並みS・トリガーを持っているため、高いカウンター性能を持っているのが最大のセールスポイント。追加でG・ストライクや《ドンドン火噴くナウ》などの受け札も採用されるため、防御力に関しては環境でも上位です。

 さらに防御一辺倒というわけでもなく、《ナウ・オア・ネバー》+《龍風混成 ザーディクリカ》の2枚コンボを起点として、蘇生呪文による大型クリーチャーの横展開や《ロスト・Re:ソウル》の全ハンデスで能動的にゲームを掌握していくこともできます。

 「忍邪乱武」からはフィニッシャーと初動ブーストにバリエーションが追加。

 コスト5以下のタマシードと呪文を同時に封殺できる《超球の超人》や【青魔導具】に対して明確な勝ち筋となる《Kl'avia Tune》がフィニッシャーとして有力候補。

 初動ブーストは《竹馬の超人/テイクバック・チャージャー》がフィールドやメタクリーチャーなどの置物除去とブーストを兼ねるカードとして有力候補です。

 《テイクバック・チャージャー》は自分の《とこしえの超人》や《天災 デドダム》をマナに送って2ブーストに変換でき、確定で自然のアンタップマナを用意できるため逆に《テイクバック・チャージャー》を唱えてからこれらのカードで動く、といった先・後の両面で低コスト域とのくっつきを期待できます。

 《竹馬の超人》を《ナウ・オア・ネバー》で出せば2ブーストして5→8のジャンプアップが期待できるのも良く、デッキとの噛み合いに優れた初動枠です。

 この手の防御手段に富んだフェアデッキの常として、対コンボデッキはやはり厳しめ。

 【サガループ】は《とこしえの超人》と《お清めシャラップ》こそ採用しているものの対策カードは合計8枚とかなり甘めのガードです。この辺りが噛み合ってうまく時間を稼げたら、早期に《聖魔連結王 ドルファディロム》でフタをしにいくのが数少ない明確な勝ち筋となっています。

 【青魔導具】もかなり不利ですが、これまではほとんど絶望的だったところに、新弾でエレメント除去の《テイクバック・チャージャー》と呪文コストを8まで引き上げる《Kl'avia Tune》が追加されたため、多少は戦えるようになってきています。

 墓地を要求する受けトリガーや手札に特定のカードを揃えるコンボなど、引きや展開に左右されやすいカードが多いためデッキとして不安定さを抱えていますが、うまく噛み合いさえすれば《龍風混成 ザーディクリカ》・《聖魔連結王 ドルファディロム》のカードパワーの高さと対応範囲の広さでどんな相手にも勝ちうるのがデッキとしての強みだと言えるでしょう。


ラッカ「正義星帝」【Tier2】


 《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》の影響をダイレクトに受けて急浮上したデッキタイプ。

 2ターン目・3ターン目はドローと妨害に費やし、4ターン目に《エヴォ・ルピア》を起点として2種の「正義星帝」を次々に展開。

 召喚酔いしない進化クリーチャーを複数並べつつ、《奇天烈 シャッフ》や《ブランド-MAX》などのフィニッシュ補助を絡めてワンショットを叩き込む高火力なビートダウンデッキです。

 序盤のドローには《T・T・T》を確定枠として《エナジー・Re:ライト》や《「伝説のサイバーパワー!」》が追加で採用されていましたが、この枠にすっぽり収まったのが《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》。

 早期に墓地をリセットして1ターン稼ぎながら順当にリソースを伸ばせるため、メインの動きの中で相手のテンポを阻害して一方的に【ラッカ「正義星帝」】側の土俵に持ち込めます。

 十分に手札を整えてから動き出せば膨大な打点を叩き出せて、呪文トリガーは《奇天烈 シャッフ》でケアが効くため受ける手段も限定的。

 受けて返すデッキはほとんどが呪文トリガーに依存しているため、この手のデッキに対する「崩し」としては最高峰のスペックです。

 防御力に長けたデッキは概して速度が遅く、手札を整えるだけの猶予があることも受けデッキキラーたる所以でしょう。

 翻って【ラッカ「正義星帝」】自身の防御力はやや低め。《スロットンの心絵》および《終末の時計 ザ・クロック》がシールドに埋まってさえいれば十分勝利できますが、逆に言えばトリガーが埋まっていなければ手も足も出ません。

 「【サガループ】に勝てるデッキ」という一点だけでも現在の環境では得難い強みですが、高速ビートダウンが幅を利かせる環境では若干の動きづらさが否めません。


青魔導具【Tier2】


 《卍 新世壊 卍》という他に類を見ないエンジン、定期的な新カードの追加によって未だ古さを感じさせないスペルコンボの老舗。

 置物メタ(《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》+墓地リセット(《堕呪 ブラッドゥ》)の対【サガループ】黄金コンビを無理なく採用できるのが現環境におけるこのデッキ最大の武器でしょう。

 墓地メタで遅延しながら最速で《卍 新世壊 卍》を起動するコンボプランはもちろん、《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》への対処にリソースを使わせてから《「無月」の頂 $スザーク$》で手札差を付けるリソースゲームプランでも【青魔導具】側優位な展開に持ち込めます。

 「無理なく」と言った通り、数枚のカードが《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》に割かれた程度で構築が大きく歪んでいるわけでもないため、コンボデッキとしての強みは従来通り。自分より遅いデッキの多くに対して有利を取れる点は変わっていません。

 ただし、コンボデッキとしての体裁を保ったまま《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》を実用的な枚数採用すると、防御面に費やすデッキスペースまでは確保できません。

 最低限《堕呪 エアヴォ》《堕呪 カージグリ》は採用できるものの、追加の受け札を採用しなければ現代の高火力なアグロデッキを受け切るのはやや困難です。

 「【サガループ】や防御的なデッキに強く、ビートダウンには弱い」という点で【ラッカ「正義星帝」】とかなり近しい立ち位置。

 なんだかんだと踏ませれば一撃で相手が止まるもののトリガーケア自体は《奇天烈 シャッフ》一本勝負のあちらと比べれば、受けは弱くとも複数の追加ターンや《「無月」の頂 $スザーク$》によるリソース制圧などで多角的な勝ち筋を狙えるこちらの方が相性の有利・不利が顕著に表れる印象です。

 カード単位で言えば、新弾で登場した《Kl'avia Tune》は【青魔導具】の大敵。コスト8と重くはあるものの、踏み倒し呪文を駆使して早期に着地されればデッキ内のほとんどのカードが8マナ貯まるまで使えなくなってしまいます。

 《邪招待》や《テイクバック・チャージャー》といった汎用的なエレメント除去が追加されたこともあり、「忍邪乱武」のリリースは【青魔導具】にとって向かい風だったと言えるでしょう。


Tier3

ラッカ鬼羅.Star【Tier3】


 【ラッカ「正義星帝」】と同じく《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》で強化されたデッキタイプのひとつ。

 《「正義星帝」<ライオネル.Star>》周りのパーツを減量してワンショット性能を落としたかわりに、軽量メタや小回りの効く呪文を多く採用して、より序盤の妨害性能と対応力を高めているのが構築全体としての傾向です。

 特に《蒼狼の大王 イザナギテラス》を強く使いやすいのは【ラッカ鬼羅.Star】の大きな利点でしょう。

 《イデア・パラドックス》や《「本日のラッキーナンバー!」》、サンプル構築に採用していないところでは《ダウンフォース・サーキュラー》や《緊急再誕》などの多種多様な軽量呪文をメタゲームに合わせて採用できます。

 直近の環境では《スロットンの心絵》だけ出張させ、トリガー《「正義星帝」<鬼羅.Star>》によるカウンター要素を盛り込んだ形が増加中。

 現状では軽量メタを【サガループ】に寄せていますが、この枠を《レク・シディア》や《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》、《煌ノ裁徒 ダイヤモン星》あたりのメタカードや《終末の時計 ザ・クロック》などに差し替えれば、ビートダウンデッキとも戦えるチューンを施せます。

 ただし、《「正義星帝」<ライオネル.Star>》の不在によるデッキの馬力低下は無視できるものではありません。特に、「妨害を絡めたワンショットで手早く受けを貫通する」ような立ち回りはかなり難しくなっています。

 メタによる対応はどうしても後手に回りがちなこともあり、押し付けの強さを期待できる【ラッカ「正義星帝」】の方が人気が高い印象です。


4c邪王門【Tier3】


 様々な環境要因の変化で厳しい立ち位置が続く【4c邪王門】。

 特に【ダンタル型サガループ】の《ウォズレックの審問》で軽量単色カードを抜かれる展開は、多色枚数の都合上序盤の動きがタイトで中盤までのリソース拡充手段に乏しい【4c邪王門】にとってかなり致命的です。

 また、近々で採用率が大きく増加している《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》の刺さりが良いのも環境的に向かい風の要素でしょう。

 《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》は【サガループ】対策になりつつ、先月半ばごろから採用されはじめた《蒼狼の大王 イザナギテラス》とのくっつきもある期待の新人。

 単純なドローソースとしては《サイバー・ブレイン》に劣りますが、それを押してでも採用する価値のあるカードです。

 以前と比べればビートダウンデッキの立ち位置が向上してきたためデッキタイプとしての立ち位置はそれほど悪くないものの、近しい特徴を持った対抗馬も強力。

 カウンターに長けたミッドレンジデッキとしては【5cザーディクリカ】が、純粋な受けデッキとしては【白青ライオネル.Star】や【ヘブンズ・ゲート】、【黒赤テレスコ邪王門】といった対抗馬の存在が気になります。

 特に受けデッキの3つは【サガループ】に対して《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》を採用できる点が【4c邪王門】との大きな差になってきます。

 とはいえカードパワーの高さではこれらのデッキの中でも指折り。

 メタクリーチャーで盤面を埋め尽くすようなデッキに対しては《切札勝太&カツキング —熱血の物語—》が明確に強みを主張でき、フィニッシュプランに《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》や《時の法皇 ミラダンテⅫ》といった強力なロック手段を無理なく組み込めるのは大きなセールスポイントです。

 今後の環境変化に期待のデッキです。


黒赤テレスコ邪王門【Tier3】


 ここ1週間ほどで大きく話題を掻っ攫っていった、今最もアツいデッキ。

 環境でも最上位に位置する【サガループ】と【赤緑アポロヌス】、【赤単我我我ブランド】などのアグロの双方に有利を取れるデッキとして注目を集めています。

 デッキの動き自体はかなりシンプルで、《鬼寄せの術》や各種チャージャーからハンデスできるシステムクリーチャーに繋いでアドバンテージ優位を早々に確保。

 中盤以降も継続的にハンデスしてリソースを絞りながら盤面を構築していき、最終的にはゲームを掌握した後に《謀遠 テレスコ=テレス》下で1点ずつ刻んでリソースを与えずシールドを削り切るか、《ルピア炎鬼》で踏み倒しトリガーをケアしたうえで《悪縁 ガクブッチ=リッチーモア》のシビルカウントを達成させて全ハンデスを叩き込みながら一気に押し込むかのどちらかでフィニッシュします。

 《CRYMAX ジャオウガ》を採用した構築では、相手次第で2〜3体の打点と《CRYMAX ジャオウガ》で手早く削り切るプランも視野に。

 《謀遠 テレスコ=テレス》は盤面にこそ干渉できないものの5マナでパパッと出せる《「無月」の頂 $スザーク$》のようなカードで、《鬼寄せの術》や3ターン目のチャージャーから繋げば3〜4ターン目からハンデス&ドローを起動させて着実にリソース差を付けられます。

 継続的にハンデスできるシステムの強力さは言わずもがな。

 このカードに対応するとなるとただでさえ削られた手札をさらに消耗しますが、多少強引にも除去しなければ不利が広がる一方なので無視するわけにもいきません。

 1枚のカードのためにマナも手札も取られてしまうため、出されるだけでテンポ・アドバンテージ両面で大きなビハインドを背負ってしまいます。

 相手ターン開始時(≒自分のターン終了時)に発生するハンデスは他のカードとのコンボやフィニッシュプランにも組み込みやすく、例えばマナ武装を達成した《爆霊魔 タイガニトロ》と並べば毎ターン相手の手札を全て捨てさせられたり。

 あるいはトリガーが弱い相手であれば【黒単デ・スザーク】で使われた「ラビガリュ」ギミックよろしく、シールドを1枚ブレイクしてターンエンド→相手ターン開始時にハンデスしてブレイクしたシールドを捨てさせることで相手にリソースを与えずシールドを詰めていけたり。

 単にアドバンテージ面で優位に立つだけにとどまらず、勝ち筋にも組み込んでいけるカードパワーを持っています。

 コスト5・パワー5000というスタッツも優秀で、直近で使われているコスト3以下の軽量除去はほとんどがパワーで4000、コストで4あたりが射程の限界。カード1枚でテンポ良く処理されることはまずないため、システムとして信頼のおける1枚です。

 また、メタカード枠として採用される《ルピア炎鬼》は自ターン中も機能する置換型踏み倒しメタのおかげで、環境に多数存在する踏み倒しトリガーのケア手段として最上位クラスの汎用性を誇ります。

 こちらも《謀遠 テレスコ=テレス》と同じく《「…開けるか?」》や《絶望と反魂と滅殺の決断》の-4000で一発処理されないパワー5000。コスト指定除去には流石に引っかかってしまいますが、それでもかなりの負荷を掛けられます。

 自分の踏み倒しも無効化してしまうため《百鬼の邪王門》との食い合わせは率直に言って悪いものの、そもそも《百鬼の邪王門》と《ルピア炎鬼》を同時に使いたい相手が現在の環境にはあまりいないため、どうにか同じデッキに同居できています。

 単体でも強い《百鬼の邪王門》や《一王二命三眼槍》、《秩序の意志》といった受け札を《フットレス=トレース》や《悪縁 ガクブッチ=リッチーモア》で使い回す動きが構築レベルで組み込まれており、防御性能も非常に高水準。

 反面、継続的に手札を回し続けられる【青魔導具】はエレメント・カード除去をしっかり取らない限りは明確に苦手な相手でしょう。

 いくらハンデスしようと《卍 新世壊 卍》さえあればトップの魔導具呪文1枚からコンボまで到達される危険性があります。

 ハンデスについても墓地に落ちた魔導具呪文から「無月の門」で展開を作られるうえ、《ルピア炎鬼》が「無月の門」系の踏み倒しに一切干渉できないのもかなり厳しめ。コンセプトレベルで噛み合いの悪い相手と言えるでしょう。

 メタカードや受け札の配分にかなりの幅を持たせられるため拡張性も高く、今後Tierが上がっていくことが予想される要注目デッキです。


環境のまとめと今後の展望

今まで

 《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》の登場により【サガループ】対策事情が大きく変貌。

 大きく分けて2つのタイプのデッキがこのカードを取り入れて活躍を見せています。

 まず、「3ターン目にドローソースとして《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》をプレイしつつ、4ターン目に手札を起点としたビッグアクションを起こしてゲームを決着or制圧する」タイプのデッキ。

 【ラッカ「正義星帝」】や【ラッカ鬼羅.Star】がこの区分の代表例です。

 4ターン目の再現性を高めつつ墓地メタでテンポを持っていける《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》はこれらのデッキの初動ドローとしては最適。

 先攻3ターン目ばかりは間に合わないものの、そこでコンボに突入されない限りは確実に4ターン目を迎えさせてくれます。

 現状では《エヴォ・ルピア》が主に使われていますが、4ターン目に大きなアクションを起こせる組み合わせであればなんでも活躍できるため、まだまだ開拓の余地は残されていそうです。

 そして、「ビートダウンデッキに対して防御力の高さで抗いつつ、《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》による妨害に墓地リセットを組み合わせて本来不利な【サガループ】にもチャンスを作る」タイプのデッキ。

 【青白ライオネル.Star】や【ヘブンズ・ゲート】がこの区分のデッキでは環境で活躍中です。

 この手のデッキは長期戦を戦い抜くリソース源としてドローソースをデッキに組み込む場合がほとんどなので、その枠が直接《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》と入れ替わった・追加で採用された格好です。

 防御的なデッキの常としてコンボデッキ相手にはどうしても不利に回ってしまうところを、デッキの動きに逆らわないメタカードで埋め合わせできるのは間違いなく大きな進歩。

 《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》もまたキャントリップ付きのメタカードということで、メタを連打しても手札枚数を維持し続けられる点が一貫しています。

 リリース直後に注目されたのは前者の【ラッカ「正義星帝」】や【ラッカ鬼羅.Star】でしたが、その後これらのデッキが若干ガードを甘くしたビートダウンデッキが台頭してきたため、徐々に環境の傾向が後者にシフトしてきています。

 また、《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》を使わずとも、ビートダウンと戦える一定の防御力とメタ+墓地リセット・呪文ロック等の対【サガループ】ギミックを兼ね備えたデッキは注目度がアップ。

 既存のデッキでは、【5cザーディクリカ】や【邪王門】系のデッキはこれに該当します。

 このタイプのデッキとして新たに登場した【赤黒テレスコ邪王門】は、ビートダウンに対して強い《百鬼の邪王門》デッキでありながら、【サガループ】にも優位を主張できるデッキタイプとして大きな注目を集めています。

これから

 純粋なデッキの強さが「最強」の【サガループ】を中心として、

①ビートダウンデッキ

 「【サガループ】と受けに勝つ」デッキは自分より速いデッキへの対策まで手が回らないため貫通が用意。【サガループ】には多少のメタを組み込みつつも速度で相手の要求を高めて対抗する。

②受け・カウンターデッキ

 強烈な踏み倒しトリガーや手札誘発型の受け札を組み込んで対ビート性能の高さを確保。【サガループ】に対してはメタカード+墓地リセットや呪文ロックで突破不能な局面に追い込む。

③コンボ・メタビートデッキ

 自分より遅い受け・カウンターデッキに対しては受け札を無視・妨害できるフィニッシュ手段を用いて安全に勝利。【サガループ】はメタカードを駆使して対処に手札とターンを使わせて、その隙にメインギミックを強引に通すかリソース勝ちを狙いに行く。

 といった3すくみがその周囲を取り巻いています。

 【サガループ】は全てのデッキに勝ちうるだけのパワーと柔軟性を持ち合わせているものの、同時に全てのデッキからマークされているためどのデッキにも負けうる特殊な立ち位置。単純な3すくみの中には組み込めない、レイヤーの違うデッキだという認識です。

 もちろん各々のデッキがどの相手をどこまで意識するかによって相性関係が変わることもありますが、大枠としてはこのように理解しています。

 数週前にビートダウンデッキが台頭し、今は受けデッキが増えてきているフェーズ。

 【白青ライオネル.Star】や【5cザーディクリカ】、新興勢力の【黒赤テレスコ邪王門】は直近のメタゲームで活躍しやすそうなデッキタイプだと言えます。

 また、受けデッキがある程度環境に定着すれば今度は鳴りを潜めていた【青魔導具】や【メタジャオウガ】、【ラッカ「正義星帝」】などの出番。

 これらのデッキは【サガループ】とも十分にやりあえるため、ビートダウンの勢力さえある程度落ち着けば活躍の場はあるでしょう。

 そしてそれらのデッキが戻ってくればビートダウンが……というサイクルが現時点で想定されるメタゲームの動きです。

 とはいえ、7月末には早くも夏のお祭りパックがリリース予定。

 現時点で見えているだけでも強力なカードが多数存在するので、どのように環境が変化するのか楽しみですね。

 特にマジック・アウトレイジにはダイレクトに環境に影響を及ぼしそうなカードが多いので、筆者個人としては期待しています!

おわりに

 というわけで、7月のオリジナル環境について解説いたしました。

 使ってみたいデッキは見つかりましたでしょうか?

 この記事が皆さんのオリジナル環境に対する理解への一助となれば幸いです。

 それでは次回、7月のアドバンス環境解説記事でまたお会いしましょう!


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