はじめに
世はまさに大【サガループ】時代。
【サガループ】は前評判に違わず、【4c邪王門】を中心に動いていた以前までのオリジナル環境の秩序を完全に破壊し、新たな形へと作り変えました。
その一方で前環境までのデッキも多数活躍し、環境開始からそれほど時間が経っていないにも関わらず、目まぐるしく構築のトレンドやアプローチが移り変わる環境へと変貌しています。
「ヒーローズ・ダークサイド・パック 闇のキリフダたち」のリリースから2週間。
いまだ落ち着く気配を見せない激動のオリジナル環境について、今月も解説していきたいと思います!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「デュエル・マスターズ競技環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
先月からのカードプールの変化
「ヒーローズ・ダークサイド・パック 闇のキリフダたち」はカードプレビュー前半での印象とは打って変わって、プレイアブルなカードに満ち溢れた刺激的なサプリメントパックでした。

中でも《絶望神サガ》はまさに環境を揺るがす劇薬。オリジナルを主戦場として、絶大な影響力を発揮しています。
2ターン目に墓地を肥やし、3ターン目に《絶望神サガ》が2体揃えば即座にフィニッシュに移行できる速度と手軽さは尋常ではなく、動きの強さに比したコンボのコンパクトさはデュエル・マスターズの歴史の中でもトップクラス。
墓地を肥やす手段はなんでも良いため、必須と言えるパーツはコンボに使う《絶望神サガ》4枚と勝ち手段が3〜4枚程度のみ。
必要パーツが非常に少ないため環境に合わせたカードを採用しやすく、拡張性が非常に高いのが【サガループ】の「ヤバい」ところです。
現在のところはコンボに特化した【青黒サガループ】が主流ですが、8枠空くデッキであればいくらでも構築に組み込めるため、他の基盤にしれっと紛れ込んで活躍したり、もしくは想像もしなかったような奇妙なサガループが開発されても不思議ではありません。
その他にも、《禁断の轟速 ブラックゾーン》や《凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ》、《電磁魔天イエス・ザナドゥ》が一部のデッキで活躍中。
《禁断の轟速 ブラックゾーン》は【赤緑アポロヌス】の侵略パーツの候補や、【黒赤邪王門】の打点増強要員として採用例あり。
火/闇のどちらのコマンドにも墓地から侵略できる3打点ということでシールドにかかる圧はかなり強め。
強度の高い封印除去を複数体に飛ばせるのも強く、デッキのコンセプトになるようなカードではありませんが、打点を気軽に増やせる追加カードとして人気を博しています。
《堕呪 ブラッドゥ》は【青魔導具】になぜか追加された墓地リセット呪文。きっちり1ドローも付いており、選択肢として強くない場面はあったとしても完全に腐る対面はありません。
自分を対象に取れるため《神の試練》を山札に戻して再利用するパターンもあるため、長期戦を意識するのであれば自分に撃つ選択肢を常に念頭に置いておきたいところです。
クリーチャー面の《凶鬼98号 ガシャゴン》はやや使い勝手が悪いものの、パワー5000のスレイヤーブロッカーを出す選択肢が常に与えられる点は強力。
緊急時に打点を受け止めて命を繋ぐ可能性もあるためお忘れなきよう。
《電磁魔天イエス・ザナドゥ》は最近流行しつつある【ヘブンズ・ゲート】系のデッキで新たな切り札として活躍中です。
「登場するだけでシールド・トリガー呪文を墓地から唱えてシールドに再装填でき、呪文を唱えた時にそれよりコストの小さいクリーチャーを破壊する」という異常な防御力を誇る大型ブロッカー。
もちろん《ヘブンズ・ゲート》から登場するため、それだけで1回分のトリガー《ヘブンズ・ゲート》を確約しつつ相手のコスト5以下のクリーチャーを破壊できます。
《サイバー・ブレイン》や手札をシールドに変換する《護天!銀河MAX》が墓地にある時はこれらの選択肢から自分の動きとして強いアクションをプレイしていけるのも嬉しいところですね。
Tier1
【青黒サガループ】Tier1


オリジナル環境を完全に破壊し、新たな秩序を築き上げつつある【青黒サガループ】。
登場時またはターンの開始時にカードを1枚引いて捨て、その後墓地にクリーチャーが3体以上あればコスト5以下のゴッドもしくはオリジンを蘇生できる《絶望神サガ》を主軸としたコンボデッキで、《絶望神サガ》自身が《絶望神サガ》を蘇生できるため同名のカード2枚を揃えればお互いを蘇生して「1枚引いて捨てる」アクションを任意回繰り返す無限ドロー・墓地肥やしコンボを主軸としています。
《絶望神サガ》で手札と墓地の調整を終えた後は、《黙示賢者ソルハバキ》や《蒼狼の大王イザナギテラス》を挟むことでアンタップマナを作成。
大量の墓地によってコスト軽減された《超神星DOOM・ドラゲリオン》を召喚し、アタックトリガーでフィニッシャーを踏み倒して決着を狙うのが現在の主流な構築です。
フィニッシャーの選択肢はいくつかありますが、これまでもたびたび注目されてきた「《超神星DOOM・ドラゲリオン》で《一なる部隊 イワシン》をメテオバーンしつつ《水上第九院 シャコガイル》を蘇生させ、残り1枚の山札を引いて勝つ」コンボがもっとも一般的な勝ち筋です。
《絶望神サガ》ループが発生すれば山札の枚数は好きな数まで減らせるため、コンボ指導中に山札が残り1枚、という状況が簡単に作れるため、デッキと非常に相性が良いフィニッシュルートです。
《絶望神サガ》2枚と墓地のクリーチャー2体あればループコンボが開始できるため、2ターン目にツインパクト化した《エマージェンシー・タイフーン》を唱えて手札と墓地を整えれば次のターンにはコンボスタート可能。
速度はもちろん、コンボ成立に必要なパーツが少ないため、細部どころか構築の基盤から組み替えられる自由度が大きな強みだと言えるでしょう。
《ロスト・ウォーターゲイト》で《絶望神サガ》をサーチできる構築が最初きの主流でしたが、《蒼狼の大王イザナギテラス》と《「迷いはない。俺の成すことは決まった」》のパッケージで防御力を高めつつ動きの幅を持たせた構築が現在の定番です。
コンボ自体は《若き大長老 アプル》や《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》などのメタクリーチャー、《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》などで牽制が効くものの、【青黒サガループ】はサブプランも強力。
墓地を肥やして《龍頭星雲人》や《龍装鬼 オブザ08号》を召喚すれば、相手のリソースを削ってゲームを作るプランを取っていけます。
墓地にクリーチャーが2体あるだけで常にコンボを決められるかもしれないプレッシャーと、手札を減らさずにゲームを進行できるルーターが基盤を支えているおかげで、有利な戦況を維持して常に押し付ける側に回れるのが【サガループ】系デッキ全般に共通する最大の強みだと考えています。
とはいえ、実際に先攻3ターンキルがそう簡単に通るわけではなく、割り切ったプレイを通されれば返す手段がなくなってしまうこともしばしば。ビートダウンへの耐性は低くないものの墓地リセットなども絡められると逆転が難しくなったりと、決して無敵のデッキではありません。
環境を定義する「最も強い」デッキであることは間違いないので、ありとあらゆるデッキがまずはこのデッキの存在を意識することになるでしょう。
Tier2
【赤単我我我ブランド】Tier2


「最強位決定戦」で◆ドラ焼き選手を見事優勝に導いた【赤単我我我ブランド】。
そもそも【サガループ】環境で速度勝負ができる強力なビートダウンデッキとして注目されていましたが、【サガループ】側の構築の変化や【4c邪王門】の再評価によって2週目以降はやや人気が低下していました。
……が、「最強位決定戦」での鮮やかな優勝劇を受けてまた数を増やしつつあります。
最新のトレンドは《コッコ・武・ルピア》を採用して【サガループ】に対して墓地リセットのアプローチも取り入れた構築。
【サガループ】側のサブプランである墓地枚数に依存した大型クリーチャーを無効化できるほか、墓地を消しながらビートダウンすることで【サガループ】側の主流な受け札・《「迷いはない。俺の成すことは決まった」》のリアニメイトを阻止できるため対【サガループ】性能が非常に高いカードです。
単純にメタクリーチャー除去としても強く、《キャディ・ビートル》で各種ブランドの召喚を妨害してくるデッキに対してもわかりやすく突破口を作れるカードです。
【オービーメイカー】Tier2


マナをアンタップするクリーチャーや追加で1マナブーストできるクリーチャーを駆使して1ターン中に3体以上の自然クリーチャーを出した後、1マナまで軽減された《十番龍 オービーメイカー Par100》を着地させるコンボ要素を取り入れたプリズンデッキ。
《天災 デドダム》と《Disジルコン》、《Disメイデン》などのアドバンテージ力に優れたクリーチャーに追加のフィニッシャーとなる《∞龍 ゲンムエンペラー》を取り入れ、ベースのデッキパワーを向上させつつ《キユリのASMラジオ》のバリューを向上させた水/闇/自然の構築がオリジナル環境での主流です。
最初期は水文明/闇文明のカード10枚のみで構築されていましたが、しばらく後に手札を調整しつつ水マナ1枚で動けて一度着地すれば多色カードによるマナタップインを無視できる《Disメイデン》を2〜3枚採用する構築が登場し、今や一般的なテクニックに。
あの手この手でループの始動を封じられるため、対【サガループ】デッキとしても有力な部類。
メタクリーチャーで相手の行動をズラしつつ《十番龍 オービーメイカー Par100》さえ着地してしまえばすぐに状況を打開してそのままコンボに向かうのは難しいため、その隙に《∞龍 ゲンムエンペラー》をムゲンクライムで召喚できます。
《∞龍 ゲンムエンペラー》によってコスト5以下の呪文・クリーチャーが機能停止すれば一般的な【青黒サガループ】では対処が非常に困難。
その後は《∞龍 ゲンムエンペラー》がうっかり除去されても大丈夫なようにメタクリーチャーや《十番龍 オービーメイカー Par100》を再展開して万全の体制を作り、殴り勝ちを狙うのが基本的なプランになるでしょう。
【サガループ】や【4c邪王門】には強く出られる反面、メタが通りづらくバウンス札で《十番龍 オービーメイカー Par100》を対処できる【青魔導具】や、単純に受け札が少ないために簡単に打点が通ってしまう【赤単我我我ブランド】をはじめとしたビートダウンデッキを苦手としています。
【4c邪王門】Tier2


3ターン目にブースト→4ターン目にリソースカードと繋いで手札を整えながら、隙を見つけてシールドを全回収し、《百鬼の邪王門》を絡めて攻めかかるミッドレンジデッキの代表選手。
攻めにも守りにも使える《百鬼の邪王門》がデッキの中核を支えており、このカードによってキルターン自体は遅めのデッキでありながら様々なゲームレンジの相手に対して強く戦えるようになっています。
ただし、基本的に自分より速いコンボデッキに対しては手出しができないため、【サガループ】は大幅に不利の付く相手。
【サガループ】の登場とともに環境から駆逐されるのでは? と予想されていましたが……実際のところそんなことはなく、まだまだ最前線で活躍中。
主な要因はいくつかありますが、まずはビートダウンデッキが増加したこと。
【赤緑“逆悪襲”】のような一部の例外を除けばビートダウンデッキ全般に有利が付くのが【4c邪王門】。
【青黒サガループ】のわかりやすい対策として環境初期に高速ビートダウンデッキが流行したため、そこに上手く当たることができれば【4c邪王門】にとっては有利なフィールドです。
そして、【青黒サガループ】を意識して軽量のメタカードが増加して全体のデッキパワーを落とした構築が増えたこともひとつの要因でしょう。
【青黒サガループ】に速度で間に合うようなメタカードはえてして軽く、ゲームへの影響度は小さめ。あまり有効でないメタカードが相手のデッキに多く入っていれば、カード1枚1枚のパワーに優れた【4c邪王門】の強みが存分に発揮できます。
これらの要因により「【サガループ】に勝ちに来たデッキに勝てるデッキ」という立ち位置を確立しているのが現環境の【4c邪王門】です。
【青魔導具】Tier2


《ガル・ラガンザーク》、《月下旋壊 ド・リュミーズ》、《「無月」の頂 $スザーク $》と度重なる強化を受けながら、今回の特殊パックでも《凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ》が追加されて、ついに墓地対策まで魔導具呪文で完結するようになってしまったスペルコンボの大御所。
速度自体はそれほど速くないですが、2ターン目に《卍 新世壊 卍》を展開して《堕呪 ブラッドゥ》で遅延を掛ければ【サガループ】に間に合う展開がほとんど。仮に《卍 新世壊 卍》がなくとも《ガル・ラガンザーク》を着地させれば大幅に時間を稼ぐことができるため、【サガループ】相手にも立ち回りやすいデッキです。
「ビートダウンデッキ相手が受からない」という弱点は、変わっていないどころか《凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ》を採用するために《堕呪 ギャプドゥ》の枠が犠牲になったため、より強まっています。
先述した通り環境がビートダウンに寄っているため、一部の魔導具を削って何らかの受け札に差し替えた構築もちらほら見かけられます。
アドバンスでも採用されることの多い《ゴゴゴ・Cho絶ラッシュ》や、【アポロヌス】まで盾追加で受けられる《「光魔の鎧」》などがその一例。
【サガループ】環境では影響力の少ないカード除去が全体的に減少していることもあり、今環境で動きやすいデッキのひとつと言えそうです。
【アナカラーサガループ】Tier2


水/闇/自然の《キユリのASMラジオ》基盤に《絶望神サガ》と《超神星DOOM・ドラゲリオン》パッケージを搭載し、《CRYMAX ジャオウガ》によるサブフィニッシュルートと《若き大長老 アプル》による遅延を兼ね備えた【サガループ】として誕生した【アナカラーサガループ】。
《絶望神サガ》のコンボをメインの勝ち筋としながらも《キユリのASMラジオ》+《天災 デドダム》というバリューの高い組み合わせを主軸に据えていることで、【青黒サガループ】では対応しづらいリソースゲームに対して非常に高い適性があるのが最大の特徴でしょう。
墓地対策とは全く異なる軸からアドバンテージを獲得でき、《CRYMAX ジャオウガ》によってそのまま特定のカードとの組み合わせも必要としないフィニッシュ手段で勝ちを狙えるためメタ耐性の高さは抜群です。
通常の構築ではビートダウンデッキにやや弱いですが、「最強位決定戦」では全体バウンストリガーに6枠を割いたビートダウンへのガードが高い構築でけっしー選手が2位入賞を果たしており、構築次第ではケアの効く範囲であることが窺えます。
一方で、【青黒サガループ】のようにわかりやすく1枚で2枚分の墓地カウントを増やす手段がなく、マナアンタップ要員も採用されないことが多いため、コンボ自体は【青黒サガループ】よりもほんの少しだけ複雑になっていることには注意しましょう。
【アナカラーハンデス】Tier2


現在多くのデッキで使用されている水/闇/自然基盤の開祖とも言えるメタコントロールデッキ。
多様なメタクリーチャーと多くのデッキに一貫するハンデスによって積極的に相手の動きを阻害しつつ、これらの軽量クリーチャーを《有象夢造》や《キユリのASMラジオ》などの展開補助でバックアップ。
《絶望と反魂と滅殺の決断》などの繰り返し使えるハンデスも駆使して相手のリソースを完全に掌握したあとは、《CRYMAX ジャオウガ》で有り余る打点を押し付けて勝負を決します。
《若き大長老 アプル》をガッツリ採用できるため【サガループ】に有利に見えますが、実際のところループを直接止められるメタクリーチャーは4枚の《若き大長老 アプル》のみで、確率的に五分と言ったところ。
しかも1体程度であれば【サガループ】側もあの手この手で超えてくるため、2体目へのアクセスも急務。
《若き大長老 アプル》2体とサーチによる打開を封殺できる《飛ベル津バサ「曲通風」》まで盤面に揃えれば突破されるリスクは大きく下がりますが、逆に言えばそこまで固めたうえで盤面を維持しなければ突破されてしまいます。
デッキ自体の強さが一定ラインを上回っているため十分に戦えるだけの力はあるものの、立ち位置はやや厳しいデッキと言えるかもしれません。
Tier3
【メタジャオウガ】Tier3


3種12体以上、多ければ5種20体もの軽量メタクリーチャーを採用し、有無を言わせぬメタクリーチャーの物量で相手の動きを遅延して《CRYMAX ジャオウガ》を通す、特殊な水/闇/自然基盤デッキ。
展開補助を行うカードがほとんど採用されず、メタカードの他にはリソース管理に長けたカード・受け札・《CRYMAX ジャオウガ》の3要素でデッキが埋め尽くされています。
線は細いものの多数のメタクリーチャーで対応できる範囲が広く、どんなデッキに対してもどれかしらは刺さるのが強みと言えます。
特に、他のデッキでは自然文明の枚数の都合で優先度が低い《キャディ・ビートル》を採用できるため、ビートダウン系のデッキに対しても有効なメタを確保できているのは特筆すべき点でしょう。
受け札もGSと合わせて16枚以上取られる場合が多く、シンプルにシールドを割り切るデッキには一定の優位が期待できます。
以上のようにギミックに依存したデッキやビートダウンデッキに対する遅延性能は高いものの、戦術としては手札のリソースを1枚1枚メタクリーチャーに変換していくことしかできません。その都合上、1:多交換ができる除去には非常に脆いのが弱点です。
パワーラインも全体的に低いため、並べたメタクリーチャーを《絶望と反魂と滅殺の決断》や《九番目の旧王》などでまとめて除去されたり、《切札勝太&カツキング —熱血の物語—》で手札消費されずに除去されると目も当てられません。
総じてカードパワーの低さがネックとなる対面が目立つデッキです。ビートダウンや【青黒サガループ】に極端に寄ったメタゲームであれば、活躍のチャンスかも?
【赤緑“逆悪襲”】Tier3


大量に積まれたコスト1のクリーチャーたちとマナアンタップクリーチャーを駆使して高速で手札を吐き切り、《“逆悪襲”ブランド》をはじめとしたG・G・Gクリーチャーを絡めて高速で攻め立てるビートダウンデッキです。
《とこしえの超人》・《若き大長老 アプル》という軽量墓地メタクリーチャー2大巨頭を駆使して妨害を絡めながらシールドを攻撃しにいけるのがデッキのセールスポイントで、【サガループ】に対する牽制としてもビートダウンデッキの壁となる《百鬼の邪王門》ケアとしても非常に優秀です。
うまく回った際の理論値は高い反面、その特性上リソースを回収できるカードはほとんど入っていません。
《スナイプ・モスキート》の攻撃時マナ回収を使って次のターン以降の展開を読みながら手札を整える以外に手を広げる方法がなく、高いプレイ習熟度が要求されるデッキでもあります。
また、【青黒サガループ】に《「敬虔なる警官」》をプレイされればそれだけで数ターン機能停止させれてしまうため、全体としては有利なものの噛み合い次第で非常に苦しい展開を強いられるのがデッキとしての評価を下げる要因となっています。
【赤黒邪王門】Tier3


シールドを手札に変換するカードを駆使して自分のシールドを減らしながら軽量のメタクリーチャーで相手の動きを阻害して打点を通し、最終的に《「貪」の鬼 バクロ法師》や《影速 ザ・トリッパー》への《禁断の轟速 ブラックゾーン》侵略で打点を伸ばしつつ《龍装者 バルチュリス》を絡めてリーサルを取りにかかる、火力の高さに寄せたメタビートです。
軽量クリーチャー主体のビートダウンデッキでありながら豊富なシールド回収でリソース切れに陥りづらく、スピードアタッカーや鬼タイムによる自己強化持ちクリーチャーが豊富に採用されているため瞬間打点も高いのが特徴。
シールドが減って手薄になる防御面は《百鬼の邪王門》によるカウンター戦術がカバーしてくれます。
戦術自体は攻守に隙のない優れたコンセプトですが、うまく引き方が噛み合わないと手札にカウンター用のカードだけが吸い付いてうまく動けなかったり、逆にシールドが減り続けているのに防御用のカードを1枚も使えずあっさり負けてしまったり、というブレの要素が大きいのが弱点です。
キルターンが他のビートダウンと比べて若干遅く、【サガループ】などのデッキにうまくメタが通らなかった場合に速度で押し切る選択肢を取るうえでも【赤単我我我ブランド】などの後塵を拝することになりがち。
環境上の立ち位置は比較的良いデッキですが、総合的なデッキのパワーが上位陣と比べて少しだけ落ちる印象です。
【ヘブンズ・ゲート】Tier3


直近の環境で活躍の機会を広げている、今大注目のデッキタイプです。
《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》とそれを引き込む《十・二・神・騎》を初動に据えて【サガループ】のコンボを食い止め、5ターン目までは全力でリソースを拡充。
《スターゲイズ・ゲート》や《ヘブンズ・ゲート》で展開を作れるようになった後は、《闘門の精霊ウェルキウス》を起点に《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》や《∞龍 ゲンムエンペラー》を展開して相手のデッキのキーカードを機能不全に追い込み、大打点を押し付けて勝利します。
特徴的な採用カードとして挙げられるのが《提督の精霊龍 ボンソワール》。
【サガループ】が《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》を設置された後は、ループが狙えないためルーターを連打して墓地を肥やしながら《龍頭星雲人》で相手のリソースを削ってゲームを優位に進めようとします。
が、そこに突き刺さるのが《提督の精霊龍 ボンソワール》。《龍頭星雲人》のハンデスは選択権が対戦相手にあるため、このカードを抱えておくだけでハンデスプランをほぼ無力化できます。
そうでなくとも、このデッキは《サイバー・ブレイン》などのリソース源が豊富に備わっているためハンデスによる損失は軽微。よほどのことがない限りは先に《∞龍 ゲンムエンペラー》を複数体並べてフィニッシュまで向かえるでしょう。
ビートダウンデッキに対しても有効なトリガーが多数採用されており、手札からのシールド追加もあるため多くのゲームで《ヘブンズ・ゲート》を無理やり踏ませてのカウンターを狙っていけます。
総じてうまく環境に適応しており、「最強位決定戦」の影響で【赤単我我我ブランド】が増えそうな今後のメタゲームにどれほど進出できるのか非常に気になります。
ほとんどのメタクリーチャーはシールドからのカウンターも考慮すれば取るに足りませんが、環境上位のデッキの中では【4c邪王門】の《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》による呪文ロックが最大の弱点となりそうです。
環境のまとめと今後の展望
今まで
前評判通りといえばその通りに、【サガループ】の登場によって環境は激変。
デッキを考える際に、まず「どうやって【サガループ】と戦うか」を考えなければならない程度には影響力を誇るデッキとなっています。
最初週は事前に情報が公開されていた《ロスト・ウォーターゲイト》を起点としてサーチを採用したコンボ特化の【青黒サガループ】が登場。
同時に【青黒サガループ】の対抗馬として有力視されていたビートダウンデッキや前環境から強力なデッキに少し【青黒サガループ】を意識したようなカードを採用したデッキが引き続き活躍を見せ、【青黒サガループ】のシェア率自体はそれほど高い水準ではありませんでした。
しかし、その翌週までに【青黒サガループ】側が《蒼狼の大王イザナギテラス》+《「迷いはない。俺の成すことは決まった」》をフィーチャーしたサーチ不採用型が主流となりました。
ビートダウンデッキに対して《「迷いはない。俺の成すことは決まった」》を踏ませて《絶望神サガ》を蘇生することで、相手ターン中にループに入りつつ《蒼狼の大王イザナギテラス》でブロッカーを並べたり、構築によっては1枚採用の《終末の時計 ザ・クロック》まで絡めて確実にターンを獲得し、カウンターを決めることが容易に。
そもそも《「敬虔なる警官」》の使い方次第で大きな不利にはならなかったビートダウン系統に対して明確な回答が、しかもデッキの強さを損なうことなく採用されたことで相性が大幅に改善されました。
また、時を同じくしてアナカラーの基盤を取り込んでデッキ全体のアドバンテージ力を高めつつ、《若き大長老 アプル》で相手の【サガループ】を数ターンズラして自分のループを通す【アナカラーサガループ】も登場。
【青黒サガループ】との直接対決で明確な勝ち筋を持ちつつ、【サガループ】をメタってくる相手にはマナとリソースを伸ばして《CRYMAX ジャオウガ》で〆るサブフィニッシュもあるなど、「【サガループ】メタ」の環境を勝ち抜けるようにチューンされた構築で実績を残しました。
しかしながら、【サガループ】を中心としたメタゲームはまだまだ発展途上。今後の発展については未だ予断を許しません。
これから
「最強位決定戦」で見事優勝を飾った【赤単我我我ブランド】は《コッコ・武・ルピア》4枚採用。
「墓地をリセットしながらビートダウン」、「墓地をリセットしながらメタクリーチャー設置」というアプローチは上位陣に散見され、対【サガループ】の新たな道を提示しました。
率直に言って、このような手法が共有されたからと言って今後すぐに【サガループ】主体の環境が終わるとは考えづらいほどに、【サガループ】は懐の深いデッキです。
しかしながら、少なくとも現在主流となっている《龍頭星雲人》フル採用・《「迷いはない。俺の成すことは決まった」》を受け札に数えている構築は墓地リセットに対して非常に弱く、今後このアプローチが流行するのであれば構成を再考せざるをえないでしょう。
【サガループ】を使うのか、【サガループ】を倒すのか。いずれにせよ、環境の形が大きく動いていくことには間違いなさそうです。
おわりに
というわけで、3月上旬のオリジナル環境について解説いたしました。
使ってみたいデッキは見つかりましたでしょうか?
この記事が皆さんのオリジナル環境に対する理解への一助となれば幸いです。
それでは次回、3月下旬のアドバンス環境解説記事でまたお会いしましょう!
オリジナル環境はこちら!
毎週のメタゲーム解説はこちら
