【執筆ライター】西川航平
目次
白熱するプロリーグ。
選手たちの高度な戦いを見て、観客の熱気も高まっていく。
そしてその熱を感じ取り、選手のモチベーションもさらに上がる。
競技、興行としてのデュエルマスターズにとって、最高の環境がそこにはあった。
いくら良い施設、設備を用意しても、観る者が魅力を感じていなければそれは最高の舞台とは言えない。
選手たちはそれまでのプレイで、自らの手でこの環境を作り上げたのだ。
そんな舞台で繰り広げられるのは、最高の戦いに違いない。
決勝進出をかけた大一番が始まる。
【第1試合】MGR(墓地ソース) VS ZweiLance(アナカラーデッドダムド)
ZweiLance選手とギラサキ選手の「KA-NABELL」コンビは第2戦で勝利し、現在1勝0敗。この試合に勝てば文句なしで決勝進出が決まる。
対するASAKURA選手とMGR選手の「COMPOFF Pros」 は0勝1敗。
(以下敬称略)
ただしこの試合に勝てばBリーグ内3チームすべての戦績が1勝1敗となり、決勝進出の可能性も出てくる。
また、それを抜きにしても名誉、威信をかけたこの戦い。
なんとしても勝利したいという思いがあるだろう。
両者にとって絶対に落とせない最終戦が、始まる。
チームの勢いをつけるためにも重要な第1試合。
「KA-NABELL」からは【アナカラーデッドダムド】を使うZweiLance。
【シータミッツァイル】の登場により使用率トップからは陥落したものの、その強さには定評がある。
ここ最近ずっと使ってきて、練度も高いと語るZweiLance。
その言葉を証明するように、前日のGP9thでは予選全勝を果たしている。
これから対峙する【墓地ソース】は苦手な相手ではあるものの、《生命と大地と轟破の決断》の採用により、《暴走龍5000GT》への対抗手段も確保してある。(《暴走龍5000GT》が止められるのは召喚のみ)
不安の色は見られない。
「COMPOFF Pros」からは【墓地ソース】を操るMGR。
【シータミッツァイル】、【デッドダムド】に対して《暴走龍5000GT》が極めて有効であるためこのデッキを選択したという。
いま彼の目の前に、待ち望んだターゲットが現れた。
両者は初手合い。
果たして勝負の行方は。
統計的にみて、じゃんけんで最も出される可能性が高いのは「グー」だ。
そして、一番出現率が低いのが「チョキ」
これを踏まえると、最大母数に対して勝利することができ、不利対面が少ない「パー」こそじゃんけんにおける定跡といえる。
だがこれは、相手がそのセオリーを知らないと仮定したときの話。
相手がその知識を知っているのかどうか、知っていた場合どの手を出してくるかを考えることで、じゃんけんには高度な読み合いが発生する。
ここでZweiLanceが選んだのは、「定跡」を咎める勝負手「チョキ」
リスクは高いが、狙いがはまれば強力な一手。
それに対し、MGRの選出は……「グー」
その拳が、MGRに大きなアドバンテージをもたらした。
隣ではASAKURAが安堵の声を漏らす。
2ターン目、MGRが《ほめほめ老句》で順当に墓地を増やすと、ZweiLanceは《霞み妖精ジャスミン》でマナブーストを決める。
両者上々の滑り出しといえるだろう。
3ターン目も《ほめほめ老句》をプレイし、墓地を肥やすMGR。
G・0の条件は達成したものの、《百万超邪クロスファイア》は姿を見せない。
天敵《暴走龍5000GT》の足音を感じ取るZweiLance。
しばらく考えると、《フェアリー・ライフ》、《悪魔妖精べラドンナ》をプレイ。
《悪魔妖精べラドンナ》の自壊効果は使わず、場に残すことを選択する。
これが何を意味するのか、MGRはすぐに合点がいったようだ。
そう、《復讐ブラック・サイコ》への進化だ。
手札破壊を行いながら、《暴走龍5000GT》の除去効果に引っかからないコマンドを残すことができる極めて強烈な一手。
それを狙っての《悪魔妖精べラドンナ》残し。
だがそれはあくまで、次のMGRのターンに《暴走龍5000GT》が現れなければの話。
それはZweiLanceも重々承知の上なのだろう。
祈るような表情を浮かべている。
続くMGRのターン。プレイされたのは《「アフロいきま~す!」》
捨てたのは、登場以来墓地ソースの潤滑油、いやメインエンジンとして活躍し続けている《一なる部隊イワシン》だ。
MGRの残りマナは2。《一なる部隊イワシン》の効果が発動すると墓地は9枚となる。
ここでもう1度このカードを捨てることができれば念願の暴走龍にたどり着けるが果たして。
墓地に送られたのは、《サマー・オジサマー/ムーン・オジサマー》
切札を呼ぶには、一歩足りない。
MGRはターンを返す。
「よし」
天敵が現れなかったことに安堵の声を漏らしたZweiLanceは、すぐさま前ターンの伏線を回収する。
《悪魔妖精べラドンナ》を、《復讐ブラック・サイコ》に進化。
何に対しての復讐か、落ちたのは《暴走龍5000GT》2枚。
「マジかよ」
ここまで表情を見せなかったMGRであったが、これには思わず驚きの声を上げる。
ここで2枚の暴走龍を落とす確率は6分の1。
肝心要の場面でZweiLanceが魅せた。
この男、やはり持っている。
《復讐ブラック・サイコ》の働きは、手札破壊だけではない。
MGRが《暴走龍5000GT》を出しても場に残り、《SSS級天災デッドダムド》に侵略させて処理することができる。
この《復讐ブラック・サイコ》はZweiLanceにとっての防波堤となるのだ。
手札には《禁断機関VV8》もある。
苦手対面を捲っての勝利が見えてきた。
MGRのターン
《終焉の開闢》をプレイし、《暴走龍5000GT》を回収、そのまま召喚する。
そして残る1マナで《龍装鬼オブザ08号》を呼び出す。
かつて世界の終わりを告げた龍が、一瞬にしてZweiLanceの防波堤を破壊した。
ZweiLanceは、確かに持っている男なのだろう。
だが、彼の目の前に立ちふさがる男もまた、一流のプロ、持っている男なのだ。
ZweiLanceのデッキにシールドトリガーはない。
恐れるものは何もないといわんばかりに、《暴走龍5000GT》が3枚のシールドを叩き割る。
天敵である暴走龍の対策として採用したという《生命と大地と轟破の決断》は、彼の手元にはない。
最後まで全力でプレイするのがプロであると、そう背中で語るように、ZweiLanceは真剣な表情を保ったまま《禁断機関VV8》を呼び出した。
しかし、その禁断の鍵が解けることはついになかった。
WINNER:MGR
【第2試合】ASAKURA(青緑ジョラゴンジョーカーズ)VS ZweiLance(アナカラーデッドダムド)
勝利に王手がかかる「COMPOFF Pros」からはASAKURA。
使うデッキは【青緑ジョラゴンジョーカーズ】だ。
ならば当然ここは、それに対して強く出られる【アナカラーデッドダムド】、ZweiLanceの出番だろう。
朝から激戦を繰り広げている選手たちだが、疲労の色はまるで見られない。
高いパフォーマンスを発揮し続けることもプロにとっては重要なのだろう。
両者は少し前にCSで対戦したことがあるという。
その時勝利したのはASAKURA。
チームの命運がかかると同時に、同じ相手に2連敗は絶対に避けたいというのは人として当然の心理。
有利なデッキタイプなうえ、先攻が与えられているこの試合。
ZweiLance、雪辱を果たせるか。
不利な条件が重なってはいるものの、勝てば決勝進出という大きな大きな報酬が与えられる。
これまでいくつもの死線をかいくぐってきたASAKURA。
この逆境を超えられるか。
2ターン目、まず動いたのはZweiLance。
《悪魔妖精べラドンナ》でしっかりと初動を決める。
効果で《天災デドダム》が埋まり、しっかりとしたマナ基盤を獲得する。
対するASAKURA。《タイク・タイソンズ》はあるものの、それをプレイするために必要な自然文明のカードがない。
苦しそうな顔を浮かべるASAKURAを一瞥すると、ZweiLanceはこのデッキの核、《天災デドダム》を呼び出した。
手札を減らすことなくマナを伸ばし、アクセスできるカードの幅を大きく広げ、侵略元となる3マナのクリーチャー。
この3か月、数多くのプレイヤーに絶望を与えてきた天災が、ASAKURAの身に降りかかる。
《天災デドダム》の効果でマナに置かれたのは《禁断機関VV8》
これはZweiLanceが手札にそのカードを抱えていることを、何よりも雄弁に物語っていた。
危機が迫る中ASAKURAが呼び出したのは、《ポクチンちん》
侵略に対する抑制効果はあれど、リソースが伸びるでも切札の召喚を特段早めるでもない一手。
それは嵐の中で小さな折り畳み傘をさすような、そんな苦し紛れの一手だった。
だが、ASAKURAの手札に他の選択肢などなかったのだ。
ベストの手でないことなど、指した本人が一番わかっている。
唇をかみしめ、ASAKURAはターン終了を告げる。
自身の優勢を確信したZweiLanceは、力強く《禁断機関VV8》をプレイ。
2枚目の《禁断機関VV8》と《ポクチンちん》を叩くための《虹速ヴェルデ》を手札に加え、ターン終了を告げる。
詰めろがかかったようなこの状況で、ASAKURAが呼び出したのは2枚目の《ポクチンちん》。
1体では心細い《ポクチンちん》の抑制能力も、2体並べばその強度は大きく上がる。
毛利元就曰く、1本の矢は簡単に折れるが、3本の矢はなかなか折れないという。
では、2本の矢ならどうなるのか。
その答えを、今ここにいる2人のプレイヤーが出そうとしている。
ASAKURAを守る2本の矢に対して、ZweiLanceが行ったのは掟破りの1本ずつの各個撃破であった。
《虹速ヴェルデ》が《ポクチンちん》1体を破壊する。
これで再びASAKURAの守りは心もとないものとなる。
ASAKURAは《メイプル超もみ人》をプレイし、マナを伸ばす。
例え場のカードを全て除去されても、マナチャージで7マナのカードが出せるようになる。
次のターンにつなげるための前向きな1手だ。
しかし問題は、その「次の」ターンが来るかどうかだ。
禁断の力を手にしたZweiLanceの次のターンが、ASAKURAのものであるという保証はない。
ZweiLanceは2枚目の《禁断機関VV8》を場に出すと、ついに攻撃に打って出た。
《虹速ヴェルデ》が《超奇天烈ギャブル》と《SSS級天災デッドダムド》に同時侵略。
《ポクチンちん》を除去しながら追加ターンを獲得する。
封印から解かれた《禁断機関VV8》に、《SSS級天災デッドダムド》へと姿を変えた《天災デドダム》が続く。
ASAKURAの盾から、シールドトリガーが出ることはなかった。
「ターン終了」
ASAKURAが待ち望んだZweiLanceのその声。
だがしかしそれは、彼のためのものではなく。
数多くのプレイヤーを屠ってきた天災が、ASAKURAという名の巨星を呑み込んだ。
WINNER:ZweiLance
【第3試合】ASAKURA(青緑ジョラゴンジョーカーズ)VS ギラサキ(シータミッツァイル)
数々の名勝負が繰り広げられた予選リーグも、ついに最終戦。
トリを飾るのは、【青緑ジョラゴンジョーカーズ】を使うASAKURAと【シータミッツァイル】を選択したギラサキだ。
先の2戦は素晴らしい戦いだったものの、そこには明確な相性差が存在した。
むろん、環境読みも極めて重要なゲームの要素であり、それもプレイヤーの腕の見せ所である。
だが、観る側から無責任なことを言わせてもらうと、不利な相手に立ち向かう勇者の話だけでなく、五分の力で真っ向からぶつかり合う騎士の物語もまた見たいのだ。
この対戦カードは、《ジョットガン・ジョラゴン》からの《アイアン・マンハッタン》が【シータミッツァイル】のメインの動きより先に発動することが多いため、やや【ジョラゴンジョーカーズ】側が有利とされているものの、先手後手、マナブースト次第でそれがひっくり返ったり、《アイアン・マンハッタン》のブレイクから大量のクリーチャーが登場するなどの展開もあるため、実際はほぼ互角の相性といえる。
最終戦、どのような一局になるのか。
さらに増えた観客が見守る中、物語の最終幕が上がる。
デッキカットを終え、勝負の行方を占う重要なじゃんけん。
両者が出したのは、定跡ともいえる「パー」
あいことなった場合、統計的に同じ手を出される可能性が著しく低くなるので、今出した手に負ける手「グー」が定跡とされる。
2手目で両者が出したのは、定跡破りの「パー」
相手が初手で定跡を打ってきたため、そのセオリーに勝てる手を選んだということか。
非常に高度な読み合いが発生している。
だがこうなれば、もはやセオリーは使えない。
3手目。両者は三度パーを出し、あいことなる。
次で変化するのか、変化するとしてどちらに?
この膠着状態の後で、それに負ける「グー」は出しにくい。
少なくとも私ならば出したくはない。
だからここで「チョキ」を出したASAKURAを責めることなど誰にもできないだろう。
称賛されるべきは、リスクを取り「グー」という勝負手を放ったギラサキだ。
そのリスクの対価として、ギラサキは貴重な貴重な先手番を手に入れる。
振り返れば彼のパートナーであるZweiLanceも勝負手「チョキ」でMGRに挑んでいた。
この2人は、どこか本質的に近いところを持ったコンビなのかもしれない。
1ターン目、ギラサキは《音精ラフルル》、ASAKURAは《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》を埋め、不足しがちな色をしっかりと確保する。
2ターン目には《イチゴッチ・タンク》と《ヤッタレマン》がプレイされる。
どちらも上々のスタートだ。
ギラサキが《フェアリー・ライフ》でマナドライブに王手とすれば、ASAKURAは《ポクチンちん》をプレイし、相手のドローを弱めつつ切札《ジョット・ガン・ジョラゴン》にリーチをかける。
手札には《アイアン・マンハッタン》と《キング・ザ・スロットン7》をしっかりと抱えており、暴れる準備はばっちりだ。
ギラサキはGRゾーンに打開策を求め、《 スゴ腕プロジューサー 》を召喚する。
幾人ものGRアイドルを輩出した敏腕プロデューサーが呼び出したのは、《続召の意志 マーチス》と《オコ・ラッタ》
この働きは、スポンサーであるギラサキを満足させるに十分な成果だった。
《ヤッタレマン》が手札に戻され、ASAKURAのプランは下方修正を余儀なくされる。
《ヤッタレマン》から《タイク・タイソンズ》を召喚するにとどまる。
ギラサキはさらに相手の足を止めようと、《超次元ボルシャックホール》から《ブースト・グレンオー》をプレイ。
《ポクチンちん》と《ヤッタレマン》が1度に除去されてしまう。
ギラサキの鋭い視線を以てせずともわかる。
ASAKURAは明らかに苦しんでいた。
《ソーナンデス》をチャージするのみでターンを終える。
ASAKURAが苦しい状況であるのは間違いないが、しかしギラサキもまた同様に先の展開に悩まされていた。
デッキトップから引いた《κβバライフ》をプレイするも、出たのは《オレちんレンジ》
リソースも場も増えない、この状況では残念な1枚だ。
めくれた2枚も《神秘の宝箱》と《鼓動する石板》どちらも引きたいカードではない。
だがしかし、そこはさすがギラサキ。
手札に持っていた《イチゴッチ・タンク》をプレイし、しっかりと山札の上から取り除く。
華麗なうち回しだ。
が、決して強い動きではない。
あくまで弱い動きの中での最大値を取ったに過ぎないのだ。
その証拠に、彼がその登場を先延ばしにしてきた無双龍がついにその姿を現す。
しかし、ASAKURAの相棒であるガンマンは、ここまでの攻防の中でその弾を失っていた。
クリーチャーの展開のため、《キング・ザ・スロットン7》をマナに埋めてしまったのだ。
放てるのは、《アイアン・マンハッタン》のみ。
「シータミッツァイル」にめっぽう強いカードであるが、ギラサキの手札がない今使っても、逆効果に終わる可能性が高い。
熟考して、ASAKURAはターン終了を告げる。
ギラサキのさらなる展開を恐れてターンを終了したASAKURAであったが、果たして彼は自力で回答を引っ張ってきた。
《知識と流転と時空の決断》その名の通り、この場におけるパーフェクトなカードだ。
選ばれたのはもちろん、GR召喚×2。
《ダダダチッコ・ダッチー》と《マリゴルドⅢ》
さらなる飛躍の可能性を感じさせる1枚だ。
《マリゴルドⅢ》の効果で《 スゴ腕プロジューサー 》、さらに2体目の《ダダダチッコ・ダッチー》が現れる。
山札を2度めくるも、どちらも不発に終わる。
これでギラサキのクリーチャーは9体。
《7777777》で一掃される可能性がある以上ギラサキとしては殴りたくないだろうが、ASAKURAにプレッシャーを与えるには十分すぎる打点だ。
ASAKURAの生命線《7777777》を止められる唯一のカード《音精ラフルル》はマナに埋まっている。
マナのカードを使う手段が《ハリケーン・クロウラー》か《マリゴルドⅢ》しかないため、《アイアン・マンハッタン》を起動させればたとえ攻められても耐えられる可能性がある。
また、これだけGR召喚しているにもかかわらず《天啓CX-20》がいまだ出ておらず、一度のGR召喚からリソースを稼がれる可能性も高く、あまり猶予がないという事情もあった。
これらの状況を考慮し、ASAKURAはJ・O・E能力を使い、ついに《アイアン・マンハッタン》を召喚。
このブレイクにより、ギラサキのシールドからは《フェアリー・ライフ》《 りんご娘はさんにんっ娘 》がトリガーする。《オコ・ラッタ》が出せれば非常に強い状況だが、現れたのは《オレちんレンジ》
この程度ではASAKURAの攻撃は止まらない。
《タイク・タイソンズ》を捨て、《アイアン・マンハッタン》のロックが炸裂。
相手の自由を奪い、ついに《ジョット・ガン・ジョラゴン》が動く。
手札に有効な弾はない。
思いを込めてドローしたカードは、ここまでASAKURAを苦しめてきた《 スゴ腕プロジューサー 》
そう。GRクリーチャーをプロデュースするのは、なにもギラサキの特権ではないのだ。
この効果で現れたのは《マシンガン・トーク》
切札が再び起き上がる。
《キング・ザ・スロットン7》から《ジョリー・ザ・ジョルネード》が現れるとブロックができなくなるため、ここはシールドをしっかり残しておきたいギラサキ。
この攻撃は《 スゴ腕プロジューサー 》によって防がれる。
再び攻撃を仕掛ける《ジョット・ガン・ジョラゴン》
2度目にはなった弾は、《メイプル超もみ人》その効果で虎の子の《ガヨウ神》がマナゾーンに埋まってしまう。
勝負の世界にたらればを持ち込んでも詮無いことではあるが、もし山札が1枚ずれていたら、この後の展開も大きく変わっただろう。
この攻撃も《 スゴ腕プロジューサー 》がブロック。散り際にギラサキに《天啓 CX-20》を授ける。
《アイアン・マンハッタン》の攻撃も三度《 スゴ腕プロジューサー 》がブロック。
《続召の意志 マーチス》が現れ、GRクリーチャーがそろい踏みだ。
ASAKURAは、相手の展開を抑えるために《アイアン・マンハッタン》を使ったはずだ。
だが、むしろギラサキの場はGRクリーチャーであふれかえっていた。
これこそが、【シータミッツァイル】の脅威。
「次の」ターンの展開を防ぐ、では間に合わないのだ。
大量のクリーチャーを従えるギラサキだが、《7777777》の脅威はいまだ去らない。
《Dの牢閣メメント守神宮》を張りながら《 六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~ 》を撃ち、次のターンに向けて力をためる。
ASAKURAが召喚したのは、2枚目の《アイアン・マンハッタン》
攻撃はせず、制限だけかけて山札の底に帰っていく。
《音声ラフルル》を出せない以上、《7777777》のリスクは無視できない。
再び《六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~》を唱え、ASAKURAの逆転の芽を摘む。
トップで2枚目の《ジョット・ガン・ジョラゴン》を引いたASAKURAであったが、《六奇怪の四 ~土を割る逆瀧~》が発動している以上突破は見込めない。
シールドをブレイクしなければ、もしかしたら相手はパーツを揃えられないかもしれない。
《BAKUOOON・ミッツァイル》を、持っていないかもしれない。
それは確かに、あまりにも勝率の低い賭けだろう。
しかしこの時のASAKURAに、勝利につながる他の選択肢はなかったのだ。
であれば一縷の望みにかけて、奇跡にかけて勝つためのプレイをするというのはプレイヤーとしてこれ以上にない高邁なる精神の表れではないか。
だが、ああ、やんなるかな。
奇跡とは、そう簡単には起こらないから奇跡なのだ。
ついにギラサキの切り札が現れる。
勝利への導火線に、火がついた。
《アイアン・マンハッタン》にかけられた縛りから解き放たれた《BAKUOOON・ミッツァイル》は、すべてのGR クリーチャーの再召喚を行う。
そしてマナから現れるは、呪いからプレイヤーを守る精霊、《音精ラフルル》
奏でる美しい音色が、ASAKURAから反撃の意思を奪い取っていく。
一輪の花を添えるような手つきでギラサキが手札から呼び出したのは、《単騎連射マグナム》。
「単騎ラフルル」
1+1が無限にもなるようなその美しいハーモニーの前に、ギラサキの勝利はゆるぎないものとなる。
ASAKURAは静かに、自らの敗北を受け入れた。
WINNER:ギラサキ
勝利コンビ: ギラサキ× ZweiLance
ギラサキとZweiLanceのコンビが、文句なしの決勝進出を決めた。
だが、他の4人の戦いぶりも決して彼らに劣るものではなかった。
彼らを囲んだ観客の声援と拍手が、その何よりの証明だろう。
激闘を制した2人は、最高の栄誉を手にするため最後の舞台に挑む。
2回戦のカバレージ⇒【DMプロリーグ byカーナベル】じゃき―×ユウキング VS おんそく×すめらぎ 【リーグA2回戦カバレージ】