春・秋のDMGP、冬の全国大会。
そして夏といえば言わずもがな。このどれもを凌駕する盛り上がりを見せるDMBC(デュエル・マスターズボディビルコンテスト)に他ならない。
そんな筋肉の祭典が今年もやってきたのだ。
予選を勝ち抜いた4名の強者共。今年、【デュエ筋グ】の称号を掴み取るのは一体誰なのか。
熱く(気温)、そして厚い(胸板)夏が、今始まる。
目次
エントリーNo.1
最初の本戦参加者が壇上に上がった途端、怒号にも似た声が鳴り響く。
「「キレてるキレてるー!!」」
「「仕上がってるよー!!!」」
声援だ。
もしDMBC初見の方がいらっしゃるなら、その方はビックリされたかもしれない。
ボディビルの大会では参加者がその筋肉を披露した際、賞賛と敬意を込めた声援が観戦者から飛ばされるのだ。
その種類は様々。シンプルなものからやや難解な比喩まで多岐にわたる。
しかし、そのどれもが心の底から真剣に応援していることだけは共通していた。
そんな声援を受け、トップバッターである彼はマッスルポーズに力を入れる。
エントリーNo.1、
その名は《印鑑D》。
出典:デュエル・マスターズ
今期は副業で始めたデュエル・マスターズのクリーチャー業でも脂が乗る。特に2ブロックではDMGP8thを足がけに、【印鑑パラス】を環境の顔とまで知らしめた。
そんな波に乗る今、本業のボディビルでも花を咲かせたい。
その想いを知ってか知らずか、会場のボルテージは上がっていく。
「「デカーい!!!」」
「「いい血管出てるねー!!」」
大きく膨らんだ大胸筋と下半身が特徴的な彼だが、今年はウェストの絞りにも力を入れていることが見て取れる。
そんな素晴らしい肉体に呼応するかのようにあがる声援。高まるボルテージは天井を知らない。
「「太ももデカすぎて、テキスト隠れてるよー!!」」
出典:デュエル・マスターズ
「「肩にちっちゃい《ナイト・クロウラー》でも乗せてんのかいっ!」」
出典:デュエル・マスターズ
それにしても、この盛り上がりはもはやトップバッターのそれとは思えない。
今年も熱く激しい戦いになりそうだ。
エントリーNo.2
エントリーNo.2の《仏斬!富士山ッスル》は昨年度の優勝者だ。今年もその活躍に期待がかかる。
出典:デュエル・マスターズ
今年、彼の身体で何より目が行くのは『龍解筋』ことその腹筋だ。
そう。今年、ワールドホビーフェアのデュエマブースで行われた発表は、デュエマ界とボディビル界の両方に激震を走らせた。
『龍解筋』『侵略筋』『マスター筋』の発見である。
過去のDMGP優勝者や全国大会出場者が揃いも揃って「体脂肪率3%切り」だったり「胸筋の運動だけでデッキをシャッフルすることができる」肉体の持ち主であることが周知の事実であるために、
「(もしかして筋肉とデュエマの強さは密接な関係があるのでは…?)」
と薄々勘付いていた我々に、決定的な朗報となった。
デュエマには、筋肉がいる。
その中でも《仏斬!富士山ッスル》は『龍解禁』を重点的に練ってきたのがわかる。【絶対王者‼︎デュエキングパック】で登場した《爆熱王DX バトガイ銀河》へのリスペクトだろうか。会場からは一層増して声が飛ぶ。
「「そこまで絞るのに、何マナかけたんだーい!」」
出典:デュエル・マスターズ
「「龍解筋、バリバリ6つに割れてる!【起源神】か!!!」」
《爆熱王DX バトガイ銀河》へのリスペクトと、腹に宿る【起源神】の影。果たして彼を優勝に導けるのだろうか。
エントリーNo.3
エントリーNo.3で姿を現したのは《爆裂筋肉養成所》の所長を務める《マッスル・ポテト》氏。
出典:デュエル・マスターズ
DM-10 聖拳編(エターナル・アームズ)第1弾からこの大会に参加する彼は、全参加者の中で最高齢。しかし、未だ第一線からその身を引く気はなさそうだ。
本大会も「まだ若い者には席を譲らぬ」と戦前インタビューに応えたが、昨年度を予選落ちで終えた苦い記憶はまだ新しい。やはり歳の衰えは隠せないか。
遂に…。
誰もが一瞬は過ぎらせた「世代交代(かくめいちぇんじ)」の四文字。そんな我々へ喝を入れんばかりに、彼はそのベールを脱ぐ。
およそ2年ぶりに、この壇上へ伝説の老兵が帰ってきた。
途端、響く。
「「ま゛ってましたー!!!」」
口渇か、それとも偶然か。その一声は震えていた。
しかしすぐに、その震えの原因が明らかになる。
「「仕上がっでるよー!!!」」
「「マナ産み過ぎて、《フェアリー・ライフ》キョドってりゅー!!」」
出典:デュエル・マスターズ
感涙だった。
皆、声が震えているのだ。いや、声だけではない。この会場の全てが、彼の帰りを喜び、泣き、そして震えていた。
もう、老いたなどと言わせはしない。
「「所長ーーー!!愛してるー!!」」
「「令和に舞い降りた、『聖上腕二頭筋編』(エターナル・アームズ)!!」」
アピールが終わり、壇上から降りる《マッスル・ポテト》氏の顔は、この会場の誰よりも満ち満ちていた。
エントリーNo.4
〈サイキック・クリーチャー〉群の長、《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》は悩んでいた。
出典:デュエル・マスターズ
〈GRクリーチャー〉が猛威を振るう現デュエル・マスターズにおいて、〈サイキック・クリーチャー〉は少しずつ時代の流れに取り残されていっている。
彼等が現環境で戦うに足りないのはカードパワーか、それとも環境の是非か。
《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》は、遂にこの解に辿り着く。
『足りないのは、筋肉だ。』
彼がこの真理に辿り着いたのは『龍解筋』『侵略筋』『マスター筋』が発表されたワールドホビーフェアから、数ヶ月も前のこと。
彼は長年の経験から、筋肉がデュエル・マスターズに影響を与えていることに確信を得ていた。
そして〈サイキック・クリーチャー〉の長として、この数ヶ月間、彼はデュエル・マスターズに必要な筋肉を鍛えてきたのだ。
つまりそれは、この世で最も『龍解筋』『侵略筋』『マスター筋』を鍛えてきたのが彼であると言っても過言ではないということ。
その成果をデュエル・マスターズだけではなく、ボディビルでも見せつけようと、本大会に臨む。
デュエル・マスターズへの圧倒的な熱量が、彼をボディビルダーとして覚醒させた瞬間だった。
出典:デュエル・マスターズ
「「デカーーーイ!!!!」」
「「ハムケツキレてる!!ハムケツマン!!」」
出典:デュエル・マスターズ
想像以上の仕上がり。
本戦出場者の中では唯一本業がボディビルでない彼だが、身体からそのハンディを感じることはなかった。
そして誰もが魅入ったであろう、圧倒的なまでの腕。彼が特別鍛えあげたのは、上腕二頭筋こと『侵略筋』だった。
『侵略筋』を鍛えすぎたがために、もはや鍛える部分が無くなり、それでも鍛えたかったから腕を増やしたと本人談。
はち切れんばかりのその肉体に、誰が声援を躊躇うのか。いや、もはや声を送らなければ、それは失礼にあたるだろう。
「「胸筋も山札より厚いね!!」」
「「その僧帽筋でよく殿堂しなかったな!!!」」
「「tier1!!」」
会場は本日最高潮の盛り上がりを見せる。まさに本年度のダークホースとなった。
圧倒的なまでの『侵略筋』のインパクト。それは彼を一体どこまで押し上げるのか。
結果発表
デュエル・マスターズでいえば、ラストターンのターンドローを見るような感覚だろうか。はたまた最期のシールドを捲るような感覚か。
あの緊張感。DMBC(デュエル・マスターズボディビルコンテスト)に関しても、同様のものがある。結果発表を待ちわびる、今この時だ。
参加者、観客の全てが固唾を飲み見守る中、司会者の《マシンガン・トーク》がその軽い口を遂に開ける。
「デュエル・マスターズボディビルコンテスト2019、優勝者は…
《勝利の覚醒者ボルシャック・メビウス》!!!!」
出典:デュエル・マスターズ
途端、ワァッ!と会場が波打つ。
『侵略筋』を磨きに磨き、そして磨いた彼に勝利の女神は微笑んだ。
それだけではない。絞られた腰回り、今にも飛び出しそうな僧帽筋。全てが高水準を満たしているのは誰の目にも明らかであった。
また、後日談ではあるが、この後《勝利の覚醒者ボルシャック・メビウス》は、その『侵略筋』を活かし【レッドゾーン】を使ってDMGPを優勝。
直後に可愛い彼女ができると、年収5000万の仕事を任され、あとハムケツが更に切れた。
そう。今回の一件で、とにかく『侵略筋』はすごい!ということが明らかになった。ワールドホビーフェアでの発表が、真実であると世に知らしめたのだ。
『侵略筋』だけではない。これからはデュエマをするために『龍解筋』や『マスター筋』、その他あらゆる筋肉が必要な時代に差し掛かる。
DMPランキングポイントの横には体脂肪率が表示されるようになり、先攻後攻の決め方はジャンケンから腕相撲へと変わるだろう。
そんな激動の時代を迎えるデュエル・マスターズ。みんなも超天目指して、筋肉を鍛えよう!
レッツ、マッスル!!