デュエプレ第2弾『伝説の再誕』発売後、初のランクマッチシーズンであった「バジュラカップ」は終わりを迎えた。
外出自粛で家にこもりがちになったこともあり、今環境は真面目に1位狙ってみようと奮起したが、
最終日にはレート1800を超えるほどの激戦が繰り広げられており、これら神々の戦いから目を遠ざけた筆者は全体4位でステイ。
来期こそはと意気込み、また本環境を省みつつ、今回筆を取った次第である。
目次
「伝説の再誕」リリース直後
それでは早速バジュラカップのメタゲームを振り返っていこう。
新弾リリース直後の環境は、
誰の目にもビートダウンのリーダーだ!と映る《アストラル・リーフ》のわかりやすさがとにかく偉く、
「速攻ならとりあえず火文明と組み合わせるか」という安直な構想から入っても想定通りの強さを発揮してくれる【赤青リーフ】が流行していた。
1マナで動けるカードが多く、《アストラル・リーフ》をプレイした際に増える手札を効率良くボードへ還元し易い。
《襲撃者エグゼドライブ》の強さも健在であり、トップティアも納得のデッキパワーを持っていた。
対抗馬としては前環境でも強かった【ネクラ二角】が《傀儡将ボルギーズ》や《守護聖天グレナ・ビューレ》の獲得でビートダウン相手の遂行力を高めており、【リーフ系統】への牽制力を発揮。
次点で〈イニシエート〉〈ガーディアン〉〈ハンデス〉といった白青~白青黒基盤の【アクアン系統】を触っていたユーザーも多く見られたが、
この時点では、わかりやすさで秀でた【リーフ系統】・前環境で練り尽くされた【ネクラ二角】に、完成度で追いつけなかったこともあってか、トップティアに食い込めていた印象はない。
青緑リーフ
【赤青リーフ】に続くようにして、今度は純粋速を落としたかわりに環境への適応力を高めた【青緑リーフ】も活躍を始める。
単枚の効果量が高い《レベリオン・クワキリ》《シェル・キャノン》といったミドルカードは、
【赤青リーフ】が苦戦した《傀儡将ボルギーズ》に対して強かった他、《光輪の精霊ピカリエ》を超えてパンチできる利点や、
本環境の【ボルコン】の強みであった《サウザント・スピア》から逃れられる強みもあった。
また、《怒髪の剛腕》は
- 高い殴り返し性能を持つ
- 相手がこのカードを戦闘で処理する際、相手のクリーチャーの展開を阻害する
ことから、ビートダウンの安易なパンチ・展開を許さない、
言わば「バジュラカップ環境の《異端流しオニカマス》」といったような、大きな抑止力を見せた。
このように、進化元+《アストラル・リーフ》だけでデッキの基盤が作れる《アストラル・リーフ》のリーダー性や柔軟性は、この【青緑リーフ】の頃から見られ始めていたのだが、
最後の最後までこのポテンシャルに驚かせられ続けることになるとは、この頃の私達はまだ知らない。
青黒バロム
しかし、バジュラカップを語るカードこそ《アストラル・リーフ》だったとしても、
バジュラカップを語るデッキは、やはりこの【青黒バロム】なのではないだろうかと私は思う。
第一弾「超獣の始動」のシークレットカード群の中で、最もメタゲーム上で活躍の薄かったであろう《悪魔神バロム》は、この時を経て遂にトップティアへ登った。
それも2週間以上メタゲームの頂点に君臨していたのだ。つまりは2週間ユーザーが明確な回答を用意出来ないほど強力なデッキとして存在した訳である。
そんな【青黒バロム】の強さの真髄は、妨害行為の隙の無さにあった。
本環境最大の仮想敵である【リーフ系統】は、【青緑リーフ】の登場もあって、
- 《アストラル・リーフ》などのドローソースを駆使して、小型クリーチャーを横に展開する「横の攻め」
- 《レベリオン・クワキリ》などの効果量の高いミドルカードを順次展開し、カードバリューで押し切る「縦の攻め」
の二つを持っていた。
コントロールデッキを作る際、この二つの攻めに対応できない限り、高い勝率を維持することは難しい。
この二つの攻めに対応できる妨害行為のバリエーション。それこそが【青黒バロム】をトップティアへと導いたのだ。
「横の攻め」に対しては、小型除去をしつつ4000ラインで《アストラル・リーフ》を殴り返せる《傀儡将ボルギーズ》や、同時展開に対して強烈なメタとなる《悪魔神バロム》が突き刺さった。
また、これら高効率の除去を恐れて大量の手札をキープする展開も、《凶骨の邪将クエイクス》に阻まれており、あらゆる横展開に対応できる布陣が組まれている。
一方、「縦の攻め」に対しては、《デーモン・ハンド》《アクア・サーファー》といった除去トリガー群が有効な他、
《飛行男》+《地獄の門番デスモーリー》の高効率な除去パッケージが、突き刺さった。
【リーフ系統】に対して遂行力を発揮できる他、白を基調とした【アクアン系統】にも強く出られた本デッキは、
【ボルコン】等の苦手なデッキがありはするものの、それらが【リーフ系統】に押さえつけられているといった関係図を利用することで、
2週間以上の間、トップティアを維持し続けた正にバジュラカップを語るデッキだったと言えるだろう。
ドロマーリーフ
【青黒バロム】vs【青緑リーフ】の睨み合いが続き、このメタゲームのまま終わりを迎えるかと思われていたバジュラカップ。その最終盤のことだった。
颯爽と現れた【ドロマーリーフ】は本環境に風穴を開けたのだ。
《アストラル・リーフ》+《マーチング・スプライト》といった強力なドローソースパッケージを駆使して横展開→《光器ペトローバ》で強化!
といった流れは、ここまでで【青緑リーフt白】や【青白リーフ】が通ってきた道ではあったが、
本デッキは更に一歩踏み込み《汽車男》《デーモン・ハンド》といった闇文明のリソース阻害に至っている。
《光器ペトローバ》で強化!→《ホーリー・スパーク》で一掃!
といった動きは、そもそも除去のムーブメントとして非常に強力であり、
ここに手札を攻撃できる《汽車男》や細くなったリソースを叩ける《デーモン・ハンド》といったカード群を投入したことで、コントロールゲームにおける遂行力を伸ばしている。
特に【青黒バロム】対面における《汽車男》の寄与率は高く、
【青黒バロム】側のハンドキープが難しくなる上、《悪魔神バロム》がリセットカードとしての機能量を落とすシーンもあって、
【青黒バロム】に勝てる《アストラル・リーフ》として、2週間以上に渡るバロムの支配を打ち破ったのだった。
総括・バジュラカップの特徴
といったような流れで終わりを告げた「バジュラカップ」だったが、最後にこれらを踏まえて本環境の特徴について分析しようと思う。
本環境の特徴は、主に
- ドローソースが強い
- シールドへのアプローチが積極的
- シールドトリガーが強い
の3つに分解できることだろう。
ドローソースが強い
《アストラル・リーフ》や《アクアン》など、ドローソースが強いことで【リーフ系統】や【青黒バロム】、または【アクアン系統】といったデッキが成立した。
シールドへのアプローチが積極的
ドローソースが強く、殴る側も殴られる側も手札が多かったため、シールドを割ることによる
- 除去トリガーやハンデストリガーを踏んでリソースが尽きるリスク
- 相手に手札を与えるリスク
が緩和されており、相手シールドをブレイクしやすくなった。
また、シールドへのアプローチが遅い《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》や《聖霊王アルカディアス》が、前環境に比べて相対的に弱くなった。
シールドトリガーが強い
シールドへのアプローチが積極性を増したことで、シールドトリガーがその価値を伸ばしていた。
中でもクリーチャーのトリガーカードは、場に残ることで殴り返した後、相手シールドにカウンターを掛けられることから、その評価を大きく伸ばしており、
《シェル・キャノン》《突然の超人》といったインスタントな防御性能を持たないカードも採用されるようになったのは素直にすごい。
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以上3点の特徴が際立った環境であり、同プールで行われる4月~の「カチュアカップ」でも、これらの特徴を意識しながら立ち回る必要があるように思う。
いやーしかし、《アストラル・リーフ》を倒すデッキと《悪魔神バロム》を倒すデッキは現れたけど、《光器ペトローバ》を倒すデッキが現れるかは正直不安…
ってくらいには《光器ペトローバ》強いよねホント。