こんにちは、神結です。
この歴代名作デッキシリーズなのですが、どうしても現代(私が革命編以降のデュエマを勝手に現代と分類しています)に偏りがちなんですよね。
まぁ革命編以降は資料の数も桁違いで、SNSの発達などでそもそもデッキの数自体も多いという事情があるので、そこはご容赦いただきたいのですが。
ただ「最近のデッキに偏りすぎだろ!」と指摘を受けたわけでもないのですけど、個人的にはやっぱりちょっと気掛かりではあったんですよ。
取り上げている中でエピソード期を含む近代デュエマのデッキを取り上げたと言えるのは……第15回の【墓地ソース】、第13回の【白刃鬼】、第5回の【ヒャックメーカウンター】、第3回の【ヴァルディビート】、そして第2回の【ドレーンMロマ】です。
しかも墓地ソと白刃鬼に関してはむしろ現代以降のリストの話の方がメインだったりするしな……。
というわけで、今回は思い切って時計の針を巻いて巻いて2008年。14~15年ほど遡りましょう。
「歴代名作デッキ」、今回紹介するのは【牙マルコ】です。
目次
本日の名作デッキ紹介
中速ビートダウンの華、牙マルコ
というわけで今回の名作デッキは僕らの青春デッキ、【牙マルコ】になります。リストはこんな感じ。
ちなみに、なんかあまり秩序が無さそうな場所で紹介されていたリストは、こんな感じでした。
牙もマルコもちんぷんかんぷんで、何が何だかわからない読者もいるかもしれませんが、とにかくデッキ名がカッコイイですよね、牙マルコ。
さて、デュエルマスターズは「緑はマナ加速、青はドロー」といった具合に文明ごとに役割が結構ちゃんと分かれています。
赤青緑のいわゆる「シータ」カラーのデッキは、マナと手札を確保して、赤の火力で攻め込むという結構ビートダウン向きのカラーリングとなっています。ボルバルブルーなんかも、そのカラーリングですからね。
ただこの牙マルコには結構面白い部分があると思っていて、それが「青がメインアタッカーとして活躍する」デッキであるという点です。
《パシフィック・チャンピオン》を始めとして、青の速攻デッキは別に珍しいものではないのですが、リソースを伸ばすデッキの中で青にアタッカーの役割も与えられているのは、これ以前だと初期の【青緑リーフ】くらいまで遡るのではないでしょうか。
そんなこのデッキの主役は、牙マルコのマルコ部分こと《エンペラー・マルコ》。
【 進化クリーチャー 】
種族 サイバーロード / 文明 水 / パワー6000 / コスト5
進化-自分のサイバーロード1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを3枚まで引いてもよい。
W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)
W・ブレイカーというアタッカー性能を有していながら、なんと登場時に3ドローしてしまうという(当時の価値観的には)かなり強力なカードでした。
例えば《幻緑の双月》→《クゥリャン》と繋ぎ、4ターン目に《エンペラー・マルコ》を着地させて後続を確保してから攻めにいく、というのはこのデッキの王道ムーブですね。
盤面の《エンペラー・マルコ》が退けられても、裏に控える《ボルシャック・大和・ドラゴン》などが後続のアタッカーとして防ぎづらいんですよ。
また《エンペラー・マルコ》で稼いだ手札を《大勇者「ふたつ牙」》でマナに変換し、横にめっちゃ並べたり、或いは《エンペラー・マルコ》を進化速攻で繰り出しながらまた攻めたり、なんていうルートもあります。
【 進化クリーチャー 】
種族 ビーストフォーク / 文明 自然 / パワー8000 / コスト6
進化ー自分のビーストフォーク1体の上に置く。
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、自分の山札の一番上のカードを2枚表にして、自分のマナゾーンに置く。
W(ダブル)・ブレイカー(シールドを攻撃したとき、このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする。)
《大勇者「ふたつ牙」》、本当にカッコイイ。
こうした「めっちゃ強い盤面を作るわけではないけれど、継続的な攻めが出来る」というのがこのデッキの強みになります。
高いカスタマイズ性と、牙マルコの限界
このデッキは基本的な動きが青と緑で完結します。マナを伸ばしてマルコを出す、牙で広げてまたマルコを出す、横に並べる、というのがメインですからね。
ですので、上のデッキリストでは赤を合わせたカラーのデッキを紹介しましたが、足す色は別に赤じゃなくても成立します。
例えば戦国編が進んでくると、《エンペラー・マルコ》のドローで《威牙の幻ハンゾウ》を抱えたり、後続を断つ《ソウル・アドバンテージ》撃てるような黒マルコ(シノビマルコ、なんて呼び名も)も作れます。
(プレミアム殿堂カード) 【 呪文 】
文明 闇 / コスト6
自分のシールド1枚につき相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。
また私は、神化編時代に《光神龍スペル・デル・フィン》を使った牙デルフィン+マルコみたいなデッキで、よく子どもたちと遊んでいました。
【 クリーチャー 】
種族 アポロニア・ドラゴン / 文明 光 / パワー6000+ / コスト9
相手は、手札を表向きにしてプレイする。
このクリーチャーのパワーは、相手の手札にある呪文1枚につき+2000される。
相手は、呪文を唱えることができない。
W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)
要するに、このデッキってカスタマイズ性がかなり高いんですよね。
だから結構自由にデッキを組み替えて個性を出しながら遊ぶことが出来る、というのは時代に合っていたと思いますし、このデッキが人気だった(と、認識しています)所以と言えるでしょう。
しかしこの牙マルコも、極神編はともかく戦国編の後半は以降はかなり負け組デッキという話を聞いていますし、当時の自分も「まぁこれはガチデッキとはいえないよなぁ」という認識はありました。
これは理由は2つあると思っていて、まず一つは《エンペラー・マルコ》のパワーが6000なことです。
当時のプレイヤーなら同じ認識だと思うんですが、この数字はねぇ、ちょっとよろしくないんですよねぇ……。
これ、《威牙の幻ハンゾウ》にね、一撃で溶かされる数字なんですね……。
【 クリーチャー 】
種族 デーモン・コマンド / シノビ / 文明 闇 / パワー5000 / コスト7
ニンジャ・ストライク 7(相手のクリーチャーが攻撃またはブロックした時、自分のマナゾーンにカードが7枚以上あり、その攻撃中に「ニンジャ・ストライク」能力を使っていなかった場合、このシノビをコストを支払わずに召喚してもよい。そのターンの終わりに、このシノビを自分の山札の一番下に置く)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーを1体選ぶ。そのターン、そのクリーチャーのパワーは-6000される。
このクリーチャーが破壊される時、自分のマナゾーンに闇のカードが1枚でもあれば、かわりに自分のシールドを1枚墓地に置いてもよい。
当時のハンゾウの強さを今で例えるとして、あらゆるミッドレンジ・コントロールデッキから飛んでくることを鑑みると、正直《百鬼の邪王門》なんかよりずっと上なんじゃないですかね。マジでほんっっっっっっとうに強かった。
受けのメインが《光牙忍ハヤブサマル》+《威牙の幻ハンゾウ》のシノビセットであったことを考えると、本当にこの数字はいただけないんですよ。
6000と7000では体感パワー10000くらい違うんだよな……。
また、さっき「《エンペラー・マルコ》のドローで《威牙の幻ハンゾウ》を抱えながら戦う黒マルコ」の話をしたと思うんですが……。
このコンセプト自体が、【シノビドルゲーザ】のほぼほぼ下位互換なんですよ。
【 クリーチャー 】
種族 アースイーター / ジャイアント / 文明 水/自然 / パワー9000 / コスト8
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
シンパシー:アースイーターおよびジャイアント(このクリーチャーを召喚する時支払うコストは、バトルゾーンにある自分のアースイーターまたはジャイアント1体につき1少なくなる。ただしコストは2より少なくならない)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分のアースイーターまたはジャイアント1体につき1枚、カードを引いてもよい。
W・ブレイカー
シノビドルゲーザって2ブーストから4コストの《西南の超人》だったり《スペース・クロウラー》に繋いで《剛撃戦攻ドルゲーザ》を出すっていうデッキなんですが、このドルゲーザからドルゲーザが繋がったりして、結構信じられない数の手札を抱えられるんですよ。
まぁシノビドルゲーザの話もいずれ書こうとは思いますが、シールド0まで素通りさせて、ダイレクトアタックを手異常な数のシノビで数ターンに渡って受け流す、みたいなことが可能でして……。
しかもドルゲーザのパワーはちゃんと9000。ビート性能でも実はマルコの方が劣ってたり。
という感じで、「使うならドルゲーザでいいよなぁ……」と当時高校生でデュエマ1年生だった自分が思ったくらいなんで、まぁそういうことです。
これがマルコの限界だったと思っています。
ただ、「青緑でリソースを伸ばし、赤と一緒に殴っていく」というコンセプトの爪痕自体はしっかり残していました。
このデッキの系譜は、後に【ラムダビート】などに受け継がれていくことになりますが、またそれも別の話。
現代もっとも近いのは……?
さて、現代デュエマにおいて「青で手札を整えて、緑でリソースを伸ばし、赤で殴り殺すデッキ」と言えば……。
はい、【ガイアッシュ覇道】ですね。
これ、気付いた方もいると思いますが、ここのコーナーに【ガイアッシュ覇道】が紹介されるのって、たぶんもう3回目くらいです。
これは別に私がアドバンスの覇道を激推ししたいとかいう話ではなくて、【ガイアッシュ覇道】というデッキ自体が、過去の数々のデッキの要素を元に誕生している、という証左であると思うんですよ。
チェンジザのような封殺デッキとしての要素、白刃鬼のようなビッグマナとしての要素、そして牙マルコ系譜のミッドレンジデッキとしての要素が全て詰まっているのが、現代の【ガイアッシュ覇道】であると考えています。
というわけで見飽きたかもしれませんが、リストはこんな感じです。
まー「リソース稼いでるのは青というより、《インフェル星樹》では?」とか「赤で攻め込むとか言ってるけど、実は《最終龍覇 ロージア》がその役割じゃない?」とか、そんな感じのツッコミは甘んじて受けようと思います。
おわりに
「DM歴代名作デッキ」、第19回は私の青春の一つでもある【牙マルコ】でした。
私は《大勇者「ふたつ牙」》ってカードがかなり好きで、何かと上手く使えないか模索していました。
その中で少し旬は過ぎていましたが、牙マルコというデッキあるのを知り嬉しくて組んでしまったのを覚えています。
まー、先述したようにトップTierのデッキでは既になかったのですが、子どもたちと遊ぶには本当にちょうどいいデッキだったと思います。それは本当に間違いないでしょうね。
というわけで、今回はここまで。
「このデッキを紹介して欲しい」といったリクエストも受け付けておりますので、#DM歴代名作デッキでご感想をお待ちしております。
それではまた来週会いましょう。
参考文献
本記事を執筆するにあたって、以下に記載するの丁寧氏のnoteを参考文献として使用させていただきました。これは自分の極神・戦国環境についての知識が神化編時代に伝聞した内容が多いため、正確性を担保出来ないと考えたためです。
丁寧氏がこうした文献を残していることに、敬意を表します。
丁寧「不死鳥編後半~極神編の環境の思い出」
https://note.com/teaneet/n/ndf0c0925672f (2022/10/13 閲覧)
また本記事の「余談」として記されている《母なる大地》・《母なる紋章》の考察について、個人的には極めて興味深い内容であると感じました(当時の競技プレイヤーでないと気付きにくい視点)ので、一読をお勧めします。