【丸い板にはシナジーがある】Vol.2~地上/空中戦~【DM言語学】

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【丸い板にはシナジーがある】Vol.2~地上/空中戦~【DM言語学】

はじめに

DM言語学の世界へようこそ。

このコラムでは筆者が他の仕事をしたくない時、日常に潜むTCG言語、ひいてはデュエマ言語について紐解いていきます。
先月は書かなかったので不定期連載にも程がありますね。

「みんな使っているけど、イマイチよく知らないワードがある」、「そういえば、あの効果の俗称を知らないな」なんてときに役立てていただければ幸いです。

今回はかなりフワついた着地点になってますので、前回以上に肩肘張らずにゆるくやっていきましょう。今回のテーマは

地上戦/空中戦」ついてです。

目次

地上戦/空中戦 、その語源

語義

まずは意味のおさらいから。

一般的にカードゲーム、ことデュエマにおける「地上戦」とはバトルゾーンのカードを巡るクリーチャー主体のゲーム展開を指し、反対に「空中戦」はそれらに付きあわず、コンボやSAによる即時リーサルの絡むゲーム展開を指します。(諸説あり)

そういう意味では上に挙げた《母なる大地》なんかは全然地上戦向けのカードじゃありません。完全に語感だけで選んでます。

デッキ単位の話で言えば、最近では【闇自然アビス】が地上戦デッキ、【火水マジック】が空中戦デッキに分類できますね。

語源

実は「地上戦/空中戦」という言い回しは、結構いろんな世界で使われています。

スポーツで言えば野球やサッカー、社会に目を向ければ選挙やビジネスシーン、細分化すればマーケティングシーンなんかが挙げられますね。

野球代表
ビジネス代表

で、実は使われる場所によってこの言葉はちょっとずつ意味が違うのですが、この中で言えば「マーケティング」における使い方がカードゲームに一番近いでしょうか。

あちらにおける地上戦は、訪問営業とかダイレクトメールとか直接お客様とやり取りするものが該当します。
空中戦はその逆、CMとかWebサイト、言ってみればガチまとめもこれに相当しますね。

私はこのあたりのことばが派生して、カードゲーム界に根付いたんじゃないかと思いますが、なんとなくイメージが湧いたでしょうか。
我々もTCGメディア界の【火水マジック】になりてぇもんだ。


いつからデュエマに持ち込まれたのか

今回のテーマは読者の方から頂いたものなのですが、「いつごろから誰が持ち込んだのか」に興味があるご様子でした。

「誰が」に関しては正直ほぼ特定不可能だろうと踏んでいますが、こと「いつから」に関してはざっくりと割り出せるかもしれません。

というわけで、ことばの足跡をたどってみましょうか。

今回もGoogleの期間検索を中心に、最初の使用例を絞り込んでいきます。

まずはテキトーに「デュエマ 空中戦」で検索すると

少なくとも2022年から使用されていることが伺えますね。

次は2021/12/31以前で絞り込んでみましょうか。

この時点で最古の記録はお馴染み「flat-デュエマ工房blog」
こちらの十王篇についての記事を起点に再度検索をかけると……

それらしい物が出てこない……ということは、どうやらこのあたりが最初の文献になりそうですね。

該当記事の執筆者は、ガチまとめでも活躍されたレッド/yk800さん……って、この企画の準レギュラーになりかねない勢いだな。

実際にお話を……聞く前に、そう言えばまだ調べ残したことがありました。

今度はワードを変えて 「デュエマ 地上戦」 で検索してみましょう。
すると……

デュエルマスターズに変えて検索してもこれが最古

2019/4/19のカバレージがヒット!
これ以前の期間ではヒットしないので、最古の文献はDMGP8th、神結さんの執筆されたカバレージとなりそうです。
身内まみれの記事だこれ。

というわけで、レッド/yk800さんと神結さんのお二人に聞いてみました。

いつごろからこのことばを使用していましたか?

2016年~2017年あたりでしょうか。
別ゲーですけど、シャドウバースの《魔将軍・ヘクター》を使用した【ミッドレンジNc】に対して使っていた記憶があるので、2017年には使ってましたね。

【赤青バスター】以降 なので、2017年以降に使い始めました。 《異端流し オニカマス》 の登場以降、【火水バスター】が相手に合わせた攻め方を取れるようになったことで、ビートプラン・コントロールプランみたいな大枠の使い分けにとどまらず 、「地上戦・空中戦」という言葉が デュエマでも使えるようになったと思っています。

出典の記憶ってあったりします?

私発信ではなく、どこかしらで見た記憶はあるんですが詳細には……。
時期的には大元をたどるとハースストーンかMtGあたりからの持ち込みじゃないかと睨んでいます。

私から発信した言葉ではなかったと思いますが、出典は不明です。気付いたら使うようになっていました。

お二人ともありがとうございました!

お二人の強力のお陰で、①デュエマでの発生時期は2017年頃②最古の記述も発信元ではない→持ち込みが濃厚、という可能性が見えてきました。

デュエマにおいての検証はこれ以上困難かと思いますので、最後にどのTCGに最古の記述があるかを確認してみますか。

シャドバ、ハース、MtG……同様の検索をかけると……

さすがMtGお兄ちゃん。TCGにおける発祥はここにありそうです。

これ以前のMtGではキーワード能力「飛行」に対して飛べないクリーチャーでの戦闘を「地上戦」と表しており、調べた限り昨今の語義に近いものは2013年が最古の記述になりそうです。

ちなみに前項で述べたビジネス用語として登場したのが2012年頃。DCGで言うとハース・ストーンにおいて2015年の記事が確認できました。

これを踏まえると

ビジネス→MtG→DCG→デュエマ

という伝播の仕方で、2017年頃にデュエマに登場したのではないか、という仮説が立てられそうですね。


まとめ

ということで、今回はいただいた感想から「地上/空中戦」の話をしてみました。

ちなみになんですが、このシリーズは厳密に言語学をやってるわけでは多分ないです。私がこの分野を専攻してたのももう○年前とかだし、当時も真面目な学生ではなかったので……。
集団語って半分くらいは社会学の分野になりそうですしね。

今後も「この言葉の語源が知りたい!」とか「この言葉の意味ってどんなの?」ってのがあったら引用RPとか#DM言語学 でポストしていただければ取り上げてみようかなと思います。
今回の内容で「ホントはこっちなんじゃね?」って訂正などあればそちらもよろしくお願いいたします。

何もなければ 次こそ 「n枚見て1枚手札に加える(濾過)」とか「プリン効果」とかに新しく名前つける回とかにしたいっスね。

ただこれは発信力のある人と連携しないと、せっかく名付けても根付かなそうなんだよな。

それでは、次のネタ切れタイミングで会いましょう。

参考文献

きみに必要な武器

what we need -相対化と場合分けによる環境定義-

【レガシー】Round 3: 大倉 隆寛(宮城) vs. 兼冨 秀隆(埼玉)


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