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「霊使い」とは不思議なテーマです。
公式の人気投票で1位を獲得し描き下ろしスリーブ化、
先日のストラクチャーデッキ投票では見事3位に入賞、
準専用サポートカード《憑依覚醒》は高額で取引され、
近日発売の六属性スリーブセットにシークレットレア仕様の彼女たちが何故か収録、
Twitterやpixivでは毎日のように二次創作がアップロードされているほどの人気
にも関わらず対戦メインのオフ会では殆ど見ません。
尤も「女性芸能人でレスリング対決、誰に賭ける?」と言われて「ぼくは、橋本◯奈ちゃん!」とか言わないのと同じ話だとは思います。
そこで、今回の記事の構成は
- 「霊使い」が何故実戦で使いにくいのか
- 類似の効果を持つカードと比較してどこが強いのか
- それらを元に構築したデッキの紹介
となっております。「霊使い」が好きだけど運用に困っている方、また現代環境だと若干使いにくいカードの考察の助けになれば幸いです。
「霊使い」の弱み
「霊使い」のテキストを《光霊使いライナ》を例に確認すると、
①:このカードがリバースした場合、相手フィールドの光属性モンスター1体を対象として発動する。このモンスターが表側表示で存在する間、そのモンスターのコントロールを得る。
「リバースした時に」「同じ属性の相手モンスターを」「条件付きでコントロール奪取する」です。
実戦で使われにくい理由として、
要求枚数が多い
例えば、フリーチェーンで相手のカードを1枚破壊出来るカードは、自身だけで効果が完結しているため要求枚数は「1枚」です。
対して、「リバース効果」をある程度能動的に使用するためには、「リバースさせるカード」が必要となります。自身を含め必要枚数が「2枚」必要になります。
更に、「霊使いを裏側守備表示で場に特殊召喚するカード」「属性を操作するためのカード」等も考えると、要求枚数は更に増えます。同様の効果を持つ《ヴァレルロード・ドラゴン》は要求枚数こそ素材分の「4枚」ですが、単純にモンスターカード4枚のため現代環境では要求水準は高くないですね。
まとめると、要求枚数が多く、「リバースさせるカード」など特有の効果を要求するため使いにくい、となります。
リターンが少ない
先述の「要求枚数2枚」から生まれる結果は、「相手モンスターのコントロール奪取(属性一致必須)」です。類似の効果を持つ《精神操作》は属性一致が不要で要求枚数は1枚です。また、同じリバースモンスターでも《禁忌の壺》などはより強力な効果を持っています。
上記2点を合わせると、「要求枚数の割にリターンが少ない」ということになります。今時2枚あれば《水晶機巧-ハリファイバー》が宇宙創造を始めますからね。
では逆に、「霊使い」の強みはどこでしょうか。
霊使いの強み
ところで皆さん《増援》はご存知ですね。下級戦士族をサーチ出来る制限カードです。ところで、2019年10月現在、《増援》でサーチ出来るカードは何種類くらいあるか皆さん想像出来ますか?
492種類です。
触れるカードが多いカードは強い。わかりますね。
では、「六霊使い」でコントロール奪取出来るカードは何種類くらいあるか皆さん想像出来ますか?
………………
…………
……
6639種類です。
※効果を受けない、対象に取られない等の効果を考慮しないものとする。
制限カード《増援》の約13.5倍の範囲ですね。バケモノです。
更に、レギュラーパックの中にはモンスターが大体50枚収録されるので、単純にパックが出るごとにコントロール奪取出来るカードが50枚増えていきます。おそろしい速度で強化されていますね。
ちなみに《精神操作》は《光の創造神 ホルアクティ》を除く神属性も奪えるため触れるカード枚数は6644種類です。え?
さて、次からが本題です。
触りやすく、使い回しやすい
魔法使い族であることのメリットははみるとんさんの記事で取り上げられていますので、そこについては割愛します。まずは何より、何度か名前を出した《精神操作》と比較した時にモンスターカードの利点として「サーチやリクルートが豊富」「再利用がしやすい」点が挙げられます。
①:1ターンに1度、手札を1枚捨て、自分の墓地の攻撃力2000以下の、戦士族または魔法使い族モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを裏側守備表示で特殊召喚する。
「霊使いを裏側守備表示で特殊召喚するカード」の一枚、《魔装戦士 ドラゴノックス》はペンデュラムモンスターのため再利用しやすく、スケールが維持出来ていれば毎ターン霊使いを裏側守備表示で特殊召喚することが出来ます。
永続奪取であること
条件付きとは言え、ターンを跨いでコントロールを得ることが出来るのは「霊使い」の強みです。
例えば、相手の《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》などの制圧系カードを奪ってそのまま使用出来るのは「ターン終了時までコントロールを得る」系のカードと比較して明確な強みですね。
自身が場に残る
新マスタールール以前の【霊使い】では、奪ったカードをどう処理するか、という点を考慮する必要がありましたが、リンク召喚のルールが生まれた今、奪ったモンスターを「リンクモンスターに変換する」ことで簡単に処理することが出来るようになりました。
現在はリンク2程度でも強力な効果を持つカードも増えたため、自身と合わせてリンク3・4を狙うことも出来ます。
「破壊されない」効果を無視出来る
《I:Pマスカレーナ 》から出てくるリンクモンスター等、「効果で破壊されない」カードの処理を「触りやすく、使いまわしやすい」カードに一任出来るのはデッキ単位では明確な強みですね。
「相手によって〇〇された」を無視出来る
少し難しい話になりますが、「相手によって〇〇された」を条件とするカードは、持ち主のフィールドに存在した上で条件を満たす必要があります。
※遊戯王カードwiki:破壊された
《双穹の騎士アストラム》や、《ライトロード・ドミニオン キュリオス》などの強力な効果を封殺することが出来ます。ん? 対象に取られない?
これはコントロール奪取系カード全てに言えることですが、「霊使い」を軸に据える場合は、特に覚えておいた方が良い強みと言えるでしょう。
まとめ
「霊使い」の強みをまとめると、
- モンスターカードのため触りやすく使い回しやすい
- 永続奪取である
- 自身が場に残り、リンク素材を一枚増やせる
- 「破壊されない」効果を無視出来る
- 「相手によって」の効果も無視出来る
となります。デッキを構築する上で意識すべき明確な強みは「触りやすく使いまわしやすい」ですね。
そして出来たデッキがこちらです。
デッキレシピ・動き
動きですが、以下の図の通りです。見方は二枚目の通りです。
①の盤面を理想盤面とし、②のカード達がアドバンテージを生み出します。
そして①の盤面を③のカードで維持します。
このデッキに特に決まったルートはありません。引いたカードで上記の「場」の盤面を目指しますが、基本的に盤面の構築を再優先するわけではありません。理由として、
コンボの完成=勝利に直結するパワーがあるわけではない
「霊使いの弱み」で述べたように、霊使いの効果を起動してもリターンは多くはありません。
50枚デッキである理由は、そもそも霊使いを素引きしたくないという点もありますが、単純に対応範囲が狭まるのを嫌がっているという点があります。
例えば、
このデッキであれば、同じギミックをより安定して完成させることが出来ます。但し、「属性一致した霊使い」「《魔装戦士 ドラゴノックス》」「リバースさせるカード」「手札コスト」の4枚を要求するにも関わらず、リターンは「相手モンスター1枚のコントロール奪取」です。これをデッキの主目的にすることはいささか弱いというのが私の見解です。
皆さん、「ポケッ◯モンスター」はご存知だと思います。
ポ◯モンの対戦は、お互いのステータス(+乱数)によって与えるダメージが明確に決められています。
レーティング環境でよく見るAというモンスターとBというモンスターがいたとしましょう。
AがBに「かえんほうしゃ(威力90/命中率100)」を撃った時、そのダメージを「確定2発(高乱数でも一撃では倒せない)」とします。
対して、「だいもんじ(威力110/命中率85)」を撃った時、そのダメージを「確定1発(低乱数でも一撃で倒せる)」としましょう。
この時、「かえんほうしゃ」は命中率が安定しているにも関わらず(急所を除き)「0%の確率でBを倒せる技」となり、「だいもんじ」は「85%の確率でBを倒せる技」となります。
このデッキも同じで、「安定させても火力が足りないのでは勝率は下がる」という考え方を元に組まれています。《聖なる魔術師》で《エネミーコントローラー》を拾えば「霊使い」とほぼ同じ動きが出来る上、《サンダー・ボルト》や《冥王結界波》などの強力なカードも選択肢に入ってきます。多種多様なカードを相手取るオフ会となると、対応範囲が広いに越したことはないですよね。
であれば、
聖なる魔術師に特化させた方が強いのでは?
と思う方もいらっしゃると思います。確かに、全ての条件が揃ったという前提で、最終盤面だけを見れば《聖なる魔術師》の方が強いかもしれません。
但し、霊使いは《憑依解放》で触りやすく、戦闘破壊耐性も付与でき、レベル3のためシンクロ・エクシーズ召喚の素材として使いやすい点、そして「永続奪取である」点で勝ります。特に「対象を取らない除外」と「3200の打点要員」となる《フォーチュンレディ・エヴァリー》は聖なる魔術師では出せません。そのためこのデッキでの「霊使い」の役割を、「序盤~中盤での戦線維持・各種召喚の素材化・リンク素材の嵩増し」及び「終盤での強力な相手モンスターをこちらの戦力として運用する」ことに定めています。相手の制圧系モンスターを奪えた場合、そのモンスターで1回、そのモンスターをコストにした《妖精伝姫-シラユキ》の効果で2回の妨害を行いつつ、相手の強力モンスターを追放しましょう。
好きなカードが輝ける舞台・役割を与えてあげるのも、デッキ構築の楽しみの一つですね。
余談ですが、「このカード名のこの効果は1ターンに1度しか発動できない」効果ですが、このテキストは各プレイヤーにかかる制約のため、奪った時点からこちらも効果を発動することが出来ます。
逆に「1ターンに1度、~」の効果は各カード毎にかかる制約のため、相手が使用した場合はそのターンは奪っても使用出来ません。
まとめとお願い
さて、このデッキですが、オフ会での勝率は7割程度です。
これは単純に「出来るだけ広い範囲の相手と『いい勝負』をしたい」「一方的な試合になるようなデッキ構築をなるべくしたくない」という私の好みに依る部分もあるので、この数字が高いか低いかの判断は皆さんにお任せします。
※構築上「1ターン目から大量展開し2~3妨害の制圧布陣を敷いてくる」相手には大体負けますが、その相手に合わせた構築をすると「そうでないデッキ」に一方的になってしまうので構築の時点で切り捨てています。
「霊使い」は度々新規カードが収録され、それなりに恵まれたテーマだとは思いますが、現代環境では普通にパワーが足りません。
しかし、「弱み」と「強み」を意識した上で、明確な役割を与えてあげればデッキ内で十分な活躍をさせてあげることは可能だと考えていますし、事実勝ち越している自負もあります。せっかくの好きなカードを使うのであれば勝たせてあげたいですしね。
似たように「霊使いが好きな方」や「パワーの足りないカード」の運用でお困りの方に、この記事の考察や視点がお役に立てれば幸いです。
さて、
現在「トレカライターコロシアム」は投票期間に入っており、当記事も当然投票の対象となります。
前作「【ネタデッキ】エクゾディアの追想【97%】」と合わせ、是非投票をお願いいたします!
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またどこかでお会いしましょう! 良いデュエルライフを!