目次
はじめに
こんにちは、私はキンプウエン。
名前は最悪おぼえなくていい。
以前、半年でガチ勢になってしまった友達に振り回される話を書いた者だ。
昔話ばかりをしている私だが、ひとつ印象的な話があったから、ここで番外編として話したい。
何の話してたっけ?とすっとぼけた人たち、
この回から読みだした人たちのために、一応キャラ紹介からしようかと思う。
キャラ紹介
いつもの。
カズ
「蟲惑魔」使い。最近、カードショップでカードを買うたびに店員にレアリティを聞かれるのが悩み。コレクターだと思われてる可能性。
レイ
「叢雲ダ・イーザ」使い。現在引退中。はよ帰ってこい。
場所は地元、当然のごとく私はいない。
話は、レイのふとした一言から始まる。
救われないヤツ
レイ「《ヴァレルソード・ドラゴン》の20thレアが欲しい」
パックを店頭で買うときに言ったそうだ。
確かに汎用リンクモンスターとしてはかなり強力な一枚で、持っておくぶんには損はない。
だが、「20thレア」で欲しいとなると話が変わってくる。
「20thレア」というのは文字通り、遊戯王20周年を記念した特別なレアリティのカードである。特定のパックからしか出ないこと、封入率も信じられないくらい低いこともあり、コレクターにとっては希少価値が高く、カードの金銭的価値を7,8倍にまで跳ね上げる可能性もある。
見た目もとてもエレガント。
ワインレッドに光るカード名に、カード全体にちりばめられた星のような煌めき。そして何より効果の欄に彫られた「20th」の文字がカッコイイ。
ちなみに私は《守護竜エルピィ》を、カズは《星杯の神子イヴ》の20thを当てている。
・・・・・(;^ω^)
・・・・まぁ、仕方がないさそれは。皆まで言うな。
とりあえず、よく使うカードを20thで持っているというのはとってもクールなのは確かだ。
レイもそのうちの一枚を手にしたかったようだ。
ということでさっそくパックを一掴み大人買い。大人の財布のひもは案外ゆるいのだ。
《ヴァレルソード・ドラゴン》が封入されているパックは「サイバネティック・ホライゾン」。表紙は《サイバース・マジシャン》が飾っている。
表紙からもわかるようにこのパックではサイバース族や昔の儀式モンスターのリメイクなど、儀式をテーマにしたカードが多いことが特徴として挙げられる。他にも「パラディオン」や「サイバー」「ドラグニティ」などのカードがあるが、やはり目玉なのは、汎用リンク集団「ヴァレル」最強の一角《ヴァレルソード・ドラゴン》だろう。
さてさて、さっそく開封。
が、当たりは一向に来ない。
それは当然、《ヴァレルソード・ドラゴン》以外いらないのだから。
表紙の《サイバース・マジシャン》が当たろうが、「パラディオン」カード一式当たろうが、そんなんものは目にかすりすらしない。
「 《ヴァレルソード・ドラゴン》の20thレアが欲しい 」
この一点張りでボックスを開けているのだ。
ちなみに《ヴァレルソード・ドラゴン》普通のウルトラレアが1500円に対し、20thレアはその10倍以上、
20000円から30000円だった。
これは当てるしかない!!!!
博打だって!??うるせぇ!!!
カードゲーム自体博打だろうが!!!!
が、やはり大当たりの壁は高い。
なにも得られぬまま、パックを開け続ける。使用上「1ボックスに一番のレア(シークレットレア)カードは1枚」であり「20thは当たるかも怪しい」のだ。
我々は、この"確率"の壁を越えねばならぬ。
・・・・・・
諦めかけたときに奇跡が起こった。
カードをパックからまとめて束にしてパラパラと眺めていたのだが、明らかに一枚のカードだけ異様な光り方をしている。
ちらりと見えるカードのふちからしてとんでもないカードがこの束に潜んでいることは分かった。
カズ「キタキタキタキタキタキタ!!これはキタんz」
レイ「待て!」
レイは冷静だった。今まですごいレアだとテンションが上がったカードが微妙だったことなんて数えられないくらいあった。ここでテンションをぶち上げておいて、《ヴァレルソード・ドラゴン》じゃなかったときに圧倒的な虚無感に襲われるのは目に見えている。
スーーーーーーーハーーーーーーーー、深呼吸ーーーーーーーー。
一応、この光り方は「20thレア」で間違いない。何はともあれ価値の高いカードであるのは決定づけられた。
一枚一枚、カードの束をめくっていく。
そしてついに目的のカードへ。
見てよ、この煌々たる光を。
夢のカードが目の前にあるかもしれないのだ。うひょーーーー!!
・・・・いやいや、答え合わせにはまだ早い。これで魔法カードや罠カードならおしまいだからな。
チラッ
青、赫々たる群青
カズ「キタってこれ!!マジで!!キタキタ!!!」
レイ「うおおおおおお!!!マジで!!!!???」
リンクモンスターだ!
儀式モンスターみたいな霞んだ青色ではない!
いやもうこれ見なくても《ヴァレルソード・ドラゴン》だろオイ!!
否!
それでも疑いの目を背けない。リンクモンスターの20thレアなんてたくさんある。属性が違えばお話にもならない。
・・・・チラッ
カズ「ヤベエエエエエエエエエエ!!!!!!」
レイ「ヤベエエエエエエエエエエ!!!!!!」
すげーー!! 20000円当てたぞコイツ!!!
散々、遊戯王で苦労しっぱなしのレイがついに大当たりを引き当てやがった!!!
嗚呼、神様、遊戯王の神様。ついに彼にも救いの手を差し伸べていただけるのですね・・・・
天に向かって手を差し出す。
すべて無駄と化したカードの束に祝福を。
そして、ついに、対面・・・・・!!!
・・・・・・・・
ドッドッドッドッドッドッドッ!!
・・・・・・・・
カズ「・・・・・・・」
レイ「・・・・・・・」
・・・・・・・・
カズ・レイ「はいっ!」
ピラッ!
誰だてめええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!
やはりレイは救われないのだった。
救いようのないヤツ
ということでレイは《マガジンドラムゴン》という謎のカードの「20thレア」を当てたのだった。
当然、レイは撃沈。
カズは大笑い。
しばらく、レイは立ち直れなかった。
それでも「20thレア」のカードなのだから、せっかくだしデッキに使ってみてもいいかもしれない。
・・・・と、言ったのはカズ。
レイは「こんなん使うかよ!」とふてくされていた。
ということでカズ、そしてその面白ばなs・・・・悲しい事件を聞かされた私でデッキを考えることになった。
まぁ、闇のドラゴンのリンクで見た目が銃のマガジンになっていることから、多分これは「ヴァレット」のデッキで使うのだろう。
リンクが3と少し重たい気もするが、「ヴァレット」の展開能力では十分なんとかなるだろう。
さて、効果は・・・・
【リンクモンスター】
リンク3/闇/ドラゴン族/攻1000/リンクマーカー右・下・左
ドラゴン族・闇属性モンスター3体
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
②:このカードの①の効果を適用したターンにこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードのリンク先となる使用していないモンスターゾーンは使用できない。
・・・・・・・ん?
・・・・・・・・えっ。
あー・・・・・・・・
ちょーっと待ってね。
・・・・・ちょっともう一度見るか。
【リンクモンスター】
リンク3/闇/ドラゴン族/攻1000/リンクマーカー右・下・左
ドラゴン族・闇属性モンスター3体
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
②:このカードの①の効果を適用したターンにこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードのリンク先となる使用していないモンスターゾーンは使用できない。
カズ・キン「・・・・・・」
これ、どうやって使うんだ・・・・????
「トロイメア」と違って必ずドローができるのは嬉しいよな・・・・
【リンクモンスター】
リンク3/闇/ドラゴン族/攻1000/リンクマーカー右・下・左
ドラゴン族・闇属性モンスター3体
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
②:このカードの①の効果を適用したターンにこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードのリンク先となる使用していないモンスターゾーンは使用できない。
この召喚条件でドロー1枚と交換は割に合わないよなぁ。
あ、打点要因かもしれない。
【リンクモンスター】
リンク3/闇/ドラゴン族/攻1000/リンクマーカー右・下・左
ドラゴン族・闇属性モンスター3体
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
②:このカードの①の効果を適用したターンにこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードのリンク先となる使用していないモンスターゾーンは使用できない。
《クリッター》と、相打ちなのか・・・・。
けど、盤面を使用不能にさせる効果は強そうだし面白そう!
【リンクモンスター】
リンク3/闇/ドラゴン族/攻1000/リンクマーカー右・下・左
ドラゴン族・闇属性モンスター3体
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
②:このカードの①の効果を適用したターンにこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードのリンク先となる使用していないモンスターゾーンは使用できない。
せめてあっち向いてろ。
「ドローができる3体素材の《鎖龍蛇-スカルデット》」
・・・・の、劣化版。
ならもう一体出して《鎖龍蛇-スカルデット》出すわ。
この《マガジンドラムゴン》救済計画会議は深夜までかかった。
が、得られた結果は乏しかった。レイを何とかして元気づけたかった私たちの力不足を認めざるを得ない。
いずれ、新しいカードが出たり、リミットレギュレーションで禁止制限が改定するなりしない限り使えない。
現状、救いようのないヤツでしかない。
・・・・・・
そんなんで諦めてたまるかよ!
私はやるぞ!!
《マガジンドラムゴン》デッキづくりの始まりだった。
誰かこいつを救ってくれ
深夜にまで及んだ、デッキ会議で議題に上がっていたのは、やはりこのカードの①の効果のドロー。
リンク召喚でなくとも、特殊召喚でも使える。
この一点だ。
リンク召喚でもよいのだが「ドラゴン族・闇属性モンスター3体」を常に出し続けるのはほぼ不可能。ましてや、もっと出したい汎用リンク3が多すぎる。
やはり、墓地蘇生が望まれるだろう。
効果を大量に使うならば、墓地蘇生を頻繁に行う必要がある。一応該当するカードは存在している。当然強すぎるため、今は禁止カードとなってしまった。
「ドラゴン・闇属性を供給できる」
「墓地蘇生を頻繁に行う」
この両方を安定して実現できるデッキなどあるのか?
「守護竜」も《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》も使い物にならなくなってしまったため、蘇生もままならない。うーむ。
そんなことを嘆いていたら、4月になってしまった。
4月になり《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》がエラッタされて禁止から制限へ帰ってきてはくれたが、それでも活用方法が編み出せないままである。
今だに有効打は見つからない。
やはり《マガジンドラムゴン》を使うことは難しいのか・・・・
お前は呼んでねぇ!!
お前と比べられたら負けなんだよ!
お前はもっと呼んでねぇ!!!
・・・・・・
もうダメか・・・・・・
と、思ったときに救世主が現れた。
「何者だ貴様!」
「EXのカードを墓地に送りに来ました」
「それで何になるんだ!」
「いやいや、これで《マガジンドラムゴン》を2体落とすじゃろ?」
「1体はリンク召喚して蘇生制限を満たすじゃろ?」
「それをこうじゃ」
「準制限に緩和されたばかりじゃし使えるじゃろ」
「実質《早すぎた埋葬》が使える!!!」
こうしてデッキが完成した。
実に《マガジンドラムゴン》登場から2年近くの歳月を経ての活用だ。
デッキ紹介
「ヴァレット軸・継承氷結界リンク」
このデッキの最終目標は
「《マガジンドラムゴン》を「継承氷結界」で蘇生する」
「《マガジンドラムゴン》を素材にリンク4を展開する」
この二つに限る。
このデッキのギミックについて話していこう。
このデッキは大まかに3つに部類わけができる。
①:《マガジンドラムゴン》をリンク召喚するための「ヴァレット」
②:《継承の印》を使いまわすための「氷結界」召喚用のレベル3モンスター
③:《マガジンドラムゴン》を墓地に送る《教導の大神祇官》
ヴァレットリンクの手立て
必要なカードは「《水晶機巧-ハリファイバー》をリンク召喚するカード」と墓地か手札に《ヴァレット・トレーサー》が必要である。デッキでは《クリッター》から《転生炎獣アルミラージ》をリンク召喚し、《神樹のパラディオン》をサーチ、リンク先に特殊召喚し、2体で《水晶機巧-ハリファイバー》をリンク召喚する手法をとっている。
以下に、墓地に《ヴァレット・トレーサー》が要る場合を想定した展開の手立てを示す。
まず、《水晶機巧-ハリファイバー》の効果によりデッキから《ヴァレット・シンクロン》を特殊召喚する。その後、《ヴァレット・シンクロン》がドラゴン族レベル4以下のため1体で《ストライカー・ドラゴン》をリンク召喚する。これによりデッキから《リボルブート・セクター》をサーチ、そのまま発動する。
その後、《水晶機巧-ハリファイバー》1体で《リンクロス》をリンク召喚し、トークンを2体特殊召喚する。《ストライカー・ドラゴン》の効果によりトークン1体を破壊し、墓地から《ヴァレット・トレーサー》をサルベージし、《リボルブート・セクター》の効果により手札から特殊召喚する。
その後、《ヴァレット・トレーサー》の効果を発動、トークンを破壊し、デッキから《マグナヴァレット・ドラゴン》を特殊召喚する。これにより場に《マグナヴァレット・ドラゴン》《ヴァレット・トレーサー》《ストライカー・ドラゴン》のドラゴン族・闇属性モンスターが3体が並ぶため、これらを使い《マガジンドラムゴン》をリンク召喚する。
《マガジンドラムゴン》と《リンクロス》を素材に《アクセスコード・トーカー》をリンク召喚すると攻撃力が5300、墓地に炎、水、光、闇の4属性が存在するため、破壊効果を4回使うことができる。状況によって《破械雙王神ライゴウ》でもよい。
このとき《ヴァレット・トレーサー》の効果を使っているため《双穹の騎士アストラム》や《トロイメア・グリフォン》は出せないため注意してほしい。
《クリッター》とレベル3モンスター
このデッキにおいて、《クリッター》はとても重要な立ち位置にいる。
上記のように《水晶機巧-ハリファイバー》を出すための初動としての用途が一番となるが、《サイコウィールダー》と合わせて、このデッキのカギを握る「氷結界」シンクロモンスターを出すために利用できる。
また、《教導の大神祇官》の攻撃力が1500のためサーチが行えることも大きい。
そのため、軸となる「ヴァレット」にもレベル3である《オートヴァレット・ドラゴン》を中心とした動きが必要になる。
「氷結界」を出すことができれば、《継承の印》を複数回使うことができるため、積極的に蘇生とバウンスを使ったコンボを使っていくことになる。
墓地に送るモンスター
《教導の大神祇官》で墓地に送るカードは、基本的にはデッキコンセプトである《マガジンドラムゴン》であるが、《教導の大神祇官》の効果の都合上、もう一体選ぶ必要がある。そのため、墓地に送る選択肢として《旧神ヌトス》と《PSYフレームロード・Ω》がある。《旧神ヌトス》は除去に、《PSYフレームロード・Ω》は墓地のEXモンスターらの再利用に使える。
出典:遊戯王OCG公式カードデータベース
総評
まず第一に《水晶機巧-ハリファイバー》への依存度が高いことが問題点。
《ストライカー・ドラゴン》《リボルブート・セクター》の二枚を使えば大量の手札消費をしたうえで、リンク展開ができるが、展開に不要な装備魔法などが手札に来ると苦しい。
「氷結界」シンクロモンスターは単体でも強力。突破されても、《教導の大神祇官》から《PSYフレームロード・Ω》を墓地に送ることで再利用ができる。
肝心の《マガジンドラムゴン》は消費の激しい手札の補充に一役買っている。また《アクセスコード・トーカー》の素材としても優秀なため、率先してリンク召喚していきたい。
さいごに
今、私が持っている遊戯王知識の全てをつぎ込んだ「ヴァレット軸・氷結界リンク」デッキ。
レイが「20thレア」を当てた時から始まった長きにわたる難問に終止符を打つことができた。
もし、これ以上のデッキが作れるという方がいるならば、教えてほしい。
大真面目に、ほんとに教えてほしい。
この成果論文をカズに提出した。
カズ「なんだこのデッキ」
キン「ふっふっふ、EXデッキを見るんだ」
カズ「・・・・・・・ハァッ!!『20th』がいる!!」
キン「あぁ、ついに完成したぞ・・・・ついに」
そして、デッキのまとめを解説。カズは今「ドラグマ」デッキを使っているため、EXデッキの扱いには長けている。当然、そんな彼から「こういう使い方するぅ!?」と驚かれた。
だが、これでどこかへ行ってしまったレイも喜んでくれるだろう。
・・・・・・
さて、このデッキ最大の問題点について解説したい。
《水晶機巧-ハリファイバー》に依存する。
《マガジンドラムゴン》まで出せないと手札の消費が苦しい。
などと、数えるだけで大量の問題点が挙げられる。
が、そんなことは別に重視などしていない。
何よりも一番の問題は。
《マガジンドラムゴン》という謎のカードを3枚集めないといけないことである。
このカードに浪費してもよいという方は、ぜひ我々の苦労と私の努力のたまもののデッキを作って戦ってみてほしい。
強いかは補償はしないが・・・・。
end