はじめに
こんにちは。あーくんです。
毎月環境の変遷を追うこのシリーズですが、11月の目玉を追いましょう。
そう。11月といえばドリーム英雄譚デッキ グレンモルトの書が発売されました!!

はい。正直に話すとオリジナルフォーマットへのカード追加は0枚と言っていいでしょう。カードプールは変わらず11月は進みました。
しかし、プレイヤーたちの努力は凄まじく、その状態でもメタゲームは動いたのだから面白いですよね。
それではそんな軌跡を追う連載企画、オリジナル環境解説2025年11月編、スタートです!
2025年10月の環境はこちら!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「デュエル・マスターズ競技環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
大会環境の母数は日々によって変わるため、デッキごとの相性や強度をベースに考えを記載していきます。
Tier1
【水単サイバー】Tier1
……もういいんじゃないっすか?
CS会場でも「飽きた」の声が上がるほどの最強デッキ。水単サイバーが今月も入賞率一位です。
…………正直今の【水単サイバー】、構築もほぼ完全に固まりきってて、《パクリオ》を採用するかどうかくらいしか差異がなくなってきてるんですよね。

【 クリーチャー 】
種族 サイバーロード / 文明 水 / パワー1000 / コスト4
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手の手札を見る。その中から1枚選び、裏向きにして相手のシールドに加えてもよい。
プレイヤー間でも練度や対策も上がってきており、本当にただただ強いデッキがずっと環境上位に君臨しているのが11月のオリジナル環境です。
ですが、構築が固まってきたことにより、あるデッキの立ち位置が上がってきました。
この先は、それらの話をしていきましょう。
【デアリDDD】Tier1
10月環境と比べて、一気に勢力が伸びてきたのが【デアリDDD】です。
大きくアップデートが入った部分は2種類。《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》と《ギガクローズ》でしょう。

【 ドリーム・クリーチャー 】
種族 デモニオ / 鬼札王国 / 文明 闇/火 / パワー7000 / コスト3
■W・ブレイカー
■このクリーチャーが出た時または自分のターンのはじめに、自分のシールドを1つ手札に加えてもよい。ただし、その「S・トリガー」は使えない。
■<鬼タイム>自分と相手のシールドの数が合計6つ以下なら、自分の闇または火のクリーチャーすべてに「スピードアタッカー」と「スレイヤー」を与える。
■<鬼エンド>このクリーチャーが攻撃する時、シールドが1つもないプレイヤーがいれば、闇または火のカードを1枚、自分の墓地から手札に戻してもよい。その後、コスト4以下の、闇または火のクリーチャーを1体、自分の手札から出してもよい。

クリーチャー 】
種族 キマイラ / 文明 闇 / パワー2000 / コスト5
■ターボラッシュ(自分の他のクリーチャーがシールドをブレイクした後、そのターンが終わるまで、このクリーチャーは次の能力を得る)
■このクリーチャーが攻撃するとき、相手は自分自身の手札をすべて、持ち主の墓地に置く。
《秩序の意志》や《挑戦の決闘》といったS・バック呪文が環境から減ってきたことにより、《ギガクローズ》の全ハンデスが異常なまでの通りを見せることとなりました。
そもそも3ターン目に全ハンデスされて復帰できるデッキは殆どありません。一気にゲームを畳むことができます。
その補佐として選ばれているのが《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》であり、くっつきとして《王道ダチ ケントナーク》といった打点を増強するカードが選択されています。

【 クリーチャー 】
種族 ジョーカーズ / チーム切札 / 文明 火/自然 / パワー4000 / コスト4
■スピードアタッカー(このクリーチャーは召喚酔いしない)
■このクリーチャーが出た時、自分のマナゾーンにあるカードを4枚アンタップする。
デッキ構造が【水単サイバー】と【リースボルシャック】に有利であり、【闇王ゼーロ】系列も4cが減ってきタイミングで持ち込まれたこのデッキは、その火力を遺憾無く発揮してTier1に潜り込みました。
現在のオリジナルフォーマットの中で、比較的しっかりと殴るデッキであるため、今後も環境内で見かけることが増えるでしょう。
【闇王ゼーロ】Tier1
先月から引き続き、【4cゼーロ】や【ドロマーゼーロ】と称される、《闇王ゼーロ》を起爆剤にした即死コンボデッキの総称として挙げさせていただきます。
そして【4cゼーロ】と【ドロマーゼーロ】の構築に変化はありませんが、ここに来て新しい構築が登場しました。
それが【ハンデスゼーロ】です。
今までの《闇王ゼーロ》を唱えるまではリソースカードとトリガーで濁していましたが、新型はハンデス。妨害による前受けで時間を稼いで《〜地獄帰りの騎士〜》と《DARK MEMORY CONTAINER》のコンボを成立させることで《闇王ゼーロ》完成まで到達させます。
特徴的なカードは《正義の逆転撃》と《蒼狼の大王 イザナギテラス》でしょうか。

【 呪文 】
文明 光 / コスト3
■逆転撃[光(3)]:クリーチャーが自分を攻撃する時、その攻撃中にまだ「逆転撃」を使っていなければ、この呪文を自分の手札からコストを支払わずに唱えてもよい。そうしたら、次の自分のターンのはじめに[光(3)]を支払う。支払えなければ、自分はゲームに負ける。
■カードを1枚引き、その後、光のコスト3以下のクリーチャーを1体、自分の手札から出してもよい。次の自分のターンのはじめまで、そのクリーチャーに「ブロッカー」を与える。
《正義の逆転撃》は不足していた光マナと受け、逆転撃のデメリットを打ち消すピッチスペルの《闇王ゼーロ》と、デッキ内のギミックとこれ以上なく噛み合っています。
《蒼狼の大王 イザナギテラス》はデッキにめちゃくちゃ噛み合っているカードというわけではありませんが、リソースの減らないブロッカーということで、このデッキがコンボデッキではなくグッドスタッフであることを強く意識させるものとなっております。
デッキ全体を通して【水単サイバー】に不利であることは間違いありませんが、このデッキができたことにより、さらなる環境デッキが生まれたことが11月の転換点だったと言えるでしょう。
Tier2
【ドロマーハンデス】Tier2
令和7年、名前を聞くだけで愛好家が多そうなアーキタイプこと【ドロマーハンデス】が環境に帰ってきました。
まず小型ハンデスは《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》と《青寂の精霊龍 カーネル/サイレント・ジェラシー》によるツインパクト組。

【 ツインパクトカード 】
種族 エンジェル・ドラゴン / 文明 光/水/闇 / パワー3500 / コスト5
■S・トリガー
■ブロッカー(このクリーチャーをタップして、相手クリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい)
■このクリーチャーが出た時、相手のクリーチャーを1体選ぶ。次の自分のターンのはじめまで、そのクリーチャーは攻撃もブロックもできない。
────────────呪文────────────
カード名:サイレント・ジェラシー
文明:闇
コスト:2マナ
■相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。
■自分のシールドを1つ手札に加える。ただし、その「S・トリガー」は使えない。
中盤は《奇石 トランキー / アイ・オブ・ザ・タイガー》から踏み倒せる《龍素記号wD サイクルペディア》や《~世紀末の善悪~》で一気にリソース差をつけます。

【 G-NEOクリーチャー 】
種族 ゴッド / スチーム・ナイト / 文明 光/水/闇 / パワー6500 / コスト5
■G-NEO進化:光、水、または闇のクリーチャー1体の上に置いてもよい。
■ブロッカー
■W・ブレイカー
■このクリーチャーが出た時、カードを3枚引き、自分の手札を2枚まで捨てる。こうして捨てたカード1枚につき、相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。
■相手が手札から呪文を捨てた時、自分はその呪文を相手の墓地からコストを支払わず唱えてもよい。
《冥土人形ヴァミリア・バレル》を使いやすくする《ティンパニ=シンバリー》など、中盤の厚さをカバーするギミックも入れております。処理順によって2面除去や、逆にハンデスだけするなど、器用な動きが憎いですね。
《時の法皇 ミラダンテⅫ》こそ入っているものの、基本的なフィニッシュは制圧しきってからのパンチ。
あらゆるデッキへのカウンターが搭載されており、全体的に環境が煮詰まってきたことにより現れたコントロールデッキでしょう。
第4弾もスチームナイト強化によりこの色のカードが複数出ることは予想されます。
現環境の味変に、是非。
【リースボルシャック】Tier2
先月から立ち位置を確固たるものにしたのが【リースボルシャック】でしょう。
トレンドは《ボルシャック・栄光・ルピア》と《BARUGA-雷座87》のまま、引き続き使われています。
有利マッチであった【4cゼーロ】系が減り、【デアリDDD】が増えてきたことで環境的な立ち位置はだいぶ悪くなりました。
しかし、従来のパワーデッキである部分は変わらないため、引き続き入賞数が伸びているのが11月環境だったというわけです。
12月の新弾でアップデートが入るかどうか、その部分に注目ですね。
【トリーヴァder’Bande】Tier2
先月は下火だった【トリーヴァder’Bande】ですが、徐々にその立ち位置を上げています。
今回紹介する構築はアドバンスでも使われていた《葉鳴妖精ハキリ》を使用した形。ゲームが全体的に前に寄っているため、こちらも最高速度で押し付けるのが最良とされています。

【 クリーチャー 】
種族 スノーフェアリー / 文明 自然 / パワー2000+ / コスト2
■相手のターン中、このクリーチャーのパワーを+4000する。
■このクリーチャーが攻撃する時、自分のマナゾーンにあるカードの枚数以下のコストを持つクリーチャーを1体、コストを支払わずに自分の手札から召喚してもよい。
このデッキが復権した理由に挙げられる大きな要素は2つ。環境から《秩序の意志》の減少、そして【デアリDDD】の復権でしょう。
元々【デアリDDD】にはメタと速度で有利をつけることができ、【水単サイバー】にも《洗打の妖精》によってビートを成立させているデッキであったため、環境の隙間を掻い潜って無事上がってきた形になります。

【 クリーチャー 】
種族 ジャイアント・スノーフェアリー / 文明 水 / パワー1000 / コスト2
■G・ストライク (このカードを自分のシールドゾーンから手札に加える時、表向きにし、相手のクリーチャーを1体選んでもよい。このターン、そのクリーチャーは攻撃できない)
■ジャストダイバー (このクリーチャーが出た時、次の自分のターンのはじめまで、このクリーチャーは相手に選ばれず、攻撃されない)
■相手のクリーチャーが出た時、それが相手のマナゾーンにあるカードの枚数よりコストが大きいクリーチャーなら、持ち主の手札に戻してもよい。
しかし、未だ《轟く侵略 レッドゾーン》の代わりは見つかっていないため、打点の形成には少し苦労することも。
現在は純粋なメタビートであるため、環境上位が【水単サイバー】、【デアリDDD】、【リースボルシャック】に寄ってくれるのであれば、今後もやっていけるデッキではありますが、使い所は見極める必要がありそうですね。
Tier3
【トリーヴァアルファディオス】Tier3
《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》と《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》が光るミッドレンジデッキの【トリーヴァアルファディオス】ですが、今月は動きをシンプルにした形が流行しています。
そして、空いた枠に採用され始めたのが《星光の精霊龍 ベルフォール》です。

【 クリーチャー 】
種族 エンジェル・コマンド・ドラゴン / 文明 水 / パワー5000 / コスト4
■ジャストダイバー
■相手のクリーチャーが、相手の手札以外から出る時、かわりにそれを持ち主の手札に加える。
メクレイドや《闇王》となどの致命的な動きに対して1ターンをもらうことができ、1ターンもらった後即座に勝ちに行ける点で相性保管ができています。
デッキ自体は4キルデッキなので【水単サイバー】や【デアリDDD】対面は流石に不利。しかし、4ターン目さえ貰えれば一気に畳めるため、《天彩の精霊ミルディアス》や《宇宙妖精エリンギ》といったカードの重要度が上がっているように感じますね。
【ボルシャック】と並んでも遜色のないヒロイックさを持っているデッキです。今後も使われることでしょう。
【水闇アーテル】Tier3
【水闇COMPLEX】とその派生形をまとめて呼んでいる【水闇アーテル】ですが、今回紹介するのは【水闇ボウダンロウ】。

【 クリーチャー 】
種族 アビスロイヤル / 文明 闇 / パワー13000 / コスト10
■ハイパーエナジー(このクリーチャーを召喚する時、コストが異なる自分のクリーチャーを好きな数タップしてもよい。こうしてタップしたクリーチャー1体につき、このクリーチャーの召喚コストを2少なくする。ただし、コストは0以下にはならない)
■T・ブレイカー
■このクリーチャーが召喚によって出た時、または相手プレイヤーを攻撃する時、自分の山札の上から5枚まで墓地に置く。その後、コスト5以下の、コストが異なるクリーチャーを好きな数、自分の墓地から出す。
DMGP2025DAY2でも使われたこのデッキですが、結局あまり定着しませんでした。
しかし、その結果《流星のガイアッシュ・カイザー》への警戒度が上がりきらず、下がったガードに対して突き刺さるメタカードになっています。

【 クリーチャー 】
種族 ブルー・コマンド・ドラゴン / グリーン・コマンド・ドラゴン / ハンター / 文明 水/自然 / パワー8000 / コスト6
■相手のターンの終わりに、相手がそのターン中、マナゾーンのカードをタップせずに、クリーチャーを出すか呪文を唱えていて、バトルゾーンに自分の 《流星のガイアッシュ・カイザー》がなければ、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。
■W・ブレイカー
■このクリーチャーが出た時、カードを2枚引く。
■自分のコスト10以上のクリーチャーの召喚コストを4少なくする。ただし、コストは0以下にはならない。
■相手のクリーチャーは出たターン、自分を攻撃できない。
そして《超暴淵 ボウダン=ロウ》から組み上げられる盤面を返すことは当然簡単ではなく、そのままゲームエンドまで一直線というのが大半のゲームでしょう。
先月書いた「採用カードによる懐の深さ」が光った結果であり、《c0br4》型と共存していることが厄介であると言えるでしょう。
【デアリDDD】に対して相性が悪いため、今月は苦しい戦いを強いられていましたが、今後また活躍する日もそう遠くはないと考えられます。
環境のまとめと今後の展望
11月の環境を一言で表すならば「速度」でした。煮詰まったカードプールではしばしば起こる現象だと言えます。
中旬くらいまでは群雄割拠に見えた環境も、後半はほぼ【水単サイバー】が独走する結果となりました。その中でも【デアリDDD】や【トリーヴァder'Bande】は速度で対抗できるため息を吹き返しています。
そんな中、頭角を表した【ハンデスゼーロ】と【ドロマーハンデス】はまさしくメタゲームが生み出したプレイヤーズデッキではないでしょうか。
こんな閉塞感が強い状況でも、プレイヤー達は更にその上を行こうとするいい現象が見れたと思います。
12月は第4弾が出るためこの環境もまもなくおしまい。新たな環境ではどんなデッキが戦えるのか、これから楽しみに待ちましょう!
おわりに
というわけで、11月のオリジナル環境について解説いたしました。
使ってみたいデッキは見つかりましたでしょうか?
この記事が皆さんのオリジナル環境に対する理解への一助となれば幸いです。
それでは次回、12月のオリジナル環境解説記事でまたお会いしましょう!

