はじめに
えっ!? 環境末期なのにまだ新デッキが!?
公表はされていないものの、例年通りであれば殿堂発表がいよいよ迫ってきている12月上旬。
「神歌繚乱」の発売からは約半月、「デュエキングMAX」の発売からは約1ヶ月半が経過。
もうほとんどのデッキが出揃っただろうと油断していたのですが、驚くべきことにいまだに新デッキが登場する波乱の環境となっています。
今回も、いまだ底の見えないオリジナル環境の「今」について、徹底的に解説していきたいと思います!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「デュエル・マスターズ競技環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
先月からのカードプールの変化
「神歌繚乱」の大王、《蒼狼の大王 イザナギテラス》はアドバンス以上の変革をオリジナルにもたらしています。
【 クリーチャー 】
種族 ナイト / オリジン / ポセイディア・ドラゴン / 文明 水 / パワー3000 / コスト4
■ブロッカー
■このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から5枚を見る。
その中から1枚を手札に加え、残りを好きな順序で山札の下に置く。
その後、コスト3以下の呪文を1枚、自分の手札からコストを支払わずに唱えてもよい。
主な活躍の場は【4cガイアッシュ覇道】と【ラッカ鬼羅.Star】です。
【4cガイアッシュ覇道】においては「水単色のドラゴン」というカタログスペックが大活躍。
《メンデルスゾーン》や《ボルシャック・栄光・ルピア》とのシナジーを取りこぼさず、貴重な水単色マナとして《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》のプレイに貢献してくれます。
もちろんカード自体の性能も強く、様々なメタカードやブーストカードと合わせてもよし、1枚積みの革命チェンジを引っ張ってきて次の展開に繋げてもよしの万能選手です。
【ラッカ鬼羅.Star】においてはもっぱら《瞬閃と疾駆と双撃の決断》とのコンボ要員として扱われます。
もちろんオプションとして《T・T・T》や《超英雄タイム》も存在していますが、それよりも「《「正義星帝」<鬼羅.Star>》と組み合わせて《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を唱えれば即時5打点を形成しつつ追加で2ドロー&2面展開ができる」ことの方が重大です。
これまでにないほどの速度と角度で打点を形成し、一気にフィニッシュまで持っていけるこのコンボは、【ラッカ鬼羅.Star】の構築を大きく塗り替えるほどに影響を及ぼしています。
Tier1
【4cガイアッシュ覇道】Tier1
フォーマットを問わず大活躍中の【4cガイアッシュ覇道】。
オリジナルではアドバンスほどの「一人勝ち」感はありませんが、有力デッキの一角として強い存在感を示しています。
構築の理念そのものはアドバンスのものとほとんど変わりません。
《メンデルスゾーン》+《ボルシャック・栄光・ルピア》の2ブースト初動を連打して準備を進めつつ、相手がコスト踏み倒し使ったら意気揚々と《流星のガイアッシュ・カイザー》を投下。
増やしたマナと10コスト以上のクリーチャーを4軽減する能力でカウンターを狙っていきます。
カウンターデッキでありながら爆発的なマナブーストのおかげで中盤以降は《流星のガイアッシュ・カイザー》に頼らずとも強いアクションを取れるようになるのが魅力です。
また、構築の幅が非常に広く、《“龍装”チュリス》+《蒼き守護神 ドギラゴン閃》のパッケージを投入してビートダウンに寄せたり、反対にもっと大型ドラゴンを増やしてランプデッキのように振る舞ったりとレンジの調整が自由自在なのも強みの一つでしょう。
弱点として代表的なのは、ビートパッケージを採用しない場合の、中盤戦の押し付けの弱さ。
アドバンスと同じく4ターン目でのビッグアクションには《メンデルスゾーン》を引いたうえで追加でもう1枚のブーストが必須になります。
相手の行動を妨害する手段にも乏しいため、4ターンkillを狙ってくるようなコンボデッキには苦戦することもしばしばです。
先月紹介した構築と比べて、ミラーや【5cコントロール】系列との対戦を見据えてリストがブラッシュアップされたほか、新たな戦力として《蒼狼の大王 イザナギテラス》を採用した構築が多数見られるようになりました。
呪文の踏み倒しにばかり目が行きがちですが、そもそもデッキトップ5枚を見て1枚を手札に加えるアクションにブロッカーのおまけがついてくるだけでも十分に強力。
もちろんそこから《メンデルスゾーン》・《お清めシャラップ》・《超英雄タイム》といった踏み倒し先を確保できるため、汎用性は折り紙付きです。
水単色でありつつも《メンデルスゾーン》+《ボルシャック・栄光・ルピア》の基盤を阻害しないドラゴンという、今までのプールにはあまりなかったスペックはデッキにもぴったりフィット。
今後も定番の補助パーツとしてよく見ることになりそうです。
【墓地退化】Tier1
先月の記事の段階では「ちょっと活躍しはじめたかも?」ぐらいの勢力だった【墓地退化】ですが、今や堂々のTier1に。
CSに入賞しているほとんどの構築でコンボパーツとなるカードバウンス以外の受け札が8枚採用され、「ビートダウンに強いコンボデッキ」としての立ち位置を確立しています。
最新の構築で見られるようになったテックカードが《秩序の意志》です。
封印除去が幅広い相手に強く、特に【赤単我我我ブランド】の《我我我ガイアール・ブランド》や《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を後腐れなく処理できる点が強力。
もちろん各種スター進化やEXライフといった王来篇でプッシュされている除去耐性に対しても、封印除去は有効に機能してくれます。
S・バックのおかげでシールドから手札に加わる退化元を即座に捨てられる点や、ルーター連打で手札に用意しておきやすい点もデッキとの噛み合いが◎。
また、コスト4と軽いため手札からプレイして相手のシステムクリーチャーを擬似的に除去できるのも嬉しいポイントです。
環境次第では呪文ロックに無効化されない《撃髄医 スパイナー》も有力候補になるなど、受け札には困らないコンボデッキとして今後も独自路線を貫いていくでしょう。
【ジョー星ゼロルピア】Tier1
《「敬虔なる警官」》を引っ提げ、【赤単我我我ブランド】をはじめとした軽量ビートダウンデッキに対しても一定の勝率を確保できるようになった【ジョー星ゼロルピア】。
ある程度存在が当たり前になってきたとはいえ未だに先攻3ターン目に設置される《希望のジョー星》が有効な相手は多く、速度ではやや劣るものの、理不尽さと安定性にメタでの遅延を添えたコンボデッキとして活躍中です。
採用例が爆増している《「敬虔なる警官」》は先述した【赤単我我我ブランド】に加え、【墓地退化】や【ジョー星ゼロルピア】のミラーマッチにおいても有効なメタカードです。
ロック効果は1ターンしか継続しませんが、その1ターンで《希望のジョー星》が間に合えば大方の対面でミッションは達成。
2枚も使えば勝負が決定するほどのラグを発生させます。
このカードを使い回すことを意識してか、オリジナルではセルフバウンス枠を《へームル・エンジオン》から軽い《アクア忍者 ライヤ》に戻した構築がまた増えてきています。
オリジナルではアドバンス以上に【墓地退化】が多いため採用枚数も増加傾向にありますが、とはいえそれほど広い範囲に刺さるメタカードでない点にはやはり留意が必要です。
環境次第では採用しない選択肢も十分にありうるでしょう。
Tier2
【赤単我我我ブランド】Tier2
ちょっとしたアップデートは加わりつつも、ほとんど変わらない基盤で約半年の間アグロデッキの最前線をひた走る【赤単我我我ブランド】。
細かい部分で見れば、環境が低速化したことに合わせてシールド回収札である《カンゴク入道》・《斬斬人形コダマンマ GS》は増加傾向。
それに合わせて、手札が増えれば扱いづらくなる《“逆悪襲”ブランド》を減量し、軽量クリーチャーを元に打点を形成しやすい《“罰怒”ブランド》へと差し替えた構築が見られるようになっています。
《終末の時計 ザ・クロック》や《秩序の意志》などの《我我我ガイアール・ブランド》を無力化する受け札を有する【墓地退化】・《「敬虔なる警官」》を採用した【ジョー星ゼロルピア】など、【赤単我我我】へのガードを明確に上げたデッキが環境上位で活躍しており、立ち位置はやや厳しくなっています。
苦境に応じて一時期よりも少しだけ数は減らしているものの、まだまだ有力かつ人気の高いデッキです。引き続き対策は必須でしょう。
【5cネバーコントロール】Tier2
一時期は姿を消していたものの、構築をより洗練させて環境に舞い戻りはじめた《ナウ・オア・ネバー》を主軸とする【5cコントロール】です。
《流星のガイアッシュ・カイザー》の台頭に起因する全体的な環境の低速化が、このデッキにとっては大きなプラスに働きます。
3ターンkillを狙ってくるようなデッキが少ない環境において、先攻4ターン目の《ロスト・ソウル》はまさに必殺の一撃。
どんなデッキであっても、このコンボさえ決めてしまえばほとんどゲームを決着させるほどのアドバンテージ差を付けられます。
細かい部分では、墓地コンボの増加を受けて《お清めシャラップ》の採用枚数が増加しているほか、受け札として《大地門ライフ・ゲート》を採用した構築が現在では一般的です。
《蒼き守護神 ドギラゴン閃》や《我我我ガイアール・ブランド》、《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》などがこの呪文の主なターゲット。
これらのクリーチャーを除去しながら《龍風混成 ザーディクリカ》や《ソーシャル・マニフェストⅡ世》を踏み倒し、さらに追加の呪文でアドバンテージを確保していきます。
自然単色である点も、単色枚数に苦しみやすいこのデッキにとっては嬉しい点です。
【5cディスペクター天門】Tier2
受けデッキの最大手として挙げられるのが【5cディスペクター天門】。
《流星のガイアッシュ・カイザー》と《霊宝 ヒャクメ-4》の2枚看板によって安定して大型ディスペクターを高速着地させられるのが最大のセールスポイントです。
先述した《霊宝 ヒャクメ-4》に加えて、《ドンドン火噴くナウ》に《ヘブンズ・ゲート》、《極楽轟破5.S.トラップ》や《S・S・S》。
果ては初動に《フェアリー・Re:ライフ》と、ほとんどのリストで実に18枚〜20枚もの受け札が採用されており、ビートダウンへの耐性の高さは間違いなく環境でも最上位。
この手のデッキの常というべきか、高速コンボが厳しい相手として立ちはだかるものの、コンボデッキを狙ってビートダウンデッキが勢い付いた時には有力な選択肢となるでしょう。
【ラッカ鬼羅.Star】Tier2
《蒼狼の大王 イザナギテラス》+《瞬閃と疾駆と双撃の決断》のパッケージをメインコンセプトに据え、大幅な出力アップを果たした【ラッカ鬼羅.Star】。
登場以来活躍してきた「メタビート」のイメージが強い【ラッカ鬼羅.Star】とは大きく異なり、コスト2のメタカードはなんと《奇石 ミクセル》のみ。
《T・T・T》や《ネ申・マニフェスト》で手札を整え、4ターン目に《エヴォ・ルピア》や《蒼狼の大王イザナギテラス》+《瞬閃と疾駆と双撃の決断》で一気に展開・勝負を仕掛けるデッキへと変貌しています。
《「正義星帝」<鬼羅.Star>》で《蒼狼の大王イザナギテラス》を踏み倒し、回収した《瞬閃と疾駆と双撃の決断》で《「正義星帝」<鬼羅.Star>》に2回攻撃を付与する動きは、決まれば一瞬でゲームを終わらせる打点を形成します。
《蒼狼の大王イザナギテラス》で回収するカードは踏み倒し対象でなくてもいい点も強力で、《奇天烈 シャッフ》や《単騎連射 マグナム》を回収してトリガーケアに回したりと、柔軟な動きを可能にしてくれます。
瞬間的に高打点を出せるようになり、万能サーチカードが追加され。
これまではどうしても刻まなければ勝ちきれない対面が多かったところを、「溜めてトリガーケアを絡めた瞬間火力で一気に押し切る」プランが取れるようになりました。
呪文ロックを前提としていない対面が増えてきたこともあり、《奇天烈 シャッフ》や《正義の煌き オーリリア》といった呪文ロックを絡めて打点を出せるこのデッキは、独自の強みを持っています。
筆者が個人的に注目しているデッキのひとつです。
Tier3
【赤黒邪王門】Tier3
一時期加入していた《影速 ザ・トリッパー》でしたが、現在では多色カードの枚数・自分のシールドを減らしづらい部分が足を引っ張ってか採用されない構築が多くなってきています。
やること自体は以前と変わらず、自分の盾を減らして1点4点バルチュリス。ですが、《蒼狼の大王イザナギテラス》の登場で地味にブロッカーが環境に増えているのが僅かながら向かい風です。
【墓地退化】も《終末の時計 ザ・クロック》という天敵を有しているため、環境全体で見ても以前ほど《龍装者 バルチュリス》通し放題というわけでもなくなってしまいました。
しかしながら、コストパフォーマンスに優れた「鬼タイム」アタッカーにとって、踏み倒しメタに一切引っ掛からず、文明にも依存せず盤面から高打点を繰り出せるのは他のデッキにはない特徴です。
軽量クリーチャーもそれほど重要ではないため、《「敬虔なる警官」》を入れた【ジョー星ゼロルピア】に対しては【赤単我我我】以上に有利に立ち回れるのは覚えておきたいところです。
【4cレッドギラゾーン】Tier3
《影速 ザ・トリッパー》の登場で成立した、いわゆる【ハキリファイア】ベースのデッキ。
アドバンスで一時期活躍していた【4cヴァイカー】のオリジナル版と言っていいかもしれません。
素ではプレイしづらい多色のコマンドたちを、強力な踏み倒し手段である《葉鳴妖精ハキリ》や《瞬閃と疾駆と双撃の決断》でバックアップ。
横展開したのちに《SSS級天災 デッドダムド》や《轟く革命 レッドギラゾーン》で打点を補助して、一気にゲームを決めにかかります。
リソースカードがそれほど多くないため溜める動きが極端に強いわけではないものの、シールドの厚い相手に対しても《奇天烈 シャッフ》と《轟く革命 レッドギラゾーン》のコンボで相手の呪文を制限しつつ殴り切れるのはビートダウンとして大きな利点です。
ボード制圧・爆発的な打点形成・呪文ロックとやりたいことは一通りできる「真っ当に強いデッキ」ですが、そこに拍車をかけるテックカードが《弩闘! 桃天守閣》です。
キリフダッシュ2で展開できるD2フィールドということで革命チェンジ・侵略を全て止める《希望のジョー星》の張り替えに役立つほか、革命チェンジ・侵略持ちのクリーチャーと組み合わせてお手軽に打点増強&組み合わせ次第で無限アタックが可能になります。
相手の効果によるタップ無効も対面次第では有効で、環境トップ級のデッキだけを見ても、【5cネバーコントロール】の《天命龍装 ホーリーエンド》や【4cガイアッシュ覇道】の《アイド・ワイズ・シャッター》などを無効化できます。
軽いうえに多くの対面に無駄にならない能力を持ち、さらに能動的なコンボも有する、《希望のジョー星》メタとして唯一無二のカードです。
マナ基盤がかなり繊細で、《葉鳴妖精ハキリ》ありきのマナセットが除去された際の強い裏目を引き起こすこともあるため、強力なデッキながらプレイ難易度は高め。
環境に有利な要素があるので強いというよりは、純粋に総合力の高さで入賞数を伸ばしたデッキタイプだと言えるでしょう。
【青単スコーラー】Tier3
つい2週間ほど前に登場し、瞬く間に入賞数を伸ばしつつある新時代のコンボデッキ。
3ターン目まではドロー・サーチを連打して手札を整え、4ターン目に4マナを揃えたら《月下旋壊 ド・リュミーズ》を唱えてコンボスタート。
手札を入れ替えながら更なる軽量呪文を唱えて呪文を連鎖・適宜《超宮兵 マノミ》を挟んで手札の枚数を増やし、1ターンの間に呪文を5回唱えて《次元の嵐 スコーラー》を大量投下。
獲得したExターン中に《神の試練》による追加Exターンを獲得したり、《魔導管理室 カリヤドネ》を絡めた複数回の《「本日のラッキーナンバー!」》でロックを仕掛けたりして相手のトリガーを咎め、殴り切って勝利します。
デッキ全体の動きとしては初期型の【青黒カリヤドネ】に近く、かのデッキと同じようにドロー・サーチ連打によるコンボの速度と安定性を兼ね備えたデッキとして活躍の場を広げています。
環境の基準が後ろに寄っているため純粋な4kill狙いのコンボデッキが少なく、かなり現実的に4killを見込める【青単スコーラー】は速度面で大きなアドバンテージを持っています。
呪文ロックであれば《奇天烈 シャッフ》すらも非常に重いこのデッキですが、そもそも最速4ターン目にコンボが成立するためブーストなしで先手の【青単スコーラー】を咎めるのは至難の業です。
また、《I am》や《神出鬼没 ピットデル》を使って場と手札を調整し、《堕呪 ウキドゥ》を《魔導管理室 カリヤドネ》で無限にキャストして勝利するループ型も考案されています。
こちらは受けの枚数と引き換えに、より安全かつ高速での勝利を狙えるように構築されているため、環境次第ではさらに凶悪なコンボデッキとして猛威を振るえるでしょう。
総じて環境内への通りが非常に良く、このデッキを対策するためには他のデッキにあまり刺さらない軽量呪文メタを採用する必要があるため、しばらくは活躍するのではないかと考えています。
【デアリガズ墓地ソース】Tier3
非常に高い出力を持つものの、様々な面で脆い部分が目立った《鬼札アバクと鬼札王国》。
不安定な既存の基盤を脱却し、《巨大設計図》+《樹食の超人》という新機軸を打ち出して、【デアリガズ墓地ソース】が環境に舞い戻ってきました。
《巨大設計図》がツインパクトと合わせて8枚、《種族選別》がさらに4枚。
合計12枚採用された大量ドロー呪文を2ターン目、3ターン目と連続で叩きつけ、大量に増えた手札を《樹食の超人》で墓地へとダンクシュート。
あとはこれまでと同じく、大量に増えた墓地を元手に《暴走龍 5000GT》や《ブラキオ龍樹》、《大樹王 ギガンディダノス》をプレイしてバトルゾーンを制圧し、反撃を許さず勝負を決します。
最速4ターン目に超大型獣が着地する点が最大のセールスポイントで、この速度で襲いかかってくるバリエーション豊富な大型クリーチャー軍団を凌ぎ切るのは至難の技です。
このデッキのポイントは、言わずもがな《巨大設計図》。
大量ドローでコンボパーツを引き込む確率をグッと上げるだけでなく、大量のリソースを抱えることでその後の動きのパターンを大幅に広げることにもつながります。
《巨大設計図》ツインパクト化の恩恵は非常に大きく、クリーチャー面が付与されたことで墓地カウントに寄与することはもちろん、合計8投でデッキの安定性を大きく引き上げられるようになったのが何よりのメリットです。
また、新たな墓地肥やし役として白羽の矢が立った《樹食の超人》は、3ターン目に引いてプレイしなければならなかった《鬼札アバクと鬼札王国》と違い、4ターン目に引いてもオッケー。
そもそもドロー量の差で引き込みやすいうえに後引きまで可能とあって、4ターン目のコンボ成功率は段違いです。
さらに、3ターン目に墓地を増やしておく必要がなくなったため、墓地メタへの耐性もかなり高くなっています。
デメリットとしては、《巨大設計図》の対象の都合上コスト6以下のメタクリーチャーが事実上採用できなくなったことでしょうか。
しかしながら、コスト7以上のクリーチャーであればなんでもよいため、トリガークリーチャーの選択肢は非常に広範です。
サンプルリストに掲載した《撃髄医 スパイナー》、《破壊者 シュトルム》の他に、《シリウ・ヘブン》や《SMAPON》、《レレディ・バ・グーバ/ツインパクトマップ》などが実際に採用され、結果を残しています。
安定性・メタに対する強度・純粋なカードパワーとほとんどの要素で《鬼札アバクと鬼札王国》型の上位互換となっており、活躍にも頷ける強化具合です。
今後の活躍に期待したいデッキのひとつですね。
環境のまとめ
《流星のガイアッシュ・カイザー》登場以降、全体的な傾向として環境は大幅に低速化しています。
革命チェンジ・侵略やコスト踏み倒しを活用する高速ビートダウンは【ガイアッシュ覇道】の台頭に追いやられ、攻撃的なデッキの中で残ったのは召喚を活用する一部のデッキのみ。
そして、遅くなった環境を見越したかのように突如として現れたのが、「ドローソース・ルーターをメインコンセプトに採用した、現実的な最速4ターン・安定5ターンkillコンボ」デッキでした。
今回紹介した中では、【墓地退化】と【青単スコーラー】、【デアリガズ墓地ソース】が該当します。
これらのデッキはいずれもメインムーブの中でドローソースやルーターを連打してデッキを回すため、必然的にコンボの再現性が高いのが特徴です。
また、「速度が重視される相手には4ターンkillを目指してブン回し、5ターンでも間に合う相手にはリソース稼ぎを優先してどっしりと構える」というように相手の速度に合わせた動きができる点も、低速環境では大きな利点となります。
こういったデッキはえてしてビートダウンに弱いものですが、今回紹介した3デッキはどれも受け札を8枚以上採用できる余地があります。
それだけで【赤単我我我ブランド】に有利がつくとまでは言いませんが、少なくとも抗いうることは事実でしょう。
新勢力として頭角を表してきているデッキは、いずれも呪文メタの少ない環境に着目し、軽量呪文を連打してリソースを稼ぐ構成になっています。
これらのデッキがTier1に進出するほど台頭するのであれば、しばらくは出番の少なかった《音奏 プーンギ》などの軽量呪文メタがまた活躍することも考えられるかもしれません。
また、今は【ガイアッシュ覇道】に取って代わられている【シータRX閃】の《アルカディアス・モモキング》も、現在の環境では非常に頼れるフィニッシャーです。
アドバンスの【リースモモキングRX】よろしく《メンデルスゾーン》を経由して《王来英雄 モモキングRX》から3ターン目に着地できればほぼゲームセットになる対面も少なからず存在しているため、そのようなムーブに重きを置いたデッキも今後復権してきそうです。
おわりに
というわけで、12月上旬のオリジナル環境について解説いたしました。
使ってみたいデッキは見つかりましたでしょうか?
この記事が皆さんのオリジナル環境に対する理解への一助となれば幸いです。
それでは次回、12月下旬のアドバンス環境解説記事でまたお会いしましょう!