いいから一王二命三眼槍を輸出しろ
こんにちは。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。
最近突然公開された他社のゲームを遊んでいるうちに、なんかいつの間にか締切が迫っていることに気付きました。
こうやって、様々な締切がやってくることに直前まで気付かないまま人間は死んでいくと言われています。人生の締切も突然やってきますからね。
というわけで、今回もやっていきましょうか。
この記事があなたの良い暇潰しになれば、これほど嬉しいことはありません。
それでは、今日のカードはこちら。
《フェアリー・ライフ》
【 呪文 】
文明 自然 / パワー- / コスト2
■S(シールド)・トリガー(この呪文をシールドゾーンから手札に加えるとき、コストを支払わずにすぐ唱えてよい)
■自分の山札の上から1枚目を、自分のマナゾーンに置く。
たかがブースト、されどブースト
というわけで、DM-06で登場したマナブーストの基本中の基本たる一枚ですね。
意外にもデュエマ黎明期にはこの手のブーストは存在せず、最軽量の山札からのマナブーストは3マナの《 青銅の鎧 》でした。
それから20年近く基本カードとして君臨し続けているあたり、いかにこのカードがデュエマという歴史に与えた影響が大きいかは言わずもがなですね。
ところで「このカードが登場する前の即効性のあるマナブースト」について、皆様はどれほどご存知でしょうか。あ、《 青銅の鎧 》以外でですよ。
これをちょっと並べて見ているうちに、ちょっと意外なデザイン面での傾向が見えてきたんですよね。
というわけで、今回は《 フェアリー・ライフ 》以前のブースト札をざっくり並べたうえで、黎明期におけるブーストのデザイン論を推理していこうと思います。証拠がないから言ったもん勝ち!
なお、ここで取り扱うのはクリーチャーのcip効果、あるいは呪文による即時的なマナ加速に限定します。
記念すべきDM-01で登場したcipあるいは呪文によるブーストは、
- 1マナ呪文でバトルゾーンから1ブーストの《 ガイアズ・ソング 》
- 2マナ生物で手札から1ブーストの《 シビレアシダケ 》
- 3マナ生物で山札から1ブーストの《 青銅の鎧 》
- 5マナ呪文で山札から2ブーストの《 アルティメット・フォース 》
- 5マナ生物で墓地から1ブースト(生物のみ)の《 トゲ刺しマンドラ 》
の計5枚。
その後、DM-02からDM-05にかけて
- 6マナ進化生物で山札から2ブーストの《 大勇者「ふたつ牙」 》
- 4マナ呪文で山札からサーチして1ブーストの《 レインボー・ストーン 》
- 5マナ呪文でシールドから任意の枚数ブーストの《 逆転のオーロラ 》
- 4マナ呪文で墓地から2枚までブースト(生物のみ)の《 再誕の森 》
の4枚が加わることになります。
これらを眺めていると、コスト論的には現在とそこまで変わらないにも関わらず「即時的な軽量ブーストはアドを得られない、あるいは失うように作られている」「複数ブーストにはお膳立てかリスク、あるいはさらなるマナが必要」であることがわかります。
何をやるにもマナが必要なデュエルマスターズにおいてやや不自然に見えますが、おそらくこれは意図的に「マナを順当に伸ばす戦略を抑制する」目的でなされた調整と思われます。
では、なぜそんなことをしなければならなかったのでしょうか。
ここで、初期環境のもう一つの特徴を思い出す必要があります。ドローの軽視です。
《 サイバー・ブレイン 》をはじめとして、今見ればぶっ壊れたるドローが多数存在した初期環境。
「どうしてこれを通したのか」「ちゃんとテストプレイしたのか」と疑問に思ったプレイヤーも少なくないはずです。
ですが、「マナブーストの抑制」という要素と組み合わせると一つの仮説が見えてきます。それは。
「ドロー性能はそのままにして強さだけを抑えるために、その手札を吐き出すためのマナの加速を絞った」という説です。
……ここからは今までにも増して「憶測」というか「妄想」なんですが。
実は、DM-01のテストプレイ時にすでに《 フェアリー・ライフ 》に相当するカードは存在してたと思うんですよ。
「よーし自然文明の基本となるブーストを作るぞ!」と考えた時、どう考えても一番シンプルな形になるカードですからね。元ネタにも《 不屈の自然 》とかありましたし。
ただ、「2T《 フェアリー・ライフ 》→3T《 サイバー・ブレイン 》」のように手札もマナも稼いでいくムーブがヤバいことが(当然)見つかって。
まだ生まれたばかりのゲームで開発も何が強いのかを把握していなかったため、「不健全なのは能動的にゲーム速度を速め、ドロー後に手札を吐き出す助けとなる《 フェアリー・ライフ 》のほうである」と結論付けてお蔵入りにし、マナのほうを絞る調整をしちゃったんじゃないかな……って。
さらなる憶測の上塗りになりますが、この過程で代わりに入ったのが《 ガイアズ・ソング 》なんじゃないかとも思ってます。
なんていうか、このカードだけ加速の質が異質というか。スーサイド気味すぎるというか。DM-03にいそうというか。
結果的にこの「ドロー高マナ低」調整が大間違いだったのは知っての通り。
手札さえ稼げれば、別に頑張ってマナ伸ばさなくても毎ターンのブーストだけでゲームを終わらせてしまえるという事実は、様々な青いカードが明らかにしてくれました。
さすがに公式もこのミスに気付いたのか、その流れはDM-06にていわば「改訂」された120枚のカードプールにて是正されていくことになります。
「適正に弱くなったドロー」こと《 エナジー・ライト 》とともに「適正に強くなったブースト」として改めて登場した《 フェアリー・ライフ 》(あと《 神秘の宝箱 》も)を旗印に、デュエマはゲームとして成熟していく…のですが、これはまた別の話。殿堂入りとかもありましたしね。
初期のドローくらいブーストが安く行われていたパラレル世界もあるのでは
というわけで、《 フェアリー・ライフ 》でした。まーた表題の話をぜんぜんしない回かよ!
本編では話せなかったんですが、初期に多数存在した「pigでマナに行く」というカード群も、もしかするともともとはcipや別の形での加速だったのかもしれませんね。
まあその、どこまで行っても邪推であり憶測に過ぎないんですがね(予防線)。
さて、次回予告のコーナーです。
弊社のECサイトにはカードごとに「一緒に買ってるランキング」というお遊び要素があるのですが、皆様にはそのランキングのみを見て次回のカードを当ててもらいます。
というわけで、次回のカードはこれです。各自予習していってください。
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それでは、次の記事で。北白河でした。