はじめに
読者の皆さま、こんにちは。かもめ先生です。
今回は、かーなり久しぶりにオリジナルデッキの紹介記事を書いてまいりました。
前回のオリジナルデッキの記事は、2021年の9月だったので、実に1年近くぶりなんですね。
本日の主役は、私が大好きな原作ボスが使ったカードのひとつでもある、《ダークネス・ネオスフィア》です。
名前こそよく知られているカードではありますが、ほとんどの人が使われているところを見たことがないと言われるマイナーカードとして知られるこのカード。
今回はそんな何とも不遇な扱いを受けている、《ダークネス・ネオスフィア》を主役に据えたオリジナルデッキを紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
目次
今回の1枚
《ダークネス・ネオスフィア》
【 効果モンスター 】
星 10 / 闇 / 悪魔族 / 攻4000 / 守4000
このカードは通常召喚できない。相手モンスターの攻撃宣言時、自分の手札・フィールド上から悪魔族モンスターをそれぞれ1体ずつ墓地へ送る事でのみ、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。このカードは戦闘では破壊されない。1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する罠カードを全て手札に戻す事ができる。
さて、今回の主役となるのはもちろんこのカードについて、おさらいしていきいましょう。
皆さんご存じ、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』のラスボスであるダークネスが使用したエースモンスターですね。
作中では【ダークネス】永続罠カード(OCG未登場)を使い、主人公である遊城十代をさまざまな形で苦しめました。
このカードは通常召喚できない。相手モンスターの攻撃宣言時、自分の手札・フィールド上から悪魔族モンスターをそれぞれ1体ずつ墓地へ送る事でのみ、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
《ダークネス・ネオスフィア》の効果外テキスト
この《ダークネス・ネオスフィア》は相手モンスターの攻撃宣言時に、自分の手札とフィールドから1体ずつ悪魔族モンスターを墓地へ送ることで、手札から特殊召喚することができます。
また「~~でのみ」とあるように、この方法以外での特殊召喚はできず、蘇生制限を満たしていても墓地や除外から特殊召喚することはできません。
この厳しい条件を満たすため、「どのようにして手札とフィールドに悪魔族モンスターを呼び出しつつ、相手に攻撃宣言を行わせるか」というところが、このカードを活用する上で重要な考え方となってきます。
1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する罠カードを全て手札に戻す事ができる。
《ダークネス・ネオスフィア》の効果
そしてモンスター効果は、自分フィールド上に表側表示で存在する罠カードを手札に戻すという、いわゆるセルフバウンス効果となっています。
とくに《デモンズ・チェーン》や《リビングデッドの呼び声》といったフィールドに残しやすい永続罠カードと相性が良く、うまく活用すれば何度でも再利用することが可能です。
しかしながら、言い換えれば永続罠カードを使わなければただの召喚が難しい大型モンスターであり、非常に高速化している現代遊戯王でそんな悠長なことをしている余裕があるのかと言われると正直厳しいという、なんとも時代錯誤なカードなんだろうというところでもあります。
「なるほど。これは重症だな」
このカードはステータスこそ攻守4000・レベル10・闇属性・悪魔族と非常に優秀ですが、その召喚条件はあまりにも厳しすぎます。
手札・フィールドに悪魔族モンスターを用意している上で、相手モンスターの攻撃宣言という受け身なタイミングでの特殊召喚。
このカード自体に戦闘破壊耐性こそあるものの、破壊やバウンスなどの除去効果はそのまま受けてしまうので、出した相手ターン中に除去されてしまうこともしばしば。
それならば、このカードを特殊召喚せずに手札・フィールドの悪魔族を温存しておいた方がマシという体たらく。
現代遊戯王なら、「この効果で特殊召喚したこのカードは、このターンのエンドフェイズまで相手のカードの効果を受けない」くらい付いていても良いのでは? と思うところですよね。
またセルフバウンス効果も罠カードに限定されており、その他のセルフバウンスモンスターと比較しても非常に扱いづらいモンスターと言えるでしょう。
セルフバウンスの ”三種の神器” と呼ばれるモンスターたちはいずれもSモンスターであるため、いくらかデッキ・EXデッキの枠を必要とするものの、まちがいなく《ダークネス・ネオスフィア》よりは活用しやすいものばかりとなっています。
「セルフバウンス三銃士を連れてきたよ」「セルフバウンス三銃士?」
しかも重い召喚条件があるにもかかわらず、蘇生制限を満たしていても蘇生不可。
蘇生さえできれば、一度呼び出して《リビングデッドの呼び声》などの永続罠カードの蘇生効果を活用すればサイクルギミックも考えられそうなのに、それすら許されないという扱いの不遇さ。
そのため、「このカードを出すためのギミック」と「このカードを維持するためのギミック」、そして「このカードの効果を最大限に活かすためのギミック」の3つを必要とするわけですね。
いや、めっちゃ無理難題なんだよね。これ実際。
カードの特性を活かすための思考
……とまあここまで散々な良いようでしたが、数多くのカードが登場している現代遊戯王であれば「このカードを出すだけ」なら、実はそれほど難しくはありません。
【悪魔族】や【闇属性】のサポートカードには優秀なものが多く、《ダークネス・ネオスフィア》の召喚条件となる悪魔族モンスターを用意することは容易に行うことができます。
また《スモール・ワールド》や《ユニオン・キャリアー》+《Vivid Tail》などの汎用カード・ギミックを活用すれば《ダークネス・ネオスフィア》をサーチも可能で、上記の【悪魔族】【闇属性】ギミックと併用すればすぐにフィールドに呼びだすことができるでしょう。
現代の遊戯王では、こうした展開ギミックやサーチギミックが豊富にあるため、いわゆるマイナーカード(クソカード)であっても、アクセスすること自体は意外と簡単にできてしまったりします。
しかし今回のデッキにおいては、主役である《ダークネス・ネオスフィア》をサーチするギミックは ”あえて” 採用しませんでした。
なぜなら、もし対戦相手がこのカードをサーチしていて、相手フィールドに悪魔族モンスターが存在している場合、あなたはわざわざ攻撃宣言を行いますか?
そんな訳ありませんよね。
このように、手札に《ダークネス・ネオスフィア》があることを知られてしまうと、相手が「攻撃宣言をしない」という選択を与えることとなってしまいます。
もちろん、《最終突撃命令》や《竜星の極み》を活用すれば相手に攻撃宣言を強要することもできますが、それならば《ダークネス・ネオスフィア》以外のコンボも併用するなどのもう一工夫が欲しいところでしょう。
(そもそも「攻撃宣言を強要する」という効果自体が《ダークネス・ネオスフィア》のようなモンスターの存在を間接的に知らせてしまう、というのが個人的にはネックでした)
そういう訳で、今回のデッキでは「不意の《ダークネス・ネオスフィア》で相手をビビらせる」というのをコンセプトのひとつに置くこととしました。
そのため【悪魔族】を活用した「受けループ」と罠カードを活用した「ドローサイクル」を組み合わせ、無理やり《ダークネス・ネオスフィア》を手札に引き込むという方針を取っています。
幸いなことに、《ダークネス・ネオスフィア》は名前こそ知られているものの、その効果までしっかりと把握している人はごく少数のカードです。(マイナーカードたるゆえん)
そのため、【悪魔族】や【ラビュリンス】の展開でデッキを ”偽装” しつつ、相手の精神的なスキを突いて、《ダークネス・ネオスフィア》の着地を目指していくという動きを目指すようにしました。
デッキレシピ紹介
レシピなのか。
メインデッキのおよそ半分が罠カードという異常なデッキです。(罠デッキとしてはわりと普通)
《ダークネス・ネオスフィア》を活用するための永続罠カードと、【ラビュリンス】ギミックのパーツである通常罠カードを併用するため、このような配分となりました。
ここからは採用している各カードについて、解説していきます。
各カードの解説
【悪魔族】ギミック
《暗黒の招来神》
効果モンスター 】
星 2 / 闇 / 悪魔族 / 攻0 / 守0
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれか1体、またはそのいずれかのカード名が記された、「暗黒の招来神」以外のカード1枚をデッキから手札に加える。②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに攻撃力と守備力が0の悪魔族モンスター1体を召喚できる。
《魔界発現世行きデスガイド》
【 効果モンスター 】
星 3 / 闇 / 悪魔族 / 攻1000 / 守600
このカードが召喚に成功した時、手札・デッキからレベル3の悪魔族モンスター1体を特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、シンクロ素材にもできない。
出典:遊戯王OCGカードデータベース
このデッキの初動ギミックとなるモンスターたちです。
後述する《能力吸収石》ギミックで重要となる、《デコード・トーカー・ヒートソウル》と《リンクリボー》を一度に用意できるため採用しています。
とくに《デコード・トーカー・ヒートソウル》は、ライフを1000支払うことで1ドローできる効果を持っており、相手ターンにも使えるのでこのデッキのコンセプトと非常にマッチしています。
②:自分・相手ターンに1000LPを払って発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。その後、自分のLPが2000以下の場合、以下の効果を適用できる。●フィールドのこのカードを除外し、EXデッキから「デコード・トーカー・ヒートソウル」以外のリンク3以下のサイバース族モンスター1体を特殊召喚する。
《デコード・トーカー・ヒートソウル》の②の効果
《デコード・トーカー・ヒートソウル》を呼び出す展開ルートの例
- 手札から《暗黒の招来神》を召喚して効果を発動、デッキから《七精の解門》を手札に加える
- 手札から《七精の解門》を発動し、デッキから《混沌の召喚神》を手札に加える
- 手札から《混沌の召喚神》を召喚(《暗黒の招来神》による追加召喚権)
- 《暗黒の招来神》《混沌の召喚神》を素材として、《プロキシー・F・マジシャン》をL召喚
- 手札1枚を捨てて《七精の解門》の効果を発動し、墓地の《混沌の召喚神》を特殊召喚
- 《混沌の召喚神》を素材として、《リンクリボー》をL召喚
- 《プロキシー・F・マジシャン》《リンクリボー》を素材として、《デコード・トーカー・ヒートソウル》をL召喚
- 手札から《魔界発現世行きデスガイド》を召喚して効果を発動、デッキから《クリッター》を特殊召喚
- 《魔界発現世行きデスガイド》《クリッター》を素材として、《プロキシー・F・マジシャン》をL召喚
- 《クリッター》の効果を発動し、デッキから《ジェスター・コンフィ》を手札に加える
- 手札から《ジェスター・コンフィ》を特殊召喚
- 《ジェスター・コンフィ》を素材として、《リンクリボー》をL召喚
- 《プロキシー・F・マジシャン》《リンクリボー》を素材として、《デコード・トーカー・ヒートソウル》をL召喚
また《暗黒の招来神》からサーチできる《七精の解門》は、維持さえできれば毎ターンフィールドに悪魔族モンスターを供給できるカードでもあるため、《ダークネス・ネオスフィア》の召喚条件を満たすための一助として活用することができます。
このデッキでは、とくに《マジシャンズ・ソウルズ》と《魔術師の再演》を採用がそれにあたります。
このデッキは通常罠カードと永続罠カード、そして《七精の解門》と扱うため、魔法・罠ゾーンを圧迫してしまうことが多いです。
不要となった魔法・罠カードをドローに変換できる《マジシャンズ・ソウルズ》と、それを蘇生する効果を持った永続魔法《魔術師の再演》で、その問題を解消しているという訳ですね。
【ラビュリンス】ギミック
《白銀の城の火吹炉》
【 効果モンスター 】
星 2 / 闇 / 悪魔族 / 攻0 / 守2000
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、手札を1枚捨てて発動できる。
手札・デッキから「ラビュリンス」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このカードが墓地に存在する状態で、自分の通常罠カードの効果でモンスターがフィールドから離れた場合に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
《白銀の城の竜飾灯》
【 効果モンスター 】
星 3 / 闇 / 悪魔族 / 攻1500 / 守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、手札を1枚捨てて発動できる。
手札・デッキから「ラビュリンス」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
②:このカードが墓地に存在する状態で、自分の通常罠カードの効果でモンスターがフィールドから離れた場合に発動できる。
このカードを手札に加える。
【ラビュリンス】魔法・罠カードを手札・デッキからセットする共通効果を持った、【ラビュリンス】のモンスターたちです。
このデッキでは、【ラビュリンス】をリクルートできる《ウェルカム・ラビュリンス》、モンスターの攻撃宣言をカード除去に変換できる《フェアーウェルカム・ラビュリンス》にアクセスできるカードとして採用しています。
これらの動きは、後述する【通常罠】ドローギミックを用いた「受けループ」へとつながっていきます。
また通常罠カードの効果でモンスターが除去されると、処理後に《白銀の城の火吹炉》がフィールドに、《白銀の城の竜飾灯》が手札に戻ってきます。
この効果によって《悪魔の技》や《フェアーウェルカム・ラビュリンス》で相手を除去しつつ、《ダークネス・ネオスフィア》の召喚条件となる手札・フィールドの悪魔族モンスターを一度に用意することが可能となります。
【邪悪霊】ギミック
《怨念の邪悪霊》
【 効果モンスター 】
星 3 / 闇 / 悪魔族 / 攻1600 / 守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、自分の墓地の悪魔族・レベル8モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。②:このカードが墓地に存在し、悪魔族・レベル8モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを手札に加える。
《抹殺の邪悪霊》
【 効果モンスター 】
星 3 / 闇 / 悪魔族 / 攻1600 / 守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:相手モンスターが攻撃するダメージステップ開始時に、自分の手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、自分の墓地の悪魔族・レベル8モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、攻撃対象をそのモンスターに移し替えてダメージ計算を行う。②:このカードが墓地に存在し、悪魔族・レベル8モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを手札に加える。
《カース・ネクロフィア》
【 効果モンスター 】
星 8 / 闇 / 悪魔族 / 攻2800 / 守2200
このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:除外されている自分の悪魔族モンスター3体を対象として発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、対象のモンスターをデッキに戻す。②:モンスターゾーンのこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを墓地から特殊召喚する。その後、自分フィールドの魔法・罠カードのカード名の種類の数まで相手フィールドのカードを選んで破壊できる。
こちらも、このデッキの「受けループ」のギミックのひとつです。
《怨念の邪悪霊》《抹殺の邪悪霊》の効果で《カース・ネクロフィア》を蘇生、そして《カース・ネクロフィア》が墓地へ送られることでそれら【邪悪霊】を手札に回収。
この2つの動きを循環させることで、手札・フィールドに悪魔族モンスターを供給し続けることが可能となります。
また《カース・ネクロフィア》は、自身が相手によって破壊されて墓地へ送られたターンのエンドフェイズに、自身を蘇生して自分フィールドの魔法・罠カードの種類の数だけ相手のカードを破壊する効果を持っています。
このカードを出している状態で相手がわざわざ攻撃してくることはほとんどありませんが、永続罠カードを主体とするこのデッキでは非常に強力な除去手段でもあります。
そのため状況によっては、わざと自爆特攻させて除去効果を誘発させるという戦術を取っていくことことができるので、このデッキの影のエースとなっています。
《能力吸収石》ギミック
《能力吸収石》
【 永続罠 】
モンスターの効果が発動する度に、このカードに魔石カウンターを1つ置く(最大2つまで)。このカードに魔石カウンターが2つ乗っている場合、フィールド上に表側表示で存在するモンスターは、効果を発動する事ができず無効化される。エンドフェイズ時、このカードに乗っている魔石カウンターを全て取り除く。
このデッキの最大の強みとなっている、最強の永続罠カードです。(あくまで個人の感想)
このカードの効果を把握している人は、おそらくすべてのYPのうち2%も存在しないことでしょう。
モンスターの効果が発動する度に、このカードに魔石カウンターを1つ置く(最大2つまで)。
《能力吸収石》の効果
このカードに魔石カウンターが2つ乗っている場合、フィールド上に表側表示で存在するモンスターは、効果を発動する事ができず無効化される。
エンドフェイズ時、このカードに乗っている魔石カウンターを全て取り除く。
要約すると、《能力吸収石》が存在する間にモンスター効果が2回発動すると、お互いのフィールド上のモンスターが無効化され、効果の発動もできなくなってしまうというカードです。
つまり、条件を満たせばあの《スキルドレイン》と同様の効果、なんなら「効果の発動もできない」ため《スキルドレイン》よりも強力なメタ効果を持った永続罠カードと言えます。
ただ、この「モンスターの効果の発動」が「2回」というのがミソなんですね。
現状では汎用のリンクモンスターである《トロイメア・フェニックス》などといった、モンスター効果による魔法・罠除去が主流となっています。
ただ単に《能力吸収石》を発動するだけでは、相手にモンスターを展開されて《トロイメア・フェニックス》をL召喚からの魔法・罠カード破壊効果を発動されて、簡単に除去されてしまいます。
そのため、このデッキにはフリーチェーンで効果を発動できるモンスターをいくつも採用しています。
デッキから罠をセットできる《白銀の城の火吹炉》《白銀の城の竜飾灯》、相手の効果発動に誘発する《怨念の邪悪霊》、ドロー効果持ちの《デコード・トーカー・ヒートソウル》、レベル1モンスターから変換できる《リンクリボー》などがこれに当てはまります。
相手フィールドのモンスター効果にチェーンする形で、上記から2つ以上誘発させれば、逆順処理の過程で魔石カウンターが2つ乗るため、結果的に相手モンスターの効果を不発にすることができます。
また《白銀の城の火吹炉》や《白銀の城の竜飾灯》、《怨念の邪悪霊》や《抹殺の邪悪霊》、《カース・ネクロフィア》などの効果は手札や墓地で発動するため、《能力吸収石》の影響下であっても問題なく効果を適用することができます。
もちろん、このデッキの主役である《ダークネス・ネオスフィア》は手札で発動するので、こちらも問題なく特殊召喚することが可能です。
【通常罠】ドローギミック
《フェアーウェルカム・ラビュリンス》
【 通常罠 】
①:自分フィールドに悪魔族モンスターが存在する場合、自分または相手モンスターの攻撃宣言時に、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
その攻撃を無効にし、対象のカードを破壊する。
その後、手札・デッキから「ラビュリンス」カード以外の通常罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットできる。
《貪欲な瓶》
【 通常罠 】
「貪欲な瓶」は1ターンに1枚しか発動できない。
①:「貪欲な瓶」以外の自分の墓地のカード5枚を対象として発動できる。
そのカード5枚をデッキに加えてシャッフルする。
その後、自分はデッキから1枚ドローする。
《転生の予言》
《白銀の城の火吹炉》《白銀の城の竜飾灯》からアクセスできる、《フェアーウェルカム・ラビュリンス》を用いたギミックです。
《フェアーウェルカム・ラビュリンス》はモンスターの行為劇宣言を無効にしてカード破壊を行い、破壊処理が適用されるデッキから通常罠カードをセットすることができます。
このときに《貪欲な瓶》をセットすることで、《フェアーウェルカム・ラビュリンス》をデッキに戻しつつ、1ドロー効果を適用してドローエンジンとして機能させることができます。
同じく通常罠カードである《転生の予言》を用いれば、《貪欲な瓶》もデッキに戻すことができ、また《転生の予言》も《貪欲な瓶》でデッキに戻すことができます。
これによって、《フェアーウェルカム・ラビュリンス》で攻撃を無効にしつつカード除去をしながら《貪欲な瓶》または《転生の予言》をセット、そして《貪欲な瓶》で《フェアーウェルカム・ラビュリンス》をデッキに戻しつつ1ドローするという、「受けループ」を成立させています。
その他【永続罠】カード
《澱神アポピス》
【 永続罠 】
①:自分・相手のメインフェイズに発動できる。
このカードは発動後、通常モンスター(爬虫類族・地・星6・攻2000/守2200)となり、モンスターゾーンに特殊召喚する。
このカードは罠カードとしても扱う。
自分フィールドに他の永続罠カードが存在する場合、さらにその数まで相手フィールドの表側表示のカードを選んでその効果をターン終了時まで無効にできる。
《安全地帯》
【 永続罠 】
フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターは相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されない。また、選択したモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃する事はできない。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターがフィールド上から離れた時このカードを破壊する。
こちらは、《ダークネス・ネオスフィア》と相性が良い永続罠カードたちです。
①:自分・相手のメインフェイズに発動できる。
《澱神アポピス》の①の効果
このカードは発動後、通常モンスター(爬虫類族・地・星6・攻2000/守2200)となり、モンスターゾーンに特殊召喚する。
このカードは罠カードとしても扱う。
自分フィールドに他の永続罠カードが存在する場合、さらにその数まで相手フィールドの表側表示のカードを選んでその効果をターン終了時まで無効にできる。
《澱神アポピス》は特殊召喚が可能な罠モンスターであり、永続罠カードが存在する際に相手カードを無効化する効果を内蔵しています。
永続罠カードを主体とするデッキの弱点である魔法・罠除去に対して強くできるほか、罠カードであるため《能力吸収石》の影響下でも問題なく使える強力なカードとなっています。
特殊召喚した後もこのカードは罠カードでもあるため、《ダークネス・ネオスフィア》の効果でバウンスして再利用することができます。
フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターは相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されない。また、選択したモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃する事はできない。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターがフィールド上から離れた時このカードを破壊する
《安全地帯》の効果
《安全地帯》は、セルフバウンスを活用するデッキでは採用されることが多い、汎用の永続罠カードです。
発動時に対象とした自分のモンスターを守るだけでなく、あえて相手モンスターを対象にしてからこのカードをバウンスすることで相手モンスターを破壊するという、攻防一体のカードとして機能させることができます。
またこれら以外に《デモンズ・チェーン》や《リビングデッドの呼び声》といった汎用の永続罠カードも、もちろん採用しています。
これらのカードは「対象となったモンスターが破壊されると、自身も破壊される」という古いタイプの永続罠カードです。
現代遊戯王ではリンク召喚などの素材としてすぐにモンスターをフィールドから離すことができるため、魔法・罠ゾーンに残ってしまうこれらの永続罠カードはすこし使いづらいものとなっています。
ですがこのデッキではセルフバウンスで再利用できるため、このデメリットをメリットとして活用できます。
【コラム】デッキコンセプトを貫くということ
オリジナルのデッキを組んでいる上で、誰もが一度は向き合うこととなる問題ですよね。
デッキ構築で悩みが発生したとき、そのほとんどは「理想(コンセプト)と現実のズレ」が原因となっています。
- 「想定していたよりもデッキパワーが低い(想定よりも周りのデッキが強い)」
- 「想定したよりもコンボが回らない(不純物なパーツが多い、そもそもコンボの敷居が高い)」
- 「想定したコンボをする前に相手に勝ってしまう(コンボまで順序を組み立てられていない)」
おおむね、このようなものが挙げられるでしょうか。
これれらの悩みは、デッキビルダーの皆さんであれば、常に悩まされていることでしょう。
もちろん私自身、よくこういう悩みにぶち当たります。
今回の《ダークネス・ネオスフィア》のデッキを使う上でも、悩むところがたくさんありました。
- 罠主体のデッキなのに《白銀の城のラビュリンス》や《白銀の迷宮城》を採用しないのか → 「永続罠を主体として戦う」というコンセプトから外れてしまう。【ラビュリンス】を除去・ドローギミックと割り切る
- 【彼岸】ギミックの採用の是非 → 「ガトルダンテ」ギミックとは好相性ではあるが、それなら3軸に寄せて別のデッキにした方が良いと判断した
- 攻撃強要カードを採用するのかどうか → それならネオスフィア出すより高打点だしてモンスター除去にしたほうが強い、《No.2 蚊学忍者シャドー・モスキート》みたいなカードのほうが派手で面白い
- 場に出したネオスフィアをどのように守るか → 《能力吸収石》や《澱神アポピス》で相手カードを無力化して維持を目指す
- 複数セルフバウンスで対抗馬となる《宇宙砦ゴルガー》との差別化 → 【悪魔族】や手札誘発としての特性を活かす
- 《七精の解門》と相性の良い《黄金卿エルドリッチ》を採用するかどうか → 手軽に用意できるレベル10や自分の魔法・罠ゾーンの管理にも好相性だが、単純にエルドだけで勝ててしまうので一旦サイドボードへ
こうした悩みと向き合う中で、私が重要と考えたのがこのデッキのコンセプトでした。
「どのような勝ち方をしたいか」「このデッキに何を求めているのか」
そこを今一度、見直そうとなったわけですね。
デッキのコンセプトの設定
今回の記事の主題でもありますように、《ダークネス・ネオスフィア》はマイナーカードです。
これは言い換えれば「多くの人が知らないカードを使うことができる」ということでもあります。
しかも《ダークネス・ネオスフィア》は高打点の大型モンスターでありながら手札誘発モンスターでもあったため、それなら「相手に《ダークネス・ネオスフィア》の存在を悟られず、相手の不意を突いて出した方が面白いんじゃないか?」と考え、それをデッキのコンセプトに据えました。
こうした考えから《ダークネス・ネオスフィア》のサーチギミックを採用せず、ドローギミックを活用して手札に引き込むという方向性を目指していくことにしました。
そして【ラビュリンス】や【悪魔族】を主軸に展開してデッキを偽装し、「受けループ」で相手が攻撃宣言せざるを得ない状況を作って誘い、隙を見て《ダークネス・ネオスフィア》を降臨させる、というような道筋を立てました。
もちろん、ここに至るまでにいくらか「割り切らなければならなかった」ものもたくさんありました。(デッキパワーの設定や、難易度の高いコンボの切り捨てなど)
しかしながら試行錯誤した甲斐あって、構築はかなりクセの強いものとなりましたが、プレイング次第である程度まで戦えるデッキに仕上がりました。
このデッキの「受けループ」も「ドローギミック」もしっかり機能していましたし、勝てた試合ではすべて《ダークネス・ネオスフィア》の降臨と効果の活用が実行できていました。
これもひとえに、「自分のデッキコンセプトに対する理解」と、それに応じた「適切なカードの選択」ができていた結果だと、自負しています。
おわりに
いかがだったでしょうか。
名前こそ知られているものの使っている人はほとんど見ないカード、《ダークネス・ネオスフィア》を主軸としたオリジナルデッキの紹介でした。
さすがに環境デッキや準環境デッキ相手では手も足もでませんが、きちんと相手デッキのパワーと合わせることができれば、非常に面白い戦いを演じることができるデッキに仕上がった自信があります。
また、ここまでいくらかお話しましたが、そもそもとして「デッキビルドは自由である」のが大前提です。
小難しい採用理由なんて、べつに必要ありません。思い思いの好きなカードを、好きなように使ってあげればそれでいいのです。
今回の記事が、すべてのデッキビルダーの助けに少しでもなってくれれば幸いに思います。
ここまでのご精読、ありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。それでは!