こんにちは、神結です。
寒い季節が続きますが如何お過ごしでしょうか。
デュエマはといいますと、2022年度の締めとなる大会の大枠が発表されました。
チャンピオンズカーニバルという仮タイトルが設定されておりましたが、最強位決定戦という名称を変更されています。まぁ、参加者全員がチャンピオンだったというわけでもないので、いい名称変更かもしれません。
恐らくですが、優勝した方が最強位というタイトルを獲得出来るのでしょう。タイトル戦は翌年以降も続くかは微妙ですが、
さて、 デュエマの名試合を皆様にお届けするGreat Match of DuelMasters、略してGoD。 名勝負の世界に、皆様をご案内しましょう。
今回はGP1stより約半年ほど遡って、全国大会2014の決勝戦の試合をご紹介したいと思います。
この試合は私がデュエマに復帰して最初に見た「競技的なイベント」ですね。当時はカバレージもなく、また大会も現在とはかなり違う形式での開催となっておりました。
そんなこの試合の主役ですが、北陸最強のプレイヤーであるMGR選手でした。
目次
2014年度以前の全国大会
全国大会2014(デュエマ甲子園)が開催されたのは2015年1月25日。GP1stの開催が2015年8月1日なので、だいたいその半年前ですね。
当時はデュエマ競技化前夜といったところで、恐らくこの時期は半年後のGP開催に向けて内部では大変忙しかったことでしょう。
さて、いつの年からなのかは私もちょっと正確に把握してはいないのですが、2014年度の全国大会は次世代ワールドホビーフェア(WHF)という小学館主催のイベント会場での開催となっております。
WHFというのは、すんごい大きなイベントだと思っていただければOKです。
WHFの詳細やデュエマとの関係は本当に長くなるのでここでは省略しますが、デュエマブースの中で開催されるというのが全国大会だったんですね。
この時、全国大会に出場出来るのはエリア予選を勝ち抜いたプレイヤーのみでした。当時はGP枠もなければ、当然DMPランキング枠もありません。
2015年からはGPの参加枠を加えて単独での開催へと舵を切ることとなったので、この年がちょうど境目ということになります。
そしてなんと! この年はやはり競技化を見据えてということもあったのでしょうか。決勝戦の様子が動画にて公開されております。
ちなみにこのオープンクラスというのは年齢制限なしのレギュレーションで、当時は「レギュラー」「オープン」に分かれていました。
なおレギュラークラスは小学生以下のレギュレーションであり、この年の決勝は【黒緑速攻】 vs 【5cキューブ】。5cキューブ側が強力なトリガーや《超次元ホワイトグリーン・ホール》で制圧し、見事優勝を果たしています。
展開か、制圧か
さて、オープンクラス決勝の話をしていきましょう。
当時はドラゴンサーガの最終章である「超戦ガイネクスト極×真」の発売前であり、ざっくり言うと《超戦龍覇 モルトNEXT》&《闘将銀河城 ハートバーン》、《極・龍覇 ヘルボロフ》&《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》、《真・龍覇 ヘブンズロージア》&《真聖教会 エンドレス・ヘブン》といった、後の環境まで果てしない影響を与え続けるカードたちはまだ世に存在していませんでした。
環境に関してはレギュラークラスの決勝にも進出した【5cキューブ】や【黒緑速攻】の他にも【白刃鬼】、そして既に《邪帝斧 ボアロアックス》は存在しているので【イメンブーゴ】のようなデッキたちが主なところでしょう。
当時の記録(参考文献に明記しています)を参照すると、全国大会に出場した16名のデッキ分布はイメンが5人で最多。
続いて墓地ソ、白刃鬼となっており、イメンが強力というのがプレイヤーたちの認識だったようです。
ただそんな中、決勝に残ったのはMGR選手の【ドロマーイエス】とizanagi選手の【白単サザン】という組み合わせでした。
ドロマーイエス(MGR選手使用)
白単サザンルネッサンス(izanagi選手使用)
それぞれのデッキについて
サザンやイエスがどんなデッキだったかというのは……特にイエスについてはこのリストを中心に、以前「名作デッキ」のコラムの方でも取り上げておりますので、そちらも参考にしてみてください。
さて、それぞれのデッキについて補足しておきましょう。
【 クリーチャー 】
種族 エンジェル・コマンド・ドラゴン / 文明 光 / パワー7000 / コスト7
■ブロッカー
■シンパシー:光のコスト3以下のクリーチャー(このクリーチャーの召喚する時支払うコストは、バトルゾーンにある自分の光のコスト3以下のクリーチャー1体につき1少なくなる。ただし、コストは1より少なくならない)
■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分の光のコスト3以下のクリーチャー1体につき、カードを1枚引いてもよい。
■W・ブレイカー
まずはサザンですが、《タイム1 ドレミ》や《タイム3 シド》と青白多色の優秀な小型クリーチャーが登場するまで、サザンは基本的に白単(或いは本当にタッチで《セブ・コアクマン》などのドロソを入れる)が一般的でした。
となると気になるのはゲームの再現性ですが、《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》を直引きするか、《セブ・コアクマン》などのドロソを引くかというのを毎回繰り返すのはまぁまぁ再現性に欠けます。
ではサザンがどういうゲームを指向していたかというと、「メタカードによる封殺」です。
上記のリストを見てもハンデス封じの《聖鐘の翼 ティグヌス》は別軸ですが、呪文トリガー封殺の《瞬封の使徒サグラダ・ファミリア》、手打ち呪文を許さない《剛厳の使徒シュライバー》、そしてアタッカー兼呪文封じの《サイレンス トパーズ》といったメタクリを多投し、メタクリによるビートプランを重視しているのがわかります。
最速サザンをしなくとも、メタクリでゲームを伸ばしながら相手に決定打を与えず、何処かで《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》を引くのを待って、引いたら一気に展開して畳みかける……ということであれば、ゲームの再現性は高そうです。
サザンは「クロックパーミッション」的な要素を強く持っていたと言えるでしょう。
一方のイエスが目指すのは制圧です。
【 クロスギア 】
種族 サムライ / 文明 光/闇 / パワー- / コスト2
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
クロスギア
これをクロスしたクリーチャーのパワーは+4000され、「ブロッカー」を得る。
これをクロスしたクリーチャーが攻撃する時、相手の手札を見ないで1枚選び、捨てさせる。
こちらも序盤のゲームにおいてはメタクリを重視していますが、最終的目指すのはサザンと違った方向性になります。パーミッション的な考えよりも、コントロールを重視するのがイエスです。
イエスによるハンデスとパワーパンプで、盤面の質を向上させ、最終的には強力な超次元クリーチャーを複数展開して、圧殺を目指します。
だからコントロールする時間を稼ぐまでゲームを作るため、メタクリが投入されるわけです。そこからの超次元展開を目指していきます。
先にマウントを取れるなら覚醒しやすくそれでいて脅威になれる《時空の雷龍チャクラ》が強く、コントロールを強く意識するなら《時空の封殺ディアス Z》が強力です。
極論イエスがなくてもゲームが出来るようにはなっていますが、詰めるときにはやっぱりイエスの力が大きく、最終的には盤面には置きたいカードですね。
この両者の対決となると、呪文封殺に寄せているサザン側はある程度イエス側に対して時間を貰えそうです。しかしシュライバーでは《超次元シャイニー・ホール》は止まらないので、イエス側も充分な対抗手段があると言えます。
果たしてサザンが展開して押し切るか、それともイエスがそれを捌いてコントロールに成功するのか。
盤面の攻防の勝負を鍵となるでしょう。
封殺の悪魔、覚醒せよ
さて、試合はizanagi選手のサザン側が先攻を持ちます。
ゲーム序盤はサザンペースで、《瞬封の使徒サグラダ・ファミリア》→《希望の親衛隊ラプソディ》+《聖鐘の翼 ティグヌス》と展開していきます。そして、サグラダで幸先よく1ブレイク。
izanagi選手側は後続に《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》が控えており、先4サザンで圧倒的なアドバンテージを得ようというわけです。実際これはサザンの想定する最強の動きであると言えます。
またティグヌスのお陰で不意の妨害にも強くなっていることから、このサザンはおおよそ着地します。
こうなるとMGR選手のイエス側は後手と言うこともあってかなり苦しそうに見えますが、1枚の殿堂カードが助けにやってきます。
《王機聖者ミル・アーマ》。
【 クリーチャー 】
種族 グレートメカオー / イニシエート / 文明 光/水 / パワー3000 / コスト3
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
自分の呪文を唱えるコストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
現在では4枚使えるカードですが、当時の基準で言えばブロッカーで呪文軽減を持っているこのカードは殿堂であっても入れる価値は高いカードでした。特に超次元呪文を1ターン早く撃てるというのは、それだけで大きなアドバンテージです。
加えてこの状況ではブロッカーによってシールドを守れたのが、結果としてかなり大きかったと言えるでしょう。
想定通りに先4サザンが着地して3ドローを稼いだものの、ここはミルアーマの壁が高く1ターン停止。そしてそこに、1軽減からの《超次元ミカド・ホール》が刺さります。
【 呪文 】
文明 闇 / パワー- / コスト5
バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。このターン、そのクリーチャーのパワーは-2000される。(パワー0以下のクリーチャーは破壊される)
コスト9以下の闇のサイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(ゲーム開始時、サイキック・クリーチャーは山札には含めず、自分の超次元ゾーンに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す)
フィニッシュが見えない中で、盤面を地道に潰されていくのはサザンとしてはかなりやられたくない状況です。
呪文を止めるカードが展開出来なかったため、このカードが直撃した感じです。先4サザンはサザン視点では最強の動きではあるのですが、この試合に限って言えば、引きたかったのは《サイレンス トパーズ》だったでしょう。
そして何より、ミカドホールから出てきたのが《時空の封殺ディアス Z》だったというのもかなり痛かった。
【 サイキック・クリーチャー 】
種族 デーモン・コマンド / ドラゴン・ゾンビ / 文明 闇 / パワー7000 / コスト8
■殲滅返霊4(このクリーチャーが攻撃する時、自分または相手の墓地からカードを4枚選んでもよい。あるいは両方の墓地からカードを4枚ずつ選んでもよい。選んだカードを好きな順序で持ち主の山札の一番下に置く。こうして選んだカード4枚につき、このクリーチャーの◎能力を使う)
◎相手は、バトルゾーンまたは手札から自身のカードを1枚選び、山札の一番下に置く。
■W・ブレイカー
■覚醒−自分のターンの終わりに、そのターン、相手のクリーチャーが3体以上バトルゾーンを離れていた場合、このクリーチャーをコストの大きい方に裏返す。
■エヴィル・ソウル
【覚醒後】
カード名:殲滅の覚醒者ディアボロス Z
カードの種類:サイキック・クリーチャー
文明:闇
種族:デーモン・コマンド
パワー:18000
コスト:16マナ
マナ:-
■バトルゾーンにある相手のクリーチャーすべてのパワーは−5000される。(パワー0以下のクリーチャーは破壊される)
■バトルゾーンにある自分の他のクリーチャーすべてのパワーは+5000される。
■Q・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを4枚ブレイクする)
■解除(このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、バトルゾーンを離れるかわりにコストの小さい方に裏返す)
■エヴィル・ソウル
イエス側といては、このカードが着地するのは願ったり叶ったりな展開でしょう。逆にサザンにとってはあまりにも大きな時限爆弾です。
デッキの構成上、低コストクリーチャーでゲームをするサザンは、ディアスが覚醒したらその時点で“詰み”です。
サザン側としてはクリーチャーを3体破壊されるターンを作ってはいけないのですが、1枚1枚のカードパワーの低いサザンは展開しないと勝てないジレンマを抱えています。
サザン側は、慎重に展開していく道を選びます。例えば破壊に強い《純潔の翼 メダロス》などを繰り出して行きますが、《希望の親衛隊ファンク》まで出されて、まず1000ラインのクリーチャーが許されなくなりました。
それでも《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》によるドローを続けていき、メダロス+サザンの攻撃と併せて残シールドを1まで追い込んでいきます。
まさにギリギリの攻防です。
サザン側の盤面も残っているため、イエス側も状況次第では頓死します。一旦ミカド+ガンヴィートで盤面を返しますが、サザン側もシュライバーの召喚でまだ食い下がっていきます。
ただし時間が経てば経つほど、イエス側の盤面は強固になっていきます。MGR選手は、対サザンに自信を持っていたという話だけに、迷いがありません。
じわりじわりと状況が悪化していくサザン。イエス側の手札に《光牙忍ライデン》や《天使と悪魔の墳墓》が確定している中で、最後に活路を求めるべく《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》を召喚してドローを稼ぎますが……。
サザンが2体並んだことで、墳墓が起動。
こればかりは、サザン側もどうしょうもなかったでしょう。3体破壊され、《時空の封殺ディアス Z》が覚醒、《殲滅の覚醒者ディアボロス Z》が誕生します。
こうなると、サザン側に残された道は敗北を受け入れることしかありません。
MGR選手が見事な大局観によって、大一番での勝利を手にしたのです。
終わりに
というわけで、GP1stより以前の試合である全国大会2014決勝の紹介となりました。
冒頭にも書いたんですが、この試合は私がデュエマに復帰したから初めてみた「競技イベント」であり、かなり思い出深い一戦です。
ここで優勝したMGR選手とは後に何回かお会いすることになっていますが、まさかそんな機会があるとは当時思いませんでした。完全に雲の上の人でしたからね。
MGR選手は後の全国大会2017にも出場。2019年度も優勝回数だけでみればライキングTOP3、そしてGPでも活躍を見せるなど、今でも北陸最強のプレイヤーと言ってよいでしょう。
この大会以降、デュエマは競技シーンに力を入れていくことにはなります。
2014年度はそのちょうど境界といいますが、歴史の入り口とも言えるのがこの一戦だったのかなぁと思っています。
というわけで、今回はここまで。
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それではまた次回の記事でお会いしましょう。
参考文献
【大会結果】全国大会2014デュエマ甲子園 日本一決定戦インタビュー(DM:Akashic Record) URL:http://dm.akrecord.com/reading/metagame/1831