月から訪れた魂を媒介に、奇跡の結合が実現した。
《腐敗電脳メルニア》 フレーバーテキスト
二つの文明を併せ持つ、すなわち多色のカードが初登場した『聖拳編』。
ストーリーにおいても、1弾から続く長い戦いの物語が(ひとまずの)終わりを迎えます。
激動の超獣世界を、改めて振り返りましょう!
……と。
申し遅れましたが、こんにちは・あるいははじめまして! 第4回トレカライターコロシアムの結果を受け、このたび所属ライターとなりました「ばにら(スガワラ)」と申します。
今回から、デュエマの背景ストーリーをはじめとする豆知識やコラムをご紹介していきたいと思います。どうぞよろしくお付き合いください!
目次
0、前回までのあらすじ
1~9弾までのストーリーは以前の記事でご紹介しましたが、ざっくりあらすじを振り返っておきましょう。
光、水、闇、火、自然。
5つの文明は、謎の大爆発がもたらした天変地異によって、滅亡の危機を迎えました。
生き残りをかけた、長い戦乱が始まります。
戦いの中、事態の打開を求め手を組んだ火と自然の若者たちは、伝説の超神龍を復活させてしまいます。
復活したドラゴンに対して、光文明は対ドラゴン兵器メカ・デル・ソルを起動。圧倒的な力を持つ両者の激突は、各地に壊滅的な被害をもたらします。
と、駆け足でのご紹介となりましたが、以上が9弾まで、つまりデュエマ最初の2年間の物語となります。詳細はこちらにてお読みいただけます!
1、虹色の融合 ~DM-10 聖拳編~
果てしない力を持つドラゴンと、無尽蔵の太陽エネルギーを持つメカ・デル・ソルの戦いはあまりに長く、また沈静化する気配もありませんでした。
地獄と化した世界に生きる住人たちは、ただ祈ることしかできません。
その祈りが届いたのでしょうか。協力関係にあった2文明の儀式は、偶然にもクリーチャーを融合させました。
2文明を併せ持つ、レインボー獣の誕生です。
能力を飛躍的に向上させる融合技術は、またたく間に世界に広まりました。
けれど、レインボー獣たちは力を得たからこそ争います。文明の枠組みを超えたことで、時には同文明内でさえも。
さらに、ドラゴンと光文明の戦いもまた、激化の一途を辿っていました。
多彩な能力を持つ新戦力を投入する光軍が徐々に優勢となります。
《光器リュドミーラ》は不死身の能力を、S・トリガーブロッカーは奇襲能力を表現しているようです。力押しでは戦いにくいドラゴンに対して、テクニカルに戦う様子が見て取れます。
そんな光とドラゴンの激戦の中、《陽炎の守護者ブルー・メルキス》の砲撃で1体のアース・ドラゴンが致命傷を負います。
死にゆくアース・ドラゴンは、最後の力を振り絞り、生き残ったアーマード・ドラゴンと融合を試みました。火と自然のレインボードラゴン、《無双竜機ボルバルザーク》の誕生です。
《ボルバルザーク》の追加ターン獲得&強制敗北は、融合に最後の望みを賭けたドラゴンを示しているのかもしれません。
ともあれ、《ボルバルザーク》は圧倒的な力で、光軍を半壊させます。
そんな光軍を支援したのが、水文明でした。
サイバーロード達が、月面に眠るサイバー・ムーンを起動したのです。
さらに、月と太陽とドラゴンの衝突が、地底深くで新たな生命を生み出しました。スピリット・クォーツです。
突如として襲来した新たな勢力に、世界には一層の混乱がもたらされました。
2、急襲・ウェーブストライカー ~DM-11 無限軍団の飛翔~
レインボーの誕生は、世界の勢力図を塗り替えました。生き残るためにレインボー化をする者は後を絶ちません。
文明の力を融合させた秘術=レインボー呪文もまた出現しました。
呪文の使い手がレインボー化したことで、一歩遅れてレインボー呪文が登場する……というのは世界観とカードの展開がリンクしていて秀逸ですね。
さて、レインボーが広まる一方で、安易なレインボー化を拒んだ者たちも存在しました。
手を組むことはあっても、自らの文明を誇り、融合という一線は越えない。時代の流れに取り残された彼らは、絶滅の危機に瀕します。
そうしたクリーチャーたちの団結は強まり、やがてレインボーを憎むようになります。
反レインボー軍となった彼らは、無限軍団を名乗り、レインボー狩りを開始しました。
結構むちゃくちゃな逆恨みですね……
中心人物となったのは闇文明の《薔薇侯爵ハザリア》。ウェーブストライカー能力に目覚めた無限軍団の飛翔が始まります。
3、命の炎が輝くとき ~DM-12 魔封魂の融合~
無限軍団に対して後れを取ったレインボー軍は、緊急会談を行い協力体制を確立。デュアル進化を開発します。
奇襲に秀でたデュアル進化の戦線投入により、戦況は逆転。無限軍団は翻弄されます。 中でもデュアル進化五大将軍の一角、《超機動魔獣ギガランデス》は圧倒的な力で無限軍団を壊滅に追い込みました。
しかし、難敵を排除した《ギガランデス》軍は、あろうことか次の標的を「デュアル進化できないレインボー獣」に定めます。デュアル進化が他のレインボーを蹂躙する、恐怖政治が始まったのです。
世界の住人たちは、ふたたび絶望の中を祈ります。
そんな中、全生命の源とされる世界の最奥部「仙界」で奇跡が起こりました。
星の命の炎が輝く時に復活するとされた、5体の王が目覚めたのです。
王たちは蘇ると、支配階級にあった巨獣たちを葬り去ります。 伝説の進化ドラゴン《超竜バジュラ》ですら、王の中で最も非力とされる《英霊王スターマン》に一撃で粉砕されました。
余談ですが、「パワー9000の《スターマン》がどうやって《バジュラ》を倒したんだ」というのは、当時からずっとネタにされ続けていますね。
ともかく、王による粛清に、全ての生命が恐怖します。
桁違いの力を振りかざす王の前には、ただ怯えるしかできないのでしょうか。
4、虹色の終焉 ~DM-13 龍炎鳳神誕~
王たちの圧倒的な力の前に、各文明は最後の手段として、究極のレインボー化……すなわち敵対文明との融合を試みます。相反する力が生み出す、かつてない力を求めて。
しかし、敵対色レインボー獣すら王の前では無力でした。
王に挑み、そして敗れる戦士たち。超神龍の復活から続く世界の絶望は、いよいよ頂点に達します。
その時、仙界が大噴火を起こします。 溢れだす溶岩の中、大気圏を突き破る火柱とともに、最後の王《龍炎鳳エターナル・フェニックス》が誕生したのです。
5体の王は、《エターナル・フェニックス》の元に急行しますが、最後の王の力は圧倒的でした。《英霊王スターマン》《邪魂王ナーガ》《聖獣王ペガサス》の3体は一撃で消し飛ばされます。
残った3体の王、フェニックスは激闘を開始します。
空間が震え続け、誰も逃げ出せない世界で、戦いは7日間続きました。
そして8日目の夜明け。
突如として世界は沈黙します。
七色に輝く光の玉が空に浮かび、弾けると、世界を覆う炎と粉塵は静まり、世界は虹色に輝きました。
気が付くと、3体のフェニックスはどこにもいませんでした。
けれども、生き残った者たちは信じました。きっと、龍炎鳳が勝利したのだ……と。
《エターナル・フェニックス》が「破壊された時」ではなく「バトルゾーンを離れた時」に恵みをもたらすこと、進化クリーチャーだけは帰ってこないことは、ストーリーの余韻を美しく表現していると感じます。
■このクリーチャーがバトルゾーンを離れた時、進化クリーチャーではない火のクリーチャーをすべて自分の墓地から自分の手札に戻す。
5、戦いは終わり……
それから200年。
戦いの傷は癒え、新たな魔導具と、伝説の転生が訪れた世界。
……のお話は、またの機会に。
余談
実はこの時代の背景ストーリーは、フレーバーテキストであまり触れられておらず、不明瞭な点も多くあります。特に、スピリット・クォーツや月の力についてはよく分からないままに終わった部分が目立ちます。
世界の大局や戦争の様子が描かれていない一方で、個々の状況やセリフを描いたフレーバーが豊富なのも、この時期の特徴。
そのため、「戦災に苦しむ」という展開が続く割に、どこかのんびりした場面も見られます。
《城神兵バガッシュ》なんかは、火文明の日常が垣間見えるようなほっこりしたフレーバーテキストですね。
こうした、味わい深いイラストやフレーバーもデュエマの魅力ですので、折を見てご紹介したいなと思います。
ご要望があれば、お気軽にコメントくださいね!
【参考資料】
デュエル・マスターズ 全方位カードファイルMAX
デュエル・マスターズ 全方位カードファイル5・6 (以上、いずれも小学館)