こんにちは。北白河と申します。日曜日も元気に更新です。嘘です。予約投稿です。
この企画「今日の一枚」では「今バズっているカード」「今高騰しているカード」「今話題のカード」「往年の名カード」「今北白河の中でアツいカード」など、独断と偏見で北白河が選んだカードを不定期(週三回くらい更新できたらいいな)で毎日1枚取り上げて語っていきます。
というわけで、おやすみの日も変わらずやっていきましょう。それでは、今日のカードはこちら。
《Black Lotus》
【 Mono Artifact 】
【文明】ゼロ
【コスト】0
■このArtifactがバトルゾーンに出た時、封印を3つ付ける。(カードを封印するには、自分の山札の上から1枚目を裏向きのままそのカードの上に置く)
■自分のターンのはじめに、このArtifactに付けた封印を1つ、自分の山札の一番下に置く。
■このArtifactの封印がすべてなくなった時、これを自分の墓地に置く。このターン中、次にカードを使う時、そのコストを最大3少なくしてもよい。ただし、コストは0より少なくはならない。
美につける値段は?
マジック:ザ・ギャザリングコラボカードとして登場したこのカード。異様な封入率の低さとコレクション価値から非常に高額で取引されるMono Artifactですが、そもそもこの花はいったい何なのでしょうか。
その初出は1993年。この世に初めてTCGという概念が生まれたのと同時に、この花は咲きました。マジック:ザ・ギャザリング(以下、MtG)の最初のパック(通称アルファ版)に封入されたレアカードの一枚として世に出た《Black Lotus》。その効果を端的に表現すると「0マナで使うと、3マナを出す」。……計算がおかしい!さんすうエアプか?
こんなぶっ壊れ効果になったのも実は理由がありまして、当時MtG開発部はこのゲームが世界的な人気を巻き起こすとは1ミリも考えておらず「確かに強いカードだけどレアカードだからあんまり出ないだろう」「いくら強くてもレアカードをわざわざ必死こいて集めて勝とうとするプレイヤーはいないだろう」と考えていたのです。この理論を裏付けるがごとく、「1マナ3ドロー」「2マナ追加ターン」「1ターンに何枚でもマナに置けるカード」といったぶっ壊れレアカードが同時に印刷されています。
ほどなくして、開発部はその間違いに気付くことになります。世界初のTCGとしての斬新さ・面白さもあってMtGは飛ぶように売れ、同時に「レアカードをわざわざ必死こいて集めて勝とうとするプレイヤー」がこの世には腐るほどいることが浮き彫りになったのです。特に《Black Lotus》についてはそのイラストの美しさから「レアカードをわざわざ必死こいて集めようとするコレクター」の存在もついでに浮き彫りにしました。
そしてそのあまりの強さを反省した開発部は《Black Lotus》をはじめとする強すぎるカードのデザインを改めると同時に以降のパックにこれらを収録するのをやめ、特殊なフォーマット(ルール)以外での制限・使用禁止措置を出したといいます。めでたしめでたし。
……とはいかないのが世の常。パックに収録されないということはこの世にこれ以上出回らないということで、プレイヤーやコレクターの間でこれらのカードの価値は高騰。今では状態の悪いものでも数十万、状態の良いものなら1000万円以上の値がついています。「カードと同じ面積の都内一等地より高い」と揶揄されたりもしましたね。
「考えてもみてよ」「こんなに美しい花が、みにくい物欲を起こさせるなんてね」
そんな超強力・高額カードの《Black Lotus》ですが、こちらに来るにあたってだいぶ能力に修正がかかっています。0マナであるのは変わりませんが、封印を用いた3ターンのタイムラグとマナそのものを出すのではなく軽減という形になり、だいぶ悪さをしにくくなっています。この効果はMtGの《睡蓮の花》というカードの再現になっています。
「《睡蓮の花》ってなんだよ!」とお思いの方も多いでしょうから説明いたしますと、MtGでも「調整版《Black Lotus》を作ろう!」という目的で色々試行錯誤がなされており、そのうちの一枚になります。デュエマの 《Black Lotus》 と同じく、普通に使うと0マナで使ってから3ターンのタイムラグのある3マナ加速であることは変わりません。 「オリジナルからだいぶ弱体化してね?」と思われるかもしれませんが、「3マナを出す代わりに手札を全部捨てる」「1マナしか出ない」までやっても相変わらずぶっ壊れていたのでむしろ妥当と言えます。
デュエマの話に戻りますと、調整されたとはいえ殿堂カードの《フェアリー・ギフト》の強化版みたいな効果が使えるならばということで、様々なデッキに採用が検討されています。初手以外で引くと《フェアリー・ギフト》以上に弱いですがリターンとしての「4ターン目にカード1枚で7マナが確定」というインパクトは凄まじいものがあります。
なんとしても重いカードを高速で使いたいプレイヤー需要に加え、その美しさと歴史からくるコレクター需要。さらに「これを逃すと絶対再録されない」という焦りによる需要に加えて、極めつけが異様な封入率の低さからくる供給の少なさ。
……なんだか、どこかで見たことのある状況だと思いませんか?
というわけで《Black Lotus》でした。ちなみに、MtGには0マナで4マナ出せるカードがあるんですよ。コストとしてカードそのものを破く必要がありますが。それでは、次の記事で。
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