目次
この記事は後編となっているので前編を読んでいない方はこちらへ。
あらすじ
前回、神の啓示により遊戯王を始めた私ことターンU。ショップのミス、知らない召喚法、スリーブ違いなど様々なトラブルに見舞われたがなんとか友人とデュエルを始めることに成功する。
今回の物語は、そこから、始まる──。
(友人だけだと味気ないので、彼のことは友人Yと便宜上呼ぶことにします)
祝福されし天才の誕生
そんなこんなで前回《盆回し》の発動に失敗してしまったわけだが、実は私にはもう一つ《パワーコード・トーカー》をリンク召喚するための秘策があった。戦いとは常に二手三手先を読んで行うものとは、先人の言葉だ。そしてその秘策というのが、皆さんご存知《ゴブリンドバーグ》と《ドングルドングリ》である。
《ゴブリンドバーグ》の効果で《ドングルドングリ》を特殊召喚すると何が起こるか? そう、モンスターがトークン含め3体並ぶのである。
そしてここで《パワーコード・トーカー》のアローヘッドを確認してみよう。
召喚条件は、「モンスター3体」。よってここに、私のエースモンスターが初降臨するのである!
これには友人Yも「やるやん」の一言。そうだろうそうだろう。遊戯王界のアーサー・ペンドラゴンの名は伊達では無い。ん?あれ、ジャンヌだっけ? まぁとりあえず革命を起こす風雲児であることに変わりはないのだ。
続いて友人のターン。召喚してきたのは《RR-バニシングレイニアス》。
そしてそのまま効果を発動。手札から「RR」モンスターを特殊召喚しようとしてくる。
正直言って、「RR」というデッキが何をしてどうするデッキなのかは一切不明である。だがしかし、遊戯王では1ターンでの召喚は1度きりであるのがルールだ。これを許せばきっと《パワーコード・トーカー》のような強力なカードが登場するのは想像に難くない。そう、おそらくは《RR-超ムキムキゴリラマッチョマン》が登場するのだろう。それは阻止せねばならない。
そこで私は《パワーコード・トーカー》の恐ろしい効果を発動することにした。そう、《パワーコード・トーカー》には
1ターンに1度、フィールドの表側表示のモンスターを対象として発動できる。そのモンスターの効果をターン終了まで無効にする。
という効果があるのだ!この効果を使えば《RR-バニシングレイニアス》の効果を無効にすることができる!
これには友人も「マジで!?」の一言。そうだろうそうだろう。遊戯王界の《パワーコード・トーカー》の名は伊達では無い。私のエースモンスターは最強なのである!
えー……皆さんはご存じだとは思うのだが、もちろん相手ターンに《パワーコード・トーカー》のモンスター効果を無効にする効果を使うことはできない。なぜならば、これは「起動効果」であるからだ。今更言うまでもないとは思うが、基本的に「この効果は相手ターンでも使うことができる」と書いていない誘発型ではない効果は相手ターンに使うことはできない。
だが、当時の私は始めたばかりでそんなルールがあることを知らなかった。友人Yも、スマホを介したオンラインデュエルであるため、《パワーコード・トーカー》の効果を聞いても「フーン、そういうのもあるのか」と納得してしまった。これはそのために起こってしまった悲しい事故なのである。
とまぁそんなルールミスがあったとはいえ、私は《RR-超ムキムキマッチョゴリラキング》の降臨を阻止することに成した。そして友人Yはそのまま何もせずにターンエンド。私は次のターンを手に入れたのである。
しかしながら私の手札にはモンスターが存在しない。仕方が無いので《パワーコード・トーカー》で《RR-バニシングレイニアス》を攻撃、一枚伏せてターンエンド。
勝てる、このままいけば勝てるぞ! 私の場に《パワーコード・トーカー》さえいれば、友人Yはモンスターの効果を発動しても無効化される。(ほんとはできないけど)祝え! 友人Yよ、お前は今天才遊戯王プレイヤーの誕生の瞬間に立ち会っているのだ!
神に見初められし者
続いて再び友人のターン。召喚したのは《RR-ラストストリクス》。そしてそのまま効果を発動。
なるほど、それが一体どんな効果かはよく知らないが、《パワーコード・トーカー》(とルールミス)の前ではどんなカードも無力である。私は勿論効果を無効に……。
出来なかった。
カードがリリースされてしまっているからである。
そして出てきたのは《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》。更に友人Yはダメ押しの《RUM-スキップフォース》を発動。出てきたのは《RR-アルティメット・ファルコン》。
なんと《パワーコード・トーカー》の妨害を挟む暇もなく、友人Yは自身のエースモンスターを降臨させることに成功したのである。敵の卑怯なカードを掻い潜ってのこれはもう控えめに言って私よりも主人公。彼こそが遊戯王界の白瀬矗。卑怯なオリジナル効果を持ったモンスターで戦っている私などはグールズのようなものだ。
だが、グールズにはグールズの誇りがある。私の伏せカードは《豪炎のバリア-ファイアーフォース》。これでヤツのエースモンスターなど焼き払うことが……。
カードの効果、受けないそうです。
いや、Yさん本気過ぎやしませんかね? こちとら初デュエルですよ? 完全耐性って、ねぇ?
こうしてあっさりとエースモンスターを焼き払われた私は、友人Yにボコボコにされたのでした。南無。
などと言うつもりは全く無い!!
「デュエリストたる者、LPが0にならない限りは勝負を諦めるべからず」
小学生の頃、遊戯や城之内、海馬達のデュエルを見て私はそう学んだのである。例えそれが5年以上昔のことであったとしても、彼らデュエリストの魂は確かに私の心の中で熱く燃え盛っているのだ。ならば、私は自分のデッキを信じ、ドローするだけである。
そう、これが、私の、いや俺の!
魂を込めた!
ドローだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
来た、逆転のカード!!!
この《サイバース・ガジェット》の効果で《ドングルドングリ》を墓地から特殊召喚すれば、《ドングルドングリ》の効果でトークンが生まれ、もう一度《パワーコード・トーカー》をリンク召喚することが出来る!
それでも《RR-アルティメット・ファルコン》に攻撃力が届かない? いや、《パワーコード・トーカー》にはリンク先のモンスターをリリースすることによって攻撃力を元々の倍にする能力がある! しかも《サイバース・ガジェット》はフィールドから離れるとガジェットトークンを生み出すのでリリースするためのモンスターもバッチリ確保できている!!
嗚呼、なんと理想的なカード、これこそまさに切り札。神が私に与えたもうたカード!やはり私はグールズなどではなく、ジャンヌ・ダルクになるための存在だったのである!!
さぁ行くぞ友人Yよ。初心者に対して完全耐性を持つモンスターを出すなどと言う貴様の傲りきったその心、私が神の名の下に粛清してくれよう!
「《サイバース・ガジェット》召喚!効果を発動!!」
「《エフェクト・ヴェーラー》」
おぉ神よ、何故私を見捨てたもうた……。
こうして私は初デュエルにして遊戯王の洗礼を嫌と言うほど味わったのでした、ちゃんちゃん。
あとがき
今回は私の遊戯王初体験について皆さんに読んでいただいたが、いかがだっただろうか? 皆さんもこの機会に初めて遊戯王に触ったときのことを思い出してみていただきたいと思う。
それでは今回はここまで。ありがとうございました。