目次
はじめに
サイコロを振るのは好きでしょうか。私は大好きです。
タイトルからすでに不穏な空気が漂っていますが気にせず始めましょう。どうも皆さん初めまして、普段は自分の遊戯王ブログ(incitebrain.com)で遊戯王に関する記事を書いている白金将(しろがね しょう)と言う者です。
《ダイス・ポット》
【 効果モンスター 】
星 3 / 光 / 岩石族 / 攻200 / 守300
リバース:お互いにサイコロを1回ずつ振る。相手より小さい目が出たプレイヤーは、相手の出た目によって以下のダメージを受ける。
相手の出た目が2~5だった場合、相手の出た目×500ポイントダメージを受ける。相手の出た目が6だった場合、6000ポイントダメージを受ける。
お互いの出た目が同じだった場合はサイコロを振り直す。
《ダイス・ポット》、いいですよね。今日も健康的な色の舌で何よりです。このカードが2017年の世界大会で【チェーンバーン】にピン差しされていた、というのは有名な話でした。まさか《召喚獣メルカバー》で《ダイス・ポット》の効果が無効にされるだなんて誰も想像しなかったことでしょう。
既に存在するデッキだと《リバース・リユース》で相手に《ダイス・ポット》を2体送りつけてから《召喚制限-猛突するモンスター》で反転させ、こちらへ与えられるだろうダメージを《リフレクト・ネイチャー》で相手へのダメージに変換することでワンショットキルを行うものがあります。これでも十分にすごいのですが、今回はもっと別のものを考えてみたいと思います。
今回紹介するのは【カオスループ】のギミックを取り入れた「無限《ダイス・ポット》システム」のデッキです。一度発動に成功したらもはや誰も止められません。どちらかのライフが枯れるまでずっとサイコロを振り続けることになります。昔から構想自体はあるデッキですが、現代のカードプールでしっかり組んでみましょう。
デッキコンセプト紹介
この【無限《ダイス・ポット》システム】は《ダイス・ポット》によるバーンダメージで相手のライフを削っていくデッキです。一回の発動ではなかなか勝利できないため「一度に何度も効果発動させる」ことを目指し、最終的には《カオスポッド》《召喚制限-猛突するモンスター》を利用して無限ループを作ることを完成形とします。
《カオスポッド》
【 効果モンスター 】
星3 / 地属性 / 岩石族 / 攻800 / 守700
リバース:フィールド上のモンスターを全て持ち主のデッキに加えてシャッフルする。その後、お互いのプレイヤーはそれぞれのデッキに加えた数と同じ数のモンスターが出るまでデッキをめくり、その中からレベル4以下のモンスターを全て裏側守備表示で特殊召喚する。それ以外のめくったカードは全て墓地へ捨てる。
《召喚制限-猛突するモンスター》
【 永続罠 】
このカードがフィールド上に存在する場合にモンスターが特殊召喚に成功した時、そのモンスターを表側攻撃表示にする。そのターンそのモンスターが攻撃可能な場合には攻撃しなければならない。
《カオスポッド》のリバース効果により裏側守備表示で特殊召喚された後、《召喚制限-猛突するモンスター》の効果によって特殊召喚されたモンスターは攻撃表示になります。そしてこの時にまたリバース効果が発動し、その中に《カオスポッド》があるならばまた最初から……というのが【カオスループ】の基本ギミックとなっています。
ループを起こすためには《カオスポッド》の効果で特殊召喚されたモンスターの中に《カオスポッド》が1体以上含まれている必要があります。また、これに付随して特殊召喚されるモンスターによってループの性格が決まるわけです。今回は《ダイス・ポット》をこのループに絡ませてリバース効果によるバーンダメージを狙っていきましょう。
ただ、口で言うのは簡単ですがこれを形にするとなれば大変です。
上記のギミックを成立させるために最低限必要となるカードをまとめると以下のようになります。
- 《ダイス・ポット》
- 《カオスポッド》
- 《召喚制限-猛突するモンスター》
- 最初の《カオスポッド》をリバースさせるカード
運用の際には《カオスポッド》で《カオスポッド》を当てる確率を上げる必要があり、そのために「デッキ内の他のモンスターを減らす」「初動地点での盤面のモンスター数を増やす」ことを念頭に置かなければいけません。現代遊戯王のカードプールでこの難題に挑戦してみましょう。
考察1:必要なカードを洗い出す
《カオスポッド》《召喚制限-猛突するモンスター》でループを発生させながら《ダイス・ポット》によるダメージを狙っていく……というギミックを成立させるために必要なカードをもう一度おさらいすると以下のようになります。また、今回はデッキとして考えていくために5番目の項も追加しました。
- 《ダイス・ポット》
- 《カオスポッド》
- 《召喚制限-猛突するモンスター》
- 最初の《カオスポッド》をリバースさせるカード
- メインデッキに入る他のモンスターカード ←NEW !!
デッキ全体の形を仕上げていくため、実際に名前の出ていないカードを決めていきましょう。今回、この4番目のカードに選んだのが、第10期に登場した「クローラー」カテゴリの永続罠カードである《星遺物の傀儡》です。
《星遺物の傀儡》
【 永続罠 】
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:自分フィールドの裏側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを表側攻撃表示または表側守備表示にする。
②:自分の墓地の「クローラー」モンスター1体をデッキに戻し、自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。
この①の効果で裏側守備表示のモンスターをリバースさせてリバース効果の発動を狙います。「星遺物」カードであることを生かして《星遺物の醒存》によって手札に引き込みましょう。あちらの効果でこのカードをサーチすることができればついでに4枚分の墓地肥やしも実現します。
最大の利点はやはり自分・相手ターンに安定してリバースできることです。罠カードのため実際に活用するのは多くの場合相手ターンからとなりますが、相手ターン中に《カオスポッド》のリバース効果を発動させることで相手の盤面を文字通りの混沌に巻き込めます。状況が整っていればそのままこちらの《ダイス・ポット》によるバーンも入るでしょう。
実際にリバースさせるカードは《星遺物の傀儡》に決まりました。さて、あとはっきりしていないのは「メインデッキに入る他のモンスターカード」です。
デッキの中を最適化するならば《カオスポッド》《ダイス・ポット》のみを投入し、他を魔法・罠カードで統一することでループを完成させることはできます。ただそのような考え方は昔からありました。どうせ作るなら現代遊戯王のカードプールに即した物を作りましょう。というわけで、今回はこの2体の他にも数多くのモンスターカードを採用していきます。
白羽の矢が立ったのは――「ティンダングル」カードです。
《ティンダングル・ジレルス》
【 効果モンスター 】
星 3 / 闇 / 悪魔族 / 攻0 / 守1800
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが手札にある場合、このカード以外の手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「ティンダングル・ジレルス」以外の「ティンダングル」カード1枚を墓地へ送り、このカードを裏側守備表示で特殊召喚する。
②:このカードがリバースした場合に発動できる。デッキから「ティンダングル・ジレルス」以外のリバースモンスター1体を選び、手札に加えるか墓地へ送る。
【ティンダングル】は「闇属性・悪魔族」のリバースモンスターによるビートダウンデッキです。カテゴリの関連カードにはリバースモンスターに関する効果、裏側守備表示でセットする効果がたくさんあり、先程の《星遺物の傀儡》といったサポートカードを共有することができます。また、上記の《ティンダングル・ジレルス》では実際に《カオスポッド》《ダイス・ポット》をサーチすることができる他、デッキ内の「ティンダングル」カードを墓地へ送ることでデッキ圧縮も行えます。これによってループの成功確率も上がるわけですね。
なお、ティンダングルを選んだ大きな理由はもう一つあります。
それは「ループに失敗してもデメリットがそこまで大きくない」ことです。
ループを完成させるための必須カードである《召喚制限-猛突するモンスター》は永続罠で、こればっかりはどうしてもサーチが現実的ではありません。できないこともないのですが、デッキから手札に引き込むことを考えるとそれだけで本来のループギミックが圧迫される羽目になります。そのため、今回のレシピでは初手から100%ループを成功させるような一人回しは狙わず、できる時にループを始める、という形式をとることにします。
《ティンダングル・アキュート・ケルベロス》
【 リンクモンスター 】
星 3 / 闇 / 悪魔族 / 攻0 /
「ティンダングル」モンスター3体
①:自分の墓地に「ティンダングル・ベース・ガードナー」を含む「ティンダングル」モンスターが3種類以上存在する場合、このカードの攻撃力は3000アップする。
②:このカードの攻撃力は、このカードのリンク先の「ティンダングル」モンスターの数×500アップする。
③:このカードが攻撃宣言したバトルフェイズ終了時に発動できる。自分フィールドに「ティンダングルトークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。
【LINK-3:左下/上/右下】
「ティンダングル」が闇属性であることから《闇の誘惑》といったカード、そして《魔神童》といった墓地で効果発動するモンスターがいることから《手札断殺》といったカードを採用しています。これによって《召喚制限-猛突するモンスター》が手札に来るのを待つことになるでしょう。
もし《召喚制限-猛突するモンスター》が来なくとも《カオスポッド》の威力が衰えることはありません。その気になったら《星遺物の傀儡》や《ティンダングル・アポストル》でリバースさせて相手の盤面をぶっ壊しましょう。こちらのモンスターもリセットされることになりますが、リバースモンスター揃いの【ティンダングル】では裏側表示でセットされることもメリットになります。
なんなら【ティンダングル】のまま勝っても構いません。やや回すのは難しい部類ですが、エースモンスターの《ティンダングル・アキュート・ケルベロス》は状況次第で攻撃力4000にも届きます。《ティンダングル・ドールス》をリンク素材にしてるなら3回攻撃もできますし、そのままビートダウンもできるでしょう。
考察2:《カオスポッド》で《カオスポッド》を引き当てる確率を上げるには?
さて、使うカードは決まりました。《ダイス・ポット》等の基本カードに「ティンダングル」カテゴリを合わせ、リバースモンスターで戦うデッキの秘密兵器として「カオスループ」を組み込んでいきます。
ここで最初に書いたことを思い出してみましょう。
運用の際には《カオスポッド》で《カオスポッド》を当てる確率を上げる必要があり、そのために「デッキ内の他のモンスターを減らす」「初動地点での盤面のモンスター数を増やす」ことを念頭に置かなければいけません 。
思い出しましたね?ここで考えるのは「デッキ内の他のモンスターを減らす」「初動地点での盤面のモンスター数を増やす」ことになります。この二つを同時に実行することで《カオスポッド》で《カオスポッド》を引き当てる確率が上昇し、ループをどんどん続けられるようになるわけですね。これはやるしかない!
――ようこそ、ここはさっきできたばかりの私立《カオスポッド》高校。ここでは「カオスループ」を成立させるためのよりよい構築を――ってちょっと待って。
逃げないでください。大丈夫です、《No.7 ラッキー・ストライプ》の遊戯王wikiみたいな面倒くさい「確率」の話なんてしません。落ち着いてください。
本題に入りますと、ここでは「①:デッキ内の他のモンスターを減らすカード」「②:フィールドにメインデッキのモンスターを並べるカード」について考察します。是非とも両者共に成立させて楽しいループ生活を送りましょう。担当教員の私、白金もサポートさせていただきます。
「デッキ内の他のモンスターを減らすカード」について
他のモンスター、と言ってもここで減らすのは「ティンダングル」モンスターのことですね。まずは「ティンダングル」自体の仕組みについて触れましょう。
実は、タイトルのような働きをするカードは「ティンダングル」内にある程度含まれているんです。また、このカテゴリと相性のいいカードを探すことで自然と上の条件に合うカードもたくさん見つかります。
【ティンダングル】におけるキーカードは2種類です。記事の終盤でデッキレシピを公開しますが、今回のデッキを回すうえで優先度の高い順に見ていくと以下のようになります。
《ティンダングル・ジレルス》
【 効果モンスター 】
星 3 / 闇 / 悪魔族 / 攻0 / 守1800
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが手札にある場合、このカード以外の手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「ティンダングル・ジレルス」以外の「ティンダングル」カード1枚を墓地へ送り、このカードを裏側守備表示で特殊召喚する。
②:このカードがリバースした場合に発動できる。デッキから「ティンダングル・ジレルス」以外のリバースモンスター1体を選び、手札に加えるか墓地へ送る。
《ティンダングル・イントルーダー》
【 効果モンスター 】
星 6 / 闇 / 悪魔族 / 攻2200 / 守0
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがリバースした場合に発動できる。デッキから「ティンダングル」カード1枚を手札に加える。
②:このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ティンダングル」カード1枚を墓地へ送る。
③:このカードが墓地に存在し、自分フィールドにモンスターが裏側守備表示で特殊召喚された場合に発動する。このカードを墓地から裏側守備表示で特殊召喚する。
《ティンダングル・ジレルス》は手札1枚をコストとして捨てることで、デッキから「ティンダングル」カード1枚を墓地へ送りながら自身を裏側守備表示で特殊召喚できます。自身もリバースした際にデッキから「ティンダングル」モンスターをサーチすることができ、1枚で2枚分のデッキ圧縮が見込めることになります。正直このカードにはお世話になりっぱなしです。
また、あらかじめ《ティンダングル・イントルーダー》を墓地へ送っておけば裏側守備表示での特殊召喚に反応して墓地から特殊召喚でき、リバース効果の「ティンダングル」カードのサーチに近づきます。ただ、墓地からの特殊召喚効果の扱いには少しだけ注意が必要で、これについてはまた後述します。
この2枚を軸にして【ティンダングル】を展開していき、その中でも様々なリンクモンスターを活用してデッキ圧縮&キーカードのサーチを行っていきます。特にこのデッキにおいて優秀なリンクモンスターが《サブテラーマリスの妖魔》です。
《サブテラーマリスの妖魔》
【 リンクモンスター 】
星 2 / 地 / 幻竜族 / 攻2000 /
リバースモンスター2体
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードの攻撃力は、このカードのリンク素材とした「サブテラー」モンスターの元々のレベルの合計×100アップする。
②:自分メインフェイズに発動できる。デッキからリバースモンスター1体を墓地へ送り、手札からモンスター1体をこのカードのリンク先に裏側守備表示で特殊召喚する。
③:1ターンに1度、このカードのリンク先のモンスターがリバースした場合に発動する。自分のデッキ・墓地からリバースモンスター1体を選んで手札に加える。
起動効果である②の効果は何のコストもなしにデッキを1枚分圧縮します。これが《魔神童》でしたらあちらの効果で墓地からセットすることも可能で、他にも《ティンダングル・イントルーダー》を墓地へ送ったり、「手札・デッキから墓地へ送られた場合に墓地の『ティンダングル』を裏側守備表示で特殊召喚する」効果を持つ《ティンダングル・ドールス》を墓地へ送っても面白いでしょう。
そしてなんともう一つ、リンク先のリバースモンスターの効果を発動させることで③の効果でデッキ・墓地のリバースモンスターをサーチ&サルベージすることができます。墓地へ送られた《ダイス・ポット》《ティンダングル・ジレルス》を回収する仕事もこなしてくれるわけです。
《サブテラーマリスの妖魔》が持つ2つの効果はデッキ圧縮についてかなり強力に作用します。【ティンダングル】としても優位に立てますが「カオスループ」の成立にもぐっと近づく素晴らしいカードですね。まさに一石二鳥です。
以上のカードを筆頭に、デッキ内の「ティンダングル」モンスターを減らすことのできるカードをある程度箇条書きでまとめると以下の通りになります。これらのカードは後述のデッキレシピでも使っていきますよ。
- 《ティンダングル・ジレルス》
- 《ティンダングル・イントルーダー》
- 《ティンダングル・トリニティ》 ※《ティンダングル・ベース・ガードナー》限定
- 《魔神童》
- 《おろかな埋葬》
- 《手札断殺》 ※手札交換でのドローによる
「フィールドにメインデッキのモンスターを並べるカード」について
さて、デッキ圧縮が終わったので早速《カオスポッド》をリバースしてみましょう。おや? フィールドに《カオスポッド》と《ダイス・ポット》しかいませんね……まあなんとかなるd
これでは、いけませんね。
そりゃあそうに決まってます。《カオスポッド》は「デッキに加えた数と同じ」数のモンスターを再セットする効果を持つため、もともとデッキに戻す枚数が少なかったら話になりません。それなのに、場にモンスター2体だけというのはもはや論外。エクストラデッキのモンスターは頭数に入らないことも忘れてはいけませんね。
ということで、デッキ圧縮と並行して行うのは「フィールドへの展開」です。これに関しては先程取り上げた《ティンダングル・ジレルス》《ティンダングル・イントルーダー》も活躍しますが、《ティンダングル・ドールス》《魔神童》の2枚がかなりいい仕事をしてくれます。
《ティンダングル・ドールス》
【 効果モンスター 】
星 5 / 闇 / 悪魔族 / 攻1000 / 守1000
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが手札・デッキから墓地へ送られた場合、「ティンダングル・ドールス」以外の自分の墓地の「ティンダングル」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示で特殊召喚する。
②:このカードがリバースした場合に発動できる。デッキから魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。
③:このカードをリンク素材とした「ティンダングル」リンクモンスターは1度のバトルフェイズ中に3回攻撃できる。
《魔神童》
【 効果モンスター 】
星 3 / 闇 / 悪魔族 / 攻0 / 守2000
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが手札・デッキから墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを裏側守備表示で特殊召喚する。
②:このカードがリバースした場合に発動できる。デッキから悪魔族モンスター1体を墓地へ送る。
《ティンダングル・ドールス》は手札・デッキから墓地へ送られた場合に墓地にある同名カード以外の「ティンダングル」モンスターを裏側守備表示で特殊召喚します。発動条件は満たしやすく、《ティンダングル・ジレルス》の手札コストや《魔神童》による墓地送り、そして《サブテラーマリスの妖魔》によるコストでの墓地送りが考えられます。今回は《手札断殺》も活用するため効果の発動機会はより増えることでしょう。
そして《魔神童》は同じ条件で自身を墓地から裏側守備表示で特殊召喚します。序盤の盤面形成から中盤以降の数合わせまで幅広く活躍し、リバース時にはその墓地肥やし効果でデッキ圧縮まで手伝ってくれますよ。とっても偉い子ですね。
もう一つ、忘れずに挙げておきたいのが《ティンダングル・エンジェル》です。手札のリバースモンスターをセットできるのは《サブテラーマリスの妖魔》とこのカードだけでしょう。
《ティンダングル・エンジェル》
【 効果モンスター 】
星 4 / 闇 / 悪魔族 / 攻500 / 守1800
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがリバースした場合に発動できる。自分の手札・墓地から「ティンダングル・エンジェル」以外のリバースモンスター1体を選んで裏側守備表示で特殊召喚する。この効果が相手ターンのバトルフェイズに発動した場合、さらにそのバトルフェイズを終了する。
相手ターンのバトルフェイズ強制終了効果も嬉しいところです。しかしこのカードは何よりも、手札に来てしまった《カオスポッド》や《ダイス・ポット》を場に出すのに貢献します。また、既に《召喚制限-猛突するモンスター》が発動している場合はセットよりもこちらの効果で場に出した方が早くリバースできますね。もちろん、通常通り「ティンダングル」モンスターの展開に使っても構いません。
これらのカードを筆頭とした「フィールドにメインデッキのモンスターを並べるカード」を箇条書きでまとめると以下のようになります。
- 《ティンダングル・ジレルス》 ※自身を手札からセット
- 《ティンダングル・イントルーダー》 ※自身を墓地からセット
- 《ティンダングル・ドールス》 ※「ティンダングル」を墓地からセット
- 《魔神童》 ※自身を墓地からセット
- 《ティンダングル・エンジェル》 ※手札・墓地からリバースモンスターをセット
- 《サブテラーマリスの妖魔》 ※手札からリバースモンスターをセット
さて、無事に 「①:デッキ内の他のモンスターを減らすカード」「②:フィールドにメインデッキのモンスターを並べるカード」 でどんなカードを使うかを勉強できたところで、次の考察ではその採用枚数について詰めていきます。
とは言っても、デッキを組むだけならもうここまでの内容を把握するだけで十分です。面倒くさい話が嫌いな人はそのままデッキレシピまで飛ばしちゃってください。次の内容は少しマニアックな考察になります。
考察3:めんどうくさい計算 ~モンスター何枚積む? ループを起こすには何枚圧縮したらいい?
ここからは数学の話になります。上の犬みたいになった人はこの考察は飛ばしても構いません。
扱うのは「《カオスポッド》のリバース効果で《カオスポッド》を再セットする確率=ループを起こす確率」についてです。頭が痛くなってきた人は本当に無理しなくていいですからね。
厳密にやったからと言って劇的に成功率が上がるか、と言われたら正直自分も体感的に微妙なところはあります。ただ、それなりの理論値のようなものはあるはずです。根性ある人はついてきてください。私立《カオスポッド》高校、数学の時間が始まります。
実際にループが起きる確率は?
ここで考察するのは「カオスループ」が成功する確率、すなわち《カオスポッド》のリバース効果で《カオスポッド》を再セットする確率です。これが高ければ高いほどループの発生率は上がっていき、100%になれば無限ループが始まります。とは言っても100%は難しいのでなるべくそれに近づけていきたいところです。
まずは前提条件を整えます。ここで扱うのは「モンスター」は《カオスポッド》と「それ以外のモンスター」だけです。
つまり、「デッキに戻った際、デッキからレベル3以下のモンスターを特殊召喚する効果」を持つ《ナーガ》のようなモンスターは今、私の宇宙から消失しました。さよならナーガ、いい奴だったよ。あとついでに《寄生虫パラサイド》も私の宇宙の歴史から消えました。すまねえな、羽蛾!
そして次は数を定義します。
ここで使う数は以下の二つだけです。
- フィールドに存在する、元々の持ち主が自分である、メインデッキに入るモンスターカードの合計枚数(これをmとする)
- メインデッキの中に存在するモンスター数(これをnとする)
遊戯王をやっている方なら上の二つがどのような数を表しているかはお分かりですね? つまり、《リバース・リユース》等で相手フィールド上に特殊召喚されているリバースモンスターもしっかり計算に入っている、というわけです。
では上の二つの数、mとnで式を作っていきましょう。今回求める「《カオスポッド》で《カオスポッド》を再びセットする確率」は以下の式から求められます。画像でまとめたのでご覧ください。
この式で大体どのような状況でも確率を導くことができます。と言っても式のままだとあんまりピンときませんよね。
そんなあなたのために!
よかれと思って、以上の式を「LibreOffice Calc」にねじ込んで表を作っておきました。ご査収ください!
これを見てもらうと分かるんですが、確率を100%にするには結構茨の道となります。《カオスポッド》でループ発生させる際はどの辺りを目指すか参考にしてみてください。ちなみに「ティンダングル」は《ティンダングル・ドロネー》の墓地効果もあって結構盤面にモンスターが並ぶため、4体くらいならまぁ狙える範囲となります。
デッキレシピ紹介
さて、小難しい話が終わったところでようやくデッキレシピの紹介に映ります。これまで様々なカードを取り上げてきましたが、ここで一旦まとめておきましょう。
- 《ダイス・ポット》
- 《カオスポッド》
- 《召喚制限-猛突するモンスター》
- 《星遺物の傀儡》《星遺物の醒存》
- 「ティンダングル」関連カード
【無限《ダイス・ポット》システム】を実現するべく以上のカードを組み合わせたレシピは以下の通りになります。
デッキに関する追記
さて、ここまで長らくこのデッキについて語りましたが、興味を持たれた方はいらっしゃるでしょうか。《ダイス・ポット》でサイコロをずっと転がしていたい読者のためにこのデッキの使い方で注意するべき点を書き記しておきます。
《ティンダングル・イントルーダー》について
《ティンダングル・イントルーダー》
【 効果モンスター 】
星 6 / 闇 / 悪魔族 / 攻2200 / 守0
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがリバースした場合に発動できる。デッキから「ティンダングル」カード1枚を手札に加える。
②:このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ティンダングル」カード1枚を墓地へ送る。
③:このカードが墓地に存在し、自分フィールドにモンスターが裏側守備表示で特殊召喚された場合に発動する。このカードを墓地から裏側守備表示で特殊召喚する。
リバースした際にデッキから「ティンダングル」カードをサーチできるこのカードですが、【ティンダングル】を運用される際はきっと③の効果による墓地からの裏側守備表示での特殊召喚を狙われることでしょう。ここでの注意ですが、《ティンダングル・イントルーダー》を以下のカードと利用した場合、少し気を付けなければいけないことが出てきます。
- 《ティンダングル・ジレルス》
- 《サブテラーマリスの妖魔》
この2体、それぞれ効果に「デッキから『ティンダングル』カード1枚を墓地へ送り、このカードを裏側守備表示で特殊召喚する」「 デッキからリバースモンスター1体を墓地へ送り、手札からモンスター1体をこのカードのリンク先に裏側守備表示で特殊召喚する 」と言う効果をそれぞれ持っています。
実はこの二つの効果、墓地送りと特殊召喚は同時のタイミングで行われています。そのため、この効果で《ティンダングル・イントルーダー》を墓地へ送っても③のセット効果は発動しません。一見できそうに錯覚してしまうので気を付けましょう。
《ダイス・ポット》で死にたくない人へ
このデッキ、他のデッキでは入っていそうな《出たら目》や《リフレクト・ネイチャー》といったカードは一切入っておらず、一度「無限《ダイス・ポット》システム」が発動してしまえばどちらが死ぬか分からない戦いになります。いやなんでこんな風にしたの、と思われるかもしれませんが……
どっちが死ぬか分からない戦いって、猛烈にワクワクしません?
や、これは別に僕の主観なのであまり気にしないでください。勿論「勝つためにデッキを使う」という人がいることもわかってます。おそらく《ダイス・ポット》の効果でライフが焼失するのを恐れているのでしょう。わかる、怖いよね。
そんな心配性な貴方が《ダイス・ポット》と和解することを助けてくれるカードがあります。あのバーン効果を無力化するカードはいくつかありますが、おそらくこのデッキに最も合っているのはこのカードです。
《レインボー・ライフ》
【 通常罠 】
手札を1枚捨てる。このターンのエンドフェイズ時まで、自分が受けるダメージは無効になり、その数値分ライフポイントを回復する。
このカード、何がいいって「通常罠」なんです。もともとデッキには《ティンダングル・ドロネー》《リバース・リユース》といった通常罠カードはそこそこ入っているため、そこへ《トラップトリック》と併せて使うことで罠カードにある程度柔軟性を持たせられます。なんなら対応力を上げるために《無限泡影》を入れてもいいでしょうね。
しかも、手札を捨てる効果で《ティンダングル・ドールス》《魔神童》といったカードの効果を発動させられます。サイコロは転がしたいけど死にたくない、という方は是非ともこのような改造を検討してみてください。
おわりに
他のカードゲームだと「無限ループ」がわりとよくあることであるのに対し、遊戯王は無限ループとなるようなものはすぐに不可能になるよう圧をかけられる傾向があります。その中でも《カオスポッド》《召喚制限-猛突するモンスター》を生かした「カオスループ」は長い間ずっと生き残り続けており、今となっては長い歴史における化石デッキの一つになっていました。
この記事のテーマは《ダイス・ポット》で何度もサイコロを転がそう、でしたが、実は、「昔のデッキを今のカードプールで真剣に組み直す」という裏テーマもあったりします。今回は昔ながらの【カオスループ】を現代の【ティンダングル】に組み合わせてみました。
私は「かつて失われたデッキを蘇らせる」ことにロマンを覚える人間です。特に「プレイヤーズデッキ」と呼ばれるものには目がありません。あれには多くのデュエリストたちの努力と知恵が詰まっています。
内容自体は「ティンダングル」を盾にしながらサイコロ転がしてループ&バーンを狙う記事でしたが、もし、この記事を読んでくださっている方で「じゃあ昔使ってたあのデッキを組み直してみるか」と思われた方がいらっしゃるなら書き手冥利に尽きます。
たくさんのデッキが生まれましたが、遊戯王wikiで更新されなくなったものは本当に多いです。ちょっとした歴史の勉強も兼ねていじってみませんか? きっとそこには心躍る世界が待っているはずです。