いいから起源神クロニクルを出せ
こんにちは。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。
いやあついに来ましたね、今年のクロニクルデッキ。特定の名称カテゴリを指定して強くなるデッキと、墓地を自分で肥やして自分で復活させる効果のあるデッキですか。OK、広義の起源神ですね。
というわけで、今回もやっていきましょうか。
この記事があなたの良い暇潰しになれば、これほど嬉しいことはありません。それでは、今日のカードはこちら。
《武闘将軍 カツキング》
【 エグザイル・クリーチャー 】
種族 アウトレイジMAX / 文明 火 / パワー11000 / コスト8
■スピードアタッカー
■W・ブレイカー
■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、そのターン、このクリーチャーはタップされていないクリーチャーを攻撃できる。
■∞(インフィニティ)パワーアタッカー(攻撃中、このクリーチャーのパワーは無限大になる)
■このクリーチャーがバトルに勝った時、シールドを1枚ブレイクする。
■ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《武闘》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
■自分の他の、名前に《武闘》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。
環境からの追放者
色んな意味でデュエマの歴史において異彩を放っている、エピソード3の看板クリーチャーたるカードですね。
これははっきりさせておく必要があるんですが、主人公ではありません。
E3の主人公は、今年になってあり得ないほどのテコ入れが行われているテスタ・ロッサくんです。
ビクトリー枠を一枚ももらえなかったり、途中で死んで退場したりしても主人公ったら主人公なのです。
ともあれそんなカツキング最大の売りは、エグザイル・クリーチャー専用能力「ドロン・ゴー」による破壊を乗り越えての転生。《 武闘龍 カツドン 》破壊時にドロンと手札から登場し、自身が破壊されてもふたたび手札からおかわりできる…というのが売りですね。
マスコットめいた見た目の小型エグザイル・クリーチャーが巨大でかっこいい切札へと変貌を遂げる…というわかりやすいコンセプトは、多くのプレイヤーに受け入れ……
られませんでした。
答えはシンプル。ごく一部の例外を除き、エグザイル・クリーチャーは環境についていく強さを持ち合わせていなかったからです。
どうしてこうなったかについて、ドロン・ゴーという能力に着目しながら少し見ていきましょうか。
ドロン・ゴー持ちエグザイル・クリーチャーの持ち合わせる能力は二つ。
「破壊された時に手札から名称指定で手札から後続を繰り出す」ドロン・ゴーと、フレーバー兼悪用防止として設けられた同名称持ちカードの複数登場を防ぐ能力ですね。
ここで、上記のカードをよく見てください。
これだけで、貴重なテキスト欄が四行消費されました。
なんなら相当無理してフォントサイズ小さくして4行なので、普通なら5行食いますからねこのテキスト。
というわけで、「ここがダメだよドロン・ゴー」その1。テキスト欄を共通能力で圧迫するせいで複雑な能力が持てない。
もう8年前とはいえ、当時はすでにゼニスやらなんやらで能力つめつめフィニッシャーが多数存在していた時代。それをメリット能力一つや二つで覆すのはだいぶ厳しいものがありました。
なんならすでに同名禁止のデメリット能力一個抱えてるからな!
ともあれ、実際に使ってみるとしましょうか。まずは小さい方を出しましょうね。よーし破壊されるのを待つぞー。まだかなー。
だから平成のデュエマにすらそんな暇はねえんだよ!
「ここがダメだよドロン・ゴー」その2。デュエマというゲームにおいて、受動的な能力は基本的に弱い。
侵略に対する革命・革命チェンジに対する侵略ZEROのように、原則としてデュエマにおいては能動的に動くほうがおおむね使い勝手がよくなりがちです。
効果を発揮できるかを相手に委ねるうえ、破壊以外の除去だとご破算になるというリスクがあるのはちょっと致命的です。
自爆特攻で自分から破壊させにいけるカツドンはまだ相当マシなほうで、《 超合金 ロビー 》とかはよほど押してない限りは《 秘拳カツドン破 》などの専用サポートなしではまず誘発できないと言えるでしょう。
ついでに言うと、これに加えて「ドロン・ゴー先をちゃんと手札に抱えている」まで要求されますからね。ここまで織り込み済みで《 ブータン転生 》とかでカバーしなければいけないのはさすがにさすがに。
環境では無理そうなのはまあわかりました。とはいえポケモンの例を見ればわかるように「友達みたいなマスコットがカッコいい切り札に変貌する!」というのがキッズ層に相当の訴求力を持つことは確かです。
ここは哀れなカードパワーにかっこいいイラストを乗せたら大ヒットしたどこかのボ武のように、その方面で使ってもらうことにしましょうか。
……カツキングがパックから出ねえ!
「ここがダメだよドロン・ゴー」その3。特定のカードを指定するので、入手性が最悪。
お小遣いを握りしめてパックを買うようなキッズ層をあざ笑うかの如く、ドロン・ゴー先はどれもこれも高レア。
当時はまだSRやビクトリーの封入率が低い時代でしたから、使おうにも変化前だけが溜まって「カツドンからカツドンにドロン・ゴー!」なんていう本末転倒な遊び方になったりするような悲しいケースもあったでしょう。
ちなみに公式は続くドラゴン・サーガにおいても全く同じミスをやらかし、革命編で封入率改善や特定カードを要求するカードデザインの軽減などを行ってごめんなさいすることになります。
あとこれについてはちょっと後にとんでもない禍根を残してる説があるんですが…後で説明します。
そんな艱難辛苦を乗り越えて、満を持して繰り出したカツキング。何をするかというと…
「実質マッハファイターの無限パワーバトルで一体除去して、おまけにシールド1枚ブレイク」。…はい?こんなもののために俺は…今まで努力を…!?
「ここがダメだよドロン・ゴー」最後。
そもそも普通のカードとして見てもそこまで強くない。
カードパワー的に、なんというか…よく言って「マナコスト相応」くらいのことしか書いてないんですよね。「その1」でも言ったテキストの制限も足を引っ張り、何もかもをぶち壊すようなスペックを持てなかったのが、全ての敗因です。
ここまで悪条件が重なれば、「アウトレイジ=墓地ソ!?」なんていうディスペクター級の暴言を公式から投げられるってもんです。シールド・ゴーとかもあっただろ!あっちもたいしたことなかったけど!
…とまあ、だいぶアレな彼らなんですが。コンセプトとしてはそんなに間違ってないと思うんですよ。キャラクター性としてやはり「マスコットが切り札に!」はシンプルかつ受けがいいですし、進化と別の形で成長ギミックを導入したかった、というのもわかります。
いわゆる「つまみ」(専門用語で、テキストを微調整する余地)の多い能力に見えるので、「自壊サポートの十分な投入」「変化前のコストをちょっと下げる」「ドロン・ゴーで出したらSA等のボーナス」みたいななんかしらがあればもうちょっとマシだったんじゃないかな…とは思います。
過去改変に対抗するための過去改変
そんな彼らを擁するアウトレイジですが、王来篇にきてまさかの大プッシュ。
「勝太の最強の切り札と言えばカツキング!」という公式による歴史改変が行われ、キングマスターになったりえらい値段で面影の無い新規が出たりクロニクルデッキになったりとこの世の春を謳歌していますね。
…エグザイル・クリーチャーであることを完全に忘れながら。
一番の売りのドロン・ゴー無視してドバドバ出てくるのやめろ!ボルシャックですらかろうじて原型は留めてたぞ!
まあその。勝太編の主役カードはすでにリメイクしつくされており、未リメイクのカードがカツキングしか残ってなかった…というのはあると思います。
それでもなんでエグザイルじゃないんだよ!歴史改変やめろ!…と言いたいところなんですが。
実はちょっとだけ。これは完全に憶測なんですが、「エグザイル・クリーチャーを出せなくなった理由」があるんじゃないかな…と思っています。
これ以降「特定の単体カードを指定するカード」のパック収録が急激に減ったことから「この売り方、景品表示法の『カード合わせ』、もっとわかりやすく言うとコンプガチャ規制に引っかかるんじゃね?」と思って引っ込めたんじゃないかなー…なんて。
論拠は公正取引委員会の告示の「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の、「二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供は、してはならない。」なので厳密にはちょっと違うとも言えるんですが、もし拡大解釈されてうっかり引っかかると大変ですし。
実際にデュエプレにおいてゴッドが一枚のカードとして実装されたのも、おそらくこの規制に引っかからないようにするためと言われてたりしますね。
無法者のアウトレイジも、景品表示法という法には勝てなかった…ってことならばちょっと出来過ぎですかね?何度も言うように完全に憶測なんですが。
……あれ、これもしかして通常パックでの起源神の再録完全に詰んでません?
おわりに
というわけで、《 武闘将軍 カツキング 》でした。まさかデュエマの記事書くために消費者庁のHPを漁ることになるとは思いませんでしたね。
これは完全に個人の意見でしかないんですが、「主役級カードは強すぎるより弱すぎるほうが問題」だと思ってまして。
なんでかっていうと、強けりゃ殿堂なりメタカード刷るなりで対応できるのに対して、弱すぎるとテコ入れの際に過去をディスペクトしなけりゃいけなくなるなるんですよね。
よほどうまくやらない限り、弱かった時代のそのカテゴリを好きだった人も悲しいことになってしまうので…はい。起源神はうまくやってくださいね。
何もなければ来週の今頃には、「出るたびに速攻デッキを壊すアイツ」についての記事が上がるはずです。最近ドラゴンになったので語ることは何もありませんがお楽しみに。
この記事の感想や歴史改変を許せない気持ちなどありましたら、#北白河の今日の一枚でのツイートや拡散などなど心よりお待ちしてます。コメント欄は星になりました。
コメント返しをコンテンツの一部としていたきたしーにとってはめっっっちゃくちゃ痛いんですが、まあその。タグでコメントいただければできる範囲で個人的に返信させていただきます。
あ、フォローはしなくていいです。twitterでデュエマの話はほとんどしないので。
それでは、次の記事で。北白河でした。