【デュエマコラム】斜に構えるデュエル・マスターズ vol.3~Dの牢閣 メメント守神宮~

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【デュエマコラム】斜に構えるデュエル・マスターズ vol.3~Dの牢閣 メメント守神宮~

「メメント・モリ」とは、「いつか自分に死が訪れることを忘れるな」の意。

 

 というわけでこんにちは、神結です。

 アドバンスというそこそこ人口もいて大会も普通にある(一部地域を除く)のに、比較対象がオリジナルなために「あまり流行ってない」と言われがちなフォーマットをメインに遊んでいます。

 さて、カードのちょっと変わった使い方を説明する斜に構えるデュエル・マスターズ、通称“斜にマス”。

 そもそもどういった想定でカードを作ってリリースしているかは、開発者のみぞ知るところであり、「変わった使い方」というもの自体が存在していないかもしれませんが……。

 或いは使われ方自体は想定通りだけど、まさかこんなにも使われるとは……みたいなのもありそうですね。

 例えば《B.F.F. モーメント》が《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》対策として有効になる、とかって、これ想定してたら凄いっすよね……。

【 呪文 】
文明 水 / コスト6

■S・トリガー(この呪文をシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ唱えてもよい)
■カードを1枚引く。
■自分の手札の枚数以下のコストを持つ相手のクリーチャーをすべて、持ち主の手札に戻す。

 さて、今回のカードはそれでいうと「想定していた使われ方」もされただろうし、そこから先の領域にも踏み込んだであろうスーパーカードの紹介になります。

 というわけで、《Dの牢閣 メメント守神宮》が本日の主役です。

略称はだいたい「メメント」

目次

D2フィールドってなに?

 新規のD2フィールドは少なく、馴染みのない人もいるかと思います。とりあえず一旦Dフィールドとは何かについて、簡潔に説明しておきましょう。

【 D2フィールド 】
文明 自然 / コスト5

■自分のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。(他のD2フィールドがバトルゾーンに出た時、このD2フィールドを自分の墓地に置く)
■D(デンジャラ)スイッチ:自分のターンのはじめに、このD2フィールドをゲーム中で一度上下逆さまにしてもよい。
そうしたら、自分のマナゾーンにあるカードの枚数以下のコストを持つクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。 

 総合ルール的に言えば、D2フィールドは「フィールド」に該当するカードタイプです。フィールドには他に《卍 新世壊 卍》の「無月フィールド」や《DG-パルテノン〜龍の創り出される地〜》の「DGフィールド」が存在します。

 その中でD2フィールドの特徴と言えるのは、「バトルゾーンに2つ同時に存在出来ないこと」と「Dスイッチ」でしょう。

 まず前者ですが、上の《Dの花道 ズンドコ晴れ舞台》のテキストにもあるように「他のD2フィールドがバトルゾーンに出た時、このD2フィールドを自分の墓地に置く」という特徴があります。これは、D2フィールドなら全てそうです。これが書いてないフィールドは、よくみるとDGフィールドとか書いてあったりします。

 要するに2つのD2フィールドを同時に運用出来ないわけで、D2フィールドによってガチガチに盤面を固めて勝つとか、同じのを2枚展開して除去に備えるとか、そういった方法は取れないわけです。

 また、「バトルゾーンに1つ」なので、相手がD2フィールドを展開してきた場合、自分のD2フィールドは剥がされることになります。ポケカでいうところのスタジアムですね。

 そしてこの効果は「D2フィールド対策」を考える際には、極めて重要な話です。

 特にD2フィールドが最初に登場したのは「革命ファイナル」。直前に何が活躍していたかというと、《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》や《邪帝遺跡 ボアロパゴス》を代表するような「ドラグハート・フォートレス」でした。

 これらが活躍した要因として、対策のしにくさ……より具体的に言えば除去手段が乏しいことにありました(当時は“カード破壊”を出来るカードというのが、いまより遙かに貧弱だったのです)。

 恐らくD2フィールドを「貼り替え」によって対策出来るようにしたのは、こうした背景があったと推測しています。

 ただやはりクリーチャーや呪文で対処しようとするとかなり特殊なカードを使うことになってしまうわけなので、ほどほどの場持ちの良さを発揮してくれます。デッキによっては対処できないものも多いですからね。

 この「ほどほどの場持ちの良さ」によって、D2フィールドはその後のデュエマの歴史の中で、キチンと活躍していくわけです。

 そしてもう一つの特徴が「Dスイッチ」です。

 これは全てのD2フィールドにあるわけではないので、「D2フィールドの強力な切り札」と考えていいでしょう。

 効果は「このD2フィールドをゲーム中で一度上下逆さまに」することで効果を起動出来ます。

 ゲーム中に一度と書いてあるので誤解があるかもしれませんが、あくまで一度なのは“このD2フィールド”です。ですので、D2フィールドを貼り直した場合、その新たなD2フィールドのDスイッチを使うことが出来ます。要するにGX技とかVSTARパワーとは違うよ、という感じです。

 ですがカードごとに一度しか使えない分、その効果は強力なものが多いです。上記の《Dの花道 ズンドコ晴れ舞台》で言えば踏み倒しですからね。

 環境で使われたD2フィールドは数ありますが、「活躍した」ものに限って言えば、スイッチを持っていないD2フィールドだと《希望のジョー星》だけじゃないですかね。

なんかやっちゃいました?

 そんなわけでD2フィールドを使う際は、いかにD2フィールドを維持しつつ、有効なタイミングでスイッチを押すか、という部分が重要になります。

 

守りの要、《Dの牢閣 メメント守神宮》

 さて、D2フィールドの説明をしたところで、いよいよ本編です。

 というわけで、まずは改めて《Dの牢閣 メメント守神宮》のテキストを確認していきましょう。

(殿堂カード) 【 D2フィールド 】
文明 光 / コスト4

■S・トリガー(このD2フィールドをシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ展開してもよい)
■自分のクリーチャーすべてに「ブロッカー」を与える。(「ブロッカー」を持つクリーチャーをタップして、相手のクリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい)(他のD2フィールドがバトルゾーンに出た時、このD2フィールドを自分の墓地に置く)
■Dスイッチ:いずれかのプレイヤーが自身のターンに最初のカードを引いた時、このD2フィールドをゲーム中で一度上下逆さまにしてもよい。そうしたら、相手のクリーチャーをすべてタップする。

 トリガー持ちのD2フィールドで、常在効果でブロッカーを付与し、Dスイッチで相手のクリーチャーを全タップします(テキスト読み上げくん)。

 トリガー、ブロッカー付与、更には相手ターンの開始時に使えば、ビートダウン系のデッキの打点を大きくそぎ落とすことが出来ます。実質的な追加ターンになるようなシーンもあるでしょう。

 Dスイッチが強いという話をしましたが、常在効果もしっかり強力で、且つスイッチの効果とも噛み合っています。全体的に、D2フィールドはデザインがいいものが多いです。

勿論こういうやつもいる

 というわけで能力的にも「守りの要」としての活躍を期待されていたD2フィールドでしょう。そして、そういった形で採用されたデッキが多いです。

 例えば【チェンジザダンテ】とか。


 例えば【ネクラドルマゲドン】とか。


 特にネクラドルマゲドンなんかは、元々も黒緑だったのですが、守備力の弱さというネックがありました。そこを補うために白……というか《Dの牢閣 メメント守神宮》を三顧の礼(があったかどうかは不明ですが)で迎え入れたわけです。

 ちなみにこのネクラドルマゲドンは、GP8thで3位に輝いています。

 

 メメント基本的な運用として、まぁ楯に埋まっててくれれば嬉しいのは勿論その通りです。

 「単騎ラフルル」に代表されるようなクリーチャー・呪文のトリガー封殺が比較的多いのに対して、D2フィールドとなると《古代楽園モアイランド》とか、《無双恐皇ガラムタ》のようなカードに限られます。

 特に当時、轟轟轟なんかを使ってはこのカードを踏んで、もう二度と見たくないと思っていた方もそれなりにいたんじゃないでしょうか。

 しかし強いトリガーにありがちなのですが、このカードは普通に4マナ払って展開するだけでも充分な威力を発揮していました。

 特に手札からの展開をする場合はタイミングを選べるため、Dスイッチをもっとも有効に使えるタイミングでの展開を選ぶことが出来ます。

 加えてチェンジザで採用されている《怒流牙 佐助の超人》のようなシノビとも相性がいいです。メメントがあるときの《怒流牙 佐助の超人》《斬隠蒼頭龍バイケン》で3打点止めることも出来ます。

 

 ……と、守備力に関しては申し分ない活躍をしているカードなわけですが、ここで1つ思い出してください。「メメント・モリ」を意味を。

 死を忘れるな、というのは「結局はいつか死ぬ」という話なわけで。防御一辺倒ではいつかは負けるんですよ。

 実際、守っているだけでは勝てません。長篠の戦いだって武田が攻めている間は決定的な打撃を与えられていないわけで、攻撃の限界がきて撤退したところをみて反撃し、ボコボコにしたわけです。

 私もメメント登場直後はトリーヴァカラーのメメント籠城デッキを作ったんですよ。

 たしかにメメント+ホワグリ+プリンとか異次元の防御力を発揮したのですが、最終的に時間内に勝てなかったり、強大な力ですり潰されたりと、自分が勝ちきることが出来ずに諦めました。

 例に挙げたデッキたちは既にメメント登場からしばらく経ってのものなので、こうした問題とは直接的な関係はないのですが、メメントを有効に使うには「守りの要」だけでなく、もう少し別な視点を持つ必要があったんですよね。

 

攻めの起点、《Dの牢閣 メメント守神宮》

 というわけでこの防御的なカードがある日、「攻めの起点として運用しよう」という発想で使われることになります。

 特に大きな転換点となったのが、全国大会2017でしょうか。


 このデッキリスト、ガチまとめの私の書いた記事で何回出したかもわかりませんが、お馴染みdottoさんを始め、3人の尽力によって優勝を勝ち取ったリストがこれです。

 そしてこのデッキにおける《Dの牢閣 メメント守神宮》は本当に革新的でした。

 これがどう革新的だったかと言えば、攻めの起点としても運用されていたからです。

 わざと強調しなかったんですが、メメントのDスイッチは「いずれかのプレイヤーが自身のターンに最初のカードを引いた時」……実質的にほぼ「各ターンの始め」です。

 ちなみに、これは余談ですが、過去に於いては各種アンタップが入る前に、《アクア・アタック》等のドローが入ったりした時期があったんですよ。ですのでターン始めにドロー出来るカードがあると、ドロー→メメント誘発→マナ・盤面アンタップ→ターンドローというような手順になり、メメントをケアすることが出来ました。ルール変更によって、メメントはアッパーされています。

 ですので、メメントを貼って1ターン帰ってくる、或いは楯からトリガーしたメメントでターンが巡ってきた場合、自分のターンの始めにDスイッチを起動することが出来ます。

 特に当時の最強メタカードであった《異端流し オニカマス》は対処が乏しく、ミラーが発生した場合は地上戦になりがちです。

 当時のプレイヤーをそれを受け入れて《プラチナ・ワルスラS》とかで殴り合っていたのですが、そこでメメントなんです。

 このカードを使ってカマスを寝かせて殴って倒す、そして裏からバスターを走らせるという「自分だけがバスターを使える」という状況を意図的に作り出すことができました。

 というわけで赤青バスターにおける《Dの牢閣 メメント守神宮》は攻めの起点として活躍しました。籠城戦術から、殻を破ったわけです。

 それでいて、横に盤面を伸ばすデッキですから、メメントは守備でも活躍しています。

 全国大会の時点ではメメントが貼り替えされる心配もなかったため、面白いくらいに狙い通りのゲーム展開になったのではないでしょうか。

 またこれは余波的な部分ではありますが、赤青バスターのメメントは、【アナカラーシャコガイル】という《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を防御に使うデッキに対しても、「貼り替えし」という手段の対抗策にもなりました。

 

 そんなわけで攻守に渡って活躍してくるメメントの運用方法については、後も【赤白ッツァイル】にも継承されています。


 このデッキは「メメントミッツァイル」なんて呼び方もされるくらい、《Dの牢閣 メメント守神宮》は大きな役割を果たしています。横に展開するデッキ故に、攻守で活躍の余地が大きかったんですよね。

 相手の盤面を崩しやすい《ゴリガン砕車 ゴルドーザ》などと相性が良かったも大きかったでしょう。

 この時期のプレイヤーは既に《Dの牢閣 メメント守神宮》にも慣れていたため、その対処もある程度理解しています。ですから、メメントをいつ貼るか、いつスイッチを押すか、といった部分についてはプレイヤーの腕の見せどころでもありました。

 メメントは防御的な効果を持ちながらも、運用の幅広さでプレイヤーの力を反映するカードとなり、デュエマを代表するカードとなっていったのです。

 残念ながら現在では殿堂カードに指定されていますが、それはある意味ではこのカードの多才さの証拠になったとも言えるでしょう。

 デュエマは防御的なカードの殿堂解除には中々慎重な印象なので、直近の殿堂で帰ってくる、ということはなさそうにも見えますが……。

 帰ってきたら結構嬉しい人は多いと思います。私もその一人ですからね。

 

おわりに

 というわけで今回の斜にマスは《Dの牢閣 メメント守神宮》に紹介になりました。

 今回については独特な運用というよりは「幅広さ」にフィーチャーされた感じになったので、最後に斜にマスらしいエピソードを1つ。

 私が青緑系のコントロールで遊んでいたとき……双極篇の早い時期のことです。

 その時使っているデッキは防御を《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を軸に考えていたのですが、このカードの強さについても全国大会で再認識させられるところではありました。

 特にシノビとの相性はダイス以上にいいこと、環境的にも《「本日のラッキーナンバー!」》なり《音精 ラフルル》なりがすぐに飛んでくるとあって、メメントを欲しいと思う瞬間もあり、悩んだ末に生み出したデッキの1つが、これ。


 まさかの両投です。

 実際そこそこ強かったと思うんですけど、メメント→ダイスへの貼り替え、或いはその逆のタイミングが難しくて手に負えなかったのと、D2フィールドを2種入れる行為に流石に疑問を覚えていたのでやめました。

 ただいま思えば、もうちょっとちゃんと詰めれば良かったです。新しいテンプレとは、これまでにない“斜に”な発想から生まれるのですから。

 

 というわけで、今回はここまで。

 それではまた次回の記事でお会いしましょう。

 


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