はじめに
あまり自己紹介はしない方ですが、どうも。「白金 将」です。
デュエリストの中には「魂のデッキ」を持っている人もいると思います。同士の知り合いの中には「〇〇デッキの人」という名前で呼ばれる者もいるでしょう。その人を代表するデッキ、というものは強い個性として仲間たちの中で記憶に残りやすいですよね。
なんで冒頭で急に挨拶をしたかというと、今回紹介するデッキは私の「魂のデッキ」と呼べるものだからです。勿論他にも同じようなデッキを組んでいる人はおりますが、私が持っている中で一番特別な感情が籠っているのがこの【水属性フルモンスター】というデッキ。これを組んで以降、いい構築がないかと長い時間をかけ研究に研究を重ねてきました。
今行われている「トレカライターコロシアム」という企画ですが、おそらく一番私が力を入れて書くのはこの記事になるでしょう。それほどまでに私の中でこのデッキは特別なものになっています。勿論、他にもこのデッキを組んでいらっしゃる方はいますけれど。
実は私はこれについて別サイトでいくらか考察記事を書いており、内容はそれを分かりやすく一本にまとめた感じになります。もし「これどこかで読んだことあるな……?」と思ったら執筆者を調べてみてください。それはひょっとしたら私が書いていた記事かもしれませんよ。
一応書いておきますが、ここで紹介するのは「エクストラデッキも全て水属性」の水フルモンです。
デッキコンセプト紹介
フルモンスター、という構築は非常に特殊です。
遊戯王は「モンスター」「魔法」「罠」と3種類のカードをうまく組み合わせ、相互にシナジーを持ったカードを選ぶことでデッキを作るゲームです。多くの場合、デッキにはモンスターの動きを強力にサポートする魔法・罠カードが積まれており、カードをデザインする段階からそういう動きをすることが想定されています。
おそらく、魔法・罠を使わない動きを念頭に作られたのは「超重武者」くらいでしょう。それ程までに遊戯王は魔法カードと罠カードの力が強いゲームになっています。ともなれば、魔法・罠カードを排斥してまでフルモンスターにする「理由」が必要になるわけです。
「デッキを組みたい気持ちに理由なんかねぇ!」という方もいらっしゃることでしょうけれど、私の場合はその「理由」を重視しました。さて、わざわざこのデッキをフルモンスターにしなければいけない理由とは……
《フィッシュボーグ-プランター》
【 効果モンスター 】
星 2 / 水 / 魚族 / 攻200 / 守200
このカードが墓地に存在する限り1度だけ発動できる。自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送る。墓地へ送ったカードが水属性モンスターだった場合、さらにこのカードを墓地から特殊召喚する。「フィッシュボーグ−プランター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
これです。
墓地で発動する効果で、デッキトップをめくって墓地へ送り、それが水属性モンスターだったら墓地から蘇生できます。ということは、めくられたカードが水属性以外のモンスターであったり魔法・罠カードであったりしてはいけないわけです。しかし、その条件さえ満たせば毎ターンリンク・シンクロ素材、アドバンス召喚のリリースとなるモンスターが1体場に出てくることになります。
リンク召喚が導入されたことで「モンスター」の価値は爆発的に増加しました。チューナーかどうか、レベルはいくらか、それをほとんど関係なくモンスターを活用できるリンク召喚によってこのカードは強力なものだと再評価されています。この《フィッシュボーグ-プランター》の効果を100%成功させるデッキが【水属性フルモンスター】なのです。一度回り始めればその圧倒的な力で相手を粉砕することができます。
デッキ構築の上では、展開に大きく貢献する水属性モンスターを選りすぐってメインデッキに採用します。そしてそのモンスターたちでフィールドに展開していき、リンク召喚、シンクロ召喚を決めて勝利をもたらしますよ。「水属性選抜デッキ」の様相も見られるため、こんなカードもあったなぁ、という気持ちでレシピを見ても楽しめるかもしれません。
デッキレシピ
主要カードを紹介する前に、まずデッキレシピを見てもらいます。
もちろん全部モンスターカードです。これでもきっちり回るんですよ。
改良を重ねてver2.1になっています。
デッキレシピは以下の通りですね。
【メインデッキ】
3 超古深海王シーラカンス
1 城塞クジラ
1 水精鱗-メガロアビス
3 水精鱗-ディニクアビス
1 水精鱗-ネレイアビス
1 水精鱗-アビスグンデ
1 深海のディーヴァ
3 海皇子 ネプトアビス
2 海皇の重装兵
3 海皇の竜騎隊
1 彩宝龍
2 ホワイト・スティングレイ
1 竜宮の白タウナギ
1 ダブルフィン・シャーク
1 ハンマー・シャーク
1 サイレント・アングラー
1 シャーク・サッカー
3 フィッシュボーグ-ランチャー
1 フィッシュボーグ-プランター
1 フィッシュボーグ-アーチャー
1 鰤っ子姫
1 粋カエル
3 鬼ガエル
3 海晶乙女シーホース
【エクストラデッキ】
1 餅カエル
1 水精鱗-サラキアビス
1 海晶乙女ブルースラッグ
1 海晶乙女コーラルアネモネ
1 海晶乙女マーブルド・ロック
1 マスター・ボーイ
1 水晶機巧-ハリファイバー
1 たつのこ
1 水晶機巧-クオンダム
1 瑚之龍
1 白闘気一角
1 白闘気白鯨
1 氷結界の龍 トリシューラ
1 水晶機巧-グリオンガンド
1 白闘気双頭神龍
主要カード紹介
《超古深海王シーラカンス》
《超古深海王シーラカンス》
【 効果モンスター 】
星 7 / 水 / 魚族 / 攻2800 / 守2200
手札を1枚捨てる。1ターンに1度だけ、デッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。このカードの効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃宣言をする事ができず、効果は無効化される。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった場合、自分フィールド上の魚族モンスター1体を生け贄に捧げる事でその効果を無効にし破壊する。
知る人ぞ知る、魚族のエースモンスター。遥か昔から魚族デッキを支えてきた古参モンスターがこのデッキでは目一杯輝きます。一度このモンスターの効果が通れば勝負は決したも同然、と言えるくらいのパワーを持っており、もしこのカードが手札に来たのであれば早急に場に出して状況を整えることが勝利への近道となります。強力なモンスター展開効果に気を取られがちですが、自身が持つ効果耐性も強力ですよ。
《海皇子 ネプトアビス》《水精鱗-ディニクアビス》
《海皇子 ネプトアビス》
【 効果モンスター 】
星 1 / 水 / 海竜族 / 攻800 / 守0
「海皇子 ネプトアビス」の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:デッキから「海皇子 ネプトアビス」以外の「海皇」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。デッキから「海皇子 ネプトアビス」以外の「海皇」カード1枚を手札に加える。
②:このカードが水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合、「海皇子 ネプトアビス」以外の自分の墓地の「海皇」モンスター1体を対象として発動する。そのモンスターを特殊召喚する。
《水精鱗-ディニクアビス》
【 効果モンスター 】
星 7 / 水 / 水族 / 攻1700 / 守2400
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:手札からこのカード以外の水属性モンスター1体を墓地へ捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
②:このカードの①の効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキからレベル4以下の「水精鱗」モンスター1体を手札に加える。
いつもシーラカンスに頼るわけにはいかないのでそれ以外の勝利ルートを模索するわけですが、ここで活躍するのが皆さんご存じ【海皇水精鱗】の方々です。とはいえやはり「フルモンスター」であるため全てが採用できるわけではありませんが、その中でもひときわ強力な者たちに協力してもらいました。
海皇のアドバンテージ稼ぎ要員である《海皇子-ネプトアビス》は場に出す際は多くの場合召喚権を使いますが、それに見合った分の効果は保証されています。このカードの①効果のコストを《海皇の竜騎隊》にすると墓地へ送られた竜騎隊の効果でさらに海竜族モンスターを持ってこられます。これを《彩宝龍》にすると場に出して《水晶機巧-ハリファイバー》や《水精鱗-サラキアビス》のリンク召喚、《瑚之龍》のシンクロ召喚を行うことができるわけですね。つよい。
そして海皇と呉越同舟でもある水精鱗からは《水精鱗-ディニクアビス》が主に採用されます。①の効果で場に出すことができれば②の効果で《水精鱗-アビスグンデ》《水精鱗-ネレイアビス》を手札に加えられるため手札の減りを抑えられますね。また、レベル7モンスターであるため、レベル1チューナーの《フィッシュボーグ-ランチャー》がいれば《白闘気白鯨》をシンクロ召喚できます。
《白闘気白鯨》
《白闘気白鯨》
【 シンクロモンスター 】
星 8 / 水 / 魚族 / 攻2800 / 守2000
水属性チューナー+チューナー以外の水属性モンスター1体以上
①:このカードがS召喚に成功した時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。
②:このカードは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる。
③:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
④:このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合、このカード以外の自分の墓地の水属性モンスター1体を除外して発動できる。このカードをチューナー扱いで特殊召喚する。
第9期は魚族にとって冬の時期でしたが、それを乗り越えて貰った新規は「ここまでやるか……!?」となる位の超高性能シンクロモンスターでした。【水属性フルモンスター】のエースモンスターと言えば間違いなくこのモンスターが挙げられます。召喚条件はありますがこのデッキであればないも同然、こんな強力なモンスターをぶん回せるんです。たまんねぇなぁ!
相手の攻撃表示モンスターを一掃する効果はリンク環境の今であればぶっ刺さりまくりますし、守備表示で何か残っていたとしても守備貫通の二回連打が効いてきます。更に破壊して墓地へ送っても墓地に水属性モンスターがいる限りゾンビのように蘇る。墓地が枯れるのを待とうにも【水属性フルモンスター】で墓地の水属性モンスターが枯れるわけがない。本当に最高の新規をいただきましたよ!
《水精鱗-サラキアビス》
《水精鱗-サラキアビス》
【 リンクモンスター 】
星 2 / 水 / 海竜族 / 攻1600 /
魚族・海竜族・水族モンスター2体
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードのリンク先のモンスターの攻撃力・守備力は500アップする。
②:相手ターンに手札を1枚墓地へ送って発動できる。デッキから「水精鱗」モンスター1体を手札に加える。
③:このカードが相手モンスターの攻撃または相手の効果で破壊された場合、デッキから水属性モンスター1体を墓地へ送り、自分の墓地の水属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
【LINK-2:左下/右下】
非常に衝撃的なリンクモンスターです。何が凄いって、相手ターンに「水精鱗」をサーチすることができるのもありますが、戦闘・効果破壊された場合に発動する③の効果が非常に強力なのです。サラキアビスを倒したらシーラカンスが出てきて返しのターンに反撃された、なんてこともありえます。もちろん「海皇」の効果だって発動できますよ。
②の効果で《水精鱗-ネレイアビス》をサーチしたらそれだけで相手にはプレッシャーになります。《水精鱗-ディニクアビス》を加えて次ターンの展開の起点にしてもいいでしょう。打点を500上げてくれる効果も優秀です。
《海晶乙女コーラルアネモネ》
《海晶乙女コーラルアネモネ》
【 リンクモンスター 】
星 2 / 水 / サイバース族 / 攻2000 /
水属性モンスター2体
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分の墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをこのカードのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は水属性モンスターしか特殊召喚できない。
②:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、「海晶乙女コーラルアネモネ」以外の自分の墓地の「マリンセス」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。
今をときめくアニメテーマ「海晶乙女」ですが、その中でも水フルモンで特に有能なのがこの《海晶乙女コーラルアネモネ》。というのも、墓地の低攻撃力水属性モンスターをコスト無しで蘇生させることができるのです。これによって《鬼ガエル》を回したり《海皇子-ネプトアビス》をターンを跨いで使い回すことが可能となりました。おかげさまで《餅カエル》が並ぶわリンクシンクロぶん回るわでもう最高。これ以上ない体験を約束できる1枚です!
変わったところだと《彩宝龍》を蘇生させ、《フィッシュボーグ-プランター》とシンクロさせることで《白闘気一角》をシンクロ召喚することができます。こちらは墓地の魚族モンスターを蘇生する効果を持っているため更にデッキが回る回る。サラキアビスで強化された水フルモンに再び革命が起きたのです。
ここまでのおさらい
さて、ここまで主要なカードを紹介してきましたが、ここで一度デッキの回し方を確認しましょう。手札によってできることは違いますが、おおまかには……
- フィールドにモンスターを展開:《鬼ガエル》《ホワイト・スティングレイ》《水精鱗-ディニクアビス》《サイレント・アングラー》《シャーク・サッカー》《海皇子-ネプトアビス》《深海のディーヴァ》《超古深海王シーラカンス》《フィッシュボーグ-プランター》《フィッシュボーグ-アーチャー》《水晶機巧-ハリファイバー》《海晶乙女コーラルアネモネ》
- リンク召喚、シンクロ召喚による基盤整備:《フィッシュボーグ-ランチャー》《水精鱗-サラキアビス》《海晶乙女マーブルド・ロック》《マスター・ボーイ》《白闘気一角》
- エースモンスターによる猛攻、制圧:《城塞クジラ》《白闘気白鯨》《水晶機巧-グリオンガンド》《白闘気双頭神龍》《餅カエル》
決まったルートがないため具体的なモンスター名を挙げることはおそらくふさわしくないでしょう。そのため解説はこの程度にしますが、私のデッキではこのように動きます。もしこれらのカードが家にある方はちょっと組んで回してみてください。回して三回目くらいで癖になってますよ。
さいごに
魂のデッキ、というものは人それぞれによって違うだろうけれど、私にとってはこの【水属性フルモンスター】がそうでした。最初は「他人と被らないデッキが組みたい」という気持ちから始めたものも、考察に考察を重ねた結果、デュエリスト生活の大半を割くほどまでにのめりこんでいましたね。その結果、被りたくなかったはずなのにネットで同士を見つけて嬉しくなったりと自分の中でも変化がありました。
水属性モンスターならなんでも入る可能性があるため、パックの新規情報を見るのもなんだか楽しくなりました。新規が現れるたびに新たな可能性を模索できて改造する余地が生まれるため、長く付き合える最高の友達を見つけたような気持ちです。ですから「紹介」というよりは「すっげぇいい奴いるんだぜ」みたいな感じのお話になってしまいましたが、そういうものだと思ってください。大好きなカードやデッキは数あれど、このデッキにかけてきた時間と熱量に匹敵するものはそうありません。
この記事を読んでいる皆さんにも「魂のデッキ」はあるでしょうか。ある方も、ない方も、自分のデッキという名の「友達」と長く良好な関係を築けることを切に祈っています。それは必ずあなたをカードゲーマーとして何段もレベルアップさせてくれるはずです。
以上、この記事は「白金 将」がお送りしました。読んでくれてありがとう!