遊戯王WCS2019がマジで最高だった話

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遊戯王WCS2019がマジで最高だった話

目次

はじめに

本記事をカフェで書いてる際、近くにいた高校生が「日本代表が~」と話していて「何何?遊戯王の話?」と聞き耳を立てたところ普通にサッカーの話だったわけだが、めげずに書いて行こうと思う。

ところで、先日ドイツで開催された遊戯王世界大会ご覧になっただろうか?
日本代表であるコサカコウキ選手の決勝戦、手に汗握った方も多いのではないかと思う。筆者も今回の世界大会では「面白い」「嬉しい」の壁を越えて「感動」を覚えた。本記事ではそんな感動をより多くの人に届けるべく率直な気持ちをぶつけていきたいと思う。

その前に、読者に伝えたいことがある。

もし、あなたが既に遊戯王WCS2019を見ていた場合、本記事を読んで「最高」と感じたらこの記事を広めて遊戯王を活性化させて欲しい。
もし、あなたがまだ遊戯王WCS2019を見ていない場合、本記事で「最高」と感じたらこれを期に見て欲しい。もし、あなたがガチ環境に興味がなくWCS2019を見ていない場合、この記事で「最高」と感じさせたい。(しらこ)

①配信時間の魅力

今年の世界大会はドイツとの時差の関係で20時の動画配信だったが、個人的にこの20時という時間帯は非常に観戦しやすく嬉しいポイントだった。筆者は2013年の征竜環境からリアルタイムで世界大会を見てきたが、この時は米国・ラスベガスでの開催だったため日本との時差が16時間も生じた。米国の昼12時が日本の早朝4時に当たるため、深夜~朝にかけての配信は視聴者の体力を蝕んだことだろう。

2017年、2018年は日本で開催されたため、直接会場に足を運べる点が魅力的であったが土日の真昼間は遊戯王プレイヤーとして大会に出場したり、何かプライべートな予定があったりと何かと見辛い時間帯でもあった。
そんな中、今年は夜から~深夜1時、2時にかけての配信だったため非常に好条件な配信だったと言える。

②実況レベルの高さ

今年のメイン実況は「南雲大輔」氏と「佐々木宏」氏であったが、彼らの実況が世界大会をより一層盛り上げたと言っても過言ではない。

過去の世界大会の配信では、実況がなかったり、実況者はいるものの環境デッキや裁定に詳しくなくガッカリしたという声をよく聞く。今回の実況者の二人は遊戯王プレイヤーであり、環境デッキについても知識が豊富であったため、ガチ環境でプレイしている筆者から見てもレベルの高い実況だと感じた。ただプレイしたカードを紹介するだけでなく、状況ごとのプレイヤーの心理に迫れる実況は視聴者のレベルに関わらず配信を盛り上げてくれる。

視聴していて特に感動したのが《深淵に潜む者》の裁定に関してだ。【転生炎獣】ミラーで《深淵に潜む者》が出てきた際「この状況だと墓地のスピニー、ジャガー、フォクシーの効果が封じられるので厳しい状況。後、墓地のベイルリンクスの破壊から防ぐ効果も使えない。」という解説に対して、一瞬トークが途切れたものの、その後「確認したところ、《深淵に潜む者》の効果が適用しても墓地のベイルリンクスの効果は使えるようです。」と訂正が入った。【転生炎獣】プレイヤーなら知ってて当然のことかもしれないが、誰もが裁定で「ん?」と悩んでしまった経験はあると思う。これまでの配信なら気づかずそのまま進行していたかもしれない。そこの差が大きく、気づけたからこそ確認ができ訂正できるレベルの高さに感動した。



また、今年は「サンダー」氏や「はじめしゃちょー」氏等、人気Youtuberをゲストに招くという新たな試みも見られた。進行役だけだとどうしても固い実況になりがちだが、ゲストを交えることで実況も砕けた雰囲気が出ており、ガチプレイヤーもカジュアル層も楽しめる実況であった。

③配信画面の見やすさ

対戦時の画面に「制限時間」、「プレイヤーの手札内容」を表示することでより対戦中の情報量が増え、視聴者がプレイヤーの立場になり応援出来たり、臨場感の伝わる配信となっていた。本来、お互いのプレイヤーには分かることのない手札が透ける状態は「神目線」と呼ばれ賛否両論である。と言うのも、手札が見えると「あのカードをプレイすると相手にあのカードを使われるというのが分かる」=「勝敗が透ける」と言うことからネタバレで面白みに欠けるという考え方もあるからだ。


しかし、筆者としては世界大会というレベルの高いプレイヤーが集まる場で手札を元にプレイングを学べるのは大変貴重であるため良い試みだと感じた。「何故転生モンスターを並べた後リンク召喚せずに攻撃したのか?」「なるほど、リンク召喚するとファンタズメイが出てきてライフを取りにくくなるから先に攻撃したのか!」のように。もちろん視聴者は相手の手札が見えているため、ファンタズメイが無いこともわかるのだが、ただ勝ち負けの状況を知るのではなく「どうやって勝つのか?」という部分を明らかにしてくれる配信画面は実況との相乗効果もあり質の高い配信を提供してくれた。

④ゲームのテンポの良さ

皆さんは遊戯王の世界大会の配信にどのようなイメージをいだくだろうか?正直、筆者は
「ジャッジがめちゃくちゃ厳しくて、プレイヤー間のトラブルで審議に入ったり、デッキシャッフルが長くてテンポが悪い」
イメージを持っていた。タダでさえ言語の壁があり、トラブルが起きやすいセンシティブな場であるため代表プレイヤーはやり辛そう・・というのが正直な印象。毎年、「願わくばカードが関係ない部分で勝敗が決まることが無いよう」と心の中で祈っている。



しかし、今年はその心配を全く感じさせないほど見ていて心地の良い世界大会だった。まず、最もテンポを乱す原因となっていたデッキシャッフルが簡略化されていたのだ。

世界大会と言えば「サーチをしてはお互いのプレイヤーがディールシャッフルをジャッジに強要されるゲーム」だった。勿論デッキシャッフルは不正やトラブルの原因になるため重要だが、現代遊戯王では1ターンにデッキを触る機会が多く、毎回ディールシャッフルしていては制限時間の40分が来てしまうと言っても過言ではない。

ディールシャッフル
テーブル上のいくつかの場所に順番に1枚ずつカードを配っていく。全てのカードを配り終えたらテーブルの上にできたいくつかのパケットを重ねて1つにまとめる。時間がかかるという欠点がある。1人がデッキを引くというトレーディングカードゲームでカードを傷めないシャッフル方法として頻繁に行われる。

引用:wikipedia
ディールシャッフルのイメージ

今回の世界大会ではディールシャッフルを行われるのはデュエル前、サイドチェンジ後程度であり、試合中のシャッフルは簡易なシャッフルが認められていた。それだけでなく、デッキサーチ行為後のシャッフルも必須ではなくなっていた。

こんな革命的な変化が起きたのは理由がある。次のようなデッキシャッフル確認用のカードがフィールドに設置されたことが大きな要因だ。

シャッフル確認用カードイメージ

このカードは表が緑色、裏が赤色になっている。基本的に緑色の状態で置いておき、デッキからサーチを行う際に裏返して赤色状態にする。赤色は「まだデッキを触るためシャッフル不要」であると共に「ドローが出来ない」という状態を表している。これにより、プレイヤーはサーチを行った後シャッフルをせずにゲームの進行が認められることとなる。そして、ターン終了時もしくはそのターン中のサーチをやりきった後に相手にシャッフルしてもらい赤→緑に戻すのだ。もし赤色の状態でターンを跨いでしまったり、ドローフェイズを迎えた場合、対戦相手やジャッジから「シャッフルしていない」と指摘が入ることで最小限のシャッフル回数でトラブルの防止も出来ているわけだ。

言語が通じなくても意思表示が出来、ゲームスピードの向上に繋がるこのアイテムには目から鱗であった。

⑤プレイが光る熱いデュエル

そして、欠かすことができないのが対戦内容だ。
遊戯王の世界大会では、大会独自のリミットレギュレーションが適用される。と言うのも、このゲームは世界大会が毎年開催されるにも関わらず国ごとにカードプールやリミットレギュレーションが異なる状態でプレイされている。すなわち、国によって流行りのデッキ分布や戦術が全く異なる訳でいくら日本発祥のTCGとは言え日本ルールで世界大会を開催すると不公平となってしまう。
「なんで世界でレギュレーション統一しないの?」という再三言われ続けた話は置いといて、世界大会では各国のレギュレーションを合算した特殊リミットレギュレーションでの対戦となる。世界で禁止、制限となっているカードが緩和されることは無いので一方的に使えないカードばかり増えた形となっているのだ。

このリミットレギュレーションで日本と異なる部分で代表的なカードは《増殖するG》だろう。

《増殖するG》効果モンスター 星2/地属性/昆虫族/攻 500/守 200このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず、 相手ターンでも発動できる。 (1):このカードを手札から墓地へ送って発動できる。 このターン、以下の効果を適用する。 ●相手がモンスターの特殊召喚に成功する度に、 自分はデッキから1枚ドローしなければならない。

出典:遊戯王OCGデータベース

『遊戯王はゴキブリが強いゲーム』と言うのは他TCGプレイヤーでも耳にしたことがあるだろう。このカードは日本では一時期コナミのクリックミスとも思わしき謎改訂により半年間だけ準制限となっていたが、それ以外の期間は3枚使用可能な現代遊戯王の顔とも言うべき汎用カードである。3枚必須であり、ほぼ全てのデッキがメインデッキ及びサイドデッキに3枚投入する凶悪カードであるにも関わらず無制限であることから『必要悪代表カード』と言えよう。


しかし、このカードも米国では驚くことに禁止カードとなっている。それには理由があり、米国ではこのカードが抑制すべき凶悪な展開デッキのコンボパーツが軒並み規制されているのだ。日本では展開デッキを使えば「増Gさえ引かれなければ勝ち」メタデッキを使えば「増G引けなければ負け」と言うゴキブリに一喜一憂する日々を送る我々であるが、世界制限では黒光りする悪魔の消えたパラレルワールドでのデュエルが行われることとなる。

この他にも、日本では環境デッキの一つである【魔術師】のキーパーツが多数禁止となっていたり、汎用リンクモンスター兼展開デッキの核となる《水晶機巧-ハリファイバー》罠デッキの宿敵である《ハーピィの羽根箒》が禁止となっていたりと日本とは全く別物の環境と考えるべきだろう。


そんな、プレイヤーにとって異質な環境での世界大会であるため、各国の代表デュエリストはこの特殊レギュレーションでのデッキ分布とメタを考え、構築とプランに反映する能力が求められた。


中でも注目されたのが日本でも未だに環境トップに居座り続ける【閃刀姫】【サンダードラゴン】、《ハーピィの羽根箒》禁止から期待が高まる【オルターガイスト】、【サブテラー】、日本では環境デッキの陰に隠れているがひそかな強デッキである【エンディミオン】、そして最もシェアが高かったのは優勝者も使用していた【転生炎獣】デッキであった。

【転生炎獣】は高い展開力を持ちながら強力な罠を駆使して戦うビートダウンデッキである。その安定感の高さからデッキの自由枠が多く、現代遊戯王において環境デッキとなる条件の一つである「手札誘発を多数採用できる」デッキだ。同じ系統のデッキタイプに【閃刀姫】があるが、魔法カードをメインとして戦う【閃刀姫】は《王宮の勅命》《魔封じの芳香》等のゲームエンド級のメタカードが存在する点が目立つ。

一方【転生炎獣】はモンスターメインであり、モンスター・魔法・罠のバランスが良いデッキであるため弱点の少なさが人気のポイントだ。モンスターで展開することで罠を供給する性質上、日本では《増殖するG》を苦手とするデッキなのだが、今回の世界制限では禁止カードとなっていることが追い風となり、分布トップに躍り出たのだろう。

そんな【転生炎獣】環境は多くのプレイヤーが予想しており、当然各国の代表プレイヤーも【転生炎獣】を強く意識した構築が持ち込まれた。《フュージョン・オブ・ファイア》は日本では採用されることが少ないカードであるが、《超融合》のように相手の場の『転生炎獣モンスター+リンクモンスター』を素材とすることで《転生炎獣ヴァイオレットキマイラ》を融合召喚し、除去をしつつ転生リンクモンスターが場にいることを発動条件とする罠の突破を両立することが可能だ。《超融合》と違ってサラマングレイトネームを持つため【転生炎獣】デッキでは積極的にサーチ可能な点が強みである。

《フュージョン・オブ・ファイア》通常魔法このカード名はルール上「サラマングレイト」カードとしても扱う。 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。 (1):自分の手札及び自分・相手フィールドから 「サラマングレイト」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、 その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

出典:遊戯王OCGデータベース

当然、代表選手はこのカードを使われるリスクを想定し《超融合》《フュージョン・オブ・ファイア》を意識したプレイングが見られた。プレイングに関しては「つっこみ」が怖いため本記事では控えさせていただくが、決勝戦ではコサカ選手の《超融合》を含めあらゆる負け筋を意識した丁寧なプレイが光り観客を魅了していた。

また、決勝戦で特に印象深いのが《精神操作》の活躍だろう。このカードはリンク召喚が環境に普及してから一気に評価が高まった一枚である。

《精神操作》通常魔法 (1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。 この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃宣言できず、リリースできない。

出典:遊戯王OCGデータベース

相手の厄介なモンスターを除去しつつ自分のリンクモンスターの素材を供給する強力なカードであるが、コサカ選手の【転生炎獣】はこのカードをメインデッキに3枚採用していたことが特徴的だ。このカードは【転生炎獣】ミラーでも強く【閃刀姫】や【サンダードラゴン】相手でも形勢逆転に導くパワーカードであることは周知の上だが、世界大会という異質な環境を先回りして読み切ることができたコサカ選手だからこそメインデッキに3枚採用という選択ができたのだと推測する。

《増殖するG》が禁止カードであり、凶悪な展開デッキが使えない特殊制限故に、構築面とプレイ面で差を付けやすい環境である本大会はただ「強いデッキが勝つ」ゲームではない、遊戯王の奥深さに気づかせてくれる。そして、この大会の動画配信は多くのプレイヤーのモチベーションを掻き立て、遊戯王の活性化に繋がったのだろう。

さいごに

今年の世界大会は公式の「遊戯王を盛り上げよう」という気持ちが伝わってくるイベントだった。
ゲーム内容や特殊制限のような「なるようになる」部分も素晴らしかったが、実況配信やシャッフル確認用マーカーのような意識的に改善した要素を声を大にして伝えたい。何故なら、確認用マーカーのような対策が公式で取られているということは、公式が対戦に時間がかかることや言語が通じない相手とのコミュニケーショントラブルに目を向けているということだからだ。そんな長年遊戯王が抱えてきた問題に取り組もうという公式の姿勢を心から評価したい。


昨今のe-sportブームではデュエルリンクスだけでなく遊戯王OCGも公式からe-sport宣言されており「eとは...?」と突っ込みたくなる一方、YCSJのような公式大型イベントが開催されたり、今回の確認マーカーが作られているのを見ると、公式が遊戯王の競技としての質をより高めようとしていることが伺える。
遊戯王WCS2019はそんな「遊戯王のこれから」への期待の高まりこそが「最高」だった。


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