はじめに
読者の皆さま、こんにちは。かもめ先生です。
この記事は「デッキ構築のいろは」を紹介する初心者応援記事の第4回です。
第3回の記事はこちらから↓
前回の「デッキにしてみよう!」に続き、今回は「実際にプレイしてみよう!」という内容で紹介していこうと思います。
それでは今回も、どうぞよろしくお願いします。
目次
前回までのおさらい
前回は「デッキにしてみよう!」ということで、「デッキの方向性を決めておこう!」と「カードの役割に合わせて採用枚数を考えよう!」の2点についてお話してきました。
「デッキの方向性を決めておこう!」では「大会で勝ちたい」や「〇〇のカードを使いたい」といった、デッキの軸となる方向性を決めることについて。
「カードの役割に合わせて採用枚数を考えよう!」では安定した初手を引くことの重要性と、「展開」や「除去」といったカードの役割に応じた採用枚数について紹介しました。
また今回の記事でも第2回に紹介した「カードの役割」について触れる部分がありますので、またお読みでない方や復習したい方はそちらからお読みになることをオススメします。
あわせてよろしくお願いします。
実際にプレイしてみよう
ここまでの第1回~第3回の中で、デッキ構築の基本について学んできました。
いまみなさんの手元には、すでに40枚の紙の束が用意されていることでしょう。
今回はこれまでの学びで構築したデッキを用いて、ひとり回し・実戦でプレイしながら考えることについて学んでいきましょう。
ひとり回しで確認しよう
いきなり実戦に臨むというのも良いですが、まずは自分ひとりでいつでもできる「ひとり回し」をしてみましょう。
「ひとり回し」とは文字通り、「対戦相手がいない状態でデッキを回して動作を確認する」という作業です。
先攻1ターン目かつ相手からの妨害を受けないという想定で、初手5枚からどのように動くことができるかを確認していきます。
ここで重要となるのは、デッキの基本的な動きの確認です。
デッキの初動となる《V・HERO ファリス》や《E-エマージェンシーコール》を用いた基本的な展開や、逆にそれを引けなかったときに使う展開など、さまざまな初手を想定して確認していきます。
また「ひとり回し」でカードのテキストを確認しながらプレイすることで、デッキ構築で見落としていた部分に気づくことも多いです。
《強欲で金満な壺》の発動後にドローできなくなる制約や、《破械神シャバラ》の効果で特殊召喚している際の悪魔族モンスターしか特殊召喚できなくなる制約は、構築の際に見落としやすい部分のひとつです。
しっかりとテキスト確認しながら「ひとり回し」を行う事で、こうしたプレイングミスを減らすことができます。
また、思わぬデッキのシナジーを見つけることも大いにあります。
「この展開ならランク6のエクシーズモンスターに繋げることもできるな」とか「この状況なら別のEXデッキのモンスターを採用してみても良いな」といった感じですね。
とくに汎用で使うことができるEXデッキのモンスターなどは、さまざまな場面で活用ができるので「出すことができる」という状況は知っておくと良いでしょう。
こうした「ひとり回し」はいつでもどこでも練習できるので、ふと気が向いたときや対戦の待ち時間などで手持無沙汰なときにやっておきましょう。
「ひとり回し」だけでもプレイの基本的な部分は一通り練習することができるので、何度も反復練習すると良いでしょう。
またこの時点で「手札事故(初手で動けない)」が頻発する場合は、デッキの展開カードの採用枚数を見直してみましょう。
カードゲームである以上「手札事故」はどうしても避けられない要素ではありますが、2回に1回(5割)以上「手札事故」を起こしてしまうのであれば、構築の段階で課題が発生していると言えます。
デッキの方向性によっては難しい部分もあるかもしれませんが、なるべく3回に1回(7割)以上は「手札事故」が起こらないようなデッキを目指していきましょう。
実戦を想定したひとり回し(応用編)
また「ひとり回し」に触れたついでに、中級者以上の人がやっている「ひとり回し」についてもお話しておきましょう。
先ほど「ひとり回し」は「対戦相手がいない」想定で行うと紹介しましたが、ここでは「対戦相手がいる」想定でプレイすることになります。
自分が先攻・初手5枚からスタートすることは変わりませんが、相手の妨害(手札誘発)が飛んでくることを想定しながらプレイしていきます。
先攻1ターン目に受ける妨害と言えば、やはり《灰流うらら》《増殖するG》などが挙げられます。
また自分が後攻・手札6枚からスタートする場合の「ひとり回し」もできます。
この場合、最初の5枚の中で手札誘発がある場合はそれを先攻1ターン目の相手ターンに使うという想定でプレイします。(もちろんあえて温存するというパターンもあります)
この場合は、先述した《灰流うらら》《増殖するG》などの手札誘発に加え、《フルール・ド・バロネス》や《S:Pリトルナイト》といったフィールドのカードによる妨害も想定することとなります。
大会などで採用される手札誘発は《灰流うらら》、《増殖するG》、そして《エフェクト・ヴェーラー》、《無限泡影》など平均して10枚ほどになります。
採用枚数10枚/デッキ枚数40枚とした場合、初手5枚に1枚以上ある確率はおとそ42%、2枚以上ある確率は28%となります。
つまり初手5枚だけを考えたとしても2回に1回は手札誘発がある、さらに3回に1回は手札誘発が2枚飛んでくる可能性があるということですね。
また現代遊戯王における、一般的なビートダウン系デッキの先攻ターンで構えることができる妨害は2妨害以上です。
つまり後攻の想定で「ひとり回し」をする際はフィールドのカードによる2妨害に加え、先ほどの手札誘発の確率を考慮して回す必要があるという訳ですね。
そのため後攻では基本的に3妨害以上あるという想定で「ひとり回し」しておくと良いでしょう。
実際に対戦してみよう
「ひとり回し」の練習もしてデッキの基本的な動き方が理解できたら、いよいよ実戦です。
ここでは実際に対戦する中で、考えたいことについて学んでいきましょう。
対戦で考えること
実戦では「どのカードを使ってるときが使いやすかったか」、逆に「どのカードが使いづらかったか」を考えましょう。
こうした「カードの使用感」は、プレイヤー一人ひとりによって異なる部分でもあります。
実際に対戦する中で「使いやすかったカード」は採用枚数を増やす、「使いにくかったカードは」採用枚数を減らすと繰り返しながら、デッキの調整に繋げていきましょう。
「除去」として1枚積みだった《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》が思ったより強かったので2枚に増やそうとか、「展開」として3枚採用していた《レッド・リゾネーター》が手札にダブついて動きにくかったので2枚に減らそうといった感じですね。
また実戦では「ひとり回し」では練習できないさまざまな場面に遭遇することになります。
とくに2ターン目以降に発生する対戦のやり取りは、デッキ構築の段階では想像しにくい部分なので、実戦での経験から学んでいくところとなります。
カードの役割で言うところの「除去」や「妨害」といった部分は、こうした実戦を通して有効かそうでないかを判断していきます。
実戦を重ねる中で「展開」に必要となるカードと、「除去」「妨害」のカードのバランスを調整しくいくと良いでしょう。
デッキの強みを考えよう
また実戦ではもちろん「勝敗」の結果が表れます。
対戦での「勝ちパターン」と「負けパターン」を踏まえながら、デッキの強みと弱みを考えていきましょう。
勝ちパターンの分析
エースモンスターが強かった |
妨害を乗り越えるくらい展開ができた |
相手の盤面を十分に除去できた |
相手の展開を十分に妨害できた |
まずは自分のデッキの「勝ちパターン」を分析しましょう。
上記に、勝ちパターンで考えられる例をいくつか挙げてみました。
この4つの例は、カードの役割で挙げた「打点」「展開」「除去」「妨害」を基準にしてみました。(第2回の記事を参照)
もちろんこれら以外の勝因も思いつく限り挙げておくと、さまざまな気づきに繋がってきます。
さらにこれらの勝ちパターンから、以下のように発展させることもできるでしょう。
エースモンスターが強かった |
→もっとエースモンスターを早く場に出して勝率を上げる orエースモンスターの出力は十分なので、すこし減らして他の要素を強化する |
妨害を乗り越えるくらい展開ができた |
→もっと展開カードを増やして、より展開速度に磨きをかける or展開カードの枚数は十分なので、すこし減らして他の要素を強化する |
相手のフィールドを十分に除去できた |
→もっと除去カードを増やして、コントロールの要素を強くする or除去カードの枚数は十分なので、すこし減らして他の要素を強化する |
相手の展開を十分に妨害できた |
→もっと妨害カードを増やして、メタビートの要素を強くする or妨害カードの枚数は十分なので、すこし減らして他の要素を強化する |
このようにデッキの勝ちパターンが分かってくれば、「よりその要素を強くする」もしくは「その要素を十分と判断して他の要素を強くする」というふうに考えていくことができます。
ですが基本的には「よりその要素を強くする(強みを伸ばす)」方が良いでしょう。
遊戯王に限った話でもありませんが、何でも対応できる器用貧乏なデッキにするよりは、ひとつに特化した専門デッキの方が結果的には勝率が高くなりやすい傾向にありますからね。
大量展開からのワンターンキルを得意とする【サイバー・ドラゴン】であれば展開や除去のカードを多くしたり、コントロールを得意とする【イビルツイン】では除去や妨害のカードを多くしたり、メタビートを得意とする【エルドリッチ】であれば強力な永続系の妨害カードやそれらを守るカードを多くしたりといったイメージです。
デッキの弱みも考えよう
今度は逆に、「負けパターン」についても分析していきましょう。
エースモンスターを出したが、除去されて突破されてしまった |
相手の妨害が強くて、展開できなかった |
展開はできたが、相手のフィールドを突破できなかった |
相手の展開を止められず圧倒されてしまった |
こちらも先ほどと同じく、「打点」「展開」「除去」「妨害」の4点を基準を例に挙げてみました。(もちろんこれら以外の敗因も考えられます)
「負けパターン」の分析ができたら、次にそれをどうやって対策するかを考えていきます。
エースモンスターを出したが、除去されて突破されてしまった |
→妨害や耐性付与カードをつかってエースモンスターを守る |
相手の妨害が強くて、展開できなかった |
→相手の妨害を崩すために、除去カードを多めに採用する |
展開はできたが、相手のフィールドを突破できなかった |
→除去や妨害カードを増やして、相手の妨害や展開を抑える |
相手の展開を止められず圧倒されてしまった |
→妨害カードを多めに採用して、相手の展開を抑える |
「負けパターン」の対策は、「勝ちパターン」よりも明確になります。
「勝ちパターン」では「強みを伸ばす」「弱みを減らす」の選択肢がありますが、「負けパターン」では「弱みを減らす」しか考えなくて良いからですね。
手札事故を除く「負けパターン」の多くは、「相手の展開を止められない」「相手の盤面を突破できない」のどちらかになりがちです。
そのためそれらを解決する最も簡単な方法は、強力な汎用の除去・妨害を採用するということになります。
《サンダー・ボルト》や《ハーピィの羽根帚》などを使って相手のフィールドを一掃する、《強制脱出装置》や《神の宣告》などを使って相手の展開を妨害するという感じですね。
しかしながら、そうした汎用カードをたくさん採用してしまうと、今度は「勝ちパターン」で使っていたカードを引き込む確率も下がってしまいます。(第3回の記事を参照)
そのため何度も対戦で「勝ちパターン」と「負けパターン」を分析して、ちょうど良いデッキ配分を見つけることを目指していきましょう。
サイドデッキの活用(応用編)
また遊戯王にはサイドデッキの概念があります。
これは大会の形式がマッチ戦であることが多いために用意されているシステムですが、デッキ構築の調整用カードリストとしても活用することができます。
大会におけるサイドデッキについては、非常に奥深いためここでは省きますが、いわゆるデッキの「自由枠」のカードを入れ替えることを想定しています。
言い換えればデッキの基本的な動きを構成する「必須枠」と、その動きには関わらない「自由枠」があるという訳ですね。
大会でほとんどのデッキに採用される手札誘発も、基本的にはこの「自由枠」に分類されるカードとなっています。
「必須枠」となるカードが少なければ少ないほど、「自由枠」のカードを増やすことができるので、サイドチェンジも考慮することで非常に高い対応力を持ったデッキに構築することができます。
またファンデッキなどのいわゆるカジュアルデッキであっても、こうしたサイドデッキも考えておくことで、いろいろなデッキと戦うことができるようになります。
相手デッキのパワーが高ければサイドデッキに用意した強力な汎用の除去カードと入れ替えたり、逆に自分デッキのパワーが高すぎる場合はサイドデッキに用意したロマンカードと入れ替えることで、よりデュエルを楽しく遊ぶことができるでしょう。
カジュアルデッキであっても自分の目指したい展開に必要となる「必須枠」と、展開には関わらない「自由枠」の分類をしておけば、さまざまな場面に対応できるデッキとして使うことができます。
【HERO】で例を挙げると《E・HERO エアーマン》は必須枠、《E・HERO オネスティ・ネオス》は自由枠、《E・HERO エッジマン》は入れ替えのロマンカードといった感じですね。(もちろん最初にロマンカードを採用しておいて、相手デッキに合わせてパワーを上げる際に自由枠と入れ替えるという方法もあります)
基本的なデッキ構築が分かってきたぜ!という方は、ぜひ一度こうしたサイドデッキを活用した構築も考えてみると良いかと思います。
まとめ
さて、そういう訳で今日のお話しはここまで。
次回はいよいよ「構築の振り返りをしよう!(仮)」となりますので、またそちらの記事でお会いしましょう。
それでは!