小さいころから、ドラゴンが好きだった。
鳥獣や昆虫も好きだったが、やはりドラゴンが一番だった。
中でも《青眼の白龍》がお気に入りで、交換やらいろいろして三枚持っていた。
だから小学生の時から「青眼デッキ」を組んでいたし、今でも組んでいる。
今日は、その変遷のお話。
目次
●小学生
時は21世紀になったばかりの2000年代。
遊戯王の洗礼を受けた私は、人並みにカードを集め始めた。
好きだったカードは《落とし穴》、《人喰い虫》、そして《青眼の白龍》だった。
●レシピ(2001年9月ごろ)
※非表示のカードは《グランド・ドラゴン》と《島亀》
このデッキの強さは、地元に「制限カード」という概念がなかったため3積みできた《死者蘇生》にある。
《天使の施し》《メタモル・ポッド》《スピリット・ドラゴン》で墓地に送った《青眼の白龍》を、復活させるのだ。
《スピリット・ドラゴン》の効果を使ったターンに《超再生能力》を使うのに、何よりの喜びを感じる学童だった。
しれっと入っている《岩石の巨兵》《島亀》は、守備力のたくましさで場持ちを期待してのことだ。
守備力2000は、当時のカードプールでは突破がむずかしかったので、そのまま生け贄召喚につなげられるわけだ。
ところでこのレシピ、「なんでこのカード入ってないの?」ってツッコミがあると思うけど・・・ほら、小学生だから、《サンダー・ボルト》とか一枚しか持ってなかったから・・・
《いたずら好きな双子悪魔》とか、強さが理解できていなかったから・・・
一時期かなりやった遊戯王だけど、DMのアニメが終わるとまもなく引退した。
カードのテキストのレイアウトが変わって、違うカードゲームみたいになってしまったのも敬遠の理由だった。
再び手を出すのは、お酒が飲めるようになる年になってからだ。
●大学生
大学で飲み会があって、遊戯王をすることになった。
徹夜で飲み明かす意欲にあふれていたから、その間の娯楽を欲したんだな。
時期的には、シンクロ召喚の全盛期だった。アニメはちょうど「5D`s」で、クロウが「インチキ効果もいい加減にしろ!」と言っているときだった。
初代アニメの「俺ルール」に慣れ親しんだ脳みそでは、そろそろ理解が及ばなくなってきたころでもある。
とにかく、デッキを再整備しなければ。
私はほぼ10年ぶりに、「青眼デッキ」をクローゼットの奥から手に取った。
そして、カードも扱っている中古ゲーム屋に、足を運んだ。
●レシピ(2009年4月ごろ)
まず考えの一つに、「相手の強いモンスターどうしよ。そや、奪ったろ」がある。
《強制転移》で相手のモンスターをパクるのだ。
こっちが送りつけるモンスターは、《軍隊竜》《仮面竜》。
もし《軍隊竜》《仮面竜》なら、破壊され墓地に送られた時、もれなく自分の場が増える。
当時その単語は知らなかったが、【リクルーター】デッキ寄りの構築だったわけだな。
でも基本は、《コアキメイル・ドラゴ》による光、闇属性の特殊召喚封じだった。
当時は、強いモンスターはだいたい、光・闇属性だった。
この2属性を封じれば、展開を妨害し、強力なシンクロモンスターの登場を防ぐことができた。
そして、《モンタージュ・ドラゴン》。
私は、このモンスターが一目で気に入ってしまった。
《スピリット・ドラゴン》に変わる、新しいブルーアイズ墓地送り要員だと確信した。
なにより、「攻撃力は捨てたモンスターのレベルの300倍だぁ!」な牛尾さんごっこを、やりたかった。
ただ、《死者蘇生》が三枚積めなくなってしまったのが大きな痛手だった。
大学生にもなって、「セイゲンカード? なにそれジャンプの付録?」とは言えない。
デュエルの一回戦目に、二枚目の《死者蘇生》を使おうとして度肝を抜かれたのは内緒の話だ。
《青眼の白龍》の復活が少なくなり、《青眼デッキ》って感じがしなくなってしまったのが、個人的にしごく残念であった。
ただ残念なだけでなく、このデッキでの勝てなささは深刻だった。
VS【ビークロイド】
「うわ、なんで攻撃力3000以上のモンスターが普通にいるの?」
VS【シーラカンス】
「え? なんでそんなにわらわらわいてくんの?」
てな感じだ。
つまり、気がついたら負けていた。
当時の低速なゲームスピードを鑑みても、このデッキはのろくさいデッキであった。
いまだに《青眼の白龍》のアドバンス召喚を狙っていたし、シンクロモンスターはたった一体。
要は、小学生デッキのマイナーチェンジにすぎなかったのだ。
頼みの《モンタージュ・ドラゴン》はどうだったかって? デモチェで無効化されましたけどなにか?
その後、自分は順調に大学を卒業し、遊戯王をやることもなくなった――
●社会人
契機が訪れたのは、卒業後しばらくしてからのこと。仕事で、岩手県の海沿いに長期派遣されたのがきっかけであった。
娯楽が、なかったのだ。
最初の数週間は、観光地を巡ったり、近くの小料理屋で地元の海産物に舌鼓を打ったりしていたのだが、まもなくだいたいのところは行きつくしてしまう。
なにか、娯楽が必要だ。
そう考えて見直した、地元の地図。ちょうど車で行ける距離に、おもちゃ屋があった。
さっそく向かう。
顔をのぞかせてすぐの入り口近く。
イーゼルにのった黒板に、「カード大会」と書かれていて、その下に「遊戯王」の文字がある。
ちょうど少し前に、スマホゲームの「デュエルリンクス」は、始めていた。
「リアルカードも始めるか・・・」
次の長期休暇、自宅に戻ってすぐに、私はクローゼットを開く。
どのカードを使うかは、もちろん決めていた。
幼いころから自分を支え、幾度の引っ越しにもかかわらずずっと手元に置いておいたマイフェイバリットカード・・・
《青眼の白龍》だ。
さて、いやしくも決闘者なら、勝てるデッキを作らなければならない。
とくにそのお店は、勝ち抜き形式の大会だったので、一度負ければもう試合ができない。
そう、酒の肴でやる気晴らしとは、違うのだ。
私は十数年ぶりに、本気でデッキを組んだ。
●レシピ(2018年8月ごろ)
選ばれたのは、【儀式青眼】でした。
このデッキは、個人的には大満足であった。
なにせ、自分の好きな「鳥獣族」と「昆虫族」が、入っているからだ。
●現在
そしておとずれた、2020年。
自分が組んでいる最新の【青眼の白龍】デッキを、紹介したいと思う。
勝ったり負けたりワンキルされたりした果てに、自分が出した結論とは!?
【ドラゴンメイド】に、なっちゃった。
ドラゴンが好きです。でも、かわいい女の子はもっと好きです。