こんにちは、はみるとんです!
今回は初心者が躓きやすい、そして上級者でも何となくどういう法則になっているのか覚えづらいルールについて、しっかりと分類して覚えて行こう!という記事となります。
【 効果モンスター 】
星 4 / 闇 / 悪魔族 / 攻1600 / 守1300
このカードが他のカードの効果によって手札から墓地に捨てられた場合、このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
出典:遊戯王公式データベース
遊戯王を昔からやっている人なら、ルールを覚える過程で一度はこの壁にぶつかったことがあるのではないでしょうか?
「墓地へ送る」は「墓地へ捨てる」ではないので、《手札断殺》で「暗黒界」モンスターを墓地へ送った場合、効果を発動する事が出来ない、という裁定です。
ルール理解の妨げとなる「個別に暗記する」覚え方
遊戯王のルールが難しいといわれる一番の要因は、「適正な順番で学ぶための教材が存在しない」事に起因していると思います。
例えば皆さんは英語を学ぶとき、品詞というものを最初に学び、そこから文型を覚えたと思います。
同様に遊戯王も「テキストに使われる単語」がどんな意味を持っているのか、日本語の意味を正確にとらえて分類する事でかなり明確な法則性を捉えて簡単に覚えられるのですが、覚えるよりプレイする事が先に来るケースが多い事から「先に実例を知り、あとからそれを経験則で法則化する」という順番で覚えがちです。
すると「何故そうなるのか」がわからないままなんとなくで個別のケースとして覚えてしまうので、人に教える際に自分の中で分類できていないまま個別のケースとして1つ1つ教え、それが初心者を「覚えることが多くて難しい」と錯覚させてしまうというケースが多いように感じます。
例えば、以下のようなやり取りをよく見たことがあるのではないでしょうか?
非常に良くない教え方
初心者「墓地へ送られた時の効果ってリリースでも発動できるの?」
経験者「リリースは墓地へ送るの一種だから、墓地へ送られたって書いてあったらリリースでもOKだよ」
初心者「ん?墓地へ送るって書いてある効果はリリースでもあるってこと?」
経験者「いや、 逆に墓地へ送るとだけ書いてある効果はリリースではないから、リリースされた場合の条件は満たさない。ちなみに墓地へ送られないけどリリースされる場合もあって、マクロコスモスとか貼られてたら除外されるけど、その場合でもリリースはできる」
初心者「んん??」
経験者「ちなみに効果でリリースって書いてあったらコストじゃダメなんだけどこのほかに時できるの場合はタイミングを逃すからこれは効果でって書いてないけどコストじゃダメ。ちなみにチェーン1の発動が無効になったらチェーン2でもタイミングを逃さないって裁定もあるんだけど、コストじゃダメってルールはこの裁定とは別で原則としてあるからどんな状況でも時できるの条件指定は」
初心者「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「破壊」が「リリース」扱いではないのは何故?
おそらく既に遊戯王のルールをある程度知っている人にとっては常識であるルールですが、よく考えると何故なの?という部分をまずは深掘りしていきたいと思います。
【 効果モンスター 】
星 1 / 闇 / 悪魔族 / 攻300 / 守200
(1):このカードがリリースされた場合に発動する。
自分はデッキから1枚ドローする。
(2):自分のモンスターが戦闘で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。
出典:遊戯王公式データベース
上記の2種類のモンスターはそれぞれ「破壊された場合」と「リリースされた場合」に発動する効果を持っています。
【 エクシーズモンスター 】
星 8 / 水 / 植物族 / 攻2800 / 守2800
レベル8モンスター×2
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードのX素材を1つ取り除き、自分・相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをリリースする。このカードが植物族モンスターをX素材としている場合、この効果は相手ターンでも発動できる。②:モンスターがリリースされる度に発動する。このカードの攻撃力はターン終了時まで、リリースされたモンスターの数×200アップする。
出典:遊戯王公式データベース
この2体のモンスターが《六花聖ティアドロップ》でリリースされた場合、どうなるでしょうか?
《ウォーム・ワーム》は効果を発動できず、《サクリボー》は効果を発動できる、という状況になります。
これは何故かというと、「破壊」という「手段」を指定されている《ウォーム・ワーム》は「リリース」という「手段」で場を離れた場合、条件を満たしていないからです。
まぁこれはあまりにも当然というか、そりゃそうだろという話ですね。
「手段」と「結果」の違い
《髑髏顔 天道虫》は「墓地に送られた時」という条件を持っています。
【 効果モンスター 】
星 4 / 炎 / 獣族 / 攻1700 / 守600
このカードが破壊され墓地へ送られた時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊し、相手ライフに500ポイントダメージを与える。
出典:遊戯王公式データベース
一方、《火舞太刀》は「破壊され墓地へ送られた時」という条件を持っています。
これらのモンスターが《六花聖ティアドロップ》によって除去されるとどうなるでしょうか?
リリースされたモンスターは通常、そのまま墓地へ送られることになるため、《六花聖ティアドロップ》は「リリース」という「手段」により「墓地へ送る」という「結果」を生じさせる効果を持っています。
《髑髏顔 天道虫》は「墓地へ送られる」という「結果」を条件として有していますが、そのための「手段」は一切指定していません。よって、《六花聖ティアドロップ》によってリリースされた場合でも効果を発動する事が出来ます。
一方、《火舞太刀》は「破壊」という「手段」によって「墓地へ送られる」という「結果」が生じた際に効果を発動する事ができるため、「リリース」という「手段」が実行された場合には、「墓地へ送られる」という「結果」は満たされていても、効果を発動できません。
【 永続罠 】
自分の手札またはデッキから「原始太陽ヘリオス」1体を特殊召喚する事ができる。また、このカードがフィールド上に存在する限り、墓地へ送られるカードは墓地へは行かずゲームから除外される。
出典:遊戯王公式データベース
では、逆に《マクロコスモス》の適用下ではこれらのカードはどうなるでしょうか?
《サクリボー》は「リリース」という「手段」のみ指定しているため、「除外される」という「結果」とは無関係に効果を発動できます。
一方、《髑髏顔 天道虫》は「墓地へ送られる」という「結果」を指定しているため、「除外される」場合は効果を発動できません。
上記の例をまとめると、こういった誘発効果は「手段」と「結果」のいずれか、もしくは両方を指定しており、指定されていない物については問わない、という事になります。
この「手段」と「結果」の指定をごちゃごちゃに覚えていると、「リリースは墓地へ送るに含むけど、墓地へ送るはリリースではない」というような個別の独立した例として暗記していく事になり、「破壊はリリースに含むんだっけ?」などのようにどこがどこを含む関係にあるのか非常にややこしくなります。
「手段」と「結果」に切り分け、どこが指定されている条件なのかを把握すればとてもスムーズに理解することが出来ます。
その他の細かい条件指定
「手段」にあたる部分には、更に細かい条件付けが行われる物が多いです。順番に見ていきましょう。
「手段」が発生した「要因」
【 チューナーモンスター 】
星4 / 地属性 / 恐竜族 / 攻1400 / 守1000
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「スクラップ」モンスター1体を召喚できる。
②:このカードが「スクラップ」カードの効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「スクラップ・ファクトリー」1枚またはチューナー以外の「スクラップ」モンスター1体を手札に加える。
出典:遊戯王公式データベース
《スクラップ・ラプター》は「スクラップ」カードの効果で破壊された場合に発動できる効果を持っています。
このように、「破壊」という手段に更に追加する形で「〇〇によって破壊された場合」という条件がついたり、「〇〇の効果を発動するためにリリースされた場合」など、細かな条件が付きます。この場合、当然記載されている条件全てを満たしている必要があります。
今回例にあげた《スクラップ・ラプター》は「破壊され、墓地へ送られた場合」と「結果」の部分も指定がありますが、特にそういった指定がない場合はその部分は自由という事になります。
具体例
- 〇〇カードの効果を発動するためにリリースされた場合
- 〇〇の効果によって破壊された場合
- 戦闘によって破壊された場合
誰が行ったか
【 効果モンスター 】
星 4 / 水 / 水族 / 攻1400 / 守1600
①:このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
その後、デッキから「ファイヤー・ハンド」1体を特殊召喚できる。
出典:遊戯王公式データベース
《アイス・ハンド》は「相手によって破壊された場合」に発動できる効果を持っています。
このように、どのプレイヤーがその「手段」を取ったかを参照する場合があります。
この項目で特に難しいのは「相手によって」の範囲です。例えば「相手によってフィールドから墓地へ送られた場合」という条件の場合、以下の条件を満たすときに該当する事になります。
- 自分がコントロールしている自分のモンスターが、戦闘で破壊される
- 自分がコントロールしている自分のモンスターが、相手の効果で破壊される
- 自分がコントロールしている自分のモンスターが、相手によって効果発動のためのコストとして墓地へ送られる
逆に以下の状況では効果を発動する事が出来ません。
- 相手がコントロールしている自分のモンスターが、戦闘で破壊され墓地へ送られる
- 相手がコントロールしている自分のモンスターが、自分の効果で墓地へ送られる
- 相手がコントロールしている自分のモンスターが、相手の効果で 墓地へ送られる
- 自分がコントロールしている自分のモンスターが、相手のカード効果処理によって、自身で選んで墓地へ送る事を強いられる(《魔砲戦機ダルマ・カルマ》など)
基本的には「自分でコントロールしていなくてはならない」と覚えましょう。
例外は「ルールによる処理」の場合です。「相手に墓地へ送るという行動を強いる」というような処理なので相手のカード効果の扱いになりません。
これは難しいですがそもそも該当する例が少ないので例外として覚えておきましょう。
条件のまとめ
カード名 | 何の要因で | どこから | どんな手段で | どこへ |
《ウォーム・ワーム》 | 任意の要因で | 任意の場所 から | 破壊され | 任意の場所へ |
《火舞太刀》 | 任意の要因で | 任意の場所 から | 破壊され | 墓地へ |
《スクラップ・ラプター》 | 「スクラップ」カードの効果で | 任意の場所 から | 破壊され | 墓地へ |
《異次元の生還者》 | 任意の要因で | フィールド上から | 任意の手段で | 除外ゾーンへ |
《暗黒界の狩人 ブラウ》 | カードの効果で | 手札から | 捨てられ | 墓地へ |
《地帝家臣ランドローブ》 | アドバンス召喚のために | 任意の場所から | リリースされ | 任意の場所へ |
ここまでに出てきた内容を表にまとめました。
赤字で書かれた部分がテキスト内で指定されている条件であり、逆に他の部分に関してはどんな条件でも問題ない、という事になります。
例えば《火舞太刀》は「破壊され墓地へ」送られれば効果を発動できるため、破壊される前に居た場所がフィールドからでも手札からでも問題ありません。
《暗黒界の狩人 ブラウ》は「カードの効果で手札から捨てられ墓地へ」送られるという条件なので、「カードの効果で手札から破壊され墓地へ」送られた場合には効果を発動できませんし、「 カードの効果で手札から破壊され除外ゾーンへ」送られた場合も効果を発動できません。
このように、どの部分が指定されていてどの部分が指定されていないかを考える事で、条件指定がどういう時に満たされるのかしっかり関係性を理解する事が出来ます。
手段としての「送る」「除外する」について
エルド
【 効果モンスター 】
星10 / 光属性 / アンデット族 / 攻2500 / 守2800
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:手札からこのカードと魔法・罠カード1枚を墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地へ送る。
②:このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。
このカードを手札に加える。
その後、手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターは相手ターン終了時まで、攻撃力・守備力が1000アップし、効果では破壊されない。
出典:遊戯王公式データベース
さて、ここまでの話でかなりしっかり構造を体系化出来たので、いよいよ初心者が躓きやすい部分に踏み込んでいきます。
それは、「墓地へ送る」は手段ではないのか?という話です。
例えば、「リリースされた場合」という指定の条件が「破壊する」という効果で除去された場合に効果を発動できないのは先程説明した通りです。
「リリース」という「手段」を指定されているのに、「破壊」という「手段」で処理されたためです。
では、「破壊された場合」という指定の条件が「墓地へ送る」という効果で除去された場合はどうなるのでしょうか?
こちらも「破壊」という「手段」を指定されているのに、その手段が実行されていないため、同様に効果を発動する事が出来ません。
では、「墓地へ送られた場合」という指定の条件が「破壊する」という効果で除去された場合はどうなるのでしょうか?
この場合、最終的に墓地へ送られるのであれば効果を発動する事が出来ます。
……ん?
同じような状況で「手段」の部分を差し替えたのに法則性が変わっています。なんかややこしいですね。
これは、「墓地へ送る」「除外する」という言葉に「手段としての移動」と「結果としての移動」の2つの意味が混在してしまっているからです。
例えば、《黄金卿エルドリッチ》の「墓地へ送る」効果は《電脳堺狐-仙々》が適用されている状態でも発動する事が出来ます。
そして、結果的に対象となったカードは除外されます。
こうなると、「墓地へ送る」という効果で除去されたのに「墓地へ送られた場合」という条件を満たせない、という不思議な状況が発生します。
これをどう解釈するか?
遊戯王において「移動先」は基本的に「ルールで指定されているのでわざわざ書かないもの」として扱われています。
例えば《地割れ》は「破壊する」とだけ書いてありますが、基本的に墓地へ送られます。これをわざわざテキストで「破壊し墓地へ送る」とは表記しません。
では、《黄金卿エルドリッチ》のような「破壊ではなくリリースでもなく、何の手段にも当てはまらない方法で墓地へ送る」処理を行うカードでこの法則を適用してしまうとどうなるでしょうか?
手段の方は書く事がありません。そして、移動先もわざわざ表記しない……となると、テキストに書ける事がなくなってしまいます。
「(何の手段としても該当しない処理として)墓地へ送る(という結果を発生させる)」
「( 何の手段としても該当しない処理として)除外する(という結果を発生させる)」
というような事を日本語の文章として成立するように書いた結果、本来は書かない「移動先」を言及するテキストとなってしまっているのです。
感覚としては9期以前のコスト等のない起動効果に「メインフェイズに発動できる」と当たり前の事がわざわざ書いてあったのと同じです。(本来起動効果に発動できるフェイズの指定は書かれ無いが、メインフェイズにと書かないと、「発動できる。」と急に書く事になり日本語的におかしくなるので、仕方なく「メインフェイズに」と書いていた)
終わりに
というわけで、今回は遊戯王の難しいルールの1つである「誘発効果の条件」について、「手段」と「結果」という括りに分ける事でどこまでが代替可能であるのか体系化して説明していきました!
実例を沢山覚える事で理屈を理解していなくても感覚で覚える事が出来るのが遊戯王の良さではありますが、人に教えたり正確な処理をテキストを読むだけで把握するためには、どんな理屈でそういう処理になっているのか一度体系立てて覚えてしまうのが最も良いと思います。
同じような方法でカードごとの裁定についても遊戯王はかなり法則化されている部分が多く、こういった学び方は長い目で見てルール理解の助けとなりやすいので、初心者に教える際にもシンプルな説明にまとめやすくなり、他者への導入がスムーズに行えるようになります。
ルールの話は難しかったりややこしかったり敬遠されがちですが、このように原理を紐解いていくと非常に面白い分野ですので、これを機会に興味を持った方は是非同じように色んなルールについて個別の例が何故そうなるのか体系立てて考えてみましょう!
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました!