はじめに
こんにちは。あーくんです。
さて、前回の更新が6/22。ちょうどカイザー・オブ・ハイパードラゴンの発売日でした。そのため内容自体はデーモン・オブ・ハイパームーンの話をしており、ちょうど今回の記事で カイザー・オブ・ハイパードラゴンに触れる予定を立てていました。
が、しかし世間は既にその次の弾であるファンタジーBESTに首ったけ。しかも環境自体も大きく変わっているではありませんか。
さらにさらに8月には殿堂発表も控えており、このままではこのシリーズの連続性が著しくかけてしまうことが懸念されます。
そのため今回の記事では カイザー・オブ・ハイパードラゴン環境のまとめを中心に、追加としてファンタジーBEST環境のデッキについての解説を行っていきます。
Tierランクは カイザー・オブ・ハイパードラゴン環境のもの。しかし、ファンタジーBESTから紹介するデッキはファンタジーBEST環境のものと捉えて読んでいただければ幸いです。
それでは、今月も参りましょう。オリジナル環境解説7月編、スタートです。
2024年6月の環境はこちら!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「デュエル・マスターズ競技環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
Tier1
【火水マジック】Tier1
王者陥落せず
カイザー・オブ・ハイパードラゴンがリリースされ、様々なデッキが強化をもらいましたが、その中で直接的に【火水マジック】を引きずり下ろせるデッキは現れませんでした。
構築も変わるところがなく、最強のまま殿堂発表を迎えると思われています。
改めてこのデッキの強さを取り上げると大きく4つ。
再現性、速度、封殺能力、そしてロングゲームを乗りこなす継続能力です。
これらを可能にしているのが《芸魔隠狐 カラクリバーシ》と《氷柱と炎弧の決断》、さらに《瞬閃と疾駆と双撃の決断》と《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》です。
早ければ3ターン目に山札を半分ほど掘り進めるその回転性能がこのデッキの足腰を支え、半年もの間環境トップに居座り続けることを許しました。
新弾の登場でようやくその強さに陰りが見え始めたところ。しかし、このデッキは放置していたらいつかまた環境を塗りつぶすほどの圧倒的な力を持っています。
殿堂発表でもメインパーツが持っていかれると想定されていますが、今一度、殿堂前にこのデッキが最強であったことをここに記しておきましょう。
【闇自然アビス】Tier1
魔覇革命リリース後、火水マジックとともに環境の先頭を走っていたもう一つの環境トップ、闇自然アビスも、来たる殿堂発表でデッキが使えなくなると予想されているデッキの一つです。
《邪幽 ジャガイスト》か《アビスベル=覇=ロード》か《フットレス=トレース /「力が欲しいか?」》か。どのカードが殿堂入りしてもデッキの被害は相当なものでしょう。
環境最強のミッドレンジとして、その名をほしいままにした【闇自然アビス】は、カイザー・オブ・ハイパードラゴン環境でも非常に強力なデッキとして君臨していました。
【火水マジック】とともに、2024年環境の上半期を語る際には欠かせない存在のデッキでしょう。
【闇単アビス】Tier1
カイザー・オブ・ハイパードラゴンにて、ついにTier1の牙城を崩しかねないデッキが現れました。それがこの【闇単アビス】です。
従来の《アビスベル=ジャシン帝》を使ったコントロール調のミッドレンジデッキから打って変わって、今季の闇単アビスは圧倒的攻撃力を備えたワンショット~コンボデッキに進化しました。
その立役者が新しいアビスのメインエンジン、《邪魂龍 ジャビビルブラッド》です。
【 クリーチャー 】
種族 アビスドラゴン / 超化獣 / 文明 闇 / パワー4000 / コスト4
■ブロッカー
■自分の墓地から出たクリーチャーはすべて、出たターンの間、相手プレイヤーを攻撃できる。
■ハイパー化:自分の他のクリーチャーを1体タップする。(自分のメインステップ中に、ハイパーモードを解放できる。ハイパーモードは次の自分のターンのはじめまで続く)
────────────ハイパーモード────────────
パワー:10000
■W・ブレイカー
■各ターン、はじめて自分のアビスが攻撃する時、自分の山札の上から2枚を墓地に置く。その後、コスト3以下のアビス・クリーチャーを1体、自分の墓地から出してもよい。
《アビスベル=ジャシン帝》をより攻撃的にしたようなこのカードですが、最大の特徴は蘇生後アタックできるクリーチャーに種族も出し方も指定がないことでしょうか。
これにより、《漆黒の深淵 ジャシン帝》のアタックトリガーが大暴れ。アタック時に《忍蛇の聖沌 c0br4》を蘇生。そのまま《アーテル・ゴルギーニ》を蘇生。そして《アーテル》効果で蘇生を2回行うと、あら不思議、そのまま7点で一気にキル打点まで生成可能となっています。
また、この《深淵ジャシン》は 《ジャビビルブラッド》の効果で蘇生することが可能であるため、《ジャビビルブラッド》のアタックから連鎖して打点を叩き込むことも可能。 《アーテル》効果で《深淵ジャシン》を釣ればその打点は更に倍増。 ここに《奇天烈 シャッフ》や《単騎連射 マグナム》といったフィニッシュカードを絡める他、《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》での前方確認や《百発人形マグナム》でのループフィニッシュなど、一度回りだしたら際限なく破壊の限りを尽くすことができるデッキです。
《ポッピ・冠・ラッキー》や《歌舞音愛 ヒメカット》など、こちらの展開を阻害するメタクリーチャー も多く存在しており、環境を支配するまでには至りませんでしたが、今後のメタゲーム次第では十分にトップ争いを狙えるデッキであることは間違いないと思われます。
Tier2
【巨大天門】Tier2
Tier2以下のデッキに対する《∞龍 ゲンムエンペラー》の通りの良さから、常に一定の立場を作っているデッキです。
新プールによる構築の変更点としては《閃光の精霊カンビアーレ》が追加され、より面取りのゲームが強くなりました。
【 クリーチャー 】
種族 エンジェル・コマンド / 文明 光 / パワー13000 / コスト8
■革命0:このクリーチャーを自分のシールドゾーンから手札に加えた時、自分のシールドが1つもなければ、このクリーチャーを自分の手札からコストを支払わずに召喚してもよい。
■ブロッカー
■T・ブレイカー
■このクリーチャーが出た時、相手のクリーチャーをすべてタップする。次の相手のターンのはじめに、それらはアンタップしない。
■このクリーチャーが攻撃する時、相手のエレメントを1つ選び、シールド化してもよい。
特に【巨大天門】でのミラーマッチでは相手の盤面を一気に寝かせることで一方的なゲームを作れることが注目されており、以前まで採用されていた《聖霊龍王 バラディオス》と違い単体でも腐りにくいことから、少ない枠でデッキの地力を底上げすることに成功しています。
その他の点では《邪光魔縛 ネロマノフ=ルドルフⅠ世》と《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》の再評価が特徴でしょうか。
《ネロマノフ》はその色の強さが高く評価され、《ステゴロ》は下面が【ラッカゴスペル】に強く出ることができるため、それぞれデッキ強度の向上とメタ意識によってチューニングされています。
環境終盤はこういった細かい部分で勝敗の差が決するということを雄弁に語っているような構築になっているため、個人的には非常に美しく洗練されているなと感じることが多いです。
【水闇COMPLEX】Tier2
永遠の3番手に甘んじていた【水闇COMPLEX】は、カイザーオブハイパームーンではめぼしい強化をもらうことができませんでした。
そもそもこの環境は構造上メタを貼らなくてはいけない対象が多く、このデッキはいい意味でテンプレがなく、悪い意味で構築が固まることがありませんでした。
そんな中で共通していったのは《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》の採用でしょうか。クリーチャーに依存しない受けのパッケージは、常に対戦相手に難しい択を押し付けます。
【 ツインパクトカード 】
種族 スプリガン / ムートピア / 文明 水 / パワー12000 / コスト10
■相手のターンの終わりに、その相手のクリーチャーが自分より4体以上多く、自分の《ブルー・インパルス》がなければ、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。
■T・ブレイカー
■スマッシュ・バースト(このクリーチャーが攻撃する時、このカードの呪文側を、バトルゾーンに置いたままコストを支払わずに唱えてもよい)
────────────呪文────────────
カード名:「真実を見極めよ、ジョニー!」
文明:水
コスト:7マナ
■S・トリガー
■クリーチャーを3体まで選び、持ち主の手札に戻す。
また、これまでの構築推移からメタクリーチャーと《DARK MATERIAL COMPLEX》のパッケージの強力さは全てのプレイヤーの脳裏に焼き付いています。この経験と知見は、次の環境でまた役立つことでしょう。
【ラッカゴスペル】Tier2
こちらも息の長いtier2ですが、構築理念は「《ストップ》呪文を打ち続けて【火水マジック】を締め上げる」に統一されました。
カイザー・オブ・ハイパードラゴンにて多少受け札の採用候補が増えましたが、基本的なポイントは変わらず、 【火水マジック】 を一点に見つめ掠め取っていきます。
少しこのデッキについて掘り下げましょう。このデッキの強みはその拡張性の高さにあります。
極論呪文であればどんなカードでもデッキに入れることができるため、メタゲームに応じて最適な形を作り勝ち残ることができます。
カイザー・オブ・ハイパードラゴン環境では呪文を止めることが勝ちに直結していました。しかし、これから訪れる環境は呪文が強いとも限りません。
そうなった時に適切なカードの採択により環境に適応できるようになり、きっとまた環境に残ることが出来るという基盤の太さと、その拡張性の高さがこのデッキの強みだと言えます。
とはいえ今環境ではこれが最適とされていました。今後のメタゲームではどんな形になるのかを注目してみるのも面白いかもしれません。
Tier3
【光火アーマード】Tier3
カイザー・オブ・ハイパードラゴンで《終炎の竜皇 ボルシャック・ハイパードラゴン》を獲得。ついに完成したデッキがこの【光火アーマード】です。
【 クリーチャー 】
種族 アーマード・ドラゴン / 超化獣 / 文明 火 / パワー5000 / コスト5
■ 自分のコスト5以下のクリーチャーすべてに「スピードアタッカー」を与える。
■このクリーチャーが攻撃する時、山札の上から1枚目を見る。それがコスト5以下のクリーチャーなら、出してもよい。そうしたら、このターンの終わりに、そのクリーチャーを破壊する。
■OVERハイパー化:自分の他のクリーチャーを2体タップする。(自分のメインステップ中に、ハイパーモードを解放できる。ハイパーモードは次の自分のターンのはじめまで続く)
────────────ハイパーモード────────────
パワー:11000
■W・ブレイカー
■ 自分のクリーチャーの攻撃の終わりに、自分のタップしているクリーチャーが5体以上あれば、自分のクリーチャーをすべてアンタップする。
使い方は至って簡単。《ハイパードラゴン》を捲るまでメクレイドをはじめとした踏み倒しをし続け、 《ハイパードラゴン》 が捲れたら超過打点で殴り切って勝ち。わかりやすいビートダウンデッキだと言えます。
発売当初こそ数が多かったものの、段々とその勢いは下火に。真っ直ぐすぎるその攻撃方法が、多種多様な対戦相手には通りにくかったのが最大の理由でしょうか。
しかし、その攻撃力は本物。火力の一点だけで言ったら【火水マジック】をゆうに上回るだけの出力を誇ります。
このデッキもまた、今後の環境次第では常にチャンスがあるデッキでしょう。
地上最強のヨメ
この地上で最強のデッキ、この世のために残しましょう。
というわけで、ここまではカイザー・オブ・ハイパードラゴンの話をしてきましたが、ここからは大注目のファンタジーBESTからの紹介となります。
みなさんご存知の通り、ファンタジーBESTリリース前とリリース後では環境の形はまるで別物。今回は特にその中でも注目のデッキを紹介しようと思います。
【デイガファイアー・バード】Tier1
誰が予想したでしょうか。あの【火水マジック】を叩き落とす空中の妨害性能を。
誰が想像したでしょうか。あの【闇自然アビス】を圧倒する地上の制圧力を。
誰が夢に見たでしょうか。半年間環境を牛耳っていたTOP2デッキが、殿堂発表を迎えるより前にTier1を叩き落とされることを。
速度、火力、受け、リソース、妨害、そしてエクストラターン……。このデッキは強いデッキが必要としている要素を全て兼ね備えています。
見慣れないカラーのデッキですが、動きは非常に簡単。
2コストのファイアー・バードで手札を整え、3コストのファイアー・バードで妨害や展開。
相手とアドバンテージ差を広げたところで《雷炎翔鎧バルピアレスク》や《龍后凰翔クイーン・ルピア》を投下して一気に押し込む。
【 クリーチャー 】
種族 アーマード・ファイアー・バード / ドラゴンの花嫁 / 文明 光/闇/火 / パワー7500 / コスト5
■ブロッカー
■スピードアタッカー
■W・ブレイカー
■このクリーチャーが破壊される時、かわりに自分の他のファイアー・バードを1つ破壊してもよい。
■このクリーチャーが攻撃する時、自分のファイアー・バードを1つ破壊してもよい。そうしたら、ファイアー・バード・メクレイド8する。
後はそのまま殴りきり。という、かなり直感的な動きのデッキです。
デッキの色やドローソースの少なさから今引きが要求されるデッキに見えますが、40枚ほとんどのカードが当たり+メクレイドギミックにより、何を引いても強いデッキになっています。
現在の環境はこの【ファイアー・バード】をどう乗りこなすか、どう攻略するかといった部分に焦点が当たっているのは間違い無いでしょう。
個人的な見立てとしては、Tier1のアグロミッドレンジは構造が強くカード単位でメタを貼るより構造で勝てるようにした方がいいことが多いのですが、こと【ファイアー・バード】は強いカードの詰め合わせでしかないため、特定のカードに弱く、逆に構造単位でメタを貼るのが難しいことがキーポイントになるかな、と考えています。
このデッキと、それを取り巻くメタゲームについては、8月記事で再度詳しく掘り下げて紹介しようと思います。
おわりに
というわけで、7月のオリジナル環境について解説いたしました。
使ってみたいデッキは見つかりましたでしょうか?
殿堂発表に超CSに新デッキの発売と、8月は環境を激震させるイベントが盛りだくさんですが、この記事が皆さんのオリジナル環境に対する理解への一助となれば幸いです。
それでは次回、8月のオリジナル環境解説記事でまたお会いしましょう!