はじめに
20thクロニクルデッキはとってもクロニクル!(?)
出典:デュエル・マスターズ公式
今回のクロニクルデッキは筆者も両方購入して友達と遊んでみましたが、「さすがは20周年」と思わず唸ってしまうようなデッキとしての完成度の高さ、新規カードの強さ、再録の豪華さで、文句なしに誰にでもオススメできる商品でした。
商品の具体的な話は「フェアリーch」さんのお二人の記事に譲るとしまして、今回のTierランキングにはクロニクルデッキを使ったテーマが、なんと2つともランキング入りしています!
クロニクルデッキで激震走るオリジナル環境の「今」についてお伝えしていきます!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「デュエル・マスターズ競技環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
前回からの環境の変化
7月のオリジナル環境解説記事からは大きく3つの商品がリリースされました。
「英雄戦略パーフェクト20」と「20thクロニクルデッキ」2種ですね。
出典:デュエル・マスターズ公式
まずは「英雄戦略パーフェクト20」ですが、このパック単体で環境に大きな影響を与えたカードは3枚。
出典:デュエル・マスターズ公式
《ガル・ラガンザーク》、《モモキング -旅丸-》、そして《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》です。
特に《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》は《ヘブンズ・ゲート》の環境上の立ち位置の良さと合わさり大活躍中!
リリース当初はそれほど事前評価の高くなかったこのカードでしたが、蓋を開けてみると「英雄戦略パーフェクト20」で最も環境を動かすカードになりました。
墓地からの呪文回収で確実にリソースを稼ぎつつシールド追加。パワー14000のブロッカーは非常に屈強で、環境上のほとんどのアタッカーに対してバトルで勝利できます。
一見ラグがひどそうな攻撃時能力も「EXライフシールドが離れた時」の文言がついていればあら不思議。
無視するにも無視できず、かといって除去に向かえば2アクションを要求され、さらに追加のアクションまでとられてしまう、非常に厄介な壁として立ちはだかります。
また、《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》に付随して、《T・T・T》+《イグゾースト・Ⅱ・フォー》のリソースマシマシパッケージの高評価も定着しつつあります。
もともとは【ラッカ鬼羅.Star】で使われはじめた組み合わせでしたが、《イグゾースト・Ⅱ・フォー》を能動的に踏み倒さない【ラッカ天門】においても凶悪なリソース源として欠かすことのできない存在です。
このカラーリングのデッキであれば、まずは採用を検討するべきパッケージと言っても差し支えないでしょう。
次に、20thクロニクルデッキ2種について。
出典:デュエル・マスターズ公式
「決闘! ボルシャック・デュエル」の新規カードからは、《ボルシャック・決闘・ドラゴン》、《ボルシャック・栄光・ルピア》、《ボルシャック・スーパーヒーロー/超英雄タイム》が活躍中。
3枚全て【赤緑ボルシャック】で採用されているほか、《ボルシャック・スーパーヒーロー/超英雄タイム》は汎用的なカード除去として多くのデッキに採用されはじめています。
【 ツインパクトカード 】
種族 アーマード・ドラゴン / ハンター / 文明 火 / パワー6000 / コスト6
■W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2つブレイクする)
■このクリーチャーが出た時、パワー3000以下のサイキックではないクリーチャーをすべて破壊する。その後、パワー5000以下のサイキック・クリーチャーをすべて破壊する。
【呪文】
カード名:超英雄タイム
文明:火
コスト:2マナ
■バトルゾーンにある相手のコスト3以下のカードを1枚選び、持ち主の墓地に置く。
実用的なボルシャックの登場で大幅に評価を上げている既存カードが、《ボルシャック・ドラゴン/決闘者・チャージャー》と《ボルシャック・クロス・NEX/ボルシャック英雄譚》の2枚。
専用構築を組みさえすれば、多くの場合で3枚のカードをそのまま手札に加えながらマナを伸ばせる《決闘者・チャージャー》。
プレイヤー間で俗に「サイバー・ブレイン・チャージャー」と呼ばれるほどの圧倒的なリソース源として、【赤緑ボルシャック】の立役者となっています。
これまで手札を減らさずに1枚ブーストするだけでも十分に重宝されていたわけですから、手札が減らないどころか増えるようになったこのカードがいかに強いかは言うまでもないでしょう。
《ボルシャック英雄譚》もまた、専用構築では凶悪なフィニッシャー。6枚もめくれば5〜6枚はざらにボルシャックです。
《ボルシャック・栄光・ルピア》の登場で爆発的なブーストが簡単に決まるようになり、お手軽にゲームを畳む手段として《ボルシャック英雄譚》はボルシャックデッキの中核を担う存在になっています。
「熱血! アウトレイジ・ビクトリー」の新規カードからは、《灼熱の闘志 テスタ・ロッサ》、《電脳の女王 アリス/不埒な再侵入》、《熱血武闘 カツキング》が主に活躍中。
どれも「テスタ・ロッサ」にフィーチャーした新型の【墓地ソース】で活躍しています。
また、このデッキのリリースによって「英雄戦略パーフェクト20」に収録された《勇気と知識 テスタ・ロッサ&アリス/「行くぜアリス!」「行けるわテスタ!」》と《反逆龍 5000typeR/無法頂上会談》の評価は確固たるものに。
どちらも初動としては「カードを引いて捨てる」だけのシンプルなつくりですが、《「行くぜアリス!」「行けるわテスタ!」》は受け札として、《反逆龍 5000typeR》は追加のフィニッシャーとして、ツインパクトの強みを存分に活かして独自の役割を築いています。
それでは、これらの変化を踏まえてTierランキングの紹介に移ります!
Tier1
【シータRX閃】Tier1
総合力最強、現環境の「キング」はこのデッキ!
3ターン目に、
・《“龍装”チュリス》+《蒼き守護神 ドギラゴン閃》による打点押し付け
・《Disノメノン》によるメタクリ処理&リソース拡充
・《フェアリーの火の子祭》で単色を確保しながらブーストし、安定4t《王来英雄 モモキング》
などなど様々な選択肢を取れる、柔軟性の高いプランニングが強みのビートダウンデッキ。
最近では《赤い稲妻 テスタロッサ》の存在を前提としたデッキが増えていること、そもそも2ターン目・3ターン目と連続して手札を減らすことがあまり強くないデッキ構造であることなどから、メタカード枠に《モモキング -旅丸-》を採用した型も活躍中。
また、《Disノメノン》のプレイを安定して行うために水文明のカードを増加した構築もメジャーになりつつあります。
採用される水文明のカードは様々ですが、追加のトリガー・《奇天烈 シャッフ》・《龍素記号Xf クローチェ・フオーコ》などから選択されることが多い傾向です。
今回のサンプルリストでは、《ドラゴンズ・サイン》や《ヘブンズ・ゲート》に対応するべく《奇天烈 シャッフ》をフル採用し、その分トリガーの枚数を少し減らしています。
アップデートされた構築が広まりつつあるものの、既存の構築が全く見られないわけではなく、どちらも意識しなければならないのが厄介な点。
環境に合わせたチューンも容易なため、引き続き活躍が予想されるデッキです。
Tier2
【ラッカ天門】Tier2
受けの硬さは環境トップ。《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》を旗頭に、ビート環境に狼煙を上げよ!
序盤の全てをリソース拡充に費やし、5ターン目に《ドラゴンズ・サイン》や《ナウ・オア・ネバー》からゲームをスタート。
潤沢にリソースを確保できるため7〜8枚採用された踏み倒しカードを引き込むことはそれほど苦ではなく、いずれもトリガーを持っているためビートダウンに対して盾受けからカウンターを仕掛けることも容易。
《龍風混成 ザーディクリカ》があれば手札からさらに《ヘブンズ・ゲート》を使って展開を作ることもでき、ひとたび動き出せば簡単に人が死ぬ打点が、絶対的な防御力を持ちながら形成されます。
過剰打点に対しても各種踏み倒しから繰り出される《天命龍装 ホーリーエンド》でケアが効くため、最近流行りの【赤緑ボルシャック】に対して非常に大きな有利がつくのが環境上の特色です。
今後【赤緑ボルシャック】が定番化するのであれば、カウンターパートとしてこのデッキは有力な選択肢となるでしょう。
【5cコントロール】Tier2
アドバンス環境に続き、オリジナル環境でも《ドラゴンズ・サイン》を多投した受け寄せの5cコントロールが主流になっています。
《熱核連結 ガイアトム・シックス》は《最終龍覇 グレンモルト》に比べればフィニッシュ力で一歩劣るものの、受けに回った際の性能では十分に張り合えるスペック。代役としては十分でしょう。
サンプルデッキについてはほとんどアドバンス環境と変わらないデッキとして振る舞っていますが、軸をずらした派生構築もいくつか登場しています。
《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》と《ヘブンズ・ゲート》のパッケージに着目し、そこと相性のいい《天命龍装 ホーリーエンド》や《砕慄接続 グレイトフル・ベン》のカードパワーを無理なく取り入れた【5c天門】。
《護天! 銀河MAX》+《「絶対の楯騎士」》+《「雷光の聖騎士」》のギャラクシールド三銃士で防御性能大幅アップ、《ドラゴンズ・サイン》からも繰り出せる《煌龍 サッヴァーク》で味方全体に除去耐性を付与して詰めにかかる【5cギャラクシールド】。
どちらの派生構築も従来の【5cコントロール】より防御面で優れている点が特徴的で、現環境における【5cコントロール】の強みが「受けの強さ」にあることが伺えます。
クロニクル発売直後から活躍中で、現在非常に評価の高い【赤緑ボルシャック】は、《ボルシャック英雄譚》から繰り出される超過剰打点が最大のウリ。
反面、搦め手の採用余地があまりなく防御的なデッキを苦手としているため、盾受けの強さにフォーカスを当てた構築は、今後の活躍に期待が高まります。
【赤単我我我ブランド】Tier2
相変わらず我が道を征く【赤単我我我ブランド】。
構築としてもほとんど変わりなく、シンプルな赤単速攻からビートジョッキー軸まで様々。
しかし、環境全体が《赤い稲妻 テスタロッサ》へ適応しはじめていることや、受けの強いデッキが台頭しはじめていることから、メタゲーム上の立ち位置はあまりよくありません。
これといった新規カードが増えていないため戦力的には何も変わっておらず、急激に強化されていく周囲のパワーに押され、やや失速気味。
もちろん受けの強いデッキが少ない環境であれば有力な選択肢となります。使用する際はお住まいの地域のメタゲームをよく読んでお使いください。
【ラッカ鬼羅.Star】
《T・T・T》+《イグゾースト・Ⅱ・フォー》でリソースゲームを制すべし!
継続的に大きくリソースを稼ぐこのパッケージの登場により、ラッカ鬼羅Starは次のステップに進出しました。
細いドローで《「正義星帝」<鬼羅.Star>》を引き込まざるをえなかった以前の構築とは打って変わって、引き込む手段が大幅に増えました。これにより、4t《エヴォ・ルピア》+《「正義星帝」<鬼羅.Star>》の再現性はさらにアップ。
さらに言えば、シンプルに強力なリソース源が増えたことにより、《「正義星帝」<鬼羅.Star>》が活躍しづらい局面でも、普通にマナを払ってクリーチャーを召喚し、展開を継続していけるようになりました。
《イグゾースト・Ⅱ・フォー》は《「正義星帝」<鬼羅.Star>》から踏み倒して強いだけでなく、今までパッとしなかった4ターン目のアクションに新たな選択肢を増やす1枚。
《T・T・T》で3ドロー→次のターンに《イグゾースト・Ⅱ・フォー》で《T・T・T》を踏み倒して3ドローおかわりと動いてリソースを大量に抱える動きはそれだけで非常に強力です。
これまでの「メタビート」と「ワンショット」の2極に寄っていた【ラッカ鬼羅.Star】のイメージとは大きく異なり、リソース補充でのロングゲームを見据えたボードコントロールデッキの趣が強い構築へと昇華しつつある現在の構築。
もちろん環境次第でどちらが強いかは変わってきますが、今のトレンドがリソース寄りであることは押さえておきたいですね。
【赤緑ボルシャック】Tier2
クロニクルデッキ発売と同時に連戦連勝、新環境でも活躍間違いなしの大注目デッキ!?
デッキの鍵を握るのは《決闘者・チャージャー》と《ボルシャック・栄光・ルピア》のブースト2種、そして超必殺技の《ボルシャック・クロス・NEX/ボルシャック英雄譚》。
最速4ターン目には《ボルシャック英雄譚》を唱えられるほどの高速ブーストを持ちつつも、《決闘者・チャージャー》でお手軽に爆発的なリソース補充が可能に。
《ボルシャック英雄譚》はデッキのほとんどのカードを踏み倒すことができるため、ある程度現実的な確率で生半可な受けは成立しない爆発的な打点を形成できます。
専用デッキでの使用感としては、呪文である代わりに3マナ軽くなった《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》、というような感じ。
上面の《ボルシャック・クロス・NEX》も踏み倒す分にはかなり強力なフィニッシャーで、特に《終末の時計 ザ・クロック》を止められる点は重要です。
また、打点の多くを小型クリーチャーに頼る【ラッカ鬼羅.Star】や【赤単我我我ブランド】、コンボの始動に軽量クリーチャーが欠かせない【ジョー星ゼロルピア】や【マーシャルループ】に対しては、単純に相手の動きを大きく制限できるカードとしても機能してくれます。
今回のサンプルデッキはクロニクルデッキ発売初日に東北地方のCSで入賞してリスト公開され、その後テンプレとして広まりつつある構築です。
《ボルシャック英雄譚》に加えて《王来英雄 モモキングRX》と《ボルシャック・モモキングNEX》がパッケージとしてフル採用されており、3〜4t目に捲りながらビートダウンを狙うプランも取りやすくなっています。
踏み倒しが多いことから一見するとメタクリーチャーに弱そうですが、実のところとにかくマナブーストが速いためほとんど問題にはなりません。
《ボルシャック・決闘・ドラゴン》や《ボルシャック・スーパーヒーロー/超英雄タイム》、《ボルシャック・ドギラゴン》などでメタクリ処理もラクラクです。
反面やや苦手としているのは、高速ビートダウンや、トリガー踏み倒しで防御してくるようなデッキ。
ただし、このデッキはナチュラルに《ボルシャック・NEX/スーパー・スパーク》を有しているのがポイント。
ビートダウンデッキに対しては《スーパー・スパーク》を踏ませてターンをもらい、返しに《王来英雄 モモキングRX》のシンカパワーを絡めて盤面を殲滅。
トリガー踏み倒しで防御してくるデッキに対しては返しの打点を《スーパー・スパーク》で止めつつブロッカーを無力化することで、打点を通していきます。
ただし、構築全体を防御に寄せたデッキは汎用的なフィニッシュ手段としてEXターン獲得や呪文封殺を持っていることが多いため、《スーパー・スパーク》の存在を加味しても苦手なデッキだと言えるでしょう。
この弱点を克服するべく、G・ゼロで召喚しながらブロッカーをまとめて処理できる《龍騎旋竜ボルシャック・バルガ》と、受け主体のデッキに採用されるクリーチャーの大半を登場させない《地封龍 ギャイア》のパッケージを取り入れた派生構築も研究されているようです。
「専用」の恩恵を大いに受けつつも、拡張性も意外なほど広い柔軟性のあるデッキ。まだリリース間もないこともあって、今後の発展が楽しみです。
【ジョー星ゼロルピア】Tier2
先月の記事では青緑型の【ジョー星ゼロルピア】が増加しているとお伝えしましたが、回り回って現在では青黒・青緑のどちらの型も存在するようになってきました。
《堕呪 ゴンパドゥ》や《十・二・神・騎》で序盤の安定を取れる青緑型ですが、これらは呪文であるため、それとは別にコンボ成立後に山札を掘り進めるカードを採用しなければなりません。
そのため、デッキの枠はかなりカツカツ。
対する青黒型は、序盤の安定剤と山札を掘るカードがどちらも《戦略のD・H アツト》系のクリーチャーに集約されています。
その分の枠で《学校男》や《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》などのメタクリ除去を採用しやすく、闇文明が入るおかげで除去の質も高いのが強みです。
青緑型のトピックとしては、《わかりミーア♥》の採用例の増加でしょうか。
《空腹の超人》のマナ召喚能力には、この手のカードによくあるターンごとの回数制限がありません。
《希望のジョー星》と《ゼロ・ルピア》2体の存在下ではバズレンダを追加で1回使った《わかりミーア♥》(=コスト4)のコストを0にできるため、好きなクリーチャー1体と《わかりミーア♥》をマナに送って《空腹の超人》の能力で両者をマナから召喚し……というアクションを繰り返せば、コスト4以下のクリーチャーの登場時能力を無制限に再使用できます。
《アクア忍者ライヤ》と違って自身もリソース化できるため、全てのカードを・何度でも使えるのが最大の強みでしょう。
ひとたび動き出してしまえば《天体妖精エスメル》・《ニヤリー》・《黙示賢者ソルハバキ》などを組み合わせることで全てのカードを自由自在に使えるようになり、勝利を確実にしてくれます。
タップインであるためコンボ中にアンタップマナを作る役割は持てないものの、序盤に引いた際は2マナのブーストカードとして十分機能するのが嬉しい点です。
非常に強力かつ拡張性も高い夢のあるコンボですが、《空腹の超人》のマナ召喚は《とこしえの超人》下で使えなくなってしまう弱点もあるため、あくまで補助パーツとしての採用例が中心。
一応《腐敗麗姫ベラ》などと組み合わせて勝ち筋にする構築もありますが、今のところはそれほど多くないようです。
Tier3
【アナカラーハンデス】Tier3
手札を入れ替えつつコスト2以下のクリーチャーを2体蘇生できる《有象夢造》を大々的にフィーチャーした、ハンデスコントロールデッキ。
2ターン目に《特攻人形ジェニー》、3ターン目にリソースを稼いで、4ターン目に《有象夢造》から《特攻人形ジェニー》か《悪魔妖精ベラドンナ》を同時蘇生して2ハンデス、5ターン目に《絶望と反魂と滅殺の決断》でさらに追撃、というような展開で流れるように相手の手札を削いでいきます。
コスト2以下蘇生のおかげでメタクリーチャーを採用する余地も多く、あの手この手で相手を妨害可能。近年では珍しいほどにまっすぐ相手のリソースを削いでいくコントロールデッキです。
勝ち筋も《アクア・ベララー》で相手のトップをコントロールして反撃をシャットアウトし、《Q.Q.QX.》で山札に横向きに刺したカードを引かせて勝利するのがメイン。
悠長なようにも見えますが、《Q.Q.QX.》自身が強力なメタ性能を持っていること、《有象夢造》や《絶望と反魂と滅殺の決断》の2体蘇生で《アクア・ベララー》の能力を使うと横向きのカードを一気にデッキトップに近付けられることから十分に現実的です。
一時期はかなり話題となったこのデッキですが、《T・T・T》+《イグゾースト・Ⅱ・フォー》のパッケージや、《決闘者・チャージャー》で爆発的にリソースを稼げるデッキがかなりの数存在し、こまめなハンデスの価値が下り坂。早くも苦しいポジションに立たされています。
【アナカラーハンデス】はこのまま沈んでいくのか、それとも。
【青黒ガルラガンザーク】Tier3
「英雄戦略パーフェクト20」の登場以降、派手な活躍は見せないながらも環境の一角に存在し続けているデッキ。
オリジナル環境では《卍 デ・スザーク 卍》の採用価値がアドバンス環境よりもやや高く、それに伴って魔導具クリーチャーがやや多めに採用される傾向にあります。
《赤い稲妻 テスタロッサ》を採用したデッキと同じく、あまりに存在が意識されすぎた結果、やや刺さりが甘くなっているのが向かい風。
とはいえ最速3ターン目に着地する《卍 デ・スザーク 卍》や《ガル・ラガンザーク》の圧は決して無視できるものではありません。環境の巡り次第では十分に出てくる余地のあるデッキでしょう。
【墓地ソース】Tier3
【赤緑ボルシャック】が何かと取り沙汰されているクロニクルデッキですが、アウトレイジだって負けてはいません。
今回はクロニクルデッキの新戦力を採用した【墓地ソース】の中でも、「《テスタ・ロッサ》」シナジーを全力で活かす構築をサンプルリストに挙げています。
ルーティング能力を持つ《勇気と知識 テスタ・ロッサ&アリス》・《灼熱の闘志 テスタ・ロッサ》に、メタクリーチャーとして優秀な《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を合わせて3種12枚。
《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》はこれらのクリーチャーをまとめ上げる役割を一手に担いつつ、めくり要素によって墓地も爆発的に肥やしつつ、打点まで形成してくれるカードとして4枚採用されています
相手にしてみれば厄介なメタクリーチャーである《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》。
展開に邪魔だからと除去したとたんに、手札から2打点が出てきて、ついでに墓地が4〜5枚増えながらクリーチャーも横に並んで……となれば、相手からすればたまったものではありません。
もちろん能動的に使っても墓地肥やしとSA打点の準備が同時に可能なので十分に強力。メタクリーチャーである《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》が相手のターンまで残らないのは少し残念ですが、それを加味しても狙う価値があります。
《熱血武闘 カツキング》は自分のターンの開始時に「灼熱ドロン・ゴー」を誘発する役割を持ちつつ、単体の性能で見てもビートプラン・ボードコントロールプランの両面で役立つ便利屋。
構築全体に目を向けてみると、闇文明のカードがほとんど採用されないのも【テスタ・ロッサ軸墓地ソース】の大きな特徴です。
その理由は、マナベースへの負担の軽減。
大量の水/火多色が採用されているため闇文明絡みの多色をさらに採用するのは厳しく、なおかつ初動として重要な役割を担う《灼熱の闘志 テスタ・ロッサ》が水/火多色の2コスであるため、2ターン目には必ず火か水の単色カードが要求されるデッキです。
このデッキに限らず、《灼熱の闘志 テスタ・ロッサ》を使うデッキは可能な限り水と火の2色にまとめておきたいですね。
数少ない闇文明のカードも、《盗掘人形モールス》や《熱血武闘 カツキング》など自身のコストを踏み倒せるカードか、《電脳の女王 アリス/不埒な再侵入》などの、コストを支払って使う部分は水単色で賄えるカードになっており、闇マナを支払う機会は徹底的に排除されています。
《反逆龍 5000typeR》や《暴走龍 5000GT》である程度のトリガーをケアしながら突貫できる決定力の高いビートダウンデッキですが、やはり《ヘブンズ・ゲート》や《ドラゴンズ・サイン》など、大型獣を手札から踏み倒しながらブロッカーで受けてくるトリガーが非常に苦手。
【赤緑ボルシャック】と仲良く、【ラッカ天門】に苦しめられそうです。
【マーシャルループ】Tier3
使用者が多いわけではないものの、熟練のプレイヤーが各地で結果を出している【マーシャルループ】。
リストやループの手順もオリジナルとアドバンスでほぼ変わりなく、ほとんど同じ出力でほとんど同じ強みを持っています。
このデッキに有効な《リツイーギョ #桜 #満開》や《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》は、明確に有効な他の対面がそれほど多くなく、《モモキング -旅丸-》は幅広く刺さるものの、コスト4という絶妙な重さと取り回しの悪さで多くのデッキに採用されるには至らず。
やはり致命的なメタカードが環境内に少ないのが非常に強く、数少ないこれらのカードに対しても、万能処理手段である《龍脈術 水霊の計》の存在からなかなか屈しません。
使用難度が高いため母数はそれほど増えなさそうですが、ループデッキとしての安定度・強度が高いため、相変わらずたびたびCSベスト4の中で名前を見ることになりそうです。
環境のまとめと今後の展望
ビートダウン・コントロール・コンボの3すくみの中に突如として現れたビッグマナデッキ、【赤緑ボルシャック】。
その潜在能力は未知数ですが、筆者の見立てでは十分に今後の環境に定着するだけのパワー・対応力を持っているデッキだと考えられます。
ボルシャックシナジーそのものが強力であることは否定できませんが、真の最大の強みはとにかくマナが伸びる速度が爆速なことです。
マナが伸びるのが早いからこそメタクリーチャーを無視して召喚で展開を作れますし、マナが伸びるのが早いからこそハンデスを受けてもトップのカードを叩きつけて勝負に出られるのです。
これらの特色から、《メンデルスゾーン》と《ボルシャック・栄光・ルピア》を邪魔しない火か自然のドラゴンであれば採用できるため、見た目に反してかなりの拡張性を有しています。
この強力な新興勢力に対してある程度有利に立ち回れと見られるのは、
・豊富な受け札で即応しつつ、コントロールデッキやコンボデッキに対しても多種多様な封殺手段で柔軟に立ち回れる【ラッカ天門】
・マナブーストで早期にカードパワーの強さを押し付けつつも構築を受け方面に寄せられる【5cコントロール】の派生構築
この2種。これらのデッキは今後の動向に注目したいですね。
その先を見据えるのであれば、出てきそうなのは受けてくるデッキに強い【ジョー星ゼロルピア】や【マーシャルループ】。
これらのデッキは【赤緑ボルシャック】に弱く、受けてくるデッキに強いというわかりやすい特色を持っているため、今後はこの3すくみを意識していく必要がありそうです。
しかしながら、相変わらず環境のトップに【シータRX閃】がいることを忘れてはいけません。
《アルカディアス・モモキング》の通らない《ヘブンズ・ゲート》や《ドラゴンズ・サイン》を使うデッキに対しても《奇天烈 シャッフ》を絡めて呪文ロックを仕掛けることで貫通を狙えるため、構築次第では十分戦えるようになってきています。
【赤緑ボルシャック】も多彩な攻め手を有する【シータRX閃】が得意な相手であるとは言いがたく、今後も良好な立ち位置を保ちそうです。
おわりに
というわけで、7月上旬のオリジナル環境について解説いたしました。
使ってみたいデッキは見つかりましたでしょうか?
この記事が皆さんのオリジナル環境に対する理解への一助となれば幸いです。
それでは次回、8月下旬のアドバンス環境解説記事でまたお会いしましょう!