はじめに
現代デュエマにおいて、環境デッキは4~5ターンキルが当たり前になって久しくなりました。
恐ろしいワンショットやループが蔓延る現環境。どうすれば勝ち抜けるのでしょうか?
ここに、そんな問いに対する至極明快な「答え」を持ったデッキが存在します。
「相手が4キルしてくるのなら、自分が3キルしてしまえばいい」。
相手の選択肢を奪い完全に制圧することが戦術ならば、数多の選択肢を与えながらもそれを使わせないうちに倒し切るのも戦術の一つ。
誰よりも先を駆け抜ける、「赤単速攻」の系譜を受け継ぐ【赤単ブランド】というデッキについて解説していきます!
目次
【赤単ブランド】のデッキレシピ
【赤単ブランド】とは
【赤単ブランド】は、多数詰まれた1コストクリーチャーを確実に1ターン目にプレイし、2ターン目には攻撃しながらさらに展開、3ターン目には《”罰怒”ブランド》を召喚し、短期決戦を狙う超攻撃的な速攻デッキです。
防御力がほぼ皆無である代わりに、妨害がなければかなりの確率で3ターンフィニッシュを狙えます。
一気に駆け抜けるような爽快感を得ることができ、使っていて非常に気持ちの良いデッキであると言えます。
【赤単ブランド】の回し方
①1コストクリーチャーを展開!
このデッキには、1ターン目にプレイするためのカードが3種12枚採用されています(《グレイト”S-駆”》は1ターン目にプレイする意味が薄いため除いています)。
先攻の場合、これらのカードをドローできる確率は約86%です。
(《伝説の禁断ドキンダムX》を採用しない場合は85%)
後述する《GIRIGIRI・チクタック》をしっかりと活かすためにも、確実にクリーチャーを召喚し、攻撃態勢に入りましょう。
【 クリーチャー 】
種族 ドラゴノイド / 文明 火 / パワー1000 / コスト1
■このクリーチャーは、可能なら毎ターン攻撃する。
《凶戦士ブレイズ・クロー》はこのデッキにおいてはほとんどデメリット効果が気にならないクリーチャーです。
初手にこのカードがある場合は、他の二種より基本的に優先してプレイしましょう。
【 クリーチャー 】
種族 ファイアー・バード / 文明 火 / パワー1000 / コスト1
■このクリーチャーは、自分のターンのはじめにアンタップされない。
《ブルース・ガー》はアンタップできない、つまり1度しか攻撃できないクリーチャーです。
このデメリット能力は、《”罰怒”ブランド》プランでは打点が1減るかなり大きな痛手となります。
《”罰怒”ブランド》で攻める場合には他のカードを優先したいところです。
【 クリーチャー 】
種族 アーマロイド / 文明 火 / パワー1000- / コスト1
このクリーチャーのパワーは、バトルゾーンにある光または水のクリーチャー1体につき-1000される。(パワー0以下のクリーチャーは破壊される)
《螺神兵ボロック》は、敵対色の水、光を持つクリーチャーが場に出た途端に破壊されてしまうクリーチャーです。
現環境で早期に出てくるクリーチャーとしては、《ナゾの光・リリアング》や、《異端流し オニカマス》、《天災 デドダム》などが該当します。
相手のデッキがわからない状態で先攻をとった場合は、このカードはプレイしないほうが良いかもしれません。
(あくまで他の二種がある場合の話です。1マナのカードがこれしかないときはプレイしましょう)
②2ターン目は、手札の枚数を意識!
3ターン目に出すフィニッシャーがどちらかによって、2ターン目のプレイは大きく異なります。
【 クリーチャー 】
種族 ビートジョッキー / ワンダフォース / 文明 火 / パワー9000 / コスト9
■このクリーチャーを召喚する時、自分のクリーチャーを好きな数破壊してもよい。こうして破壊したクリーチャー1体につき、このクリーチャーの召喚コストを2少なくする。ただし、コストは0以下にならない。
■W・ブレイカー
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、このクリーチャーを召喚する時に破壊されたクリーチャー1体につき、GR召喚する。
■自分のクリーチャーすべてに「スピードアタッカー」を与える。
運良く手札に殿堂入りした強力カードである《BAKUOOON・ミッツァイル》がある場合は、こちらの召喚を優先し、基本的に手札を消費して展開してかまいません。
しかし、概ねこちらのほうが多いであろう《”罰怒”ブランド》プランの場合には少し話が違います。
【 クリーチャー 】
種族 ビートジョッキー / 文明 火 / パワー9000 / コスト7
マスターB・A・D(このクリーチャーを、コストを2少なくし、さらに、このターンに召喚した自分の他の火のクリーチャー1体につき追加で2少なくして召喚してもよい。そうしたら、このターンの終わりに自分のクリーチャーを1体破壊する。ただし、このクリーチャーのコストは0以下にならない)
W・ブレイカー
自分の火のクリーチャーすべてに「スピードアタッカー」を与える。
先攻の場合、1ターン目にクリーチャーを展開し、2ターン目のマナチャージを終えた段階で残り手札は3枚です。
《”罰怒”ブランド》を3ターン目にプレイするためには、1コストカード2枚と《”罰怒”ブランド》の、計3枚の手札が必要になります。
なので、2ターン目終了時点で手札を3枚持っている必要があり、手札消費をしてのクリーチャー召喚ができないのです。
*《GIRIGIRI・チクタック》が手札にある場合、それと《”罰怒”ブランド》の2枚になるまで手札を消費してかまいません。
【 クリーチャー 】
種族 デスパペット / エイリアン / 文明 火 / パワー2000 / コスト2
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のシールドをひとつ手札に加える。ただし、その「S・トリガー」は使えない。
【 クリーチャー 】
種族 ジョーカーズ / 文明 火 / パワー2000 / コスト2
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のシールドを1つ、手札に加える。ただし、その「S・トリガー」は使えない。
リソース消費を抑えたいというときに便利なのが、《斬斬人形コダマンマ》と《花美師ハナコ》、手札を減らさずプレイできるカードです。
《BAKUOOON・ミッツァイル》プランにおいても活躍しますが、手札管理がシビアになる《”罰怒”ブランド》プランにおいてはさらに重宝します。
また、これらのカードのシールド回収能力は、このデッキにおいては《デュアルショック・ドラゴン》を展開できるというメリットにもなります。0マナでW・ブレイカーを調達できるのは非常に強い動きのため、積極的に狙っていきましょう。
*めちゃくちゃ強いぞ!《GIRIGIRI・チクタック》
【クリーチャー 】
種族 ビートジョッキー / ワンダフォース / 文明 火 / パワー2000 / コスト2
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のシールドが4つ以下なら、GR召喚する。(GR召喚:自分の超GRの上から1枚目を、コストを支払ったものとして召喚する)
一時期、「赤単ブランド」がトップメタとして台頭した理由は何でしょうか?
もちろん、当時の環境王者である【デッドダムド】の処理よりも早く攻め切ることができ、有利に戦えるという外的要因もあります。
それに対して内的要因として挙げられるのが、この《GIRIGIRI・チクタック》の登場です。
2ターン目には活躍できないという弱みはあるものの、手札消費1枚、2マナで2体クリーチャーを並べられるというのは破格のスペックです。
このカードをキープすることにより、今まで《”罰怒”ブランド》をプレイするためマナチャージで終えていたターンにもクリーチャーを展開できるようになりました。
非常に高いカードパワーを持つこのカードは、《BAKUOOON・ミッツァイル》プランでも活躍する、このデッキの中核をなす1枚です。
③タイムリミットは3ターン!切り札で勝負を決めろ!
3ターン目は、このデッキにとって最終盤です。
《BAKUOOON・ミッツァイル》と《”罰怒”ブランド》のどちらかでフィニッシュを決めます。
どちらを使うかは2ターン目までに決まっているはずなので、ここではその流れのままにプレイしましょう。
相手に採用されているシールドトリガーによって多少変わりもしますが、《BAKUOOON・ミッツァイル》の場合には《ソニーソニック》、《”罰怒”ブランド》の場合には元からいるクリーチャーの攻撃を後に回し、仮に切り札が除去されても攻撃を続けられるよう注意してください。
必要?不要?《伝説の禁断ドキンダムX》
【 禁断の鼓動 】
文明 火 / コスト99
■この鼓動は、ゲーム開始時、封印を6つ付けてバトルゾーンに置く。
■この鼓動はバトルゾーンを離れない。
■禁断解放―この鼓動の封印がすべてなくなった時、クリーチャー側に裏返す。
(カードを封印するには、自分の山札の上から1枚目を裏向きのままそのカードの上に置く。コマンドがバトルゾーンに出た時、その持ち主はそのコマンドと同じ文明を持つ自身のカードから封印をひとつ、墓地に置く。クリーチャーが封印されている間、両プレイヤーはそのクリーチャーを無視する。)
────────────解放後────────────
カード名:伝説の禁断 ドキンダムX
カードの種類:禁断クリーチャー
文明:火
種族:-
パワー:99999
コスト:99マナ
マナ:-
■T・ブレイカー
■このクリーチャーが禁断解放した時、相手は自身のクリーチャーすべてに封印をひとつ付ける。
■コスト4以下の呪文によって、相手がクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーは選べない。
■このカードがバトルゾーン以外のゾーンにあれば、自分はゲームに負ける。
除去されれば敗北が確定してしまうこのカードを採用することに抵抗がある人もいるでしょう。
「《テック団の波壊Go!》を踏んだら強制開放されてしまい、安易な負け筋を作ってしまう」
そういう意見は、《テック団の波壊Go!》登場以来よく聞くところです。
しかし考えてみてほしいのは、《テック団の波壊Go!》を踏んで場が壊滅した試合は、《伝説の禁断ドキンダムX》が処理されずとも負けていたのではないか、ということです。
場にクリーチャーがほとんどおらず、さらにまだ相手のシールドが残っているという状況で態勢を立て直すのは至難の業。
逆に《テック団の波壊Go!》を踏んでも3打点持つアタッカーを残すことができると考えれば、これは大きな強みとなります。
【 クリーチャー 】
種族 ドラゴンギルド / ビートジョッキー / 文明 火 / パワー4000 / コスト5
■自分のクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーが自分の手札にあり、その攻撃がこのターン2度目のクリーチャーによる攻撃で、このターン自分の《龍装者 バルチュリス》をバトルゾーンに出していなければ、攻撃の後、このクリーチャーをバトルゾーンに出してもよい。 ■スピードアタッカー(このクリーチャーは召喚酔いしない)
攻撃の仕方次第では、封印に入っていた《龍装者バルチュリス》を絡めてダイレクトアタックまでもっていくことも可能です。
《テック団の波壊Go!》は《伝説の禁断ドキンダムX》の天敵であると同時に、格好の獲物でもあるのです。
また、《伝説の禁断ドキンダムX》にはデッキの母数を減らして各カードを引く確率を高め、再現性を上げるという効果もあります。
とはいえ、《伝説の禁断ドキンダムX》さえなければ勝っていた、という試合があることも事実。
このあたりは、個々人のリスク選好度による、としか言いようのないものです。
メリットとデメリットを《法と契約の秤》にかけ、あなたの決断を下してください!
その他採用カードについて
【 クリーチャー 】
種族 アーマード・ドラゴン / 文明 火 / パワー8000 / コスト6
S・バック-火(火のカードを自分のシールドゾーンから手札に加える時、そのカードを捨ててもよい。そうした場合、コストを支払わずにこのクリーチャーを召喚する)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のシールドを1枚選び、自分の墓地に置く。
W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)
《デュアルショック・ドラゴン》は、《斬斬人形コダマンマ》、《花美師ハナコ》とのコンボで活躍するカードです。
手札、シールドを消費してしまいますが、それに見合うだけの火力を持っています。
手札消費枚数は異なりますが、2打点を手札から生成できることから《花美師ハナコ》等を疑似的な《GIRIGIRI・チクタック》として扱えるようになります。
また、返しのターンの打点は足りないと踏んで攻撃してきた同系などに対して、その計算を大きく狂わせることができます。
【 呪文 】
文明 火 / コスト6
■マスターG・G・G:自分の手札がこのカードだけなら、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい。
■相手のパワー3000以下のクリーチャーをすべて破壊する。
■自分のマナゾーンに火のカードがあれば、カードを1枚引く。
《“閃忍勝”威斬斗》はこのデッキ唯一の相手への対応を行うカードであり、このデッキの大きな弱点であるメタクリーチャー《奇石ミクセル》《全能ゼンノー》等への対策の一枚です。
手札を激しく使用するこのデッキにおいてはマスター・G・G・Gの達成は容易で、相手が序盤に展開した小型クリーチャーを一掃することが可能です。もし相手にクリーチャーがいなくとも、使いさえすれば無料でドローが出来るため手札の交換としても使用できるのが魅力です。
ただ、同じ条件で打点になり除去も可能な《”轟轟轟”ブランド》が手札にある場合はそちらを優先したほうがいいでしょう。勝利に直結するカードではないため、使わないと決めたらすぐにマナに送りましょう。
「赤単ブランド」の強化方法
【 ツインパクトカード 】
種族 ジョーカーズ / 文明 火 / パワー3000 / コスト5
■S・トリガー(このクリーチャーをシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ召喚してもよい)
■スマッシュ・バースト(このクリーチャーが攻撃する時、このカードの呪文側を、バトルゾーンに置いたままコストを支払わずに唱えてもよい)
────────────呪文────────────
カード名:フンバ・フライ・ダイ
文明:火
コスト:マナ1
■相手のパワー3000以下のクリーチャーを1体破壊する。
このカードは、《奇石ミクセル》などこちらの展開の邪魔となるクリーチャーを除去できるカードです。
小回りが利き、入れておくと便利な1枚です。
同様の役割を果たすものに《スチーム・ハエタタキ》がありますが、現環境においては3000除去と4000除去の間にはそれほど大きな差がないので、トリガーすれば打点になるこちらをお勧めします。
「赤単ブランド」の対策方法
【 呪文 】
文明 光 / パワー- / コスト6
S・トリガー(この呪文をシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ唱えてもよい)
進化クリーチャーではない光の「ブロッカー」を持つクリーチャーを2体まで、自分の手札からバトルゾーンに出す。
【 呪文 】
文明 光 / コスト5
■S・トリガー(この呪文をシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ唱えてもよい)
■コスト7以下の、進化ではない光のドラゴンを1体、自分の手札からバトルゾーンに出す。次の自分のターンのはじめまで、そのクリーチャーは「ブロッカー」を得る。
古来より、速攻デッキ対策には巨大ブロッカーの踏み倒しと相場が決まっています。
これらのカードがトリガーした日には、【赤単ブランド】側の勝ち目は9割方ないと言って差し支えないでしょう。
また、単純な防御トリガーとして《九番目の旧王》《りんご娘はさんにんっ娘》などが出るだけでも 【赤単ブランド】 の予定は大幅に狂ってしまいます。
【 ツインパクトカード 】
種族 メタリカ / 文明 光 / パワー2000 / コスト2
■相手のマナゾーンにあるカードの枚数よりコストが大きいクリーチャーを相手がバトルゾーンに出した時、相手はそれを自身の山札の一番下に置く。
────────────呪文────────────
カード名:ジャミング・チャフ
文明:光
コスト:5マナ
■次の自分のターンのはじめまで、相手は呪文を唱えられない。
■カードを1枚引く。
《”罰怒”ブランド》も《BAKUOOON・ミッツァイル》もコストの高い大型クリーチャーです。《奇石 ミクセル》がいる限り、場に出ることはまずありません。
また、高コストGRクリーチャーの展開も阻害できます。
小型ビートは継続されるでしょうが、勢いが著しく落ちることは間違いないです。もたついている間に、場を制圧してしまいましょう。
メタクリーチャーとしては、GRゾーンの展開を防ぐ《U・S・A・BRELLA》や、展開を阻害する《リツイーギョ #桜 #満開》もそれなりに有効です。
まとめ
《単騎連射 マグナム》や《奇天烈 シャッフ》《「本日のラッキーナンバー!」》といったメタカードや、ループコンボなどを使って相手の防御札を無効化するのが近年のトレンドです。
誰だって逆転負けはされたくないもの。
それは当然の流れといえるでしょう。
そんな時代の流れに逆行するがごとく、【赤単ブランド】では安全なフィニッシュを決める手段というものを採用していません。
その代償に得られたのは、触れることすらかなわないほどの速さ。
確かに相手のシールドトリガーはすべて使われてしまいますし、大量のリソースを与えることにもなります。
しかし、それらをプレイされてなお攻め切るのがこの【赤単ブランド】なのです。
圧倒的なスピード感を持つ新たなデュエマの世界に、あなたも飛び込んでみてください!
(4/15:現環境に合わせてリライト)