【エクストラターン】16枚目のボルバルへ【所属ライター:みすみ】

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【エクストラターン】16枚目のボルバルへ【所属ライター:みすみ】

前回の記事⇒【みすみ】何故ミッツァイルは生き長らえないのか【殿堂考察】

“エクストラターン”と聞き、あなたが最初に思い浮かべるカードはなんだろうか。

《無双竜機ボルバルザーク》?《勝利宣言鬼丸「覇」》?

いや、《次元の嵐スコーラー》か。はたまた《ザ・ユニバース・ゲート》と答える人もいることだろう。

DM-09《聖剣炎獣バーレスク》に始まり、DM-10《無双竜機ボルバルザーク》で全プレイヤーに衝撃を与えた、この『エクストラターンを得る』というテキストは、デュエル・マスターズが18年目を迎えた現在、15枚のカードがその身に宿している。

しかし、その内の10枚がここ5年度内にリリースされたものであり、特に2018年度はリリースされた3枚のエクストラターンカード全てが環境に参入するなど、近年の活躍が著しい。

本年度も、

  • 《次元の嵐スコーラー》
  • 《月下卍壊ガ・リュミーズ卍》
  • 《禁断機関 VV-8》
  • 《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》

を筆頭に、時たま

  • 《無双と竜機の伝説》
  • 《シン・ガイギンガ》

が顔を出すような、まさにエクストラターンのバーゲンセールな環境となっている。

一方で、近年に入る以前のデュエル・マスターズでは、《無双竜機ボルバルザーク》再来を恐れられてか、中々エクストラターンがリリースされずにいた。

ゲームルールの基本構造さえ捻じ曲げるその危険性から、長い間敬遠されてきたエクストラターン。何故、現代のデュエルマスターズでは、こんなにも多くのエクストラターンカードがリリースされるようになったのだろうか。

目次

脅威度の低下によって作りやすくなった

出典:デュエル・マスターズ

本題目を話す前提として、《無双竜機ボルバルザーク》や《勝利宣言鬼丸「覇」》が恐れられていた頃と違い、エクストラターンそのものの脅威度が、相対的に落ち着いてきた点に触れておく必要があるだろう。

勿論、エクストラターンは今もゲームを決めかねない強力なテキストではあるが、

  • 同程度の手数で即死ループや致死戦術が成立するコンセプトの登場
  • エクストラターンを獲得しても勝ち切れないほど強力な防御札の登場

などといった競合相手や対戦相手のインフレもあって、エクストラターンというテキストが持つ脅威度が相対的に薄れつつあり、ゲームデザインに組み込みやすくなったのだ。

最低限のコミュニケーションが成立する

出典:デュエル・マスターズ

ただ、昔に比べ落ち着いてきたとは言え、やはりエクストラターンは強い。未だ環境トップで戦えるほどの遂行力を持っている。

しかし、環境トップで戦えるほど強いが、最低限のコミュニケーションは成立するのだ。

この性質こそ、エクストラターンのカードがリリースされるようになった、第二の要因だと私は考えている。

18年の時を経て、インフレーションを起こした現代デュエル・マスターズでは、環境にある全てのデッキが、何かしらの手段で高い殺傷性を有している。

その中でも、

  • ループフィニッシュ(【カリヤドネループ】、【ネイチャーループ】等)
  • ワンショット(【ミッツァイルワンショット】、【ロマノフワンショット】等)

は、防御札を完全に封殺できる点から、高い『殺傷性』を持つが、相手が防御札で対策・対抗できないために、『対戦相手とのコミュニケーション』が成立しにくい戦術だ。

このコミュニケーションが成立しにくいという戦術は、受け手側のゲーム体験を損なう場合が多く、ユーザーの持つ印象が良くない。

一方で、『対戦相手とのコミュニケーション』が成立しやすいということは、それだけ相手のカードが機能しやすい戦術であるということであり、同時にそれは相手にチャンスを与えてしまう戦術であることから、自然と『殺傷性』が低くなってしまう傾向にあるのだ。

つまるところ、デュエル・マスターズにおいて、『殺傷性』と『対戦相手とのコミュニケーション』は、相反するものであり、

新商品を売り出す際、これらのバランスを上手く調整することが求められる。

そこでエクストラターンはどうかと言うと、

  • 高めの『殺傷性』を持つ
  • しかし完全に封殺はできないため、最低限『対戦相手とのコミュニケーション』が発生する

と、この2点をクリアしており、(周りのカードプールを加味するとギリギリではあるが)

「殺傷性を持たせないと新商品としての魅力が担保出来ないが、殺傷性を高めすぎると面白くない商品になる。」といった葛藤がある現デュエル・マスターズにおいて、

新商品や新コンセプトを成立させる際に適したテキストとなっているのだ。

だからこそ、

  • 【赤青覇道】
  • 【青単ムートピア】
  • 【青魔導具】

といった多くの新アーキタイプに組み込まれ、リリースされる数が増えたのではないかと考えられる。

コンセプトの中心人物になれる素養

出典:デュエル・マスターズ

更に、エクストラターンが増えた理由はこれだけではないと私は考えている。

なんとエクストラターンには、『殺傷性』と『コミュニケーション』の両立以外にも、新商品として売り出しやすい要素があるのだ。

それこそが“コンセプトの中心人物になれる素養”である。

トリガーを封殺する《単騎連射マグナム》《音精ラフルル》等は、強力である反面、できる仕事は「防御札を封殺すること」だけだ。

一方で、《次元の嵐スコーラー》《月下卍壊ガ・リュミーズ卍》といったエクストラターンカードは、「防御札をケアすること」だけではなく、「速攻やビートダウン相手に打点を切り返すこと」や「コンボ相手に超過打点を作ること」といった、打点形成の役割も持てる。

普通のデッキは、

  • 対コントロールでフィニッシャーとなる《龍装艦 チェンジザ》や《時の法皇 ミラダンテⅫ》
  • 対速攻でフィニッシャーとなる《ドンジャングルS7》《Dの牢閣 メメント守神宮》
  • 対コンボでフィニッシャーとなる《奇天烈 シャッフ》や《ジャミング・チャフ》

といったように、それぞれのデッキに対しての決まり手となるカードの組み合わせを持つ場合も多いが、

《次元の嵐スコーラー》《月下卍壊ガ・リュミーズ卍》等は、どんなデッキを相手にした際もこのカードがフィニッシャーになれるのだ。

この高い活躍頻度とフィニッシャー感によって、

コンセプトの中心人物になることや、ヒーロー性を持つことが可能になっている。

エクストラターンが与える、この“コンセプトの中心人物になれる素養”が、デザイナーズデッキを押し出す近年のデュエル・マスターズにマッチしており、

  • 《次元の嵐スコーラー》
  • 《月下卍壊ガ・リュミーズ卍》
  • 《勝利龍装クラッシュ“覇道”》

といったエクストラターンカードを、デッキのメインストリームとしてリリースすることに繋がっていると考えられる。

余談になるが、このように「どんなデッキ相手にもこれをプレイすればいい」と指針が決まっているカードというのは、その役割が広い分、往々にして強さが抑えてあったり、条件が大きく縛られている。(《次元の嵐スコーラー》《月下卍壊ガ・リュミーズ卍》は良い例だ。)

何故なら、もし「どんなデッキ相手にもこれをプレイすればいい」といったカードの用途条件が軽く、更にプレイタイミングの強度が抑えられていないなら、それはただ単純に強すぎるカードである可能性が高いからである。

……。

出典:デュエル・マスターズ

まとめ

出典:デュエル・マスターズ

上記より、

  • エクストラターンの脅威度が、昔ほどではなくなった。
  • 『殺傷性』と『対戦相手とのコミュニケーション』の両立を果たしており、売れる商品になりやすい。
  • コンセプトを成立させる力やヒーロー性に長けており、デザイナーズデッキを多く輩出する昨今のデュエマにマッチしている。

の3点から、近年に入って多くのエクストラターンがリリースされるようになったと考えられるのだ。

といったことを前提とすると、デザイナーズデッキを推し進める現デュエル・マスターズにおいて、エクストラターンのカードは、これからも一戦術として、多くのリリースを果たしていくことが予想される。

ストロング且つヒロイック。

16枚目のボルバルは、もうすぐそこまで来ているかもしれない。

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