早いものじゃのう、ジョー編も4年目……次のシリーズは『十王篇』とな。
デッキを組みやすくする「チーム」、豪華なスタートデッキとコロコロ付録、アニメのリニューアル……と、今年は特に気合いの入ったシリーズのようじゃな。
みすみ殿も指摘されていたように、超天篇ではちーとマズい点もあったからのう。今年は一段と力の入った新シリーズなんじゃろうな。
はて、似たようなことが前にもあったような……?
……おや、独り言ばかりで失礼したのう。せっかくじゃ、年寄りの昔話でも聞いていかんかね?
これまでのデュエマのピンチと、それを乗り越えた歴史のお話じゃ。
目次
ピンチ① 不死鳥編
デュエル・マスターズの不振として、語り草になっているのは不死鳥編じゃろうな。
頭が《Black Lotus》の人いわく「環境が壊れたことは多々あれど、カードが弱すぎて売れなかったのは不死鳥編をおいて他にない」だそうじゃ。確かに、この頃のカードはいろいろとまずかったのう。
この年の目玉は、その名の通りフェニックス。
じゃが、この時のフェニックスは大半が進化GV……つまり進化元を3体要求したんじゃ。夢のあるカードではあったものの、競技視点でもカジュアル視点で使いづらいことは否定できないじゃろう。
フェニックス以外のクリーチャーもアーク・セラフィムやドリームメイトといった新種族に一新されたんじゃが、こちらも既存のビーストフォークやリキッド・ピープルと言った種族デッキほど充実した戦力は得られなくてのう。
辛うじてグランド・デビルがそれなりに戦える程度だったんじゃ。
カードの強さに加えて、語り草になっておるのがプロモーションじゃな。
年間のプロモ種類数は今ほど多くないものの、この年は特定のチェーン店とコラボしたプロモカード配布が多く、プロモ限定カードも多かったのが厄介でのう。
中でも《猛烈元気バンジョー》ら『スペクタクルセット』は
「600円でコーラ1缶とカード1枚(とネックストラップ)」
「新種族デッキの必須パーツ」
「他の入手手段がない」
……という頭の痛くなる販売形態での。
ワシも泣きながらコンビニを回って集めたものじゃ。
プロモーションといえば、アニメの主人公が夢見テルに変更されたのもこの年じゃな。
パックには相変わらず切札勝舞が大きく描かれておって、このあたりもちぐはぐだったのう。
ピンチからの復活① 極神編
と、そんな不死鳥編での不調からデュエマを復活させたのが極神編だったんじゃ。
公式アートブックでも
不振が続いたデュエル・マスターズが最後に頼ったのが、ボルメテウス・ホワイト・ドラゴンの再来
デュエル・マスターズ 公式アートブック16ページ オフトークより
と言及され、 《ボルメテウス・武者・ドラゴン》 は大成功だったことが伺えるの。
じゃが、最大の目玉はやはり、『スーパーデッキ・ゼロ』の発売じゃろうな。《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》を筆頭に、これでもかというくらいにスーパーレアが再録されてのう。業者向け商談会で初報を知らされた時は、人に言えないのがもどかしくてそわそわしたものじゃ。
もう少しマイナーなところじゃと、『ビギナーズ・ビートスラッシュ・デッキ』が発売されたのもこの年じゃな。
若いプレイヤーは知らないかもしれんの。ざっくり説明すると、「デュエマ史上初の、そのままでもマトモに強いスタートデッキ」じゃ。
これら構築済は、当時の販促資料に「今からでも勝てる!」というアオリと共に紹介されておっての。積極的な新規参入を促す施策が、デュエマの復活をもたらしたといえるじゃろう。
とはいえ、この事態を招いた不死鳥編がダメだったかと言われると、一概にそうとも言えんのじゃ。
新種族も、飲食物コラボも、アニメのリニューアルも、新しいユーザーに触れてもらう手段だったと考えられてのう。
安価な1/2デッキや、初心者向けの『ベスト・チャレンジャー』『コロコロ・ドリーム・パック』を発売した点からも、それは推測できるじゃろう?
残念ながら不調に終わった不死鳥編じゃったが、デュエマが5年目を迎えるにあたり、ユーザーの新陳代謝を試行錯誤していたといえるのじゃ。
ふぉっふぉっふぉ、そう思うと、少し見え方が変わりはせんかのう?
ピンチ② ドラゴン・サーガ
同じく、売り上げが大きく下がったことで知られるのがドラゴン・サーガじゃろう。
こちらは高レアリティカードの問題、いわゆる資産ゲーが問題視されたのが印象的じゃ。
シリーズ1弾『龍解ガイギンガ』からして、ビクトリーレア4種とダブルビクトリー1種という、「それ何箱買えば集まるの?」という高レアリティ偏重ラインナップだったからのう……
ビクトリーレアの種類の多さも困り物だったのじゃが、大型ドラグハートを呼び出せるドラグナーもレア以上での。
コンビニでちょっとずつパックを買うような子供達は、ビクトリーレアをせっかく当てても呼び出せないこともあったそうじゃ。
また、「せっかく手に入れたのに」という話とも関連する部分として、カードパワーのインフレもこの年の問題点と言えるじゃろうな。この年の中期以降、《爆熱天守 バトライ閣》や《超戦龍覇 モルトNEXT》といったパワーカードが次々と登場してのう。
同じドラゴン・サーガのカードでありながら、火文明の強制バトル・水文明のリキッドピープル種族といったギミックは、ごく短期間で戦力外になってしまったんじゃ。
さらに、漫画「デュエル・マスターズ(ジョー編)」裏話として、松本しげのぶ大先生自ら、ドラゴンの出しすぎで逆に人気が薄れてしまったと分析なさっておってな。
これら不振の結果として、翌年の革命編突入に先駆けて、デュエマ初の戦略発表会が開かれることとなったのじゃ。
ピンチからの復活② 革命編
革命編では大きく、
・アニメ・まんが革命:魅力的な敵キャラクターとしてバサラの登場など
・商品革命:封入率の改善と、より見やすいカードデザインなど
・イベント革命:カジュアルイベントと競技イベントの住み分け、競技環境の整備など
……の3つの柱が打ち出されたんじゃ。
このときの戦略発表会の模様は、あちこちのゲーム系ニュースサイトに掲載されておるぞい。
この革命を象徴するのが、バサラの切り札であり、新たなレアリティ=初代レジェンドレアであり、競技環境を定義するデザインを与えられた、《轟く侵略 レッドゾーン》じゃろうな。
この革命は大成功を収め、デュエマはまたしてもV字回復を果たしたのじゃ。
……ただ、これまたドラゴン・サーガを結果論だけで悪くは言えないのが難しいところでのう。
勝太を中学生に成長させ、ドラゴンだらけの世界を再構築し、スタートデッキを破格の500円で販売し、アプリ『エントリーゲート・オブ・ドラゴンサーガ』も配信した。
勝太編4年目にあたって、新規プレイヤーの獲得に向け、かなり入念な準備をしておったようには見えんかのう?
特に、低価格デッキ&アプリというスタートダッシュは良い試みだっただけに、惜しかったと思ってしまうんじゃよ……
超天篇から十王篇へ
ここまで見てきたように、
勝舞編は5年目で落ち込んだが、6年目でV字回復を。
勝太編は4年目で落ち込んだが、5年目でV字回復をしたんじゃな。
今度は1年後に
「ジョー編は3年目=超天篇で落ち込んだが、4年目=十王篇でV字回復を見せた」
と言えるような飛躍が待っているのかもしれんのう。
……ふぉっふぉっふぉ。
不振と言われても、その危機を乗り越えてきたのがデュエル・マスターズの歴史じゃ。
十王篇もきっと、ワシらを楽しませてくれるはずじゃよ。