目次
はじめに
ポフルです。
8月に「アルティメット・クロニクル・デッキ 2019 必勝!! 闘将ブレードオーガ」、そして「アルティメット・クロニクル・デッキ 2019 SSS!! 侵略デッドディザスター」が発売される事が、今年の4月に開催されたグランプリにて発表されました。
「クロニクル・デッキ」と言えば、2015年に初めて発売された、懐かしいクリーチャーやテーマ、原作キャラクターをテーマとして構築された、主に復帰勢をターゲットとしたデッキになります。登場以来、過去のデッキを強化するカードや純粋に汎用性の高い新規カード、豪華な再録カードの存在によって、様々なプレイヤーに愛され続けたデッキです。「デュエル・マスターズ」を愛するプレイヤーにとって、無視できない商品の一つです。
そんな「クロニクル・デッキ」。今までにどんなものが発売されてきたのか、そしてその強さはどれだけだったのかを評価しながら振り返る事で、今年の「アルティメット・クロニクル・デッキ」の期待値を高めていこうという記事になります。
なんというか、「久しぶりに子どもの頃のアルバムを掘り出してきた」くらいの感覚で読んでいただければと思います。
本来ならである調で書きたかったのですが、長くこの書き方をしてきたおかげでである調が苦手になってしまいました。
評価基準
今回の評価基準は以下の通りです。
- デッキの強さ……カードパワーやデッキ全体のまとまりを見て評価します。
- 使いやすさ……コンセプトや収録カードの癖等を見て評価します。
- 拡張性……改造のしやすさを見ていきます。
- パーツ……パーツ取りとしての評価を見ていきます。
- 総合評価……上記内容を踏まえて、どんな方にオススメできるか。
加えて、その年のクロニクル・デッキの総評みたいな物も書きたいと思います。
2015年「マスターズ・クロニクル・デッキ ボルメテウス・リターンズ」
2015年8月に発売されました、3つのクロニクルデッキの一つです。
「闘魂編第1弾」にて登場してから現在まで根強い人気を誇り、一部では《ボルシャック・ドラゴン》と共に「デュエル・マスターズの顔」とまで言われている《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》をテーマとしたデッキですね。
ガチャログ読込番号:42288192
リスト名:ボルメテウス・リターンズ
メインデッキ x 40枚
ボルメテウス・ブラック・ドラゴン x 1枚
魔刻の斬将オルゼキア x 1枚
ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン x 1枚
ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン x 1枚
ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン x 1枚
不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー x 1枚
威牙の幻ハンゾウ x 1枚
魂と記憶の盾 x 1枚
ボルメテウス・レッド・ドラグーン x 1枚
支配のオラクルジュエル x 1枚
ボルメテウス・ホワイト・フレア x 1枚
無法のレイジクリスタル x 1枚
希望と勝利の伝説 x 4枚
光器パーフェクト・マドンナ x 1枚
魔光王機デ・バウラ伯 x 1枚
アポカリプス・デイ x 1枚
DNA・スパーク x 1枚
バキューム・クロウラー x 1枚
クリスタル・メモリー x 1枚
禁術のカルマ カレイコ x 1枚
停滞の影タイム・トリッパー x 1枚
学校男 x 1枚
天使と悪魔の墳墓 x 1枚
埋没のカルマ オリーブオイル x 1枚
ガンヴィート・ブラスター x 1枚
モエル 鬼スナイパー x 1枚
墓守の鐘 ベルリン x 1枚
陰謀と計略の手 x 1枚
執拗なる鎧亜の牢獄 x 1枚
光牙忍ハヤブサマル x 1枚
黙示賢者ソルハバキ x 1枚
エナジー・ライト x 1枚
連唱 ハルカス・ドロー x 1枚
スパイラル・ゲート x 1枚
解体人形ジェニー x 1枚
腐敗聖者ベガ x 1枚
王機聖者ミル・アーマ x 1枚
デッキとしての強さ
このデッキにおいてまず特筆すべきは、「デッキの中身のほぼすべてが1枚刺しの準ハイランダー構築」と言う点でしょう。【ボルメテウスコントロール】、もしくは【除去コントロール】の知識がある方であればそこまでの違和感はないかもしれませんが、そこまでデュエマの知識の無い初心者の方や、「小学生の頃にデュエマをしていたものの、中学に上がる位に辞めた」くらいの、所謂「復帰勢」にしてみれば、「なんでマナブーストからボルメテウス出すデッキじゃないんだ」と言われる事間違い無しの構築でしたね。
そのため、このデッキ自体の強さを評価するのは難しい所があります。なんでもできるデッキではありますが、その何でもできる中から必要な行動を選択していくプレイスキルが求められるので、使い手によって強さの振れ幅が激しいデッキとなるでしょう。その分、単純に強力なカードが多く収録されているので、純粋なデッキ全体のパワーは他のクロニクル・デッキにも劣りません。良くも悪くもハイランダーコントロールのお手本と言った構築でした。
使いやすさ
「デッキとしての強さ」で一部語ってしまいましたが、ハイランダーデッキ故に、使いにくさは過去最高でしょう。構築済みデッキらしからぬ使いにくさではありますが、大人向け商品という事も考えればこういった渋いデッキが一つ位あっても良いですね。
ただし、「強いカードを集めたハイランダーデッキ」というだけあり、カード1枚1枚の役割自体はわかりやすい方です。手に馴染むまでには時間がかかりそうですが、思っている以上の苦労はしなかったのではないでしょうか。
拡張性
はっきり言ってしまえば、「相手をコントロールして《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》で逆転の芽も摘み取ってトドメを刺す」という、フィニッシュ手段以外がふわっとしたコンセプトのデッキです。そのため、拡張性は全構築済みデッキの中でもかなり高かったですね。
強くしていくためには、「現環境においてどんなカードが相手に刺さりやすいのか」や、「今のカードプールで汎用性の高いS・トリガーと言えば何か」と言ったような知識を総動員し、ハイランダー故のカードパワーの高さを維持する能力が必要ではありますが、4色デッキという事もあって基本的にどんなカードも腐りません。
ハイランダーに拘らないのであれば、もっと改造の幅を広がりますね。いっその事自然文明を採用してステロイド系のデッキに仕上げても良いですし、3コストブーストから《希望と勝利の伝説》を唱えたり、2コストブーストから4コストハンデスに繋げた後に《希望と勝利の伝説》を唱える……ような、ビートダウン寄りのコントロールにしてしまっても良さそうです。
パーツ
パーツ取りとして見た時にも、《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》や《スパイラル・ゲート》、《魂と記憶の盾》に《威牙の幻ハンゾウ》等等、殿堂入りを経験した、もしくは今でも殿堂入りのカードが入っていますし、《アポカリプス・デイ》に《学校男》、《墓守の鐘ベルリン》等、発売当初から入手困難なカードがいくつか収録されていました。
それらカードもハイランダー故に1枚しか手に入らないというのは残念な所ではありますが、総合的に魅力的なカードは多く収録されていたなと思います。
新規カードは、
- 《ボルメテウス・ブラック・ドラゴン》
- 《ボルメテウス・ホワイト・フレア》
- 《希望と勝利の伝説》
の3種類でした。種類は少なめな上に、《ボルメテウス・ブラック・ドラゴン》と《ボルメテウス・ホワイト・フレア》は1枚のみですが、その分強力なカードでしたね。
《ボルメテウス・ブラック・ドラゴン》は、連ドラ系の色合わせ及びS・トリガー対策としての採用が見られました。色合わせとしての採用は、現在《ニコル・ボーラス》や《偽りの王 ヴィルヘルム》に役割を取られている気もしますが。
《ボルメテウス・ホワイト・フレア》は、色の合うデッキにおける汎用S・トリガーとして評価されています。火力とスパーク能力の使い分けができるのはかなり便利です。
《希望と勝利の伝説》は、2015年クロニクル・デッキ新規収録カードの中では一番影が薄いですかね。決して悪い効果では無く、むしろ《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》を強力にサポートしてくれるカードではあります。現役で使うには、手札に《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》が無ければ《エナジー・ライト》に劣るスペックという点が足を引っ張る所でしょうか。
総合評価
ハイランダー故の使いにくさと強さの不安定性から、ボルメテウスに興味のあるプレイヤー以外の方には中々手に取りにくいデッキだったのではないでしょうか。
それでも、使いこなせた際の強さとパーツ取りとしての魅力はしっかり存在していました。「使いこなしにくいデッキを少しずつ自分の手に馴染ませていくのが好き」という方にはしっかりオススメできたクロニクル・デッキと言えるでしょう。
2015年「マスターズ・クロニクル・デッキ ロマノフ煉獄からの復活」
同じく、2015年8月に登場しました。
「戦国編第一弾」にて登場した《邪眼皇ロマノフⅠ世》を使ったコンボデッキ【ロマノフサイン】を、2015年版にリメイクした……というようなコンセプトのデッキでした。
ガチャログ読込番号:06295133
リスト名:ロマノフ 煉獄からの復活
メインデッキ x 40枚
邪眼教皇ロマノフII世 x 2枚
大邪眼B・ロマノフ x 1枚
邪眼皇ロマノフI世 x 3枚
百万超邪 クロスファイア x 2枚
黒蟲奉行 x 2枚
黒神龍オドル・ニードル x 2枚
煉獄と魔弾の印 x 3枚
ダーク・ライフ x 4枚
爆砕面 ジョニーウォーカー x 4枚
地獄門デス・ゲート x 3枚
腐敗勇騎ドルマークス x 2枚
白骨の守護者ホネンビー x 4枚
インフェルノ・サイン x 1枚
カラフル・ダンス x 1枚
魔光蟲ヴィルジニア卿 x 1枚
霞み妖精ジャスミン x 4枚
ダンディ・ナスオ x 1枚
デッキの強さ
結論から言ってしまえば、過去の「クロニクル・デッキ」の中でも1位2位を争う強さを誇るデッキと言って良いでしょう。
どんなカードを使うにもマナコストの概念が付いて回る「デュエル・マスターズ」というゲームにおいて、そうしたマナコストの概念を無視したプレイが出来る「コスト踏み倒し」は強力です。そんな「コスト踏み倒し」をテーマとしたデッキなわけですから、弱いわけがないですね。
計12枚の2コストブーストに、充実した墓地肥やしカード。《煉獄と魔弾の印》と《邪眼皇ロマノフⅠ世》及び《邪眼教皇ロマノフⅡ世》による連続攻撃に、仕留めそこなった際のサブプランである《百万超邪 クロスファイア》《大邪眼B・ロマノフ》と、とにかく隙の無い構築です。敢えて言うなら、革命編環境にて発売された構築済みデッキにしてはS・トリガーが少なく、何もできずに負ける可能性自体は否定できませんでしたが、それを補って余りある爆発力は秘めていたと言えるでしょう。少なくとも、クロニクル・デッキの中では一番「適当に使っても強かったデッキ」と言えたのではないでしょうか。
事実、このデッキのコンセプトを大きく逸脱することなく改造した【ロマノフサイン】が大会で入賞していた事もありましたね。
使いやすさ
その使いやすさも、このデッキの強さの一つだったかと思います。
「マナブーストによって素早く6~7コストに到達させつつ墓地を肥やし、強力なロマノフクリーチャー及び《煉獄と魔弾の印》に繋げてワンショットを狙う」という非常にわかりやすいコンセプト。そのコンセプトを確実に成功させる為の《ダーク・ライフ》を含むマナブースト12枚。よほどマナ置きを間違えなければ、コンセプト通りの戦い方を実現しやすいデッキでした。
連続攻撃の仕組みさえ覚えてしまえば、このデッキのスペックを80%位は引き出せたかと思います。
拡張性
正直な所、デッキのコンセプトがしっかりしているおかげか、「変に弄りたくない」と思わされてしまうデッキではありました。《邪眼教皇ロマノフⅡ世》を追加したい位ですかね。敢えてするなら、自然の単色カードを増やしたい位です。
ただし、拡張性が無いという事は無かったです。「革命ファイナル」において登場した「アクミ団」達は、【ロマノフサイン】をさらにコンボデッキらしく出来る可能性を秘めていましたし、大会で入賞したデッキは自然文明を水文明へと変えたデッキでした。
このデッキのコンセプトである「ロマノフクリーチャーによる連続攻撃」が、ロマノフクリーチャー+《煉獄と魔弾の印》のみで成立している事から、「その周りをどう固めるか」という部分の自由度は高かったかと思います。
パーツ
新規カードは3種類でした。
- 《邪眼教皇ロマノフⅡ世》
- 《煉獄と魔弾の印》
- 《ダーク・ライフ》
《邪眼教皇ロマノフⅡ世》は、【ロマノフサイン】のために作られたかのような能力でした。他のデッキで使えなくもないですが、《聖霊左神ジャスティス》の存在もあり、マストでは無いといった評価でした。
反面、残りの2種類は、オンリーワンの性能かつかなり強力なカードです。
《煉獄と魔弾の印》は、ロマノフ系統との相性はもちろん。コスト7以下の進化でない闇または火のクリーチャー達を強化する強力カードです。スピードアタッカーを持たない代わりに強力なアタックトリガーを持つクリーチャーが登場した際、このカードが再び火を噴く事もあり得るでしょう。
《ダーク・ライフ》は、黒緑系のコンボデッキにおける必須カードと言っても良いですね。2コストでマナブーストをしながら墓地肥やしを行う事が出来るという、かなり強力なカードです。その強力さと汎用性からか、クロニクル・デッキの新規カードの中では一番再録回数が多いです。
再録カードも豪華です。闇鍋こと「ブラック・ボックス・パック」収録の《黒蟲奉行》に、別デッキ収録の《百万超邪 クロスファイア》、赤緑のデッキにおける2コストブースト枠の選択肢《爆砕面 ジョニーウォーカー》等。
新規カード、再録カード共にとにかく豪華です。たとえこのデッキ内容にそこまでの興味が無くても、パーツ取りの為に確実に勝っておきたいと思わせる内容だと言えるでしょう。
総合評価
「『クロニクル・デッキ』というシリーズの価値を高める事に成功しているデッキの一つ」と言って良い位、魅力的なデッキです。
単純に復帰したくて買っても良し、何か新しいデッキが欲しい時に買って良し、ただパーツが欲しいからという理由で買って良し。あらゆるプレイヤーに対応した、ほとんど文句のつけようのないデッキでした。
2015年「マスターズ・クロニクル・デッキ サバイバー進化論 α to Ω」
デュエル・マスターズ最初期、「基本セット」の第5弾にて初登場し、次弾である「闘魂編第一弾」にて新規カードの登場が絶望的となった「サバイバー」をテーマとしたデッキです。
ガチャログ読込番号:44293197
リスト名:サバイバー進化論 α to Ω
メインデッキ x 40枚
雲上の精霊オービスγ x 2枚
キング・ムーγ x 2枚
オメガ・ゴライアスδ x 2枚
光器ペトローバ x 1枚
サイバー・N・ワールド x 1枚
宣凶師ラッセルズβ x 2枚
トリトーンβ x 4枚
猛毒モクレンβ x 4枚
モリノオウジャダケα x 4枚
電磁星樹アマリンα x 4枚
反撃のサイレント・スパーク x 2枚
飛散する斧 プロメテウス x 2枚
終末の時計 ザ・クロック x 2枚
ドンドン吸い込むナウ x 3枚
シェル・ファクトリーγ x 2枚
爆進イントゥ・ザ・ワイルド x 1枚
シータ・トゥレイト x 2枚
おそらくこのデッキの情報に目玉が飛び出た方も多いかと思いますね。
デッキの強さ
「サバイバー」能力を持つクリーチャーは、第5弾~第6弾にしか収録されておらず、インフレの進んだ「革命編」でそのまま使うには流石に力不足だった事でしょう。そういった考えもあってか、デッキの半分以上が新規カードで埋め尽くされていました。非サバイバーの再録カードも最近のパワーカードが多かったですね。もはや「サバイバー」という能力だけが「クロニクル」という名前を繋ぎとめる唯一の要素だったように思います。
デッキのコンセプトは、「相手を殴りながらサバイバー能力でカードアドバンテージを広げ、最終的に圧倒的なアドバンテージの差で殴りきる」という物でした。正直な所、速攻の速度が高まり、それに対応して強力なS・トリガーが増加し、シールドへの攻撃のリスクが高くなった「革命編」環境においては、「序盤は攻撃しなければアドバンテージを稼ぐ事ができない」というこのデッキとの相性は悪かったです。そのおかげか、そこまで注目される事はありませんでした。
と、少しネガティブな事を最初に書いてしまいましたが、新規カードが多いという事は、このデッキが登場した「革命編」のカードパワーに合わせて作られたカードが多いという事です。「サバイバー」という、専門性が求められるキーワード能力のおかげで汎用性自体はそこまで高くないものの、サバイバークリーチャーとして見た際にはかなり強力な部類に入るクリーチャーが多く、結果的にかなり強力なデッキへと仕上がっていた印象です。
特に、サバイバーすべてが「ウルトラ・セイバー:サバイバー」を持つ《宣凶師ラッセルズβ》と、既存サバイバーの中でも頭一つ抜けたカードパワーを誇っていたシステムクリーチャーである、置きドロ―、否、置きサーチクリーチャー《シェル・ファクトリーγ》との相性はすさまじく、この2枚と軽量サバイバー、デッキを回復する《サイバー・N・ワールド》のみで、その辺のコントロールデッキの息切れを狙う事も出来ていました。
デッキの使いやすさ
そもそも「場にサバイバークリーチャーを揃えて強力な軍団を作る」というコンセプトが伝わりやすい「サバイバー」という能力をコンセプトとしたデッキなだけあって、使いやすさ……というより、理解しやすさの面で言うなら最高クラスでしょう。
とにかくクリーチャーの役割がわかりやすく、フィニッシャーである《オメガ・ゴライアスδ》も、一目見ただけで「場にサバイバーを並べた状態で出せば強いな」と直感的に理解する事ができますね。
ただし、使いこなすとなれば話は別だったかもしれません。除去に乏しい為に、制圧要員の《キング・ムーγ》のバウンスと《雲上の精霊オービスγ》のフリーズは役に立ちます。しかし手札に戻したくないクリーチャーを手札に戻してしまったり、タップ状態のクリーチャーはフリーズできなかったりと、小回りの利かない部分もあります。「ボルメテウス・リターンズ」の《クリスタル・メモリー》よりも難易度は低いですが、置きサーチである《シェル・ファクトリーγ》でのサーチ対象は考えなければなりません。《宣凶師ラッセルズβ》の「ウルトラ・セイバー:サバイバー」を適用する場合、どのサバイバークリーチャーのウルトラ・セイバーを破壊するかで迷いがちですし、《トリトーンβ》《猛毒モクレンβ》が場にいるからと言って、シールドを殴る事が絶対解かと問われるとそうでもない場面もある……等等、考えだせばキリが無いです。
わかりやすいものの、奥は深い。取っつき易く、道のりは長い。そんな感じの使いやすさだったのではないでしょうか。
拡張性
「サバイバー」能力の関係上、どうしても拡張性は低いですね。デッキ内のサバイバーが減れば減るほど、デッキの安定性と強みが減っていく関係から、どうしてもサバイバー以外のカードを採用し辛いデッキです。どうしても拡張性は低めと言わざるを得ないでしょう。
また、過去のサバイバーを採用するとしても、既に絶版となり再録の機会すら無いサバイバーを集めるのは困難を極めます。改造方法としては、同デッキを2つ買う事による新規サバイバーの増量以外、かなり難しいデッキでした。
しかしながら、非サバイバーをサバイバー化する《シータ・トゥレイト》が採用されている事から、辛うじて、非サバイバーを採用する余地はありました。《シータ・トゥレイト》自身がやや使いにくい部分があるのが少し問題点ではありますが。
パーツ
新規サバイバーが半分以上を占めている以上、パーツの多さの面ではそこまで魅力的ではありません。新規カードについては数も多い事ですし、省略させていただきましょう。
ただ、新規カードの汎用性がそこまで高くない事を考慮してでしょう。再録カードの質はかなり良かったです。
- 文明問わずあらゆるデッキのトリガー枠として考慮可能な《終末の時計 ザ・クロック》が2枚
- 水+火、自然のデッキであればほぼ確実に複数採用が考慮される《ドンドン吸い込むナウ》が3枚。
- デッキ回復+大幅なドローが可能な《サイバー・N・ワールド》が1枚。
- 青緑の採用されたデッキなら、マナを減らすどころか増やしながらのマナ回収ができる超便利クリーチャー《飛散する斧 プロメテウス》が2枚。
色が合うデッキなら必須クラスの《ドンドン吸い込むナウ》や《飛散する斧 プロメテウス》がまとまった数手に入る点はかなり嬉しい所です。パーツ取りとして購入する価値は十分あったと言えますね。
総合評価
根強いファンの多かったサバイバーはの復活は、「復帰勢」をターゲットとしたクロニクル・デッキとしてかなり魅力的だった事でしょう。
新規カードを軸に構成されたこのデッキは、戦い方の面で少し不安がありましたが、決して弱かったという事はありません。
2015年のクロニクル・デッキの中では一番シンプルな戦い方ができた事から、「サバイバー」を知っている復帰勢はもちろん、「使いこなすのが難しい物をじっくり使っていきたい」というタイプの初心者にもそこそこオススメできたデッキだったと思います。
2015年総評
2015年以降、クロニクル・デッキは2種類のみの発売となります。3種類ものデッキが発売されたのは、現在この年が初であり最後という事です。
ラインナップとしては、「初心者お断りのボルメテウス、万人受けの強力なロマノフ、入口の広いサバイバー」と、かなりバランスの取れたラインナップだったのではないでしょうか。
2016年「マスターズ・クロニクル・デッキ 2016 聖霊王の創世」
基本セット第4弾にて登場した《聖霊王アルカディアス》をはじめとした「聖霊王」シリーズ、その進化元となる種族「エンジェル・コマンド」を主体としたデッキになります。……デッキ名から「聖霊王」をバトルゾーンに出す事に特化したデッキと思われがちですが、実際には【ヘブンズ・ゲート】と呼ばれるデッキに仕上がっていました。
ガチャログ読込番号:47290198
リスト名:聖霊王の創世
メインデッキ x 40枚
天門の精霊ヘブンズ x 3枚
龍聖霊ウィズダムフェウス x 3枚
聖霊王アルファリオン x 2枚
聖霊王アルファディオス x 1枚
天海の精霊シリウス x 2枚
聖霊王アルカディアス x 1枚
清浄の精霊ウル x 3枚
アルカディア・スパーク x 3枚
光翼の精霊サイフォス x 2枚
覚醒の精霊ダイヤモンド・エイヴン x 2枚
音感の精霊龍 エメラルーダ x 2枚
ヘブンズ・ゲート x 4枚
知識の精霊ロードリエス x 4枚
コアクアンのおつかい x 4枚
スパーク・チャージャー x 4枚
デッキの強さ
コンセプトとしては、「《ヘブンズ・ゲート》によって光の大型エンジェル・コマンドを並べて戦う」という、いたってシンプルな物でした。「《聖霊王アルファリオン》以外の聖霊王クリーチャーがデッキの邪魔をしている」という特徴が垣間見えてしまうデッキ構築になっている為、完成度の面ではそこまで高いとは言い切れない部分がありますね。
また、無駄なカードの採用が少なかった2015年のクロニクル・デッキと比較してしまうと、採用カードの質の面でどうしても見劣りしてしまいがちでした。
具体例を挙げるなら、以下の4枚ですね。
- 前述の通り、邪魔になりがちな《聖霊王アルファディオス》《聖霊王アルカディアス》が1枚ずつ
- サイズは魅力なものの、それ以外が淡泊な《天海の精霊シリウス》が2枚
エンジェル・コマンドクリーチャーを5体並べて《聖霊王アルファリオン》を出してトドメを刺しに行くというのがこのデッキの最終的なコンセプトだったのかと思いますが、それならばサイズが強みの《天海の精霊シリウス》よりも《歴戦の精霊龍カイザルバーラ》のような、手札補充が同時にできるブロッカーを採用して欲しかった所ではあります。
……もしかしたら、当時のアニメ、「デュエル・マスターズVSRF」にて登場する光文明使いの「ルシファー」や「滝川るる」の使う「絆の連鎖」と被ってしまう点が懸念されていたのかもしれません。「聖霊王」及び《ヘブンズ・ゲート》と言えば、「白凰」。展開力の「ルシファー」及び「滝川るる」、サイズが強みの「白凰」という差別化をしたかったのかもしれません……と考えるのはちょっと深読みですかね。
古参や復帰勢に「懐かしいな」と思わせたいという想いと、現役勢にも魅力的に映る実用的なカード……というバランスを追い求めた結果、少しから周りしてしまった印象を持つデッキだというのが個人的な感想ですね。
とはいえ、それらの部分に目を瞑るなら十分な強さを秘めていたデッキではあります。
そもそも「ロマノフ煉獄からの復活」にて書いた通り、踏み倒しをコンセプトとしたデッキはそれだけで強力です。《ヘブンズ・ゲート》も例外ではありませんね。
デッキのまとまり自体は薄めですが、今までの【ヘブンズ・ゲート】の弱みの1つであった「除去能力の低さ」を、新規カードである《龍聖霊ウィズダムフェウス》と《アルカディア・スパーク》のデザイナーズコンボで補っていたり、【ヘブンズ・ゲート】特有の展開力を更に後押しする新規カード《天門の精霊ヘブンズ》によって、強みもしっかり伸ばされていました。
他のデッキ、特に2015年クロニクル・デッキと比べると見劣りしてしまいがちではありましたが、決して弱いデッキでは無かったかと思います。その辺りは流石クロニクル・デッキと言えたでしょう。
使いやすさ
《ヘブンズ・ゲート》のわかりやすい強さのおかげで、このデッキのコンセプトもかなりわかりやすい物になっています。かなり使いやすい部類に入るでしょう。
また、他のクロニクル・デッキと比べて、収録されているカードの多くのテキストが良い意味で淡泊な物が多く、初心者の方でもプレイで迷う事は少なかったかと思います。
戦い方自体「ブロッカーを並べて殴る」という単純明快な物だった事もあり、適当に使っていてもそこそこ戦えるデッキではあったかと思います。
拡張性
デッキ内のまとまりが薄い分、よく言えば「改造しやすい」と言う点が利点として挙がります。抜くカードの候補がわかりやすいというのは、初心者の方にとって利点でしょう。
また、基本的に「光のエンジェル・コマンドブロッカー」であればどんなクリーチャーでも採用可能な【ヘブンズ・ゲート】のデッキなだけあって、幅広いカードが採用候補です。
パーツ
正直な所、再録カードの中で魅力的なものとしては
- 《音感の精霊龍 エメラルーダ》2枚
- 《コアクアンのおつかい》4枚
位のものです。他のカードは正直「懐かしいな」と思わせてくれるカードと言った所です。
反面、新規カードには優秀な物が多いです。
- 《聖霊王アルファリオン》2枚
- 《天門の精霊ヘブンズ》3枚
- 《龍聖霊ウィズダムフェウス》3枚
- 《清浄の精霊ウル》3枚
- 《アルカディア・スパーク》3枚
中でも、《龍聖霊ウィズダムフェウス》と《アルカディア・スパーク》は、後に大会常連となる【青白ロージアミラダンテ】に採用される事になります。今では規制によって姿を消したデッキではありますが、前者は《ドラゴンズ・サイン》にも対応したクリーチャーとして、後者は青白のS・トリガーで除去ができる貴重なカードとして、まだまだ需要はある事でしょう。
切り札である《聖霊王アルファリオン》も、このデッキのように《ヘブンズ・ゲート》大量展開の出来る【エンジェル・コマンド】では、使いやすく強力な切り札です。今でも採用候補にしっかり挙がってきます。
《天門の精霊ヘブンズ》は代替えが利くクリーチャーで、そこまでの魅力は感じませんが、地味にエンジェル・コマンドS・トリガークリーチャーで2体のクリーチャーを受けとめる可能性を秘めた《清浄の精霊ウル》は隠れた良カードです。
これら新規カードに魅力を感じるのであれば、買って損する事は無かった事でしょう。
総合評価
2015年のクロニクル・デッキを体感した身からしてみると、ややデッキパワーに不満が残る構築だったかと思います。さらに言えば、「聖霊王」と名の付くデッキにしては、聖霊王の活躍がそこまで大きくないデッキです。その辺りに不満を持っていた方はそれなりに多かったのではないでしょうか。
とはいえ、新規カードの強さは心強いものがありますし、なんとなくで使っていてもそこまで苦労することなく使いこなす事ができる点は魅力的なデッキだったと言えそうですね。
2016年「マスターズ・クロニクル・デッキ 2016 終焉の悪魔神」
基本セット第4弾に収録された《悪魔神バロム》をはじめとした「悪魔神」クリーチャーと、その進化元となるデーモン・コマンドクリーチャーを主体としたデッキですね。
ガチャログ読込番号:36207272
リスト名:終焉の悪魔神
メインデッキ x 40枚
悪魔神バロム・ロッソ x 2枚
悪魔神バロム・クエイク x 2枚
無敵死神ヘックスペイン x 2枚
悪魔神ドルバロム x 2枚
悪魔神バロム x 1枚
死神明王バロム・モナーク x 1枚
魔刻の斬将オルゼキア x 1枚
威牙の幻ハンゾウ x 1枚
社の死神 再誕の祈 x 2枚
月の死神ベル・ヘル・デ・スカル x 2枚
大地と悪魔の神域 x 2枚
ダーク・ライフ x 4枚
地獄門デス・ゲート x 3枚
デーモン・ハンド x 3枚
母なる星域 x 2枚
死神の邪剣デスライオス x 3枚
再誕の社 x 1枚
霞み妖精ジャスミン x 4枚
腐敗無頼トリプルマウス x 2枚
デッキの強さ
デッキコンセプトとしては、「序盤からマナを伸ばす事で、強力な悪魔神クリーチャーを出す事よって、相手に終焉を与える」と言った物でしょう。
とにかく単純明快なデッキ内容、かつ「悪魔神」クリーチャー達のわかりやすいリセット能力によって、わかりやすく強力なデッキ内容になっていますね。
コスト6~7で決着に向かう事ができた「ロマノフ煉獄からの復活」と比べると、目指したい到達点が《悪魔神バロム・クエイク》や《悪魔神バロム・ロッソ》に《悪魔神ドルバロム》、もしくはそれらを踏み倒しができる《大地と悪魔の神域》のコスト9~10とかなり重めです。しかし、コスト2のブーストカードである《霞み妖精ジャスミン》に「ロマノフ煉獄からの復活」から再録の《ダーク・ライフ》、さらに殿堂入りマナブーストカードである《再誕の社》と、そのクリーチャー版と言える新規カード《社の死神 再誕の祈》、更にハンデスによって相手の足を引っ張る《腐敗無頼トリプルマウス》に、手札を減らさない上に悪魔神の進化元となる《無敵死神ヘックスペイン》と、とにかくブースト手段が豊富です。
現役で使うのであれば《セブンス・タワー》等のもう少し大量のブーストが出来るカードも欲しい所ですが、他のクロニクルデッキと比べた時にはそこまで見劣りしないデッキパワーになっていました。
コンセプトとなる悪魔神クリーチャーは、「ミラーマッチになるとお互いに泥沼になる」という点に目を瞑れば、「出せば勝ち」と言っても良い程のスペックを持っています。そんな「悪魔神」クリーチャーを「シンプルにマナを溜めて出す」という、そこまでプレイングに影響されない出し方をコンセプトとしている事から、単純にわかりやすく強いデッキだと言えました。
使いやすさ
前述の通り「シンプルにマナを溜めて悪魔神を出す」とコンセプトとする事から、敷居はかなり低めです。闇文明を主体とするデッキにしては、かなり使いやすいデッキになっていますね。
敢えて言うなら、マナゾーンに緑単色カードが多かった場合に《悪魔神ドルバロム》を出した場合のリスクの高さや、非デーモンコマンドが存在する際に悪魔神クリーチャーを出すかどうかの選択位です。それでも、思考停止で出した方が有利に働く場面の方が多いので、やはりそこまでプレイングが要求されるものでも無いですね。
もしくは、前述の通りミラーマッチになった時に、悪魔神が単なる重たいクリーチャーになりがちな点ですね。
そうした欠点を踏まえても、同時発売の「聖霊王の創世」と共に、初心者にも復帰勢にもやさしい、使いやすいデッキだったと言えますね。
拡張性
進化クリーチャーを主体とするデッキは、進化元の関係上どうしても改造方法が限定されがちです。しかしながら、切り札である《悪魔神バロム・クエイク》がマナ進化である事、《大地と悪魔の神域》で、「悪魔神」をマナ進化のように扱う事ができる点から、デッキの中身を維持しやすいデーモン・コマンドを採用する必要はそこまで高くないです。
汎用性の高いデーモン・コマンド及び《悪魔神バロム・クエイク》、《大地と悪魔の神域》を複数枚積むだけで「悪魔神を出す」というコンセプトは達成しやすい事から、自由度はかなり高かったと言えるでしょう。
パーツ
2016年のクロニクル・デッキは、新規カードが魅力的ですね
- 場のデーモン・コマンド以外を破壊し尽くした上で踏み倒しを規制するビッグマナの新たな切り札《悪魔神バロム・クエイク》
- 悪魔神及びデーモン・コマンドを強力にサポートしてくれる《大地と悪魔の神域》
- 闇/自然という文明でありながら、カードタイプを選ばずマナ回収及び墓地回収ができるS・トリガーと汎用性の塊なデーモン・コマンド《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》
- 闇/自然という文明でありながら、マナブースト+墓地肥やしに加えて1ドローまでできるデーモン・コマンド《無敵死神ヘックスペイン》
- クリーチャーとなって調整された《再誕の社》である《社の死神 再誕の祈》
《大地と悪魔の神域》以外のカードは特に、マナを伸ばすデッキであれば幅広いデッキで採用する事が出来ます。
この新規カードだけでも魅力的な筈なのですが、それに加えて再録カードの中でも、
- 闇/自然の2コストブーストの選択肢でありながら「ロマノフ煉獄からの復活」及び、「終焉の悪魔神」後に発売された、カード単価が高く封入率もそこまで高いとは言えない「デュエデミー賞」のアンコモンと、入手手段に限りがあった《ダーク・ライフ》が4枚。
- 殿堂入りしていた関係上、収録機会に恵まれなかった《威牙の幻ハンゾウ》
と、かなり嬉しいラインナップですね。
正直、新規カードだけでも、パーツ取りとしての魅力はしっかり確立されていました。
総合評価
わかりやすいコンセプトによる使いやすさ。その上で「悪魔神」特有の雑ともとらえられかねない強さ。切り札である《悪魔神バロム・クエイク》及び《大地と悪魔の神域》がそこまでデッキを縛らないで扱えるカードである事による拡張性の高さ。パーツ取りとしての有用性。
どれをとっても及第点以上のクロニクル・デッキだったように思います。
世間一般では後述の「『風雲!! 怒流牙忍法帖』こそ最強」という風潮が強いらしいですが、個人的にこの「終焉の悪魔神」は、初心者~上級者まで幅広い方にオススメできる、「構築済みデッキの内容としては、一番正解の形に近いデッキ」として評価したいですね。勝てるデッキを求める方にも、派手なデッキを求める方にも、はたまた初めてのデッキを求める方にも自信を持ってオススメできたデッキでした。
個人的に、クロニクル・デッキの中でも絶版である事が一番残念なデッキです。
2016年総評
2016年のクロニクル・デッキは、クロニクルデッキの中でも扱いやすいデッキ2種類でした。また、デッキ全体のパワーが2015の物よりも劣っている印象があり、玄人にとってはやや見劣りするラインナップだったかと思います。
とはいえ、どちらのデッキにも、大会レベルの新規カードが複数枚収録されているという点は魅力的な点でした。
初心者には初めてのデッキとして、上級者にはパーツ取りとして、幅広いプレイヤーにオススメできたデッキだったと言えるでしょう。
2017年「クロニクル・レガシー・デッキ アルカディアス鎮魂歌」
2017年からは、「マスターズ・クロニクル・デッキ」から「クロニクル・レガシー・デッキ」へと改名されました。
その違いとしては、以下のような物です。
- 「マスターズ・クロニクル・デッキ」……漫画やアニメのキャラクターが使っていたカードにスポットを当てたデッキ。
- 「クロニクル・レガシー・デッキ」……現実世界で流行ったデッキタイプ、及びカードにスポットを当てたデッキ。
今回は、極神編にて初登場し、神化編の終わりにプレミアム殿堂となるまで多くの単色クリーチャーを否定し続けた《聖鎧亜キング・アルカディアス》。そしてその《聖鎧亜キング・アルカディアス》と《聖鎧亜クイーン・アルカディアス》の、通称「夫婦ロック」をフィーチャーした内容になっています。
ガチャログ読込番号:77207247
リスト名:アルカディアス鎮魂歌
メインデッキ x 40枚
闇鎧亜キング・アルカディアス x 2枚
闇鎧亜クイーン・アルカディアス x 2枚
天罪堕将 アルカクラウン x 3枚
界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ x 1枚
ボルバルザーク・エクス x 1枚
龍仙ロマネスク x 1枚
炎乱と水幻の裁 x 2枚
闇鎧亜ジャック・アルカディアス x 4枚
ロスト・ソウル x 2枚
母なる星域 x 2枚
獅子王の遺跡 x 3枚
青寂の精霊龍 カーネル x 4枚
飛散する斧 プロメテウス x 4枚
鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス x 1枚
フェアリー・ミラクル x 4枚
熱湯グレンニャー x 4枚
ただし、既にプレミアム殿堂入りかつ、殿堂入りでも単色クリーチャーの存在を否定してしまう危険性もある《聖鎧亜キング・アルカディアス》を殿堂入りへと降格させるわけにはいかず、結果、調整版として新規収録された《闇鎧亜キング・アルカディアス》と《闇鎧亜クイーン・アルカディアス》が収録される事となりました。
デッキの強さ
デッキ内容としては、まさかの【5色フェアリー・ミラクル】です。今までの全構築済みデッキの中でも類を見ない5色デッキの発売には驚かされた方も多かったのではないでしょうか。
5色デッキというだけあって、デッキ内のカードパワーは高めです。特に新規カードかつ切り札の《天罪堕将 アルカクラウン》は、最低7コスト分、最高35コスト分のコスト踏み倒しができるすさまじい能力を持ったクリーチャーです。その他にも、多色らしいカードパワーの高さを持つクリーチャーが多く採用されています。後述の「至高のゼニス頂神殿」程ではありませんが、デッキのパワー自体はかなり高いと見て良いと思います。
マナブーストの他にも、ハンデス、除去、行動規制、ドロー、ブロッカーと、5色デッキらしくなんでも出来るスペックは秘めています。序盤のマナブーストさえ成功させる事が出来れば、ガッチガチのコントロールだった「ボルメテウス・リターンズ」にも劣らないコントロール性能を見せてくれる事でしょう。
使いやすさ
「5色」「コントロール」と聞くと敷居が高そうにも見えますが、基本的な動きとしては、「《フェアリー・ミラクル》《獅子王の遺跡》を使って大幅なマナブーストを行い、大量の踏み倒しを狙う事が出来る《天罪堕将 アルカクラウン》を使って大量の踏み倒しを行う」というのが基本コンセプトです。基本コンセプトにそこまで複雑な戦い方を要求される物は無く、おそらく通常の5色コントロールよりも敷居は低いかと思います。
しかしながら、「5色デッキ」という、「デュエル・マスターズ」のデッキ作りにおいて、公式側が掲げるデッキ作りのコツである「1つのデッキにすべての文明を入れない」「なるべく文明の種類を控えめにする」という点を大きく逸脱したデッキである事にはかわりありません。
このデッキを使いこなすには、マナに置くカードの選択はもちろん、マナが溜まった中盤以降にはなんでもできるという性質から、「どのアクションを優先して行うべきか」という判断力は必要となるでしょう。
復帰勢の中でも、多色カード主体のデッキを推奨された「極神編」シリーズや「エピソード1」シリーズ後半、もしくは「革命ファイナル」シリーズのデュエマを経験した方であれば、多少の苦労で戦えるようになったかと思います。
ただし、勝つためのプレイの難しさと、今後自分でデッキ構築をする際の弊害を考えると、
「全くの初心者が初めて手にするデッキとして勧めるのだけはやめておきたい」
と思えるデッキでした。
拡張性
5色デッキという色を選ばないデッキの性質と、《天罪堕将 アルカクラウン》の能力から、コスト7以下のクリーチャーならどの子でも採用圏内だという点が嬉しい所です。
さらに、《天罪堕将 アルカクラウン》の踏み倒し能力をそこまで重視しないと割り切るのであれば、大量マナブーストが出来るカードの存在からコスト8以上のクリーチャーも採用圏内ですし、《偽りの王 ヴィルヘルム》や《ニコル・ボーラス》のような3色以上のクリーチャーも採用可能です。
S・トリガーも、デッキ内の文明のバランスを大きく崩さない程度であれば自由な選択ができます。
とにかく、拡張性自体は高いです。敢えて言うなら、《天罪堕将 アルカクラウン》の能力との兼ね合いは上に挙げた通りですが、このデッキの中心となっている《闇鎧亜キング・アルカディアス》と《闇鎧亜クイーン・アルカディアス》の進化元である多色クリーチャーは、何体か採用しておきたい所です。
パーツ
多色デッキを作るのであれば、持っておいて損は無いカードが多いですね。
新規カードはやや専門性が求められるものが多いですが、《闇鎧亜ジャック・アルカディアス》は、闇/火という文明さえ合えば、軽量クリーチャーから軽量フィールド対策まで対応する優秀なS・トリガーです。スレイヤー持ちという点も、対ビートダウンにおける殴り返し要員として評価の高い点ですね。
むしろ再録カードが豪華でしたね。
- ホイルカード封入率改善前のパックである「ドラゴン・サーガ」、封入率改善はされていたものの、登場してすぐに品薄状態が続いた「ファイナル・メモリアル・パック ~DS・Rev・RevF編~」に収録のスーパーレアで、入手難易度が高かった5色デッキの1枚以上必須カード《界王類邪龍目ザ=デッドブラッキオ》
- 構築済みデッキ、及び「デュエデミー賞」での収録、かつ【青白ロージアミラダンテ】におけるトリガー枠の一つだった《青寂の精霊龍 カーネル》4枚
- 強力殿堂入りカードの《ボルバルザーク・エクス》及び《龍仙ロマネスク》
- 強力マナ回収の《飛散する斧 プロメテウス》4枚
これらのカードが1つのデッキに収録されているのは、流石クロニクル・レガシー・デッキでした。
パーツ取りとして見れば、5色デッキらしくかなり豪華でした。
総合評価
構築済みデッキ初の5色デッキでした。その分、初心者お断り感は高かったです。
多色カードに触れた事のある復帰勢には、そのカードパワーの高さという魅力も相まってオススメできるデッキでした。
パーツ取りとしては中々優秀で、そういった面で現役プレイヤーにはしっかりオススメできるデッキでしたね。
2017年「クロニクル・レガシー・デッキ 風雲!! 怒流牙忍法帖」
大型でありながらコスト軽減能力を持ち、大幅な手札補充までこなすユーティリティーなクリーチャー《剛撃戦攻ドルゲーザ》と、「戦国編」にて登場し、今まで数々のビートダウンを受けとめてきた優秀な妨害能力「ニンジャ・ストライク」との相性が評価され、「戦国編」の環境を駆け抜けたデッキ【シノビドルゲーザ】をフィーチャーしたデッキですね。
ガチャログ読込番号:15212211
リスト名:風雲!! 怒流牙忍法帖
メインデッキ x 40枚
終の怒流牙 ドルゲユキムラ x 2枚
怒流牙 セイカイザ x 2枚
斬隠蒼頭龍バイケン x 1枚
剛撃戦攻ドルゲーザ x 3枚
斬隠オロチ x 1枚
威牙の幻ハンゾウ x 1枚
疾封怒闘 キューブリック x 1枚
怒流牙 佐助の超人 x 4枚
電脳鎧冑アナリス x 4枚
怒流牙 サイゾウミスト x 3枚
光牙王機ゼロカゲ x 3枚
ドンドン吸い込むナウ x 2枚
トレジャー・マップ x 4枚
西南の超人 x 4枚
光牙忍ハヤブサマル x 1枚
霞み妖精ジャスミン x 4枚
デッキの強さ
「終焉の悪魔神」の欄で述べた通り、世間一般では「クロニクル・デッキ史上最強」との呼び声が高いです。私も、そう主張したいプレイヤーのひとりです。
そもそも元となっている【シノビドルゲーザ】自体、「サイズの大きい《剛撃戦攻ドルゲーザ》を場に出す事で戦況を動かしつつ、ドロー能力によって防御札である『ニンジャ・ストライク』持ちクリーチャーを加える、攻防共に優秀なデッキ」として環境に居座った強力なデッキです。さらに【シノビドルゲーザ】の自由枠は多く、《剛撃戦攻ドルゲーザ》のサポートの為に必須とされていた《西南の超人》すら他のカードと入れ替えられる事もあったくらいには、自由度の高いデッキでした。その自由枠の中に、カードを作り出す事が出来る公式側が「【シノビドルゲーザ】を強化する為のカード」を作り出してデッキに採用できるわけですから、強くなるのも当然でしょう
元々完成されていて強力だったデッキが公式側という強大な支援者を味方につけた結果、弱くなる筈がありません。
その強化カードも絶妙で、かゆい所に手が届くといったところでした。
- 《西南の超人》に繋がる2コストブースト兼シンパシー元兼ドローの《電脳鎧冑アナリス》によって、序盤の速度と中盤の増加。
- シンパシー元となるジャイアント種族を持った《怒流牙 佐助の超人》に《怒流牙 サイゾウミスト》による、シノビ殿堂入りによって失ったデッキ全体の防御能力の補強。(《怒流牙 佐助の超人》は、《斬隠蒼頭龍バイケン》を今まで以上に無理なく採用出来るようにする事で、ある程度のハンデス耐性まで獲得させました)
- 「大型を出しながら手札に「ニンジャ・ストライク」を確保する」というコンセプトに沿いつつも、現代においては決定力不足という【シノビドルゲーザ】の弱点まで補った強力なフィニッシャー《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》
デッキの中身は、シノビが多く採用されている事から対ビートダウンに特化し過ぎている感が強かったのですが、その分優秀なマナブーストカードの存在や、決定力の高い《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》の存在から、そこまで気になるものでもなかったですね。
元々のコンセプト自体、そして水/自然というデッキカラーが示す通り、徹頭徹尾堅実さを求めたデッキなので、派手さという面ではほんの少し物足りなく感じます。しかし逆に言えば「ロマンという、悪い意味では夢を見すぎている要素を排除し、とにかく強力さを求めたデッキ」という事でもあります。「『クロニクル・デッキ』中ナンバー1」の呼び声にも納得できるデッキだった事でしょう。
使いやすさ
一応、文明は5色すべて採用されたデッキではありましたが、「ニンジャ・ストライク」能力を前提としていたり、そもそも場に出す事を想定していないカードだったりと言ったカードばかりが採用されている事から、実質水と自然に光をタッチしたようなデッキです。
カードゲームにおいての基本である「手札補充」を得意とする水文明と、デュエル・マスターズにおいて重要とされる「マナ」の扱いに長けた自然文明。この二つが合わさったデッキというのは、デッキのコンセプトを忠実に遂行する事に長けたデッキになりやすく、一度動き方を覚えてしまえばあとはデッキが上手い事フォローしてくれる事が多いです。
このデッキも例外ではなく、「大型クリーチャーを展開しながら手札にシノビを加える」というコンセプトさえ覚えてしまえば、後はシノビの効率のいい扱い方を覚えるだけのデッキになります。少なくとも、同日発売だった「アルカディアス鎮魂歌」よりは使いやすかった事でしょう。
ただし、全くの初心者が扱う場合には、「デュエル・マスターズ」におけるキーワード能力の中でも特にテキストが長い部類に入る「ニンジャ・ストライク」を理解する必要はあります。感覚的に覚えやすい能力ではあるので、敷居は低めですが、同じくキーワード能力を主体としたデッキである「サバイバー進化論 α to Ω」よりは敷居が高いかもしれませんね。
拡張性
自由枠の高かった【シノビドルゲーザ】を元としたデッキで、自由度も高めだと思われがちなデッキです。
しかし、《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》や、《怒流牙 佐助の超人》と《斬隠蒼頭龍バイケン》の【シノビドルゲーザ】との親和性の高さから、《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》と《斬隠蒼頭龍バイケン》の増量、相性の良いジャイアントの増量だけで優秀なデッキを組めてしまいます。正直、しっかり改造しようとすると、必然的にどれも似たり寄ったりのデッキ構築になってしまいがちです。
そのため、拡張性は狭まっていると言えてしまいます。元々コンセプトが定まっていたデッキが公式側を味方につけた唯一の弊害と言えるでしょう。
唯一の救いとして、ドラゴン程では無いにせよ、自然文明の種族の中では定期的な強化が訪れるジャイアント種族を主体にしている事もあり、ジャイアントの選択の幅自体は広い点でしょうか。非ジャイアントのシノビクリーチャーを大幅にカットし、純粋なジャイアントデッキを組むという選択肢が取れる点は、嬉しい点ですね。
また、「パーツ」の部分でも書きますが、 《電脳鎧冑アナリス》 《《怒流牙 佐助の超人 》 《怒流牙 サイゾウミスト》 が、多くのデッキに採用できるスペックを秘めている為、【シノビドルゲーザ】に拘らないのであれば、色々なデッキを楽しむ事が出来るという点は書いておくべきですね。
パーツ
新規カードは、「【シノビドルゲーザ】との親和性が高い」という事を書きましたが、以下のカードについては、他のデッキに入れてもそのスペックをしっかり発揮してくれます。
- 《電脳鎧冑アナリス》 ……水/自然デッキ及び【準青単】のマナ基盤及び2コストブーストとして。
- 《怒流牙 佐助の超人》……水/自然デッキ及び【準青単】のマナ基盤及び4コストブースト、そして《斬隠蒼頭龍バイケン》と合わせたビートダウン対策として。
- 《怒流牙 サイゾウミスト》……ビッグマナ系における防御札兼光/自然/水の3色のマナ基盤として。
再録カードについても、現在では少々入手困難なシノビをはじめ、
- 《斬隠蒼頭龍バイケン》1枚
- 《ドンドン吸い込むナウ》2枚
- 《トレジャー・マップ》4枚
- 《疾風怒闘キューブリック》1枚
と、持っていて損は無いカードが収録されていました。
パーツ取りとしてもかなり優秀だったと言えるでしょう。
総合評価
新規カードの魅力と、デッキ全体のまとまりがすさまじく、使いやすさも高めと、「最強のクロニクル・デッキ」の名にふさわしいデッキでした。
他のクロニクル・デッキと比べると、派手さにはやや欠ける印象ではありますが、その分確かな強さを秘めています。色々な方に勧める事が出来る良いデッキでしたね。
唯一の欠点として「突き詰めていくと皆似たり寄ったりのデッキになる」という自由度の低さでしょうか。
2017年総評
「クロニクル・レガシー・デッキ」へと改名された2017年。これからも、2年で改名する方式をとっていくのでしょうか。
2017年は「派手さのアルカディアス、堅実な怒流牙」と言った形で、2種類でありながらかなりバランスの取れたラインナップだった気がしますね。
敢えて言うなら、「怒流牙が完成し過ぎていて、今後のデッキに影響が出ないかどうか」ですかね。
実際2018年はその犠牲になっているわけですし。
2018年「クロニクル・レガシー・デッキ 2018 究極のバルガ龍幻郷」
《紅神龍バルガゲイザー》を初出として以降、「ドラゴンの踏み倒し」という特徴を持つ派生カードが多数登場し、結果【連ドラ】と呼ばれる「ドラゴンをとにかく踏み倒すデッキ」を生み出したドラゴン「バルガ」を主軸とした【ドラゴン】デッキです。
ガチャログ読込番号:57212296
リスト名:究極のバルガ龍幻郷
メインデッキ x 40枚
無双龍幻バルガ・ド・ライバー x 2枚
勝利宣言 鬼丸「覇」 x 1枚
永遠のリュウセイ・カイザー x 1枚
界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ x 1枚
剛撃古龍テラネスク x 1枚
閃光のメテオライト・リュウセイ x 1枚
光神龍スペル・デル・フィン x 1枚
地掘類蛇蝎目 ディグルピオン x 2枚
熱血龍 バトクロス・バトル x 3枚
竜星バルガライザー x 4枚
摩破目 ナトゥーラ・トプス/ストンピング・ウィード x 4枚
無双龍聖イージスブースト x 3枚
龍幻のトラップ・スパーク x 2枚
メンデルスゾーン x 4枚
トップ・オブ・ロマネスク x 4枚
音階の精霊龍 コルティオール x 3枚
メガ・ブレード・ドラゴン x 2枚
蒼龍の大地 x 1枚
「バルガ」は正直な所、環境での活躍はそこまで多くはありません。とはいえ、《紅神龍バルガゲイザー》の登場以降から根強い人気を誇っていた事は間違いないありません。そうした人気をくみ取り、今回のデッキが完成したのでしょう。
もしかしたら、「新章デュエル・マスターズ」以降「デュエル・マスターズ」の顔ともいえるものの、背景ストーリーの関係で数を減らしてしまった「ドラゴン」の要素を、この辺りでしっかり入れておきたいという考えもあったのかもしれません。
デッキの強さ
元々ファンデッキ止まりで、そこまで大会での結果を残した報告を聞かないバルガ軸の【連ドラ】。
とはいえ、「エピソード2」にてプッシュされた「キング・コマンド・ドラゴン」及び、「ドラゴン・サーガ」編から「革命ファイナル」編までの間にプッシュされた各文明ドラゴンのおかげで、デッキの強さ自体はしっかり上昇していました。
事実、バルガ軸ではないものの、《爆熱天守 バトライ閣》と《超戦龍覇 モルト NEXT》のコンビによって、【連ドラ】のような動きも可能となっていた【モルトNEXT】がトップメタの一員となっていた事、さらにその 《爆熱天守 バトライ閣》と《超戦龍覇 モルト NEXT》 がプレミアム殿堂超次元コンビとなり、この2種を1つのデッキに採用する事が出来なくなったことから、【連ドラ】のカードパワーも馬鹿にできない状態だという事は認識出来ていた事でしょう。その分、この「クロニクル・デッキ」への期待は高かった事と思います。
とはいえ、蓋を開けてみれば、デッキ内のカードパワー、再録カードの豪華さこそ「クロニクル・デッキ」らしかったのですが、マナブーストカードの充実に加えてS・トリガードラゴンが多め。新規バルガである《無双龍幻バルガ・ド・ライバー》含む新規カード達も、正直「バルガ軸の【連ドラ】に合うカード」を期待していた方にとって、少々派手さに欠ける印象でした。
S・トリガーとマナブーストカードの多さから、安定性を重視したと思われるデッキです。そのおかげもあって、「双極編」のゲームスピードにもある程度の対応が出来るデッキではありました。純粋な強さの面だけで考えるのであれば、「少なくとも何もできずに負ける事は無い」と言えるデッキには仕上がっていましたし、既存の強力ドラゴンがいくつか入っている事から、上手くいけば1枚で相手を詰みにまで持っていくような戦い方もできました。丸く収めただけあって、全体的な完成度は高かったように思えます。そこは素直に評価するべきでしょう。
おそらくこのデッキに求められていた性能は「安定性度外視のド派手なデッキ」だったのではないでしょうか。純粋な強さの面で言えば、「悪くは無い」くらいの実力はありますが、丸く収め過ぎたデッキのような気はしてしまいます。
使いやすさ
《メンデルスゾーン》または《摩破目 ナトゥーラ・トプス/ストンピング・ウィード》→《トップ・オブ・ロマネスク》→《竜星バルガライザー》からのドラゴン踏み倒しを狙うデッキ……という道筋がわかりやすく示されたデッキです。そこの意図さえ汲み取る事ができれば、単なるドラゴン軸のビッグマナです。わかりやすく、使いやすいでしょう。
ただし、最速を狙うのであれば、2ターン目に自然と火のカードをマナに用意しつつ、3ターン目には《メンデルスゾーン》の落ちを含めて3色のカードをマナに用意しなければなりません。さらに、多色カードを手札から置けるのは最初の1回のみ。今までのビッグマナをテーマとしてきた「クロニクル・デッキ」の中ではマナに置くカードの選択が非常に難しいデッキだと言えそうですね。
拡張性
「革命ファイナル編」までの間に、何度もプッシュの機会があった「ドラゴン」を軸にしたデッキです。その豊富なドラゴン達から自由にデッキへの採用が出来る事を考えれば、拡張性はかなり高いと言えるでしょう。ただし、改造の際は文明のバランスと多色カードの数に注意したいですね。
パーツ
《光神龍スペル・デル・フィン》《永遠のリュウセイ・カイザー》《勝利宣言 鬼丸「覇」》《剛撃古龍テラネスク》《閃光のメテオライト・リュウセイ》《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》と、再録カードに実用的かつ優秀な物がそろっていましたね。
さらに、あまり良い事は書きませんでしたが、新規収録カードの中にも可能性のありそうなカードが収録されていました。
- すべての「ファイナル革命」持ちクリーチャーにチェンジできるS・トリガードラゴン《無双龍聖イージスブースト》
- 《メンデルスゾーン》を阻害しない自然の3コストブーストツインパクト《摩破目 ナトゥーラ・トプス/ストンピング・ウィード》
- 光/自然のドラゴン版《アルカディア・スパーク》とも見る事ができる《龍幻のトラップ・スパーク》
中々入手機会の少ない大型ドラゴンをまとめて手に入れる事の出来るデッキだったので、パーツ取りとしての有用性はそこそこ高かったかと思います。
総合評価
「バルガ」としての派手さを求めていた方にとっては、かなり物足りない構築にはなっていたかと思います。
ただし、デッキ全体の強さを見てみれば、安定性を求めている分世間一般のイメージを裏切る強さは存在しています。ドラゴンデッキの入門としてこのデッキを使いつつ、少しずつ派手さを求めていくのも良いのではないでしょうか。
動き自体は単純なので、初心者にもオススメしやすい構築済みデッキではありました……次に紹介する「至高のゼニス頂神殿」が初心者お断りだった事で、相対的にもオススメし易かったですね。
2018年「クロニクル・レガシー・デッキ 2018 至高のゼニス頂神殿」
エピソード2時代に、背景ストーリー及び環境にて猛威を振るった「ゼニス」クリーチャーをコンセプトとしたデッキになります。
ガチャログ読込番号:76225231
リスト名:至高のゼニス頂神殿
メインデッキ x 40枚
「終焉」の頂 オーエン・ザ・ロード x 1枚
「創世」の頂 セーブ・ザ・デイト x 1枚
「俺」の頂 ライオネル x 1枚
「破滅」の頂 ユートピア・エヴァー x 1枚
「呪」の頂 サスペンス x 1枚
「修羅」の頂 VAN・ベートーベン x 2枚
「祝」の頂 ウェディング x 1枚
「智」の頂 レディオ・ローゼス x 1枚
「獅子」の頂 ライオネル・フィナーレ x 1枚
「逆相」の頂 オガヤード・スンラート x 3枚
天頂秘伝ゼニス・レクイエム x 1枚
極頂秘伝ゼニス・シンフォニー x 3枚
真実の名 バウライオン x 3枚
懐疑の虎狼 ミラーズホロウ/「汝は偽名なりや?」 x 4枚
創世と終焉のゼニスパーク x 2枚
トライガード・チャージャー x 4枚
天運ゼニスクラッチ x 3枚
ヘブンズ・ゲート x 4枚
グローリー・スノー x 3枚
特筆すべきは、今までの「クロニクル・レガシー・デッキ」が、「以前の環境で話題になった、もしくは優秀な成績を収めたデッキをコンセプトとしたデッキ」だったのに対し、今回の「ゼニス」は、大会で見かける事があった【ターボゼニス】や【ゼニスクラッチ】ではなく、ほぼ完全新規コンセプトデッキである【天門ゼニス】となった事でしょう。そのためおそらく今までのクロニクル・デッキの中でも一番賛否あるデッキに仕上がっていました。
特に、「何故【ターボゼニス】にしなかったのか」という意見は多く見られました。恐らく同時発売の「バルガ龍幻郷」とコンセプトが被らないようにした結果だとは思いますが、後述するデッキ内容の癖の強さも相まって、過去最高の批判を浴びた不遇のデッキでは無いかと思います。
ただ先に言っておくと、私的には「このデッキの為にレビュー記事を書きたい」と思う位に大好物のデッキでした。
デッキの強さ
コンセプトは、「《ヘブンズ・ゲート》によってアンノウンクリーチャーを早期に踏み倒し、《極頂秘伝ゼニス・シンフォニー》によって各種ゼニスを踏み倒す」という物です。これを軸に、《ヘブンズ・ゲート》での踏み倒しに対応している光ゼニスの存在、《天運ゼニスクラッチ》等、あらゆる手段でゼニスを実体化させてやろうというデッキに仕上がっています。
「聖霊王の創世」に続く2回目の【ヘブンズ・ゲート】を軸としたデッキです。そのため、強さを考えるにあたってどうしても「聖霊王の創世」との比較になってしまいます。
「聖霊王の創世」は、《コアクアンのおつかい》によって《ヘブンズ・ゲート》による踏み倒し先の確保が出来ていましたが、こちらは序盤の手札補充を不安定な《懐疑の虎狼 ミラーズホロウ/「汝は偽名なりや?」》に頼る他ありません。相手が殴らないデッキの場合、《ヘブンズ・ゲート》を唱えようとしても、手札に光ブロッカーが存在しないという事態も発生します。
また、切り札となる各種ゼニスが《「逆相」の頂 オガヤード・スンラート》以外ピン刺しというのも、このデッキの不安定さの要因になっています。無色ゼニスに関しては《「逆相」の頂 オガヤード・スンラート》のマナ回収や《「獅子」の頂 ライオネル・フィナーレ》でどうにかならない事も無いですが、光ゼニスまでピン刺しという点が致命的です。特にこのデッキの中核兼フィニッシャーである《「終焉」の頂 オーエン・ザ・ロード》までもがピン刺しという点がかなり痛いデッキになっていました
このように、構築、コンセプトの両面からひたすらに癖が強く、安定性とは程遠いデッキでした。
しかし、いざ上手く使いこなした際の爆発力はクロニクル・デッキ……どころか、今までに発売された構築デッキの中でも1位2位を争うデッキではないでしょうか。
そもそも、ただひたすらに高いカードパワーのみでマウントを取りたがるゼニスが13枚も採用されている事から、デッキ内のカードパワーは他のデッキと比べ物になりません。さらに、【ターボゼニス】においてはマナブーストの役割やS・トリガーの役割を担っていた枠には、それなりの大型ブロッカーに加えてその大型ブロッカーを踏み倒すパワーカード《ヘブンズ・ゲート》が採用されている為、必然的にデッキのパワーはかなり高くなっています。
《ヘブンズ・ゲート》によって相手の攻撃を止めつつ、相手が足を止めている間に各種ゼニスを召喚し、「5枚ハンデス&5枚ドロー」、「全バウンス+コマンド&ドラゴンの封殺」「相手のカード4枚のシールド送り」「シールド全回復」「全軍『真・エスケープ』化」等と言った豪快な制圧を開始できるその姿は、まさに全クリーチャーの頂点に相応しい姿です。
爆発力とカードパワーにパラメーターを振り切り、安定性は捨てたタイプのかなり尖ったデッキとなっています。単純な強さの面ではどうしても低評価になってしまいますす。しかし、爆発力に目を向けると、なるほどクロニクル・デッキらしいなと思わせてくれるデッキでした。
使いやすさ
「デッキの強さ」の欄で書ききってしまった感がありますが、とにかく使い辛いです。
「聖霊王の創世」と比べて「ただブロッカーを並べれば良い」というデッキとは言えないのが致命的な上に前述の通りピン刺しゼニスが多い為、はじめの内はまともに戦えるかどうかすら怪しいです。S・トリガーから動けるデッキではあるので、そこに助けられる事も多いかもしれませんね。
デッキ内のカードパワーは限界突破しているので、改造によって必要となるゼニスの取捨選択を行い、どのゼニスでどんな制圧を実現していくかという方針を決めて、初めてこのデッキが輝きだすかと思います。このデッキはそうした改造を行ってからが本番と見て良いかと思います。
拡張性
光文明アンノウンブロッカーの絶対数の少なさ、ゼニスの中でも「アンノウン/ゼニス」しかサポートに入っておらず、アンノウン/ゼニスクリーチャーの中で癖の無い制圧能力を持つクリーチャーの絶対数もそこまで多くない点から、拡張性という面でもかなり絶望的です。
そもそもこのデッキでのドローソースである《懐疑の虎狼 ミラーズホロウ/「汝は偽名なりや?」》がデッキ内をアンノウンと呪文で固める事を推奨するカードであり、その時点でデッキ構築の幅を狭まっています。
このデッキが発売された時期が「双極編」であり、クリーチャータイプと呪文タイプを併せ持つ「ツインパクトカード」が初登場かつフィーチャーされていた時期だったため、そのツインパクトカードの中からカードを採用する事はできていた事は幸いでしょうか。
パーツ
新規カード再録カード共に、ゼニス系統のデッキでないと活躍できないカードだったり、普通のデッキで使おうとすればどうしても上位互換となるカードの存在が気になったりするカードばかりでした、そのためパーツ取りで見た際に魅力的なカードは、各種再録ゼニス(特に様々なデッキで採用率の高い《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》2枚)の他に
- 【ブライゼシュート】【絶十サッヴァーク】に採用圏内の《トライガード・チャージャー》
位の物です。
その他の新規カードも、
- 光文明 デーモン・コマンド/アンノウン/ゼニスという特異な性質を活かさなければ《新・天命王 ネオエンド》に劣りがちの《「終焉」の頂 オーエン・ザ・ロード》
- 【ヘブンズ・ゲート】向きの能力ではあるものの、アンノウン/ゼニスを活かせないなら《知識の精霊ロード・リエス》で十分な《「創世」の頂 セーブ・ザ・デイト》
- コスト軽減を加味しても地味さが拭えない《「逆相」の頂 オガヤード・スンラート》
- クリーチャー面呪文面共にアンノウンを要求する《懐疑の虎狼 ミラーズホロウ/「汝は偽名なりや?」》
- ゼニス専用サポートである上に、既存の【ターボゼニス】や【ゼニスクラッチ】とはやや噛み合わない《創世と終焉のゼニスパーク》
と、かなり尖った物ばかりです。もちろん、【天門ゼニス】ではそのスペックを存分に発揮してくれましたし、他の種族デッキにも採用してみたいと思える性能は持っていたのですが、汎用性の面ではどれも難しい物ばかりという印象です。
各種ゼニスに魅力を感じるかどうかによって、パーツ取りの価値は変わると見て良いでしょう。《トライガード・チャージャー》の汎用性を考えても、クロニクル・デッキの汎用カードの再録頻度を見るにそこまで魅力的では無いと考えて良いと思います。
総合評価
デッキの強さ、使いやすさ、拡張性、パーツ取り。どの面からみても、
「徹頭徹尾ゼニスに魅力を感じるか否か」
という感じのラインナップです。
そのゼニスに魅力を感じる方でも、
「【天門ゼニス】というデッキタイプに魅力を感じるか否か」
という第2の試練が待っています。ゼニス信仰であったオラクルよろしく、ゼニスに対する並々ならぬ思い入れでもない限り、使いたいとは思わないかもしれません。総合的にみて、オススメ度はかなり低くなってしまいます。
しかし、今までのクロニクル・デッキの中では「ボルメテウス・リターンズ」と同じくらいかそれ以上に、使いこなしているとカッコいいデッキだと言えますね。
上手く使いこなせた時の爆発力も、他のデッキには無い魅力です。長い試練を乗り越え、頂点であるゼニスを従える力を手にした際には、その癖の強さも含めて愛せるデッキとなるでしょう。
個人的には、4年間続いたクロニクル・デッキシリーズの中に一つ位ここまで尖り切ったデッキがあっても良いのではないかと思いますね。
2018年総評
おそらくですけれど、「怒流牙」があまりにも強すぎて、魅力的な筈のアルカディアスが相対的に弱く見えてしまった事を危惧したのでしょうか。今回のデッキは2種類とも今までのクロニクル・デッキが持っていた魅力がそこまで高くないように見えてしまいました。
とはいえ、冷静に考えれば、「初心者にもオススメかつドラゴンという万人受けするテーマのバルガ、一部のマニアックなファンに圧倒的支持を得る事が出来そうなゼニス」の2種類と、バランスは良かったですね。
まとめ
クロニクル・デッキは、あらゆる面で魅力にあふれた商品だったという事を再確認できましたね。
現在一番新しい2018年の物が、やや魅力に欠けた所はあるのですが、その反動で、2019年のクロニクル・デッキは、また良いものが出てくるのではないでしょうかと期待してしまいますね。
8月のクロニクルデッキの発売、楽しみにしていましょう。