6月22日、『青きC.A.P.と漆黒の大卍罪』発売。
新たなギミックの核となるカード、汎用性の高いレア、出張させやすい高スペック能力『マナドライブ』を携えたGRクリーチャー群。
ここ最近では珍しい程のパワーハウスで、シングルの値段的意味でもデッキビルダーへの餌的意味でも、「やりたい放題」という単語がぴったり当てはまるセットです。
そんな中、CSマラソンをするわけでもなく万年貧困で、あまり興味の無かった自分の目すらも引いた2枚のカードがありました。
それが《バングリッドX7》と《知識と流転と時空の決断》。
(出典:デュエルマスターズ)
公式側の「どや、強いやろ!」というドヤ顔が透けて見える、どのデッキにぶちこんでも使えそうなスペック。
逆の意味で公式の挑戦状感があります。
思えば、前回組み上げたクソの権化『殿堂コントロール』は、追悼のために強さを度外視したデッキでした。
それに比べて、今回目を引いているこの2枚のカードは、前回の5枚と違って雑に組み合わせてもデッキになりそうなレベルです。
「高スペックの汎用カードは用意した。 このカード達の”汎用の限界”を目指せ。」
パックの名前を飾る《大卍罪 ド・ラガンザーク》の陰に隠された、しかし確かなこの公式側からのメッセージ。
となれば、別々に使うなんて野暮なマネなんかしちゃ失礼ってもんでしょう。
”最強に最強が合わされば、最強”って古事記にも書いてますし。
即ち、「公式側の意志に応えるべく、《バングリッドX7》と《知識と流転と時空の決断》を使った最強デッキを組む」。
皮算用でリアルのカードを揃えてしまったせいで、財布的にもメンタル的にもいい感じに後戻り出来なくなって、準備は完璧です。
目次
●挫折
どうしよう、意外に選択肢が多いぞこれ。
最強デッキを作るべく考え始めて30分、パッと出てきた感想がそれでした。
ですが、それも必然。
前回の記事と同じく、「特定のカードからデッキを作る方法」に2枚のカードを照らし合わせると、
(出典:デュエルマスターズ)
・最低でも6マナ程度までマナを伸ばす事に意味がある構成が必要。
・マナからスムーズに後続に繋げられる程度のクリーチャーが必要。
(出典:デュエルマスターズ)
・高速で墓地に呪文を貯められる構成か、
・自身の効果以外の能動的にカウンター手段として運用する手段か、
・能動的にこの呪文を撃つことに意味のある構成のいずれか、又は複数が必要。
そしてそれらを統合すると、
・6マナ辺りからビッグアクションを起こせる、
・呪文を早いうちから連打するか、受け重視の、
・コンボ又は呪文コントロール。
となります。
両方とも縛りがとても緩く、組み合わせられるカードやギミックも多い。
その大量の選択肢は、自分をデッキ構築の袋小路に迷い込ませるには充分な量だったのです。
(出典:デュエルマスターズ)
流石汎用トップレア。
初っ端からジョーカーズ軸にするしかなかった殿堂某コントロールとはえらい違いです。
まさしくうれしい悲鳴としか言いようのない状態でしたが、思考を進めていく内にやがて一つの大きな罠に気付いてしまいました。
とは言え、やはり必然。
いくら超が付く汎用カードとは言えど、それぞれのデッキへの要求が完全に相反している2枚です。
片方をちゃんと使おうとすると、もう片方が抜けていき、
両方を無理やり使えるデッキを組み上げると、デッキ自体が弱いものになってしまう。
「《バングリッドX7》《知識と流転と時空の決断》を使ったデッキを組む」というコンセプトを実現させるために、最低限満たさなければならないこのハードル。
選択肢こそ大量にあり、余裕でクリア出来ると思っていたこの二つをしっかり両立させることが、実は思った以上に難しかったのです。
『青緑ムートピア』軸、『アナ/トリーヴァ/シータチェンジザコントロール』軸、『ウェイボール』軸など、いろいろなタイプのデッキを試しては没にする日々。
中には『ロイザーサイクル』軸のような光るものを感じるデッキもあったものの、やはりギミックの二番煎じ感を押して使うほどのインパクトは無く。 面白い記事にもならなそうだし
(出典:デュエルマスターズ)
まさか大量にあった選択肢が全部ハズレとは、なんてボヤきながら、「いっその事テーマ変えないと駄目かも」なんて思わされてしまうほどに。
コンセプトという名の大きな壁と挫折の前に、自分は屈するしかありませんでした。
●光明
テーマ変えに思考が移ると共に、気付けばそんな公式からのメッセージすらも忘れ去った頃。
「カード食べてみた」を通り越して「カード吐いてみた」とかそんな事を考えていたら2週間が経ち、一気に夏らしい空気に。
世間は祝日の無い6月を抜けて7月に入り、復活した祝日と合わせて13~15日、3日連続のCS行に突入していました。
「使うデッキが無い」という理由で初日の石橋CSをスキップしていた自分でしたが、14日のチーム戦である平城CSに出場予定だった自分も、遅ればせながら会場に向かいます。
案の定快速に乗って最寄りの千鳥橋駅を貫通するあるある(無い)な通過儀礼を挟みつつ辿り着き、予選で全滅してお通夜状態なマラかっちの連中とスパーリングするなど。
完全にデッキを借りる腹積もりでいたのに、明日のチームメイト二人の総意が「明日のデッキは自分で決めろ」になってて変な声出たり、
会場で一目惚れして『ロマノフワンショット』を触り始めるも、二人ともロマノフアレルギー発症してた上、回しても見事にボッッコボコにされて悲しみに暮れたり。
(出典:デュエルマスターズ)
果ては隣と対面に座る二人にニヤニヤしながら「明日のデッキどうする」って10分おきに聞かれて真顔になる無限ループに突入したりもしていましたが、延々茶番交じりのスパーリングの中で、自分は一つのデッキに光明を見出していました。
それが最早過去の遺産となったデッキ、『アナカラーシャコガイル』。
(出典:デュエルマスターズ)
前よりも環境のデッキ全体がフィニッシュが遅く、適切に除去とハンデスを織り交ぜていけばロングゲームに持ち込むことは比較的容易だと感じた為です。
攻める側の突破力も以前より下がり、《テック団の波壊Go!》や《斬隠蒼頭龍バイケン》でいなして《ロスト・ソウル》を叩き込めばやりたい放題ちゃうか、と。
そんなことを考えつつ、再び帰り(イヌ科邸)の電車に揺られながらデッキ構築の袋小路に身を投じる自分。
(出典:wikipedia)
ですが、前回も書いた通り、「きっかけとは、得てして取り留めのないもの」。
ついに見つけてしまったのです。 参考にしようと適当にggったリストに入っていたこのカードを。
《ドルツヴァイ・アステリオ》。
(出典:デュエルマスターズ)
体中を駆け巡る電流。
これ、《バングリッドX7》積めば、公式からのメッセージ受け取れるんじゃないか?
元々、この2枚の組み合わせ自体は既出のものであったものの、それは『ロイザーサイクル』のようなマナを伸ばして一気に決着を付ける用途に限られていました。
『アナカラーシャコガイル』のようにロングゲームを狙うデッキでの採用は、目から鱗だったのです。
そして、『アナカラーシャコガイル』である、という事は・・・・
(出典:デュエルマスターズ)
ついに成った。
一人回しでは到達しえない、環境デッキとのスパーリングにより生まれた、袋小路の出口。
2週間の間止まっていた時が、今動き出しました。
●調整
チーム戦の前日に環境のかの字もないようなデッキを考え始める害悪(自分)。
(出典:ガチャログ)
こうして再び始まった公式への挑戦ですが、早速大きな壁にぶち当たってしまいます。
それは一言で言ってしまえば、「悪くはないけど、ちぐはぐな部分が多い」。
組みたてとはいえ、あからさまな問題をいくつも抱えていたのです。
マナカーブが壊滅的であったこと。
(出典:デュエルマスターズ)
このデッキの所謂「ガン回り」となる一連の流れは、2→4→6というマナカーブで成立しています。
ですがロングゲームを目指すデッキとは言え、そのための2コストブーストがこれら4枚のみ。
これじゃ決まるものも決まらないのは当然だったのです。
除去が無いのに受け方が後ろ向きである事。
(出典:デュエルマスターズ)
《知識と流転と時空の決断》があるとは言え、これでは再び召喚されるだけですし、《ドルツヴァイ・アステリオ》くん迫真のパワー7000で対処できない相手にはすべからくマグロ決め込んでしまいます。
特に「《ジョット・ガン・ジョラゴン》棒立ちさせてエンド」って言われるだけで勝ち筋がリアルファイトしか無くなる、というのは大きな問題でした。
実はロングゲームプランそのものがミスマッチであった事。
(出典:デュエルマスターズ)
ここまでの話をひっくり返すようですが。
実は多く手札を抱えられる訳でもない上、《ドルツヴァイ》のお陰でマナを伸ばすスピードはやたら早いこのデッキです。
前述の通りこちらが前向きに動く方が強いのであれば、こちらまで相手に合わせてやる必要はありません。
わざわざ時間を与えてロングゲームをしに行くよりも、ゲームを迅速に決めてしまえるフィニッシュ手段の方がマッチしているのは明らかだったのです。
(出典:デュエルマスターズ)
この3つの問題を通して、他の環境デッキの事を「モッサリしてる」と言うならば、このデッキはさながら「モッッッッッッッッサリしている」と言ったところ。
横からはまたもや「明日のデッキどうする~????」という声が聞こえてきます。
顔に張り付いている半笑いが煽りなのか、それともただ顔が引きつっているだけなのかは怖くて訊けません。
またもコンセプト崩壊一歩手前、時間ももう日付が変わった辺り。
明日の事を考えたらこの辺りが分水嶺、いい加減諦めるべきという所ですが、
救いの手は存外近くに、そして唐突に差し伸べられました。
ぼき「2→4→6の動きは決まればやっぱ強いから、そのルート安定させたいんよね」
Vのもれ「
(出典:デュエルマスターズ)
ぼき「前のめりに動きたいけどロストソウルだとマナカーブ的に間に合わな
Vのもれ「
(出典:デュエルマスターズ)
ぼき「フィニッシュ遅くてしんど
Vのもれ「
(出典:デュエルマスターズ)
ありがとうVのもれ。
ありがとう仕事でCSに出れずイヌ科邸に泊まりに来るも、みんな爆睡してたせいでまともに遊べず一人寂しくピザを貪ってた男、Vのもれ。
ですがこのお陰で、バラバラのパズルのピースのように。
漠然と散らばっていた試行錯誤の欠片が、一つに繋がったのです。
Vのもれ・・・このひと(↓)。
数少ないマラかっちの非軍人。 DMGP7th top16。
●爆誕
(出典:ガチャログ)
《知識と流転と時空の決断》抜けてんじゃねーか!!!!!!!!!!!!!!
仕方ないじゃん! チーム戦で使うんなら最低限ちゃんと戦える代物じゃないと駄目だったんだから!
とは言え、デッキとしての完成度は格段に上がってくれました。
アナもシャコも無いんで違うデッキじゃん、って言われたら返す言葉もないですが。
ですが、突きつけた課題を見事にクリアするVのもれの《トレジャー・マップ》《ガチンコ・ジョーカー》《オールデリート》に加えて、
(出典:デュエルマスターズ)
「前のめりな受け」という課題を見事にクリアする《無修羅デジルムカデ》。
(出典:デュエルマスターズ)
棒立ち《ジョット・ガン・ジョラゴン》に親を殺された故の《父なる大地》と《罪罰執行 ジョ喰ンマ》。
(出典:デュエルマスターズ)
《正義の煌き オーリリア》は《獣軍隊 ヤドック》と最後まで悩んだ枠でしたが、直前に「青黒GRハンデス」とスパーリングした影響もあって、よりクリティカルに刺さる前者を。
あとは盤面処理出来るかパワーの高いGRクリーチャーをぶちこんで完成。
完璧です。
プライドを捨てて当初の目的をリリースしただけの価値はありました。
何を隠そう今回のチームメンバーは、今年もDMPランキングレースを邁進しているdottoさんと、はるばる北海道からCSの為だけに遠征しに来たtakiさん。
わりかしシャレにならない交通費や貴重な機会をはたいている彼等の期待に応えるには十分な出来です。
「マッハファイターの的居なかったらどうすんだよ」とか、
「2→4デッキなのに後手取ったときのプラン無くねえか」という天の声だかtakiさんの声だかが聞こえる気もしますが、まあ所詮は幻聴。
その証拠に、朝起きてきたVのもれに「狂ってる」と賞賛されたり、
takiさんには「《バングリッド》積んだらなんでも許されるわけじゃねーぞ」というお褒めの言葉を頂いていますし、
dottoさんなんか感動のあまり打ち震えているのが文面で見て取れます。
決して別の理由で震えている訳でも、画面の向こうで「明日終わったな」なんて肺をひっくり返す勢いでため息をついている訳でも無い、ハズ。
ここに至るまで紆余曲折、長い道のりでしたが、やっと準備は整いました。
切り捨ててしまった《知識と流転と時空の決断》の想いをも乗せて。
あとは公式側の意思を、実戦で示すのみです。
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takiさん「で、今日なんのデッキ使うの」
dottoさん・・・ご存じCARDRUSHプロ。 ご存じ2017年度チャンプ。 ご存じ神で魔王。 ご存じマラかっちの軍人で鉄人。 属性盛りすぎでは?
takiさん・・・この記事のやたら中学生っぽい感じの人。 デュエマしすぎて職場で倒れるのが得意。
●実戦
「畜生使わないってLINEした瞬間生き生きしやがって!」と心が叫びたがっていたものの、完全に自分の所為なため見事に泣き寝入りした平城CSをtop8で負け、更に1日。
待ちに待った、思う存分このクソデッキを回せるチャンス、地下ラボCSがやってきました。
これで明日からは《バングリッドX7》のシングル価格は1.5倍、CSとDMvault大会両方の母数1位を独占、最強の名を欲しいままにすると思うと胸が熱くなりますね。
とは言え、今はこの未来のトップメタ優勝者第1号としての名前を刻むのが先です。
ザキラ様みたく、今こそ王の力を手に入れる時!
R1. vs赤緑印鑑パラス
《バングリッドX7》→《ドルツヴァイ・アステリオ》決めた返しに相手が《印鑑D》→《革命類侵略目 パラスキング》でジャスキル狙ってきたけど、《光牙忍ハヤブサマル》で華麗に躱して《オールデリート》して勝ち。
1-0
R2. vsメタリカミッツァイル
あのデッキ、キルスピードが速い訳でもなければ棒立ちが強い訳でもないんですよね。
何が言いたいかっていうと、マッハファイターって効果強すぎない?
2-0
R3. vsモルトNEXT
マッハファイター弱すぎ(余りにも刺さるクリーチャーがいない)。
これ絶対まともに殴り返せるクリーチャー出さずに禁断爆発されるやつやん、と思って絶望してたら、相手がおもむろに6マナ捻ってくれました・・・
(出典:デュエルマスターズ)
マッハファイター強すぎ。
3-0
R4. vs赤単ミッツァイル
自分も平城CSで使った、ユーリくん謹製の赤単ミッツァイル。
このデッキ対面は、前のめりに受ける為にSトリガー等の切り返せるカードを全切りしているので、当たると本当にただ座っているだけになります。
相手も禁断あるし。
多分試合時間、この一文書くのより短かったです。
(出典:デュエルマスターズ)
3-1
R5. vs赤単ミッツァイル
なんで1:90000対面に2連続で当たるの!!!
椅子の上で座禅組んでただけだったんだけど!!!!
やっぱこの一文書くのより試合時間短かったよ!!!!!!
3-2
普通なら予選落ちしているスコアですが、このCSのtop32上がりというルールと3-0からの0-2という奇跡的オポーネントにより滑り込み予選上がり。
ですが、状況はまだ『リリアングウォズレック』のときと同じ。
今度こそ、前回の壁を超える!
決勝R1. vs赤青覇道
(出典:いらすとや)
(出典:デュエルマスターズ)
(出典:デュエルマスターズ)
(出典:デュエルマスターズ)
(出典:デュエルマスターズ)
(出典:pixabay)
結果、3-3。
●正気
こういう微妙な結果の時が一番書くのしんどいんですけど(震え声)
ニ●動の銀と金もびっくりのタイトル詐欺ぶちこんでおきながらなんたる体たらく、という感じですが、CSで使ってみた感想はただひたすらに「惜しい」と言ったところ。
2→4しないと始まらないこのデッキが、「前のめりにメタる手段」を《無修羅デジルムカデ》しか積めていないという、後手取った瞬間自分がオールデリート仕様だった構築の欠陥に気付けなかったのが敗因と感じています。
CSにもう一度持ち込むとするなら、《正義の煌き オーリリア》の所の2択を《獣軍隊 ヤドック》に、それもちゃんと素で引ける枚数に変えて使いますね。
気付いたら新しいパックもクロニクルデッキの情報も出てて戦慄してる所ですが、それだけ新しいデッキ組んだりも出来そうですし。
未来のトップメタは、また次の機会という事で・・・・
(出典:コロコロオンライン)
アルティメット・クロニクル・デッキ『SSS!! 侵略デッドディザスター』10000個買おうな!!!(ダイマ)