目次
はじめに
こんにちは、北白河です。8回目となる今回は、超BBP産の「本来参照しない場所を参照するカード」の二大巨頭のひとつを取り上げて考察し、その過程の思考や成果物となるデッキをまとめていこうと思います。……もう片方、えらいことになっちゃいましたね。
超BBP界に激震走る
出典:デュエル・マスターズ
2019年8月中旬、《レアリティ・レジスタンス》暴騰。
登場間もなく突如としてトップメタに躍り出た【デッドダムド】が、そのアンチデッキ筆頭である【水魔導具】などに対してクリティカルに刺さるカードとして「発見」して以来ニーズが爆増したこのカード。もともと超BBPのBグループ収録で絶対数が少ないこともあってショップ相場は1000円をあっさりと超え、一~二ヶ月前までストレージの肥やしだったとは思えない大躍進を遂げました。だから強いって最初から言ってただろ!追加ターンだぞ追加ターン!
私の初回の記事「水、四ターン目、追加ターン。」が《レアリティ・レジスタンス》を軸にしたものだったこともあり、今回の件については嬉しさ半分寂しさ半分といった気分で眺めています。無限回収できなくなったとか、俺より先に結果を出しやがってとか、もうちょっと値上がりしたらいくらか換金しようかな……とかいう気分ではありません。ありませんったら。
さて、《レアリティ・レジスタンス》がガチ勢に無事「発見」された一方で、同じ「変な領域を参照する」仲間にも関わらずまだストレージでくすぶっている同期がいますね。そう……
出典:デュエル・マスターズ
《ハムカツのイラスト百烈ペン》です。参照するのはなんとイラストレーター。イラストレーターを一人指定し、バトルゾーンの自分のクリーチャーのイラストレーター欄にそのイラストレーターの名前があるごとに2枚のドローを行います。5マナならば、コスト論的にはバトルゾーンに2枚用意して4枚ドローくらいはしたいですね。幸いにもデッキ構築時点である程度意識してイラストレーターを揃えれば、4~6枚ドローは余裕です。一見ネタカードにも見えますが、実はこの時点で既存のコスト論から見てもなかなか悪くないパワーカードなんですね。
……ですが、本当にそれでいいのでしょうか?《レアリティ・レジスタンス》が強烈な追加ターンランデス兼バウンスだったのに比べると、余りにも地味だとは思いませんか?このカードを使ってド派手な何かを行いたいというのは、当然の発想です。ならば具体的にはどうすればいいのでしょうか?
出典:デュエル・マスターズ
GRゾーンから同じイラストレーターのクリーチャーを並べればいいのです。最大12枚で24ドロー。ここまで引けばまあほとんど《インビンシブル・テクノロジー》です。もはやなんだってできるといっても過言ではありません。採用する「2枚より多く超GRに入れることができる」GRクリーチャーは、スペック的に《越境の意志 ドナート》で確定のため、《ハムカツの百烈ペン》の宣言は「kou1」……デュエルマスターズ黎明期から現在も最前線でイラストレーターとして活躍しておられる、甲壱先生を指定することになります。
個人的には甲壱先生と言えば《蒼天の守護者ラ・ウラ・ギガ》のイメージが強いですね。幼い頃の北白河に初期の光文明の「シンプルで無機質、だけど幾何学的でかっこいい」というイメージを強烈に植え付けてくれたカードです。1ターン目に繰り出して《凶戦士ブレイズ・クロー》を止めたり、終盤に生き残ったこれを《守護聖天ラディア・バーレ》に進化させる動きが北白河のデュエマの原風景です。思えば遠くへきたもんだ。
出典:デュエル・マスターズ
というわけで、「なんとかして甲壱先生のGRクリーチャーを並べて《ハムカツのイラスト百烈ペン》で大量ドローを行い、なんとかして勝つ」というぼんやりしたビジョンが見えてきました。このビジョンにはエンジンとゴール地点がまだ見えていないため、この青写真を埋めるべくデッキを組んでいきましょう。
友情のデッキビルド
第一の課題は、どうやってGR召喚を行い、甲壱先生のGRクリーチャーを並べるかですね。真っ先に思いつくのは以前も使用したファイブスターハイオリーダのコンボですが、これをやると手札の前にシールドが増えてしまうのでだめです。そもそも、24枚ドローまで行かなくても10枚ドロー前後でも十分化け物じみた費用対効果です。どこかにちょうどいい取り回しよく大量のGR召喚を行えるカードは……
出典:デュエル・マスターズ
出典:デュエル・マスターズ
出典:デュエル・マスターズ
出典:デュエル・マスターズ
お……お前たちは!
なんと、超BBPの友情パワーによって北白河の初回記事こと【ウェイボールレジスタンス】の面々が集まってきたではありませんか!そう、呪文を使ってGR召喚を行うなら《Wave All ウェイボール》《Wave ウェイブ》の右に出る者はいません。さらには《知識と流転と時空の決断》をもっとも強く使える組み合わせでもあります。これらのエンジンによって大量GR召喚から大量ドローを狙うのです!でも《レアリティ・レジスタンス》いる?
さて、次はどうやって勝つかですね。最初は《水上第九院 シャコガイル》軸を想定していたのですが、よくよく考えればこの手のデッキで9マナも貯めている時間はありません。《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》もクリーチャーが10体も溜まることがなさそうなのでなしです。となればドローを直接勝利に変換できる……
出典:デュエル・マスターズ
《偽りの名 iFormulaX》がいいでしょう。これならかかるマナも7マナまで節約できますし、なんとかしてタップさえできれば出したターンに即座に勝利できます。タップする方法は後で探すとして、これでデッキを組んでいきましょうか。念のため「グレートメカオー」でテキスト検索して相性のいいカードを……
出典:デュエル・マスターズ
出典:デュエル・マスターズ
なんかすごいのがいました。《時空の司令 コンボイ・トレーラー/司令官の覚醒者 コンボイ》。お前も超BBP出身かよ!超次元呪文から出すだけで、次のターンの《偽りの名 iFormulaX》の踏み倒しとSA付与によるタップを両立してくれるすごいやつです。うっかりタップされているクリーチャーが向こうにいれば、パワー14000パンチで安全にタップできます。相手にクリーチャーがいなければ渋々シールドを割りに行くしかないですが、それでも何のサポートもなくても決まる可能性があるのは破格です。超次元呪文がWaveコンビと相性がいいのもいいですね。
というわけで、「WaveコンビとGR召喚呪文で甲壱先生のGRクリーチャーを並べて《ハムカツのイラスト百烈ペン》で大量ドローを行い、超次元呪文から呼んだ《時空の司令 コンボイ・トレーラー》で《偽りの名 iFormulaX》を出して勝つ」というプランができました!エンジンとゴール地点が揃い、方針は決まりました。あとはデッキを組むのみ!
デッキレシピ:甲壱先生ごめんなさい
4《Wave All ウェイボール》4《アアル a.k.a. 天国》4《パラリラ・セーリング》4《イェーガー a.k.a. 噴射》4《知識と流転と時空の決断》4《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》3《レアリティ・レジスタンス》3《Wave ウェイブ》3《超次元エナジー・ホール》3《ハムカツのイラスト百烈ペン》1《超次元ガロウズ・ホール》3《偽りの名 iFormula X》12《越境の意志 ドナート》1《時空の踊り子マティーニ》1《時空の司令 コンボイ・トレーラー / 司令官の覚醒者 コンボイ》1《時空の尖塔ルナ・アレグル》1《時空のスター・G・ホーガン》1《勝利のガイアール・カイザー》1《勝利のプリンプリン》1《勝利のリュウセイ・カイザー》1《アクア・アタック<BAGOOON・パンツァー》
ほぼウェイボールレジスタンスじゃねえか!
……まあデッキのエンジンが同じである以上、こうなりますよね。各カードについては、過去記事とこの記事でだいたい書き切りました。デッキの出力や序盤の回し方もあちらと同じになるので、概ね5~6ターンに《ハムカツのイラスト百烈ペン》を投げれば10枚くらいのドローが見込めます。これだけ引けばまず超次元呪文と《偽りの名 iFormulaX》を引き込めるので、あとはそのまま手札10枚抱えてエクストラウィンを決めましょう。どうしてもダメなら、並んだ《越境の意志 ドナート》で殴っていきます。相変わらず《暴走龍 5000GT》と《メガ・マグマ・ドラゴン》《テック団の波壊Go!》には弱いことには気を付けてください。
《時空の司令 コンボイ・トレーラー》以外の超次元ゾーンはまあその。ほとんど飾りです。勝利セットは絶対に揃わないし。すでに超次元ゾーンを使うデッキを持っているなら、1枚だけ入れ替えて他のアーキタイプに擬態させておくのが無難かと思われます。財布に余裕がないならはじめから1枚だけにしとくのもありですね。
えーと。なんか完成してしまいました。とはいえ、《ハムカツのイラスト百烈ペン》の強烈なドロー性能を活かしたデッキにはなんとか仕上げることができたと思います。心残りはメインデッキに甲壱先生のカードを積めなかったことで……
出典:デュエル・マスターズ
出典:デュエル・マスターズ
青白が正解だったか~!
光文明を足すことで《♪正義の意志にひれ伏せ》や《♪響け慟哭 奏でよ旋律》などのGR召喚呪文を採用できるだけでなく、光文明お得意の相手のクリーチャーのタップ能力を使うことで安全に《偽りの名 iFormulaX》の攻撃先を作り出すことができます。GR召喚可能なS・トリガーも光文明のほうが有能です。そしてなにより、《奇石 ミクセル》をはじめとする甲壱先生のクリーチャーがいるだけで《ハムカツのイラスト百烈ペン》が強化されます。 なんで初めからこれに辿り着けなかったんだ。
改造法としては、初動としての《アアルa.k.a天国》→《奇石 ミクセル》、おまけつき3マナGR召喚として《パラリラ・セーリング》→《♪正義の意志にひれ伏せ》、トリガーとしての《英雄奥義スパイラル・ハリケーン》→《閃光の守護者ホーリー》や《♪奏でよグローリー》《♪仰ぎ見よ閃光の奇跡》など、同じような効果・マナ域のカードをサンプルレシピからいくらか光文明に入れ替えるだけで完成します。《奇石 ミクセル》と相性の良い《レアリティ・レジスタンス》についてはお好みでどうぞ。枠としては《♪響け慟哭 奏でよ旋律》なんかと入れ替えてもよさげです。回し方にも特に変更はありません。あ、《奇石 ミクセル》のツインヒーローデッキ版はdouzen先生のイラストなのでご注意を!
おわりに
というわけで、甲壱先生百烈ペンでした。まさか書いてる途中で上位互換めいた構築に辿り着くとは思いませんでしたが……。
実際に、《ハムカツのイラスト百烈ペン》は適切に組んだデッキにおいては本当に破格のドロー性能を見せてくれるカードです。特定のデッキにブッ刺さることで評価された《レアリティ・レジスタンス》とは対照的に、カードパワーだけで勝負ができるストロングスタイルのカードなわけです。何らかの理由で《越境の意志 ドナート》を12枚投入するデッキなら、エクストラウィン関係なく採用が検討できますね。ぜひ一度その異次元のドロー性能を体感してみてください。
もちろん、今回のようなコンボを狙わずともこのカードは「俺はこのイラストレーターさんが好きなんだ!」という主張をするには最適のカードです。タカヤマトシアキ先生や井塚大介先生など、同じ絵師さんで固めたデッキが余裕で組めてしまうほどの提供数を誇るイラストレーターさんがデュエマにはたくさんいらっしゃいます。テキストだけでなく、たまにはイラストにもこだわってみると少しだけデュエマが面白くなるかもしれません。でも起源神はクリーチャー一体扱いだから相性よくないな……
第9回となる次回は、久々にデッキレシピではないタイプのコラムを書こうかなと思っています。いつの間にか投稿期限も10日を切りましたね。最後の最後まで記事を書いていこうと思いますので、どうかもう少しだけ北白河にお付き合いください。10本の大台に乗せられたらいいですね。それでは、次の記事で。