こんにちは。北白河と申します。ホワイトデーを過ぎた近頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
この企画「今日の一枚」では「今バズっているカード」「今高騰しているカード」「今話題のカード」「往年の名カード」「今北白河の中でアツいカード」など、独断と偏見で北白河が選んだカードを定期更新(週四回くらい更新できたらいいな)で毎日1枚取り上げて語っていきます。
というわけで、もらってないのでお返しをしなくて済んだ人のためにやっていきましょう。それでは、今日のカードはこちら。
《セラの天使》
【クリーチャー 】
【種族】エンジェル・コマンド
【文明】光
【パワー】4000
【コスト】5
■飛行(このクリーチャーは、飛行を持たないクリーチャーから攻撃もブロックもされない)
■ブロッカー
■自分のターンの終わりに、このクリーチャーをアンタップする。
女天使、降臨
異様にコメントによるリクエストが溜まってしまいましたが、古い方からやっていきます。強者さんありがとうございます。知り合いなんだからもっとマシな偽名を使え
もう何度目かになる、謎BBP収録のMTGコラボカードですね。北白河はMTGプレイヤーでもあるので、こんなところでネタの宝庫であるコラボカードを消費したくなかったんですが……リクエスト故致し方なし。
デュエマ目線で見ると「飛行」とかいう《引き裂かれし永劫、エムラクール》以外に攻撃もブロックもされない能力に加えてアンタップ能力とブロッカーを持っているだけのシンプルなスペックです。まあ弱くはないけどインフレが進みきった現環境では好き好んで使うスペックではない、っていうところですね。特徴的なフレーバーテキストはMTGで最後に再録された時のものそのままです。
しかしこの《セラの天使》、コラボ元のMTGではまさにMTGを代表するカードの一枚なのです。
その初出は1993年。この世に初めてTCGという概念が生まれたのと同時に、この天使は生まれました。 それまでファンタジー的な戦う天使といえば男性の姿をしているものがほとんどだったのですが、MTG開発者のリチャード・ガーフィールド氏はその流れに逆らうかのごとく「女性的な、それでいて強い天使」を生み出しました。名前の「Serra」は「ギザギザの」という意味の「Serrated」から取られており、実際により強いイメージを持たせるためにギザギザの剣を持ったイラストにするという計画があったようです。……イラスト指定が間に合わなかったらしく、実際には普通の剣を持ってますが。そのご尊顔がこちら。
当時としては非常に高いカードパワーを持ちながらアンコモンで入手しやすく、それでいて美しいイラストを持つことから《セラの天使》は瞬く間に多くのプレイヤーに支持されました。MTG初となる世界選手権の優勝デッキや世界最初のコントロールデッキに、黎明期特有のぶっ壊れカードの中でフィニッシャーとして複数積まれていたことは有名です。
公式も強く作りすぎたと感じたらしく一度収録を止められたのですが、その際にウィザーズ社に猛烈な抗議が寄せられたという逸話を持ちます。その後しばらくして再録された時には「彼女が帰ってくる。」というキャッチコピーとポスター広告を引っさげて大々的に復活を遂げたことからその人気ぶりが伺えます。その後カードパワーのインフレにより「最強の切札」から「入手しやすい初心者の友」といった立ち位置に移行したり等もしながらなんと18年6ヶ月に渡りスタンダード(デュエマでいう2ブロック)で使用可能であり続けました。初心者から上級者まで多くのプレイヤーに愛された、幸せなカードと言えるでしょう。
「セラ」って何?
先ほど説明した名前の「セラ」ですが、当初は特に意味を持つものではありませんでした。というのも、初期のMTGのカードは広い世界観を表現するために架空の「それっぽい」固有名詞を大量にばらまいていたからです(デュエマに来ているものだと《モンスのゴブリン略奪隊》の「モンス」なんかもその一つです)。初出時点で他に天使はいなかったため、「MTGの天使=セラ」というイメージが染み付いていたわけですね。その影響からか、MTGにおけるそれ以降の天使の多くが女性として扱われています。
そしてその人気から、後に後付けで「セラ」の意味が背景ストーリーで語られることになりました。その結果、セラは物語において重要なプレインズウォーカー(MTGにおける、次元と呼ばれる世界を渡り歩く者)の名前であり、「セラの天使」は彼女によって作り出され、彼女の住む次元を守る正義の天使の総称……ということになりました。「強そうにしたいからギザギザの剣持たせようぜ!」から生まれた名前とは思えないほどの大出世です。
そんなわけで、《セラの天使》はMTGの顔として、今でも他社コラボの際にはよくお声がかかる人気カードなわけです。具体的には「パズル&ドラゴンズ」とか「ロードオブヴァーミリオンⅡ」とかですね。
でもなんで他のキャラを差し置いて《セラの天使》がコラボキャラに抜擢されるのかっていうポイントについてはちょっとだけ心当たりがありまして、MTGで活躍してるネームドの女性キャラ、どいつもこいつもアメコミみたいに目がめっちゃ光ってるんですよね。アメリカではそういう絵柄が人気なんですが、日本でそれをやると明らかにかわいくないんですよ。なので「知名度があり」「目が光ってない女性キャラ」として特に名前もない《セラの天使》が出てくる……というのは邪推でしょうか。
TCG最初のヒロインカードとして駆け抜けてきた《セラの天使》。その歴史を知ると、このフレーバーテキストも少し感慨深いものがあるかも知れませんね。
天使は過去の自分を夢のように思い出していた。自分の歌が牧草地を支えたこと。自分の刃が闇を追い返したこと。自分の翼がずっと自分を運んでいたことを。
というわけで、《セラの天使》でした。個人的にはもっと語りたいこともあるんですが……最近デュエマに参戦した同業他社のこととか語るのは、さすがにコンプライアンス的によくないかなって。それでは、次の記事で。
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