こんにちは、神結です。
ちょっと前に公開した歴史探訪の新DM編は読んでいただけましたでしょうか。
まだの方は是非読んでいただきたいです。
今回の記事は、その番外編にあたる……かもしれません。
新DMを代表するカードの1枚である《異端流し オニカマス》に焦点を当てた記事となります。
【 クリーチャー 】
種族 ムートピア / 文明 水 / パワー2000 / コスト2
■相手がクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーは選べない。(ただし、このクリーチャーを攻撃またはブロックしてもよい)
■相手のターン中に、相手が召喚以外の方法でクリーチャーをバトルゾーンに出した時、そのクリーチャーを持ち主の手札に戻してもよい。
題して「《異端流し オニカマス》の一生」。
つまるところ、これまでの《異端流し オニカマス》の活躍等を振り返りながら、このカードがデュエマの歴史に与えた影響について、私が考察を書いた記事になります。
最初は笑いをお届けする内容を考えていたんですけど、結構真面目なものに仕上がってしまいましたので、その点に関してはご了承ください。
なおオニカマスがあらゆるカードを縛るような時代(要するにトップメタカード)は流石に終わったと思っているのでこういったタイトルにはなっていますが、オニカマス自体は現役で活躍できます。
デッキによっては、まだまだ優先的に採用されるカードでしょう。
なおこの記事に関してあくまでプレイヤーの「一考察」として受け取っていただけますと幸いです。
目次
《異端流し オニカマス》さん登場の背景
さて、《異端流し オニカマス》が登場するまでの環境とはどういったものだったのか、(歴史探訪の方でも触れているので簡単にではありますが)おさらいをしておきましょう。
直前の環境は革命ファイナルという革命チェンジの時代でした。要するに《蒼き団長 ドギラゴン剣》が全てを支配していた時代です。インフレの極地なわけです。
そんな状況から「種族デッキで戦っていこうね」というコンセプトの新DMにストレートで移行するのは、中々無理があります。どう考えても、新DMのカードがパワー不足になります。
実際、当時は結構「新カードが弱い」みたいなことは言われていました。まあ前後のシリーズが全体的にパワー高めなので仕方なくはあるんですけどね。
かと言って新シリーズのカードパワーを上げると、それはそれでインフレとのイタチごっこに……。
これはTCGの難しいところなのですが、短期間のハイパーインフレはコンテンツの寿命を縮めるんですよね。
他のTCGでは「一回環境をリセットする」ためのスタン落ちという概念もあったりしますが、デュエルマスターズには存在しません。
というのも、デュエルマスターズのプレイヤーって基本的に全てのカードが使えるレギュレーションが好きなんですよね
後に創設された「2ブロック」も一部の競技層からはかなり支持されましたが、現在では「オリジナル」の方に力を入れているようです。
ちょっと話は逸れましたが、スタン落ちのないデュエマは何処かでデフレを挟まないとやっていけません。
しかしデフレを目的としてしまうと、そのパッケージのカードは使われなくなってしまいますし、使われないということはカードも売れません。
じゃあどうするか、ということで辿り着いた答えが「メタカードを作る」ということなんだと解釈しています。
実はこの手法は超次元全盛期にもやっていて、《希望の親衛隊ファンク》のようなカードを作っています。
また「プッシュしたギミックのメタカードを出す」という話で言えば、《偽りの名 シャーロック》とか《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》といったカードを、そのパッケージの最終弾で登場させたりはしていますね。
そうしたこれまでの経緯も踏まえて、《異端流し オニカマス》も世に送り出されたのだと思います。
しかしこのカードについて言えば、単なるメタカードの領域からは随分と逸脱した活躍を見せることになります。
そしてその活躍は、やがてデュエルマスターズそのものを大きな影響を与えることになっていくのです。
【新章DM】メタカードを超えたスペック
さて、メタカードを作るのはいいのですが、ただ普通のメタクリーチャーを出してもしょうがない事情がありました。
というのも、これまでの殿堂によって《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》や《メガ・マナロック・ドラゴン》は制限されたものの、《蒼き団長 ドギラゴン剣》からの《勝利のアパッチ・ウララー》+超次元クリーチャーという大きな動きは健在でした。
そしてその発射台の1つである《超次元ムシャ・ホール》もまた、健在だったのです。
実際、《ウソと盗みのエンターテイナー》や《獣軍隊 ヤドック》といった従来までのメタカードは、この超次元呪文に屈してきました。
また単純に、《ウソと盗みのエンターテイナー》のようなカードを自然に搭載出来るデッキというのも、それほど多くはなかったんですよね。
除去耐性が高く、それでいて汎用性も持たせるために低コストで……といった検討が重ねられたのでしょう。
結果、2コストという低コストでかつ選ばれないという圧巻のスペックを持ったカードになりました。
単純に2コストのアタッカーとしても有用になったお陰で、メタカードの概念にも大きな変化がありました。
「時間を稼ぐ」という目的から、「メタカードで先に攻め込んで、反撃を阻止する」という戦法が生まれました。「メタカードを添えて攻める」というのはあったんですが、「メタカードがアタッカー」というのは少なかったでしょう。
こうして生まれたデッキが【赤青レッドゾーン】だったり、【落城退化】だったりするわけですね。
特に落城退化との相性は抜群で、2ターン目のオニカマスで時間を稼いで、《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》のワールドブレイク後のダイレクトアタックも担当出来ます。
また、《異端流し オニカマス》を序盤の支えとした【青黒デッドゾーン】というデッキも登場しました。
このデッキは【青黒ハンデス】のハンデス部分を抑えて、その代わりに《異端流し オニカマス》を採用している、といった感じの構築です。
ハンデスの代わりにオニカマスってどういうこと? ってなるかもしれませんが、ハンデスって基本的にターンを貰う行為なんですよね。
ところがハンデスで相手の手札を減らして貰えるターンよりも、オニカマスで貰えるターンの方が多いという話なんですよね……。
オニカマスの横でデッドゾーンが2回動いて勝つというなんとも形容しがたいデッキでした。
まあそういうデッキが成立してしまうくらいオニカマスってカードがすごかった、という話なんですが……。
また環境に於いてはこの《異端流し オニカマス》が刺さりにくい【赤緑モルトNEXT】や【緑単ジャック】といったデッキが活躍しました。
逆に言えば、オニカマスの影響を食らうデッキは苦戦を強いられたんですよ。
「オニカマスが効かない」というのは、環境に於いてはそれだけでアイデンティティ足りうるんですよね。
実際、この環境で《異端流し オニカマス》を除去するのはかなり難解でした。
例えば私がドギラゴン剣系のデッキを作ったときは、《ハムカツ団の爆砕Go!》を採用せざるを得なかったんですよねぇ……。
【双極篇】メタカード、メタられる
デュエルマスターズはご存じ、コストを踏み倒すゲームです。
正確に言えば、正規コストを払うのが正しい姿なのでコストを払わない不正行為(?)が輝くって話ですね。
で、環境デッキというのは大抵悪いことをしているものです。徹頭徹尾真面目なことをして強い、ってデッキたぶん殆ど無いはずです。
そんな中で生まれた《異端流し オニカマス》はあまり汎用性が高く、様々なデッキを大きく阻害してしまいました。
ところで《異端流し オニカマス》の効果は「召喚」以外の方法を妨害というするものでした。
結果、以降の不正については便宜上「召喚」扱いとなるものが多くなりました。特に新DM最終盤や、双極篇以降はより顕著になってきましたね。
まずは《卍 デ・スザーク 卍 》。
無月の門 は「コストを支払わずに召喚」という効果です。
またジョーカーズ関連でも《ガンバトラーG7》や《ジョット・ガン・ジョラゴン》はコスト軽減でした。1コストしか支払ってない癖に召喚などと宣っています。
そして極めつけは《“轟轟轟”ブランド》。マスターGGGは手札が1枚以下ならタダで召喚出来ます。
更に更に、これまで対処しづらかった点についても新規に「マッハファイター」を登場させます。
流石に意識してこういう風にした、とは思うんですよ。要するに「意識してオニカマスに引っ掛からないカード」を作り続けているんですね。
それはある意味、「オニカマスを環境から徐々に抜いていく」作業でもあったと思うんですよ。
なんというか、革命チェンジをメタるために生まれたオニカマス自身が「メタられる」側に回っているんですよね。
それくらいオニカマスが持つ影響力は大きかったですし、実際に環境でもオニカマス自体は使われ続けていました。
なんなら、【赤青ドギラゴン剣】とか【赤青覇道】とか、これまでオニカマスが使われていたデッキよりも更に強いデッキで採用されているんですよね。
オニカマス自身の影響力は流石に落ちたかもしれませんが、オニカマスが採用されたデッキが強すぎてこれまで以上に意識せねばならなくなりました。
……ところで、先にオニカマスを超えるために色んなカードが出てきたという話をしましたね? 《“轟轟轟”ブランド》だったり、《ジョット・ガン・ジョラゴン》だったり。
これらのカードって召喚扱いということもあって、他のカードでメタりにいく必要が出てきました。
《奇石 ミクセル》とか《ポクチンちん》とかですね。これらのカードが使われたデッキも増えてきました。
そして、相変わらずオニカマスは環境にいます。
これらの状況から言えることは2つあります。
1つは、「様々な状況=メタカードに対応出来る」デッキが求められること。
これは様々なカードを採用する余地があったり、広くプランを取れる幅があったりするデッキ、ということになります。
要するに、強いデッキです。結果、一芸特化デッキは、かなり向かい風になりました。多様なメタカードに対応しにくいからです。
そしてもう1つは、全体で使われるカードのレベルが上がったこと。
これもほぼ同じような話にはなるんですが、使われるメタカードが増えたことや対応力の高いカード・メタカードをガン無視出来るカードが増えたことで、環境のカードレベルは確実に上がってるんですよね。
あれ? 元々はインフレ抑制するカードを出した結果、結構洒落にならないレベルでインフレしてない……?
というかマッハファイターってオニカマスに刺さる効果ではあるんですけど、単純に盤面を並べる別のデッキにもガン刺さりするんですよね。
いやまあ、当たり前なんですけど。
そしてそのインフレは、続くシリーズで“頂点”を迎えることになります。
【超天篇】そして生まれたGR召喚
あーあ。
このGR召喚が「召喚」扱いなのって、明らかにオニカマスに引っ掛からないようなデザインを意識して作った、と考えていいでしょう。
まあ確かに新ギミックが旧来のメタカードに阻まれるのも、どうかとは思うんですけど。
それでも召喚扱いになっているお陰でこのギミックを阻止出来るメタカードがマジで無くなってしまったんですよね……。
本当に《「本日のラッキーナンバー!」》くらいになってしまいました(一応《早撃人形マグナム》などもありますが、採用出来るデッキは絞られました)。
GR召喚が大人しかったうちはまだマシなんですが、GP9th以降のGR召喚は流石にちょっとどうにもならなくなりましたので……。
ちなみにマッハファイターも暴れ過ぎて、こんな感じのメタカードも出たりしたんですが……。
実は超天篇環境って、あれはあれでストレスなく強ギミックを使えたので、ある意味で爽快感はあったんですよね。
革命ファイナル時代に《蒼き団長 ドギラゴン剣》を放り投げてたときと同じ感覚でプレイしていました。
もしかしたら数年後に……サイクルが回ってまたああいった環境が来るのかもしれませんが、皆さんはどうでしょうか? 歓迎でしょうか? 御免蒙りたいでしょうか?
私はどうでしょう、多分それはそれで楽しんでいるとは思います。強いカード、とても好きなので……。
【十王篇】《異端流し オニカマス》さんの功罪
「インフレを抑制させるために強く作った《異端流し オニカマス》は、結果としてインフレを誘発した」というのが、私のこのカードに対する考えです。
もちろん、全然別な考えを持っている人はいっぱいいるでしょうし、私の考えが絶対に正しいとは思っていません。
実際問題、十王篇でGR召喚に対抗するメタカードは幾つか刷られましたが、それらのパワーは大分抑えられました。
例えば、《U・S・A・BRELLA》は典型的な例でしょう。
明らかに折衷案とも言えるようなカード設計がなされています。メタ効果+除去耐性の構図は同じなのですが、だいぶ遠慮しています。
開発側が「オニカマスはやりすぎた」という認識を持っている可能性も高いと言えるでしょう。
まあ結果的にこの 《U・S・A・BRELLA》 は【4cドッカンデイヤー】の《絶望と反魂と滅殺の決断》にわからされてしまい、メタカードとしての機能しきれない部分があったので難しいところですが……。(これに関しては《絶望と反魂と滅殺の決断》が強すぎる、という側面もあると思います)
ちなみにこの記事を書いているときにちょうど「デュエマの歴史を変えたカード」について、デュエチューブで上がっていました。
こうやって列挙していくと《異端流し オニカマス》も結構上位にランクインするレベルのカードだと思うんですけど、ランクには入ってなかったですねぇ。残念ですねぇ……。
おわりに
というわけで今回はちょっと趣向を変えて《異端流し オニカマス》の一生について考察してみました。
こういう「カードの歴史的な役割」についての考察は、暇なときにぼーっと考えてることが結構あるんですが、文字に起こしたのは意外と初めてかもしれないです。
たぶんこういう記事ってこれまであまりなかったと思うので、感想についてツイートしてくれると嬉しいです。
運が良ければ、また別なカードでこういう記事を書く機会に恵まれるかもしれません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ぜひ次回の記事でお会いしましょう。それでは、また。