【北白河の今日の一枚】vol.119《NEXの手甲》バハムートに算数、ボルシャックに漢字

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【北白河の今日の一枚】vol.119《NEXの手甲》バハムートに算数、ボルシャックに漢字

楽しくても悲しくても竹内まりやが全ての出来事を消し去っていく

こんにちは。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。

いやあ。出ましたね、「轟炎の竜皇」。

各位がお高い女(ハイレグ)を狙ってアドレナリンやテストステロンを出しまくっていただいたおかげで、私もそこそこお手頃に必要なカードを仕入れることができました。

仕入れられなかったのは暖炉と箒だけです。笑えよ。

というわけで、今回もやっていきましょうか。今回は年末進行でめちゃくちゃ〆切がヤバいので、縮小更新で行きます。

この記事があなたの良い暇潰しになれば、これほど嬉しいことはありません。

それでは、今日のカードはこちら。

《NEXの手甲》

【 タマシード 】
文明 火 / コスト2

■各ターンはじめて自分のタマシードが出た時、次のうちいずれか1つを選ぶ。
▶自分の手札を1枚捨て、カードを1枚引く。
▶相手のコスト2以下の、クリーチャー1体またはタマシードを1枚、破壊する。
▶クリーチャーを1体選ぶ。このターン、そのクリーチャーに「スピードアタッカー」を与える。

DM22-RP2で登場した、VRのタマシードです。

タマシードを出すたびに1マナ相当の効果が誘発するとっても便利なカードですが、使い手が使い手なのが難点ですね。

……と、そんな通り一遍の話をしに来たのではなくてですね。

注目したいのが、カード名とそのルビ。「手甲」と書いて、「しゅこう」と読ませてますね。

さて、wikipediaで「手甲」の項を調べると、こんなことが書いてあります。

手甲(てっこう、てこう・手っ甲)とは、衣類、あるいは武具(防具)の一種。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E7%94%B2

そう、このカードは思いっきり読みを間違えてるんですよ。

対象年齢10歳以上のコンテンツでこんな堂々と誤字をして、罪もないキッズたちが誤った読み方を覚えるのは由々しき事態……なんですが、おそらくこれは開発部のちょっとしたお遊びによるものなんじゃないかなと思ってまして。

というわけで今回は、その「しゅこう」のルーツを辿っていこうと思います。

そもそも手甲(てっこう)とはなんぞや……と言いますと、要するに手首から腕にかけて装着する装身具の日本での呼び名です。

日常的に装着する衣類としてだけでなく、武士や忍者が使用する戦闘用の籠手のようなものまで幅広く使える名前だったわけですね。

とはいえ、時代が進むにつれ日本ではあまり使われなくなっていったのもまた事実。武芸用や伝統装束などにその名残を残すのが基本となっていきました。

そんな手甲に転機が訪れたのが、1960年代ごろからアメリカに伝播した「NINJA」概念。

日本のフィクションにおける荒唐無稽な「忍者」概念をさらにアメリカナイズされた結果、日本人の想像するものとは全く違う「NINJA」像が向こうで描かれることとなりました。

その際に伝播したのが、「Shuriken」や「Ninjutsu」といった関連用語。腕に付ける装身具である「Tekko」もまたこの際に伝播したんですが……

文化というものが必ずしも100%そのまま伝播するとは限りません。手の甲に付けて切りつける暗器の「手甲鉤」や指に装着する暗器の「猫手」といった別の装身具と混同されるのは序の口。

挙句の果てに漢字の読みまで間違えた「Shuko」までも登場し、「Shuko=なんか忍者が腕に付けてるやつ」の総称となってしまったわけです。なんてったって、間違ってたとしても訂正できる日本人が誰もいませんからね。

で、そんなアメリカの西海岸にウィザーズ・オブ・コースト社というゲーム会社がありました。おや、どこかで聞いたことのある名前ですね。

ウィザーズ社はあるとき、マジック・ザ・ギャザリングという自社制作のTCGにて、日本風の世界をモチーフにしたシリーズを作ろうとしたわけです。

こうなると、当然入ってくるのが「NINJA」要素。多彩な武器などのガジェットを使いこなすパブリックイメージから、多数の関連カードが作られました。その一枚がこちら。

塩見は「SYUKO」なので注意(ヘボン式ではない)

こうして手の内側になんかめっちゃ小さい鉤爪がついてる装身具というなんだか全問不正解なカードが作られたわけなんですが、これに困ってしまった人たちがいまして。

そう、日本語への翻訳担当者ですね。

「どう見ても言わんとしてるのは手甲(てっこう)だよな……」「でも英語カード名では思いっきりShukoって言ってるしな……」などの葛藤があったかは定かではありませんが、結局日本語版はこうなりました。

じゃあ四本は?

こうして、「手甲」の漢字に「Shuko」のルビを付ける折衷案が生まれました。

「てっこう」として海を渡ったはずの言葉が、「しゅこう」として逆輸入された歴史的瞬間です。

……とまあ、そんなわけで。

今回の《 NEXの手甲 》のルビについても、この珍現象を踏まえて開発部がこっそり仕込んだイースターエッグみたいなものであると思われます。

……まあ、それを知っていてもなお個人的には「ボルシャックの弱点は漢字」という設定があってほしいと思っているんですが。漢字をぶつけられて爆発する習性があってほしいですね。

爆発するのはバハムートではなくダークバハムートです

というわけで、《 NEXの手甲 》でした。

タイトル付けてから気付いたんですが、「バハムートは算数に弱い」概念ってどれくらい広がってるんでしょうか。

これはおそらく皆さんの小学校の図書室とかに置いてあったであろう「ドラえもんの算数おもしろ攻略 続・文章題がわかる」っていう学習漫画が元ネタなんですが、この漫画ではたくさんのドラゴンが自分の出した算数の問題をのび太に解かれて爆死するというとてもゆかいな展開がみられます。

私は幼い頃読んだこの本の展開が幻覚ではないことを確認するために、大人になってからこの本を書店で購入したことがあります。とても恥ずかしかったです。

水文明で刷れ

さて、次回予告のコーナーです。

弊社のECサイトにはカードごとに「一緒に買ってるランキング」というお遊び要素があるのですが、皆様にはそのランキングのみを見て次回のカードを当ててもらいます。

おや、画像がありませんね。年末進行真っ最中なので決める余裕が特にありません。俺は今月中に締め切りをあと三つ抱えてんだぞ。

というわけで、次回のカードはこれです。各自予習していってください。

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それでは、次の記事で。北白河でした。

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新章アークゼオス、シマールゼオス

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