闇文明縛りでなきゃ絶対Gイズモ再録してただろ
こんにちは。あるいはお久しぶりです。北白河と申します。
いやあ。来ましたね、新パックのカードたち。
サガの一件で目がくらんでましたが、めちゃくちゃ再録豪華ですねこれ。SRからコモンに至るまで「ちゃんと使うデッキがあるカード」のオンパレードなのは、相当やる気を感じます。
ここら辺のカードの選定については、なんていうか年々上手くなってきてるというか、開発側からの意志が伝わってくるというか。
「何が出てもそこそこ(自分の所持する)プレイアブルなカードプールが増えて嬉しい」っていう方面と、「レアくて高いカードが出るとうれしい」っていう方面が両立するといいですね。
これが上手くいくということは、パックを剥くという行為の価値 (≒このゲームの主要な売り上げ) をマックスからもミニマムからも上げられるってことですからね。期待です。
というわけで、今回もやっていきましょうか。
この記事があなたの良い暇潰しになれば、これほど嬉しいことはありません。
それでは、今日のカードはこちら。
《The チュルチュルズ》
【 クリーチャー 】
種族 ジョーカーズ / 文明 ゼロ / パワー5000 / コスト5
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手に「ラーメン一丁!」と言う。相手は「あいよ!」と言って、次のうち1つを選んでもよい。相手が選ばなければ、全部注文する。
・しょうゆラーメン:このターン、このクリーチャーに「スピードアタッカー」を与える。
・塩ラーメン:自分はカードを2枚引く。
・ワンタン麺:このターン、自分のクリーチャーすべてはシールドをさらに1つブレイクする。
月刊コロコロコミック付録で登場した、なんかこう……なんか……変なカードです。あとラーメンの匂いがついてます。やっぱり変なカードです。
とりあえず、テキストを読んでみましょうか。
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手に「ラーメン一丁!」と言う。相手は「あいよ!」と言って、次のうち1つを選んでもよい。相手が選ばなければ、全部注文する。
・しょうゆラーメン:このターン、このクリーチャーに「スピードアタッカー」を与える。
・塩ラーメン:自分はカードを2枚引く。
・ワンタン麺:このターン、自分のクリーチャーすべてはシールドをさらに1つブレイクする。
はい。えーと。はい。
テキストにノイズ多すぎんだろ!
まあその、そのノイズを使って客とラーメン屋というロールプレイを楽しむカード……であるのは間違いないようですが。
まず前提として、そのロールプレイの内容は「客となったプレイヤーが、店主となった相手プレイヤーにラーメンをオーダーする」「そのオーダーに応え、相手はどのラーメンを出すかを決定し、プレイヤーにラーメンとして効果を与える」「店主がオーダーを拒否すると、全ラーメンの効果が適用される」というもの。
どう考えても突っ込み所が多すぎるのでかいつまんでいくんですが、とりあえず「客の注文くらい聞いてからラーメン作れ」と。飲食店でそれが許されるの、トニオさんだけですからね。ジョー篇のアニメで何度も出てきたラーメン屋さんはそれやってたけど……
しかも、選択権を持つ店主が作るのは往々にして状況的に客が一番欲しくないラーメン。原則として注文拒否パターンにメリットが一切ない(自分が作らなくても無からラーメンが3杯生成されるので)ので、どうあがいてもこの宿命から逃れることができません。
あと、ついでに言うと「注文する」などというルール用語を定義する必要が出てきそうで既存テキストテンプレートに沿ってるとも言い難いんですが……このへんはいったん置いといて。
ともあれ、このあたりで「ラーメン屋」というフレーバーとゲーム的実装にデカめの齟齬が発生しているということは理解していただけたと思います。ついでにカードパワーも……はい。
というわけで、今回のテーマは「なんとかしてこの齟齬を取り除き、より良いデザインのカードを作ってみる」となります。どうぞお付き合いくださいませ。
とりあえず、このテキストから雑味……もといフレーバーを全部抜いてプレーンなテキストにしてみましょう。いわば麺だけの状態ですね。
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手は次のうち1つを選ぶ。
・このターン、このクリーチャーに「スピードアタッカー」を与える。
・自分はカードを2枚引く。
・このターン、自分のクリーチャーすべてはシールドをさらに1つブレイクする。
だいぶすっきりしました。ここを整えてからあとでフレーバーを足せばいいわけですね。
とはいえ、難しいのがここから。具体的には赤字斜体部分の、「能力決定権」部分です。
相手が選べるとフレーバーと齟齬が発生するうえカードパワー的に苦しいことになるのは前述通りですが、こちらが選べたら選べたで対戦相手の仕事は「あいよ!」と言いながら2ドローさせるだけになっちゃうんですよね。注文をエンタメにするなら、もうちょっとなんか駆け引きが欲しいところです。
おそらくゲームとして味が出てくるのは、お互いに何らかの選択が必要になるとき。複雑性は増しますが、こんなのはどうでしょうか。
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手は次のうち1つを選んで伝える。その後、自分はそのうちから1つを選んで使う。相手と同じものを選んだら、(なんらかの利益)。
要するに、こっちには「相手が提示した効果を取って追加の利益を得る」か「それ以外の本当に取りたい効果を取って我を通す」の選択が生まれるわけです。
相手側としても、「一番マシな選択肢」に利益を付けることで「こっちを選んで!お願い!」と最終選択に影響を及ぼすことができます。なんだかゲームっぽさが生まれてきましたね。
というわけで、ここにフレーバーを乗せるとこうなります。
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手に「ラーメン一丁!」と言う。相手は「あいよ!今日のおすすめはこれだよ!」と言って、次のうち1つを指差す。その後、自分は次のうち1つを選ぶ。相手の指差したものと同じものを選んだら、カードを1枚引く。
・しょうゆラーメン:このターン、このクリーチャーに「スピードアタッカー」を与える。
・塩ラーメン:自分はカードを2枚引く。
・ワンタン麺:このターン、自分のクリーチャーすべてはシールドをさらに1つブレイクする。
これで、ジレンマを発生させつつ「店主のおすすめを受け入れるか意志を通すか」という現実世界でもよくある芳醇なフレーバーを乗せることに成功しました。さすがに1ドローついたらどの選択肢も一定の強度があるので、カードパワーも担保!やったね!
ただまあ、メインターゲットであるコロコロ読者がこの手のジレンマ発生を楽しいと感じるかはまた別問題だったりします。
そうなると、まあ……身も蓋もない話ですが「○○ラーメン一丁!」って言って自分が選ぶだけにしておくのが丸かったんじゃないかなって。
何度も言ってるんですが、子供がやって楽しくないコンテンツが大人にとって楽しいわけはないんですよ。わかりやすさ、大事です。
そういえばなんでこいつ漢じゃないの?
というわけで、《 The チュルチュルズ 》でした。
ちなみに、なんで今回のテーマをこれにしたかと言うと来週の正月休みで北海道にラーメンを食べに行くことにしたからです。
幼い頃に旭川の「蜂屋」の焦がしラード入りラーメンを横浜のラーメン博物館で食べてその癖の強さにウワッってなったんですが、味覚にまで癖がついた今なら。今なら、勝てると思うんです。
あ、よしもとさんはお土産期待していいですよ。休みが明けたら持って来るので、2Fフロアに取りに来てくださいね。
さて、次回予告のコーナーです。
弊社のECサイトにはカードごとに「一緒に買ってるランキング」というお遊び要素があるのですが、皆様にはそのランキングのみを見て次回のカードを当ててもらいます。
おや、今回もカードがありませんね。北海道に行くまでに考えて書いときます。
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それでは、次の記事で。北白河でした。