はじめに
誕生から20周年を迎え、これまでにない盛り上がりを見せているデュエル・マスターズ。
1枚でゲームをひっくり返してしまうようなカードは、長い長い歴史の中で幾つも生み出されてきました。
その中でも取り分け、文字通り破天荒なカード。《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》。
双極編の始まりと共に登場してから早3年。
なんと今年は、《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》が再び全てのフォーマットで使用できるようになった記念すべき年でもあるのです。
呪文面に記された「各プレイヤーは、すべてのクリーチャーを自身のマナゾーンからバトルゾーンに出す。」という簡潔ながらあまりに豪快なその効果は、一部のプレイヤーの心を強烈に掴み続けています。
アニバーサリーイヤーにも進化し続けるデュエル・マスターズにおいて、サブプランとしてピン刺しされるのではなく、主役としてこのカードを輝かせる【轟破天】とは何か。
この記事では、そんな考察の末に行き着いた1つのデッキについて、僭越ながら解説させていただこうと思います。
最初に「そもそも【轟破天】ってどんなデッキ?」という疑問に軽く触れ、基盤となる2ブロック用構築に関する解説を書き連ねた後、オリジナル用構築に関する考察も併せてお届けして参ります。
どうぞ最後までご覧下さい。
(以下このカードそのものを指さない限り、クリーチャー面はオウ禍武斗、呪文面は轟破天と呼称します)
目次
【轟破天】の特徴
10マナを貯めて轟破天を詠唱、マナからの大量展開によるワンショットないし強固な行動ロックで〆。
■各プレイヤーは、すべてのクリーチャーを自身のマナゾーンからバトルゾーンに出す。これらのクリーチャーがバトルゾーンに出ることによって起こる効果はすべて無視する。(マッハファイターなどの、そのターンの間働く能力は無視されない)
《轟破天九十九語》
一言でいえばそれだけのデッキです。
しかしそれだけのギミックの中に、これまで登場してきたクリーチャーの数だけ可能性が眠っています。
自分のクリーチャーを大量展開出来ることを最大限利用した【轟破天ユニバース】や、相手のクリーチャー展開を意に介さない【轟破天シャングリラ】。
絶対的なロック性能で相手の行動を許さない【轟破天ドラゴVANナイン】 。
「G・リンク時の効果は轟破天では無効化されない」というルールの穴を突き、神の威光を輝かせんとする【轟破天ヘヴィ・デス・メタル】等々……。
挙げればキリが無いほどに、コンセプトもフィニッシュ方法も様々です。クリーチャーを活かしたコンボなら、大抵の理想は叶えてしまえる力があります。
興味を持たれた方はぜひ、お手に取ってみて下さい。
あの頃は扱えなかったお気に入りのクリーチャーたちをたくさん出すだけでも、中々楽しいものですよ。
【轟破天】のデッキレシピ
今回紹介するデッキは、実際に5月期の2ブロックCSで準優勝したデッキ です。競技大会でも十分活躍しています!
デッキコンセプトは、「《地封龍 ギャイア》と《百万面相 トカゲ丸》のセットを轟破天で同時に出し、相手の盤面+マナを叩きつつ盤石な体制を整えて勝つ」というもの。
次項から採用カードの解説を行っていきます。
【轟破天】カード解説
まずはデッキの確定採用枠をご紹介。
デッキの確定採用枠
メインカード
《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》
【ツインパクトカード】
種族グランセクト / 文明自然 / パワー14000 / コスト9
■マッハファイター(このクリーチャーは、バトルゾーンに出たターンの間、タップまたはアンタップしているクリーチャーを攻撃できる)
■T・ブレイカー
■破天九語:このクリーチャーがバトルに勝った時、相手のシールドを9つブレイクする。
【呪文】
カード名:轟破天九十九語
文明:自然
コスト:10マナ
■各プレイヤーは、すべてのクリーチャーを自身のマナゾーンからバトルゾーンに出す。これらのクリーチャーがバトルゾーンに出ることによって起こる効果はすべて無視する。(マッハファイターなどの、そのターンの間働く能力は無視されない)
このデッキタイプの主役。安くて強くて何でもできる、嵐を起こす素晴らしい1枚。確定2投。
轟破天によってマナから出てきたオウ禍武斗が、cipを無視して無防備に展開された相手クリーチャーにすぐさま攻撃。
破天九語によって、相手のシールドを9枚まとめて吹き飛ばす。1枚でコンボが完結している美しいカードです。
攻めが苛烈で守りの薄そうなデッキに対しては、轟破天による確実なフィニッシュが間に合わないと判断した段階で、オウ禍武斗で一気に勝負をかける方向にシフトできるのも魅力。
なるべくそうならないことが望ましいのですが、この判断を下す可能性は常に考えておきましょう。
後から別の解法に気付いてしまった、なんてことの無いようお気を付け下さい。
このデッキでは前述の通り、主に「《地封龍 ギャイア》と《百万面相 トカゲ丸》のセットを同時に出しつつ、相手の盤面+マナを叩いて盤石な体制を整える」ことを目的として轟破天を唱えます。
既に盤面に並んでいる+《地封龍 ギャイア》のロックをすり抜けてマナから出てきた相手クリーチャーを、《百万面相 トカゲ丸》の力を借りた自軍で粉砕してしまいましょう。
可能なら、《聖魔連結王 ドルファディロム》や《ロールモデルタイガー》、《大樹王 ギガンディダノス》のような更なる大型妨害クリーチャーを出撃させられると安心ですね。
《ロールモデルタイガー》
【クリーチャー】
種族トリックス / チームウェイブ / 文明水 / 自然 / パワー14000 / コスト9
■バズレンダ [3] (このクリーチャーのコストを支払う時、追加で [3] を好きな回数支払ってもよい。このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、そのバズレンダ能力を1回と、追加で [3] 支払った回数、使う)
・カードを1枚引き、その後、自分のマナゾーンにあるカードの枚数以下のコストを持つクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。
■マッハファイター
■T・ブレイカー
■相手のクリーチャーが攻撃する時、可能ならこのクリーチャーを攻撃する。
着地するだけで攻めのデッキを崩壊せしめる恐ろしき獣。単なる射出台では終わらない、極太のサブプラン製造機。確定2投。
バズレンダ能力によって、マナからクリーチャーを場に引っ張り出すことができる大型クリーチャー。このカードを採用した最も大きな理由は、「轟破天を唱えられない状況を打開できるから」です。
轟破天を唱える上で最も邪魔になると睨んだ《聖魔連結王 ドルファディロム》に対し、
- 《百万面相 トカゲ丸》と共にEXライフごと除去しつつ、後続の着地を牽制できる
- 《地封龍 ギャイア》で着地そのものを規制できる
- 《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》を出して除去+轟破天他必要なパーツを探しに行ける
- 《百族の長 プチョヘンザ》でタップインさせ、後続の着地を躊躇わせる
と、様々な方向から噛みつくことで、徹底的に王に胡坐をかかせない立ち回りを目指しています。
とは言え、あらゆるメタに弱い轟破天。
詠唱を延々と咎められて二の足を踏み続けるよりは、彼のバズレンダ能力で雑に大物をぶつけてゲームを畳みに行ってしまう方が良い場合もあるはず。
cipを活かしつつ一方的に展開できるので、単純に大物を並べつつ殴りこむだけで、勝ててしまう試合は多いはず。サブプランとしては文句無しの強さです。
「高パワーなマッハファイター持ち攻撃誘導生物」というだけでも、轟破天から射出する弾として十分優秀なのですが。それに留まらない柔軟さがこのクリーチャーの魅力です。
《百万面相 トカゲ丸》
【クリーチャー】
種族ジョーカーズ / チーム切札 / スペシャルズ / 文明火 / 自然 / パワー16000 / コスト10
■T・ブレイカー
■自分のクリーチャーはすべて「スピードアタッカー」を得、アンタップしているクリーチャーを攻撃できる。
■自分の他のクリーチャーが相手のクリーチャーとバトルする時、かわりにこのクリーチャーにバトルさせてもよい。
■このクリーチャーがバトルに勝った時、相手のシールドを1つブレイクしてもよい。
その能力は全てが常在、そのどれもが戦略に噛み合う。
轟破天が環境に抗うためのマスターピースです。確定2投。
自軍全てにSAを与えるクリーチャーは数多く存在します。
中でも特に重量級で小回りの利かないこの爬虫類は、彼でなければ実現できない様々な戦術を私たちに見せてくれるのです。
まずはアンタップキラー能力。
近年慣れ親しんだマッハファイターとは異なり、常に相手のクリーチャーを攻撃できるように味方を鼓舞してくれます。これはすなわち、
- 《ロールモデルタイガー》が毎ターン簡単にタップさせられるようになる
- 《地封龍 ギャイア》のロックをすり抜けたクリーチャーもパワー16000で踏み潰せるようになる
- 《大樹王 ギガンディダノス》が相手の棒立ちギガンディダノスに突撃できるようになる=SAになった後続で相手を殴れるようになる
ことを意味しています。何という噛み合いの良さ。
そしてもう1つ、自軍のバトルを肩代わりする能力。これにより、
- 《Disジルコン》がマナと墓地から飛び出すパワー16000のブロッカーになる
- 《ロールモデルタイガー》がパワー14000以上の相手に叩かれて防御を崩されそうな時に、自分を身代わりにして体制を維持できる
- オウ禍武斗の破天九語が暴発するのを防げる
という、痒い所に手が届く以上の素晴らしいサポートを行ってくれます。
彼はこの構築において、轟破天のバリューを何倍にも膨らませてくれるのです。
攻めも守りもデッキのレベルを引き上げるナイスガイ、騙されたと思ってぜひ使っていただきたい1枚です。
《地封龍 ギャイア》
【クリーチャー】
種族ガイア・コマンド・ドラゴン / 暴拳王国 / 文明自然 / パワー18000 / コスト9
■Q・ブレイカー
■相手の「このクリーチャーがバトルゾーンに出た時」で始まる能力を持つクリーチャーがバトルゾーンに出る時、相手はかわりにそのクリーチャーをマナゾーンに置く。
■自分のターン中、クリーチャーを1体、自分のマナゾーンから召喚してもよい。
2ブロック最強の生物。
2段目の少しややこしいテキスト、つまりは「空の盤面に立てれば大体勝ち」って書いてます。余りにも強いので確定3投。
バトルゾーンに出た時発動する能力(以下cip)を持った生物の着地すら許さないその力。
逃れられるクリーチャーを数える方が圧倒的に早いほど、環境に良く刺さります。
《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》も《聖魔連結王 ドルファディロム》も《大樹王 ギガンディダノス》も、皆等しく《フェアリー・ライフ》に変換してあげましょう。
ここで少し裁定のお話。
自分がギャイアを操っている状況で、相手がcip持ちかつEXライフ持ちのディスペクターAを出そうとした場合。
AのEXライフ能力によって相手のシールドは増えません。
EXライフによるシールド追加は、確かに場に出る前に起こるイベントです。
しかしそれは、あくまでそのクリーチャーが場に出ることが確定した段階で発生するもの。
ギャイアを筆頭とした「○○が場に出る時かわりに××ゾーンに送る」置換除去能力や、そもそも「場にクリーチャーを出せない」というような能力が働いている状況では、EXライフは不発に終わります。
Q.相手の《龍世界 ドラゴ大王》がいる状況で、自分の《聖魔連結王 バロディアス》を出す際、「EXライフ」でシールド化し、そのシールド化したカードを墓地に置いてバトルゾーンに残せますか?A.いいえ、残せません。この場合《聖魔連結王 バロディアス》は《龍世界 ドラゴ大王》の置換効果によって墓地に置かれます。バトルゾーンに出ていませんので、「EXライフ」によるシールド化もしません。
https://dm.takaratomy.co.jp/rule/qa/39552/
こうした難解なルールに加え、ギャイアの場合は置換除去の対象に取れる範囲も更に難解です。
このカードを使用する場合、対戦前の予習は必須と言えるでしょう。
自分の認識が合っているか自信がない場合、また対戦相手と意見の相違があった場合。
大会参加中なら1人で悩まず、必ずジャッジに相談しましょう。
トラブル回避のための行動は、プレイヤーとしての責務です。
置換除去能力が強力すぎるため影が薄くなりがちですが、マナからクリーチャーを召喚する権利を与えてくれる能力も相当に強力。
マナに落ちてしまった《ロールモデルタイガー》を「バズレンダさせながら」引きずり出せるその力は、ゲームメイクをやりやすくしてくれること請け合いです。
初動カード
《フェアリー・Re:ライフ》
【呪文】
文明自然 / コスト2
■G・ストライク(この呪文を自分のシールドゾーンから手札に加える時、相手に見せ、相手のクリーチャーを1体選んでもよい。このターン、そのクリーチャーは攻撃できない)
■自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
日々進化し続ける初動。
新たな「ライフ」は、目だけで相手の動きを止める。
S・トリガー能力を切り捨ててでも、欲しいパワーがここにはあります。確定4投。
メインエンジンの起動をサポートするための保険。
(《天災 デドダム》のような例外はさておき、)《獅子王の遺跡》を主機に据えた多色武装デッキにおいて、5枚目以降の初動はそのような印象を持たれがちです。
実際このデッキでもそういった役割を担ってもらうのは間違いないのですが、その枠に留まらないこのカードの強さの秘密は、王来編にて新たに登場したG・ストライク能力にあります。
《蒼き守護神 ドギラゴン閃》から射出された後続、攻撃中にアンタップされた《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》、EXライフの上に胡坐をかくディスペクター達、エトセトラエトセトラ。
G・ストライクによって命を繋げたシーンは、私の少ない場数の中でも数知れず。
本家《フェアリー・ライフ》よりも迅速かつ確実に、相手の計算を狂わせ得るスーパー初動カードとして働いてくれています。
選ぶことができない相手には無力なものの、それを補って余りある防御力を見せてくれることでしょう。
《獅子王の遺跡》
【呪文】
文明自然 / コスト4
■S・トリガー(この呪文をシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ唱えてもよい)
■自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
■マナ武装4:自分のマナゾーンに多色カードが4枚以上あれば、自分の山札の上からさらに2枚をマナゾーンに置く。
高コストなカードが多いこの構築には欠かせない、いつものメインエンジン。
不安定さは否めないものの、3ブーストの魅力からは逃れられません。確定4投。
轟破天を唱えることがコンセプトである以上、10マナまで一足飛びに到達させてくれるこのカードの存在は本当に大きいです。
S・トリガー能力のおかげで、半端な攻撃を渋らせる圧力を前のめりな相手に与えてくれる点もありがたいですね。無防備な序盤をやり過ごす武器はいくらあっても足りません。
2~3ターン目に《フェアリー・Re・ライフ》、4ターン目に《獅子王の遺跡》と綺麗に動くことができれば、5ターン目には単色チャージで9マナに届きます。
相手が動き出す前に先んじて《地封龍 ギャイア》や《ロールモデルタイガー》をプレイできれば、相当に余裕を持って戦えることでしょう。再現性の高い動きではありませんが、覚えておくとお得です。
少なくとも今年度は、全てのフォーマットで使用できる活力源。使えるうちに使い倒してしまいましょう。
《ドンドン火噴くナウ》
【呪文】
文明水 / 火 / 自然 / コスト5
■S・トリガー(この呪文をシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ唱えてもよい)
■自分の山札の上から3枚を見る。そのうちの1枚をマナゾーンに置き、1枚を手札に加え、残りの1枚を墓地に置く。こうして墓地に置いたカード以下のコストを持つ相手のクリーチャーを1体破壊する。
お手軽強力デドダム仕草、もはや積まない理由無し。確定4投。
デッキトップ3枚を好き勝手できるだけで十分強いのに、破壊能力まで備わってしまったものだからさあ大変。S・トリガーまで付いているとなれば、猫も杓子も火を噴こうというもの。
目の上のたんこぶである《聖魔連結王 ドルファディロム》や《地封龍 ギャイア》を叩きつつ、山札の《ロールモデルタイガー》や《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》を探しに行ける点は相当に優秀です。
確実に盤面に干渉できるとは限らないのは、数少ない明確な弱点。
ここぞというときにデッキトップに命を預けなければならないのは、いささか怖いものがあります。
とは言え高コストなカードが多いこのデッキ(8コスト以上×19,9コスト以上×12)、ある程度分の良い賭けをさせてくれるのは間違いありません。
対抗馬として名前が挙がりがちな《ドンドン水撒くナウ》とどちらを取るかはお好みで。
2ブロックフォーマットでは選択の余地が無いのが悲しいところです。
その他採用カード
ここからは、確定枠ではない採用カードたちをさっくりご紹介。
《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》
【クリーチャー】
種族アウトレイジ・ドラゴン / ヒューマノイド / 文明水 / 火 / 自然 / パワー5000+ / コスト5
■マッハファイター
■このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から5枚を見る。そのうちの1枚を相手に見せてから手札に加え、残りを好きな順で山札の下に置く。こうして見せたカードが火または自然なら、クリーチャーを1体選び、手札に戻す。
■革命2:自分のシールドが2つ以下なら、自分のシールドゾーンにあるこのクリーチャーに「S・トリガー」を与える。
■革命0:自分のシールドが1枚もなければ、このクリーチャーのパワーを+10000し、「スピードアタッカー」と「T・ブレイカー」を与える。
強いことしか書いてない、刷って良いのかこんなバケモン。4投。
コンセプトには直接影響しないので除外しましたが、現状ほぼほぼ確定枠。
- 出た時に《ドンドン吸い込むナウ》
- 革命チェンジ持ちとマッハファイターでバトンタッチ
- 呪文を封じられていても使える受け札
- 自身が特大打点にもなれる
- 色基盤としても優秀なクリーチャー
余りにもメガ盛りMAXなスペック。
トリガー持ちドラゴンだし、環境に通りの良さそうな《百族の長 プチョヘンザ》使ってみたいから試してみるか……。と軽い気持ちで手を出したのですが、まんまとその魔力に魅入られてしまいました。
このデッキでは、基本的には受け札+サーチカードとして運用。
現状の構築では、確実に火または自然のカードを回収してバウンス効果を発動できます。
余裕があるなら吸い込む効果で延々自身をバウンスして、欲しいパーツを探しに行けるのもGood。
相手の攻撃時に盾から生やして《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》や《ロールモデルタイガー》を拾いつつ、返しのターンに《百族の長 プチョヘンザ》にチェンジして、安心できる盤面をいち早く作りましょう。
空っぽになった盤面に《地封龍 ギャイア》を立てられれば、悠々とフィニッシュへの準備を整えられるはずです。
よっぽどドラゴン+クリーチャートリガー+《百族の長 プチョヘンザ》に向かい風な環境が来ない限り、私はあらゆる【轟破天】に4枚採用し続けてしまいそうです。視野が狭まる~!
《Disジルコン》
【クリーチャー】
種族スピリット・クォーツ / ディスタス / 文明水 / 闇 / 自然 / パワー3000 / コスト3
■ブロッカー(このクリーチャーをタップして、相手クリーチャーの攻撃先をこのクリーチャーに変更してもよい)
■このクリーチャーを、自分のマナゾーンまたは墓地から召喚してもよい。
■このクリーチャーが出た時、カードを2枚引き、自分の手札を1枚捨てる。
《天災 デドダム》のプロキシでは終わらないフレキシブルなスペック。
その力、カードプールが狭ければ狭いほど水晶の如く輝きます。3投。
GRゾーンはもちろん、デドダムのようなインチキリソース稼ぎカードを自由に使えない2ブロックフォーマット。
手足をもがれた環境の中で、公開領域に落ちさえすれば半永久的に手札と墓地を増やし続けられるこのクリーチャーの存在は、想像の何倍もありがたいものでした。
ブースト札を引き込めない序盤、とりあえず出すだけで壁になってくれるのも優秀。
一撃に全てを賭けてくるようなデッキであれば、これ1枚で詰むことも?
彼の真価は《百万面相 トカゲ丸》存在下でこそ発揮されます。トカゲ丸の加護を受けたジルコンは、
- マナと墓地から3コストで出てきて
- 出る度手札交換を行える
- パワー16000のSA+アンタップキラー+ブロッカー
という尋常ならざる生命体へと変貌します。この符合!
《青寂の精霊龍 カーネル》
【クリーチャー】
種族エンジェル・ドラゴン / 革命軍 / 文明光 / 水 / パワー3500 / コスト5
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■S・トリガー
■ブロッカー
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーを1体選ぶ。次の自分のターンのはじめまで、そのクリーチャーは攻撃もブロックもできない。
盾から飛び出す2面止めドラゴン。
呪文を封じていい気になっているお相手に、手痛いカウンターをお見舞いしてあげましょう。2投。
《ファイナル・ストップ》の存在だけでも、呪文に受けを頼りがちなデッキには中々厳しいものがあった2ブロック環境。
新弾で《ミラクル・ストップ》まで参入したとあっては、そんなデッキはあっさり崩されてしまうでしょう。
このクリーチャーは、白色確保兼ストップされないストップ要員としての採用です。
ストップなデュエルを仕掛けてくる《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》が大流行するのだろうな……、という推測により対策として差し込んだこの受け札。
ビートダウンが多めな現状、しばらくお世話になってもいいかも知れません。盾から踏ませた返しのターンに《百族の長 プチョヘンザ》で状況をひっくり返していきましょう。
《支配のオラクルジュエル》
【呪文】
文明光 / 闇 / コスト8
■S・トリガー
■相手のタップされていないクリーチャーを1体破壊する。
■バトルゾーンにある相手のクリーチャーをすべてタップする。
いわゆる色合わせ枠、どうしても黒が欲しかった。2投。
基本的には《S・S・S》のほうが強力です。
しかし条件付きとは言え、自分で除去対象を選択できる点はあちらには無い偉いポイント。
《S・S・S》を警戒して攻撃のプランを立てている相手には、思わぬ不意打ちを食らわせられるかも?
《聖魔連結王 ドルファディロム》
【クリーチャー】
種族ディスペクター / エンジェル・コマンド / デーモン・コマンド / 文明光 / 闇 / 火 / パワー13500 / コスト8
■EXライフ(このクリーチャーを出す時、自分の山札の上から1枚目をシールド化する。このクリーチャーが離れる時、かわりにそのシールドを墓地に置く。)
■スピードアタッカー
■T・ブレイカー
■このクリーチャーが出た時、またはこのクリーチャーの「EXライフ」シールドが自分のシールドゾーンを離れた時、相手の多色ではないクリーチャーをすべて破壊する。
■相手は多色ではない呪文を唱えられない。
テキスト全部強いシリーズ。自然のマスター呪文だけ見逃してくれませんか、ダメですか。2投。
登場した直後から今まで、フォーマットやデッキタイプ問わずあらゆる分野で暴れ回り続けている王の中の王。これだけ雑に強ければさもありなん。
最早誰もが搭載して、誰もが警戒をするカードになってしまいました。
破壊効果+ロック能力は、非公開領域には刺さらないものと思っておいた方が良さそうです。
いくらヘイトを集めているとは言え、それでもなお強力なことに変わりはありません。
デッキカラーの都合が余程悪いのでも無ければ、2枚程度は採用しておくことをお勧めします。
轟破天から射出した場合でも、出「た」時ではなく出「す」時に処理されるEXライフによるシールド化は忘れずに行いましょう。山札管理は慎重に。
《百族の長 プチョヘンザ》
【クリーチャー】
種族ジュラシック・コマンド・ドラゴン / 革命軍 / ダママ団 / 文明光 / 自然 / パワー12500 / コスト8
■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
■革命チェンジー光または自然のコスト5以上のドラゴン
■T・ブレイカー
■自分のマナゾーンにあるカードの枚数よりコストが小さい相手のクリーチャーは、バトルゾーンにタップして置く。
■ファイナル革命ーこのクリーチャーが「革命チェンジ」によってバトルゾーンに出た時、そのターン中に他の「ファイナル革命」をまだ使っていなければ、このクリーチャーよりパワーが小さいクリーチャーをすべて持ち主のマナゾーンに置く。
圧倒的制圧力、今なら上手く乗りこなせる。
その力で【轟破天】に革命を巻き起こしてもらいましょう。勇気の3投。
《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》のおかげで、現実的に戦略に組み込めるようになったダママ団の団長。
多めに搭載しているのは、手札に欲しい序~中盤に引けていない、という事故を嫌ってのことです。
シールドから出てきたドラゴンたちとチェンジできれば、ひとまず敵の放った第一陣はいなせることでしょう。
マナの数だけ相手を縛り付けられる能力は、ビッグマナ戦略と非常に噛み合います。トリガー持ちブースト札のバリューが更に高まるお得感。
《勝利宣言 鬼丸「覇」》
(殿堂カード) 【クリーチャー】
種族ヒューマノイド / レッド・コマンド・ドラゴン / ハンター / エイリアン / 文明火 / パワー9000+ / コスト10
■スピードアタッカー
■パワーアタッカー+5000
■このクリーチャーが攻撃する時、相手とガチンコ・ジャッジする。自分が勝ったら、このターンの後にもう一度自分のターンを行う。(ガチンコ・ジャッジ:各プレイヤーは自身の山札の上から1枚目を見せ、それを一番下に置く。そのカードのコストが相手以上であれば、自分の勝ちとする)
■T・ブレイカー
誕生してから8年間、常にゲームチェンジャーであり続けた漢。
殿堂カードのため1投。
事あるごとにEXパックに収録されているイメージですが、いわゆるマーク付きでの再録は随分久しぶり。
今後2年間はトップ覇の恐怖から逃れられないようです。
5マナ帯のパワーカードをフルに搭載している関係で、採用カードの平均コストは6.45とそう高くはありません。この数字をどう解釈するかはあなた次第。
適切なタイミングで使用できればあらゆる可能性を見せてくれるカードですが、腐ってしまうこともまた多い1枚。
引ければ必ず勝てるようになるものでもないので、採用の是非は皆様の心の赴くままに。
《大樹王 ギガンディダノス》
【クリーチャー】
種族ジャイアント・ドラゴン / 不死樹王国 / 文明闇 / 自然 / パワー50000 / コスト12
■ワールド・ブレイカー(このクリーチャーは相手のシールドをすべてブレイクする)
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手は自身の手札をすべてマナゾーンに置く。
■自分は、このクリーチャーよりパワーが小さいクリーチャーに攻撃されない。
■フシギバース [闇自然14](自分のクリーチャーを1体タップしてマナゾーンに置き、 [闇自然14]からそのクリーチャーのコストを引いた数のコストを支払って、このクリーチャーを自分の墓地から召喚してもよい。ただし、コストは [闇自然2]より少なくならない)
デカさは力。出せれば強いの筆頭格。2投。
黒マナの少なさから、基本的には引き次第マナに置くor《Disジルコン》で墓地に落とすことになる1体。
《ロールモデルタイガー》や轟破天から射出するのがメインの運用法となります。
轟破天を唱えたターンに勝負を決めきれなそう……という時も、《地封龍 ギャイア》と共にこのクリーチャーを展開できれば、ほぼほぼ安全に次のターンを迎えられることでしょう。
「ロックをかけて殴って倒す」をデッキコンセプトにしている以上、逆に相手の場にそびえ立っていたら厄介なクリーチャーでもあります。
そんな時には《百万面相 トカゲ丸》の力で無理矢理《大樹王 ギガンディダノス》同士で相打ちをさせ、残った後続でフィニッシュブローを叩き込みましょう。
【轟破天】デッキの回し方
①序盤 常に基本に忠実に!マナを整えウォームアップ
序盤は多色のカードをマナに置き、4ターン目に《獅子王の遺跡》で大量ブーストを狙えるようにマナチャージをしていきます。
そのため、《獅子王の遺跡》に繋がるアクションとして3ターン目に《フェアリー・Re:ライフ》や《Disジルコン》を使えるように自然文明を中心にマナ置きをしていきましょう。
《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》と《百族の長 プチョヘンザ》のセットは、極力相手に晒さず手札に抱える事がポイント。
このデッキの苦手としているビートダウン系統のデッキが対戦相手だった場合、5マナまで貯める事ができれば全ての盤面をリセット出来る為です。
また、この段階でマナに5文明全てを揃えられると相当気持ちが楽になります。
都合よく事が運ばなくても、できる限り火か闇のどちらかはマナに置くことを意識すると良いでしょう。
ちなみに、「《フェアリー・Re:ライフ》があるなら、2ターン目に単色マナを発生させてブーストを狙いに行く方がいいのでは?」とお思いの方もいるでしょう。日々加速していく環境においては至極当然な感想です。
ですが、ここは多色マナを発生させる動きを最優先にしてください。
手札が《フェアリー・Re:ライフ》以外単色で染まってしまった場合のみ使用するスタンスで行きましょう。以下に理由を記していきます。
その①。仮に2ターン目に1ブーストを成功させ、かつ多色カードを増やすことができたとしても、3ターン目に《獅子王の遺跡》を唱えた場合に(マナが多色2単色2となるため)3ブーストを決めることがどうやってもできないという点。
《獅子王の遺跡》による急加速を前提に動くデッキである以上、その多色武装を達成させることは必須。
最序盤の加速を犠牲にしてでも、後々シールドから唱える《獅子王の遺跡》を少しでも早く強化しに行きましょう。
その②。(これは現状オリジナル以上のフォーマットでのお話なのですが、)相手に《フェアリー・ミラクル》を警戒させられるかもしれない、という点。
2ターン続けて高コストな多色カードを置いたとなれば、公開している超次元ゾーンの情報と合わせて、相手はこちらのデッキが「多色のカードを多く採用したビッグマナデッキ」だと見抜いてくることでしょう。
そうしたデッキのブースト手段として挙げられるのは、主に《獅子王の遺跡》と《フェアリー・ミラクル》の2つ。最近は後者を採用した5cが流行していますね。
こちらのデッキタイプに勘付き始めた相手が《奇天烈 シャッフ》や《「本日のラッキーナンバー!」》を使ってくるかも知れません。
《獅子王の遺跡》の搭載は十中八九見抜かれるとして、2ターンかけてマナゾーンに文明を増やすことに注力するこちらを見て、相手は「次のターン、相手は単色マナチャージから《フェアリー・ミラクル》を唱えるかもしれない」と意識する可能性があります。
相手はそれらのメタカードで、こちらからすればほとんどダメージの無いコスト"3"を宣言してくれるかも知れません。こうなれば実質的にエクストラターンを貰ったようなもの。返しのターンに悠々と3ブーストさせてもらいましょう。
②中盤 発進準備!大型ブースト&リソース稼ぎ
《獅子王の遺跡》や《ドンドン火噴くナウ》でブーストし、大型獣に繋ぐのが最優先。
それが難しい場合には、《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》でリソース確保+盤面除去を行い試合の流れを手繰り寄せていきます。
- 《獅子王の遺跡》による大量ブースト
- 《ドンドン火噴くナウ》によるブースト+リソース確保+盤面除去
- 《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》によるリソース確保+盤面除去or自身のバウンスによる追加リソース確保
という優先順位で動くのが良いでしょう。文字通り、1にブースト2にブースト。
パーツが揃っていれば《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》から《百族の長 プチョヘンザ》に繋げるのもアリですが、マナが伸びきっていないこの段階ではその妨害性能を上手く発揮できないことの方が多いはず。
それでも相手の第一陣を半壊~全壊させられるのは疑いようも無く。
相手のマナを増やすのは利敵行為にもなりかねませんが、選択の余地が無い場合は革命の力で延命処置を行いましょう。
③終盤 本領発揮!大型獣でゲームを掌握
スムーズに動けているのなら、この辺りから8~9コスト帯のカードに触れるようになっているはず。ここからがビッグマナデッキの真骨頂です。
《聖魔連結王 ドルファディロム》《地封龍 ギャイア》《ロールモデルタイガー》を一刻も早く着地させゲームをコントロールし、《轟破天九十九語》の宣言から勝利を掴みにいきましょう。
基本的には、どんな状況でも《地封龍 ギャイア》と《百万面相 トカゲ丸》のセットをマナに揃えてから轟破天を唱え、そのターン中に殴り勝つつもりで動くのがベター。
盤面制圧+疑似ランデス+クリーチャーロックの3つが揃えば、最悪そのターンにゲームを決めきれなくとも、まず負けることはないでしょう。この状況を作り出すことが第一目標です。
しかしこの2体だけでは、まだまだ不安が残ります。
ターンを返した場合にこちらのシールドが無ければ、デッキトップからcipの無いSAを引かれるだけで負けてしまいますからね。
そういった事故を防ぐため、併せて展開しておきたいのは……。
こちらの3体。あくまで個人の感想ですが、左から順に優先度+あったら助かる度が高く感じます。
おなじみ攻撃ロックの《大樹王 ギガンディダノス》は、単純に超巨大打点として運用できるのも強み。
《百万面相 トカゲ丸》のパワーを燃料に、あらゆるものを粉砕してくれます。
単色呪文ロック+シールド追加の《聖魔連結王 ドルファディロム》も、延命手段かつ耐性持ちの打点として優秀。
環境に多色呪文トリガーが蔓延っているとは言え、あると無いとで気持ちは大きく変わります。
《ロールモデルタイガー》ももちろん強力。
過信はできませんが、《百万面相 トカゲ丸》という身代わりを盾にもできる攻撃誘導能力は、こちらの防御力を大いに高めてくれることでしょう。
【轟破天】の調整案
この項では、諸々の理由で現在の構築から抜け落ちてしまった【轟破天】と好相性なカード達と、それらを使った戦略をご紹介。
《「勝利の栄光」》
【クリーチャー】
種族メタリカ / エンジェル・コマンド / チーム銀河 / 文明光 / パワー13500 / コスト8
■ギャラクシールド [光6](このカードを使うコストの代わりに、 [光6]を支払ってもよい。そうしたら、このカードを表向きにし、新しいシールドとしてシールドゾーンに置く)
■自分のターンのはじめに、このクリーチャーが表向きで自分のシールドゾーンにあれば、コストを支払ったものとして召喚する。
■このクリーチャーがバトルゾーンまたは表向きで自分のシールドゾーンにあれば、自分のクリーチャーはすべてのバトルに勝つ。
■T・ブレイカー
必勝。シンプルにしてベストな力。主に【5cコントロール】に対するメタカードとして採用を検討。
《地封龍 ギャイア》《ブラキオ龍樹》《大樹王 ギガンディダノス》という絶望的な盤面を展開されたとしても、《百万面相 トカゲ丸》との組み合わせで難なくカウンターできるのが強み。
着地を許してしまうとかなり勝ちが遠のく《大樹王 ギガンディダノス》への対抗策として、何とか枠を探してあげたいところなのですが。
単体で仕事をするシーンがあまりに少ない点、単色である点がどうにも厳しく、採用見送りに。
《神龍連結 バラデスメタル》
【クリーチャー】
種族ディスペクター / エンジェル・コマンド・ドラゴン / ゴッド / 文明光/闇/火 / パワー24000 / コスト13
■EXライフ(このクリーチャーを出す時、自分の山札の上から1枚目をシールド化する。このクリーチャーが離れる時、かわりにそのシールドを墓地に置く)
■ワールド・ブレイカー(このクリーチャーは相手のシールドをすべてブレイクする)
■このクリーチャーが出た時、またはこのクリーチャーの「EXライフ」シールドが自分のシールドゾーンを離れた時、相手のクリーチャーをすべてタップする。次の相手のターンのはじめに、それらのクリーチャーはアンタップしない。
立ち塞がることごとくを平伏させる神の威光。その裁き、1度だけでは終わらない。フィニッシャー枠として採用を検討。
轟破天から出してもカウンター対策用の壁にしかならないんじゃないの?という意見はごもっとも。《ロールモデルタイガー》経由で出すのも取り立てて強力とは言えません。
このカード、「轟破天から展開し、自分でEXライフシールドをブレイクして相手の反撃を防ぎつつ殴り勝つ」という目的で使おうとしていました。
《燃えろ!アポロソくん》の力でEXライフシールドをブレイクし、無防備になった敵陣に総攻撃を掛ける……というイカした動きを2ブロックでも再現できることに気付き、構築を練っていたのですが。
2種のカードを絡ませないと成し得ない、決めても勝てるか分からないコンボはどうにも扱い難く両者ともに単体で活躍しにくい点も、大きな弱点となってしまっていました。
《燃えろ!アポロソくん》のバリューを上げようと追加のフィニッシャーとして《勝熱英雄 モモキング》を採用してみても、やはり安定性には欠けていて。泣く泣く没にせざるを得ませんでした。
EXライフシールドにまつわる常在サポート能力持ちのカードが今後誕生するのを祈って、今はストレージで神を祀っておきましょう。
《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》
【クリーチャー】
種族ディスペクター / キング・コマンド・ドラゴン / リキッド・ピープル / 文明 水/闇/自然 / パワー15000 / コスト10
■EXライフ(このクリーチャーを出す時、自分の山札の上から1枚目をシールド化する。このクリーチャーが離れる時、かわりにそのシールドを墓地に置く)
■T・ブレイカー
■このクリーチャーが出た時、相手のカードをバトルゾーンから1枚、マナゾーンから1枚、さらに相手の手札から見ないで1枚、選ぶ。相手はそれらを自身の墓地に置く。
■自分のターンの終わりに、プレイヤーを1人選ぶ。そのプレイヤーはカードを2枚引く。
みんな大好き《偽りの王 ヴィルヘルム》がディスペクターになって帰ってきた~!ランデス能力だけは帰ってくるな 捨て置け
終盤の妨害役兼フィニッシャー枠として採用。ディスペクト元から健在のcipは、現代でも強力なもの。3つのゾーンに干渉できるのは偉大。
このカードをフィニッシャー足り得るスペックにするクリーチャー、実は最近2ブロック入りを果たしたんです。
それがこちらの《Q.Q.QX./終葬 5.S.D.》。
5.S.D.を決めた直後に相手に2ドローを強制させれば、一気に相手の余命を削り落とせます。《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》が2体揃っていれば、それだけで勝ててしまいますね。
《百万面相 トカゲ丸》などによるSA付与も好相性です。極力一緒に展開して、早々にゲームを終わらせてしまいたいところ。
しかし確実に勝とうとすると《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》2枚をマナに置いておかなければならず、構築が歪められてしまう点がどうしても難点。
《Q.Q.QX.》がメタクリーチャーとしてもある程度機能してくれる点は都合が良いのですが、メタの方向性が微妙に環境に噛み合っていないのも向かい風。
相手の反撃を気にせず勝利できる点は魅力的なのですが、そこに至るまでの道程がどうしても険しく没案に。
ガイアハザード2人で力を合わせて敵を打ち倒す……という構図、強さ関係無しに好きなのですが。その針がより強く環境に刺さる時が来たら、活躍してもらいましょう。
【轟破天】VS環境デッキ
この項では、今回紹介したデッキを環境に蔓延るデッキと戦う際のポイントを、ざっくり解説していきます。
記事編集時点では、新弾発売以降の2ブロック環境がまだまだ定まっていない感が否めませんが。現状でもよく名を聞くデッキタイプと対面した場合を想定して、書いていきたいと思います。
私自身まだまだ2ブロックに対する知見が足りていないので(予防線)、 「このデッキとはどう戦うの?」というご意見は是非コメント欄までどうか優しい言葉でお寄せ下さい。
各対面におけるキーカードも併せてご紹介。散々喧伝してきましたが、基本的に《地封龍 ギャイア》はあらゆる相手に対して刺さるキーカードなので、ここでの紹介は割愛。
・【5cコントロール】
キーカード:《Disジルコン》《ドンドン火噴くナウ》《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》
Tier1デッキの一角。王来編の幕開けと同時にあらゆるフォーマットでその母数を増やし続ける、避けては通れぬ厚い壁。
真上に座すカードパワーおばけ3体に頭を抱えさせられた方も、相当数いらっしゃることでしょう。脇を固めるカードも、その尽くが強力。暴力の宝石箱や~!
キーカードに挙げた3枚でデッキをブンブン回し、なる早で《地封龍 ギャイア》にアクセスして、何とかこちらのペースに持ち込みたい相手です。
《地封龍 ギャイア》のコストは《襲来、鬼札王国!》を跳ね返し《ドンドン火噴くナウ》を避けやすい「9」。
一度出してさえしまえばそう簡単には除去されないはず、その隙に勝負を決めたいところですね。
《聖魔連結王 ドルファディロム》が既に着地してしまっている場合は、《ロールモデルタイガー》と《百万面相 トカゲ丸》に何とかしてもらいましょう。
・【鬼羅.Star】
キーカード:《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》《青寂の精霊龍 カーネル》《百族の長 プチョヘンザ》
Tier1の一角(で良いのでしょうか現在も)。呪文ロック+多面展開+ビートダウン、ビマナが嫌う要素のオンパレード。書いてて具合が悪くなってきました。
《フェアリー・Re:ライフ》と《獅子王の遺跡》を余りにもお手軽に封じてくる《「正義星帝」》の存在が特に厄介。先手後手の差があまりにも大きく響きます。
フィニッシャー級カードは抱え込まずどんどんマナに置いたり、多色3枚の状態から強気に《獅子王の遺跡》を唱えたりなど、多少無理をしてでもマナを伸ばしてフィニッシャーに繋ぎましょう。
この対面、まずは相手の第一陣をトリガーで受け流すところから始まりがちです。呪文を封じられても機能する10枚の受け札に祈りを捧げましょう。
盤面に《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》《青寂の精霊龍 カーネル》を立てる事が出来るなら反撃の時。
《百族の長 プチョヘンザ》で盤面をひっくり返したりましょう。
・【赤黒邪王門】
キーカード:《獅子王の遺跡》《ドンドン火噴くナウ》《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》
急速に勢力を拡大させているデッキタイプ。私が参加した前述のCSでは、(多種多様な細分化がなされる【5cコントロール】を除いて)最大母数の参加数とのこと。
既存の攻撃性能に、《「ひっくり返したれやぁぁぁ!!」》や《蒼き団長 ドギラゴン剣》を始めとする攻めっ気の強いカードが搭載され、益々鋭さを増している様子の鬼札王国謹製デッキ。
攻めに特化したテーマとあれば、受けて立ちたくなるのが本能。ロック性能をほとんど持たないお相手に、20枚の防御札をぶつけて真っ向から勝負を挑みましょう。
特に大事になるのは、キーカードの3種がシールドに埋まっているか否か。ブースト2種は言わずもがな、《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》の有無でゲームは大きく変わります。
cipで《百族の長 プチョヘンザ》を引き込みつつ、そのファイナル革命効果でマナに送れない範囲のクリーチャーを除去。
《青寂の精霊龍 カーネル》にはできない動きで長期的に命を繋いでくれます。
こちらの革命チェンジに反応してバトルゾーンに侵略してくる《バサラ》には要注意。
《地封龍 ギャイア》によって無力化できますが、最低でも1枚は手札に抱えられている想定で動くのが良いでしょう。
総括
……お気づきでしょうか。デッキコンセプトに絡んでいる訳でも無い《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》が、いずれの場合もキーカードになっていることに。
《百族の長 プチョヘンザ》をメインの防御ギミックに組み込んでいる以上、そうなって当たり前なのですが。
仕事量の多いこのカードをいかに上手く扱うかによって、勝負の行方は大きく変わってしまうでしょう。
フィニッシャーを抱え込むのか、革命チェンジを狙うのか。はたまた単色カードを拾って、動きを滑らかにするのか。トップ5枚を見ながら考えるべきことは、本当に多いです。
革命軍団長たちの再録も相まって、「コントロール寄りなデッキには採用されがち」という印象は(少なくとも記事編集段階では)あまり強くないこのカード。
序盤のマナ置きからこちらのデッキタイプを【5cコントロール】だと推測したお相手の意表を突くには、うってつけの1枚だと思います。その隙を突いて下剋上を狙いましょう。
オリジナル版【轟破天】の考察
ここからは、ここまで紹介してきたデッキおよびコンセプトをベースとして、オリジナルフォーマットでも戦っていけるデッキを作るにはどうすれば良いかを考察していきます。
【オカルトアンダケイン】に為す術も無くやられてしまいそうなので、アドバンスフォーマットに関する考察は割愛させていただきます。流石に厳しすぎる。
オリジナル版【轟破天】デッキ草案
やりたいことを詰め込んで、枠がカッツカツになっている感が否めません。ずっと2ブロックに籠っていたせいか、カードプールの拡大に脳が追い付いていない。
気になった点は皆様の手でバシバシ改善していって下さい。あくまでも叩き台としてひとつ。
新たに採用したカードの解説
ここからは上述のデッキにて新たに採用した、および採用したかったカードについてさっくり解説をば。
クリーチャー編
そりゃ入れる。無理してでも入れる。《天災 デドダム》からは逃れられない。
……このカードのために構築ややりたい動きを歪めている節があるので、本当にそこまでする必要があるかどうかは皆様の判断に委ねます。
続いて中型妨害クリーチャー。
言わずと知れたビッグハンデスアクション、《ニコル・ボーラス》はやはり必要でしょう。《百万面相 トカゲ丸》のおかげで攻撃時の確定除去を更に上手く扱えます。
《煌メク聖壁 灰瞳》も鉄板の妨害札。1枚あるだけで安心感が違います。この採用は私の好みが多分に影響しているが故のものなので、入れ替えるならここからがオススメ。
こちらは防御用のクリーチャー2種。《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》のおかげで手札に抱える+再利用するのが容易になっている点が素晴らしいですね。
《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》は《百族の長 プチョヘンザ》にチェンジできる受け札として採用。ついでに貴重な単色枠。
ビッグマナ御用達の《怒流牙 サイゾウミスト》には、もちろんここでも頑張ってもらいます。
墓地に落とされた《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》を山に返す大事な仕事もお願いしましょう。
こちらは採用したかったカード群。
《単騎連射 マグナム》と轟破天の相性の良さは言わずもがな。《地封龍 ギャイア》と役割が被る点、あちらと違い単体では仕事をしにくい点から不採用。
《時の秘術師 ミラクルスター》は何とかして1枚捻じ込みたかったカード。
横行する多数のハンデスに対するメタとして、また墓地に落ちた《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》を拾って逆転のドラマを作るチャンスメーカーとして、是非とも導入したいのですが。
直接的に勝ちに繋がるわけではない点、保険の初動である《フェアリー・Re:ライフ》2枚を切るほど枠がカッツカツになってしまった点から泣く泣くリストラに。
クリーチャー以外編
まずは殿堂カード2種。このカード達には何度命を救われた事か。
《裏切りの魔狼月下城》は、上手く使えれば相当有利にゲームを進行できるでしょう。ブースト初動を引けない場合のお茶濁しとしては最高峰のスペックです。
《Dの牢閣 メメント守神宮》は《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》をよりインチキカードに仕立て上げてくれます。サーチと2面止めを同時に行えるのはまさに悪魔的。
《ロールモデルタイガー》の防御力を更に引き上げたり、《百万面相 トカゲ丸》で自軍全てをドデカい壁に作り替えたりと、豊富なシナジーが魅力。
こちらは優秀な防御呪文2種。
《ドンドン水撒くナウ》は、確実に2枚は積んでおきたい優良カード。《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》を回収しながらの9以下バウンスは、カウンターとして一級品です。
似た立ち位置の《ドンドン火噴くナウ》と比べたメリット・デメリットは
- 手札からプレイしやすい2色=色基盤としては弱い
- 増えたマナを手札のように扱える=山札を掘る速度は劣る+回収カードが相手にバレる
- 除去対象範囲をある程度自分で選択できる=除去方法が(基本的に)破壊より損傷軽微なバウンス
こんなところでしょうか。自分の理想ムーブと照らし合わせて、枚数比率を考えるのが良さそうです。
《襲来、鬼札王国!》は2ブロックでも使用可能な1枚ですが、クリーチャーパワーの強化による蘇生モードのバリュー増加により採用へ。
貴重な黒マナ要員でもあります。
おわりに
現代デュエル・マスターズのカードパワーをふんだんに取り入れながら、環境に立ち向かうために組んだ【轟破天】の解説を行って参りました。
どんな試合も必ず勝ちたい。そんな方には、諸手を挙げてオススメできるデッキテーマではありません。
いわゆるTier1デッキには、背伸びしたってなれないでしょう。
しかしそのカッコいい能力、イラスト、フレーバー。熱狂的なファンを生むこのカード、競技シーンにも爪痕を残せるだけのポテンシャルは間違いなく備わっています。
カードパワーの全体的な底上げに加え、踏み倒し呪文への風当たりの強さから、コンセプトそのものが年々斜陽になっている【轟破天】。
途中取り上げた《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》のように、予測・対策されにくいカウンター手段を入れておくことが、本願成就への近道であるように私は感じます。
20周年を迎えたデュエル・マスターズ。もちろんこのカードの他にも、意識外から相手を刺すカードはたくさん存在するはずです。
正解は1つではありません。試行錯誤の末に自分だけの最適解を見つけ出すのも、カードゲームの醍醐味と言えるでしょう。
一線級には程遠い、いわゆる"地雷"な【轟破天】。世間の予想を裏切り続けて、戦場に革命を起こしてやりましょう。
この記事から、少しでもあなたに【轟破天】の魅力が伝わったことを祈って。最後までご覧いただき、本当にありがとうございます。
お相手は村民まんじゅうでした。