【デュエマコラム】斜に構えるデュエル・マスターズ vol.1~シャコガイルの使い方~

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【デュエマコラム】斜に構えるデュエル・マスターズ vol.1~シャコガイルの使い方~

 こんにちは、ギャクバるデュエマGamesの神結です。

 突然ですが皆さん、斜に構えていますか? 

・身構える。改まった態度をする。
・物事に正対しないで、皮肉やからかいなどの態度で臨む。

「斜に構える(しゃにかまえる)」引用:goo辞書

 いや、別に斜に構えてて得することって別にそんなに無いんですけどね。生まれてから今日まで斜に構え続けていた友人がそう言ってたので、たぶん間違いないと思います。

 とはいえ斜に構えるというのはある意味では現代オタクの本質。

 特に「自分の上位互換」が簡単に見付つかってしまう不幸な現代インターネットに於いては、「みんなとちょっと違うことをしたい=逆張りたい」という感情自体、比較的な一般的なものだと思っています。

 そんな中でデュエル・マスターズはどちらかといえば斜に構えた逆張りオタクにも優しいゲームだと思っています。

 というのもデュエマって場所によっては毎日やってるくらいに大会は多い上に、カードプールもびっくりするくらい広いので、斜に構えて逆張っても勝てることがあります。

 実際のところ、みんながみんな同じ思考でデッキを作って、同じ価値観で遊んでいるのも、それはどうなんだという気がしています。

 ゲームの多様性って、実はちょっと斜に構えた人がいてこそ担保されているところもありますし、意外なデッキってそういうところから生まれたりするもんだとも思っているんですよね。

 というわけでこのシリーズは斜に構えて逆張るオタクを応援する……もとい、特定のカードを取り上げて、あまり一般的ではない……要するにちょっと斜に構えた使い方や戦い方などを逆張りオタクであるところの私が紹介していく、というものになります。

 名付けて「斜に構えるデュエル・マスターズ」。えーっと、略称は……「斜にマス」? 始まります。

特殊勝利のお供 シャコガイル

 というわけで栄えある第1回のゲストカードは、《水上第九院 シャコガイル》になります。

 ご存じの方も多いと思いますが、効果の方を確認しておきましょう。

《水上第九院 シャコガイル》

【 クリーチャー 】
種族 ムートピア / 文明 水 / パワー13000 / コスト9

■T・ブレイカー
■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の墓地にあるカードをすべて山札に加え、シャッフルする。
■相手のターンのはじめに、カードを5枚引き、その後、自分の手札を3枚捨てる。
■自分の山札の最後の1枚を引く時、ゲームに負けるかわりに勝つ。

 初出は新DM第3弾「気分J・O・E×2 メラ冒険」。

同期には《赤攻銀 マルハヴァン》《天風のゲイル・ヴェスパー》といったSRの他、《“必駆”蛮触礼亞》や《一なる部隊 イワシン》、最近ではお馴染みの《蝕王の晩餐》などがいます。

 9コストと重たいカードではありますが、「山札リセット効果」「相手のターン開始時に誘発するドロー効果」そして何より使用される最大の理由である「特殊勝利」……しかもそれが山札を引ききったことによる敗北を置換しての勝利能力を持っています。

 デュエマの長い歴史の中では特殊勝利が出来るカードは多数ありますが、山札を引ききるというのは「同じカードを4体並べる」とか「シールドを10枚用意する」といったカードに比べて、達成難易度がだいぶ易しめです。そもそも、ゲームを長引かせればいつかは勝手に達成出来ます。

 そんなこともあって、世の順張りの方々はこのカードをフィニッシャーとして使ってきた訳です。古くは【ゲイルヴェスパー】とか【アナカラーシャコガイル】、【ロマノフワンショット】。あとは少し時代が経つと【ジョー星ゼロルピア】なんかもそうです。

 挙げた中だと【アナカラーシャコガイル】は少し系譜が違いますが、チェインコンボ系のデッキが最後に確実に勝つためのカードとして、シャコガイルは長らくデュエマを支えてくれました。

 近年では極めて近しい特性を持つカードである《神の試練》が登場し、「手からプレイするフィニッシャー」としては、こちらが優先されるケースが増えました。

《神の試練》

【 呪文 】
文明 水 / コスト5

■コストが同じカードが2枚出るまで、自分の山札の上からカードを表向きにする。
■こうして自分の山札をすべて表向きにした場合、このターンの後に自分のターンを追加し、残りのゲーム中、自分の山札のカードが1枚もなくても、自分はゲームに負けない。
■表向きにしたカードをすべて手札に加える。

 しかし《神の試練》は呪文であり、シャコガイルはクリーチャーである点で差別化出来ています。

 よって、墓地のクリーチャー枚数を参照したり、クリーチャーを踏み倒したりするループ・ワンショット系のデッキでは採用され続けています。【グラスパーループ】やお馴染み【青黒サガ】がその典型でしょう。

 そんなわけで、令和のデュエルマスターズでもシャコガイルは引き続き健在です。今日も何処かで誰かシャコガイル出して勝っているいる筈です。

 

デザインの本質は?

 と、順張り方々のシャコガイルは揃いも揃ってループした後に最後ちょっろっとだけ顔を出して帰っていくわけです。

 いや、実際それでいいんですよ。だってループデッキって他の基盤が強いからそういうデッキとして成り立っている訳で、最後に乗っかるフィニッシャーなんて究極的に言えば誤差なんです。

 が、思うわけです。

 シャコガイルは特殊勝利のお供といった印象の強いカードではありますが、実はそれで済ませるには惜しいテキストが複数あります。

 まずT・ブレイカー。コイツ結構デカいんですよ。具体的には《Dの牢閣 メメント守神宮》下のシャコは《暴走龍 5000GT》を困らせるくらいに。

 え、シャコで殴らない? まぁ、それはいいとしましょう。

 でもシャコのテキストってそれだけでもないんですよ。

 このカードの秀逸なところは、ビッグドローと山札リセットを同時に内包しているところにあると(逆張りオタクは)思っているわけです。

 このカードはムートピアではありますが、テキスト的には覚醒編~エピソード期に活躍した「サイバー・コマンド」シリーズに近く、恐らくそれを意識したデザインになっているんじゃないですかね。

 よく見て欲しいんですけど、たぶんこのカードって《サイバー・N・ワールド》《サイバー・A・アイアンズ》《サイバー・J・イレブン》だと思うんですよ。

 山札リセット能力は《サイバー・N・ワールド》から、ビッグドローは《サイバー・A・アイアンズ》、そして特殊勝利は《サイバー・J・イレブン》から……といった具合に。

 で、この3枚の中で一番弱いカードって何ってなると、当然ながらJイレブンじゃないですか。

《サイバー・J・イレブン》

【 クリーチャー 】
種族 サイバー・コマンド / 文明 水 / パワー11000 / コスト11

W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)
バトルゾーンに自分の水のクリーチャーが11体以上あれば、自分はゲームに勝利する。

 せっかくなんか色々能力持っているのに、勿体ない気がしません?

 ほら、なんか特殊勝利のためだけに使うのって、マグロのトロだけ食べて他を捨ててるくらいの歯がゆさがありませんか?

 もっとシャコのフルスペック、活かしてみたくないですか?

 ……と、過去にそういう逆張ったことを考えた人によって、生み出されたのが【トリーヴァシャコガイル】というデッキになります。


 こちら気合いのシャコガイル3投のデッキです。後にも先にもそんなデッキはないんじゃないですかね。

 これだけシャコを採用しているのはもちろん、シャコを巨大なリソース源として認識している……つまるところ、シャコにAアイアンズやNワールドとしての活躍を期待しているからです。

 要するに「ビッグマナがブーストした先に目指す、巨大なリソースとしてのシャコガイル」という思想の元に生まれたデッキな訳です。

 その上でシャコによる特殊勝利もちゃんと活かすため、《知識の包囲網》というスーパードローカードも採用されています。

 これぞまさに、シャコのスペックをフルに活かしているかもしれません。

 

 あと実はあまり知られていないんですけど、《水上第九院 シャコガイル》自体はT・ブレイカーなんですが、コイツ1枚で生み出せる打点って7~9くらいあるんですよね。

 なのでこのデッキ、よく殴ります。

 なんかシャコ出してターンエンドすると、返しのターンの始めに手札から《斬隠蒼頭龍バイケン》が出てきながら《龍波動空母 エビデゴラス》の龍解まで達成するので、ほぼ更地の状況からいきなり詰めろを掛けることが出来るんですよね。

 しかもその詰めろの掛け方がをドローを進めながら除去を飛ばしてのものなので、厄介極まりありません。そして盤面に突然クリーチャーが増えるので、《Dの牢閣 メメント守神宮》と併せて強固なブロッカー盤面にもなったりします。

 仮に相手がこのリーサルを恐れて防御寄りの行動を取ってきたら《知識の包囲網》からシャコの特殊勝利を狙いにいけます。

 仮にシャコを除去をするようなら、2枚目のシャコとかいう、シャコともっとも相性のいいカードをプレイすれば解決します。

 除去されたシャコは山札の中に帰っていきますし、結局確保したリソースは失っていません。お前の除去とオレのリソース、どちらか続くかな? となれば、まぁ結果は一目瞭然なわけです。

 

  ちなみにこのデッキが生み出されたのは2018年の春、ちょうどチーム戦GPであったGP6thが終わった後でした。

 当時の受けデッキの主流と言えば《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を使った【アナカラーシャコガイル】でした。

 しかしこのデッキは《暴走龍 5000GT》+《「本日のラッキーナンバー!」》+《音精 ラフルル》で受けギミックを完封してくる新型の【墓地ソース】や《消王ケシカス》《ジョジョジョ・マキシマム》で攻めてくる【ガンバトラージョーカーズ】、そして極めつけは呪文封殺+《時の法皇 ミラダンテXII》の再現性がある【成長ダンテ】といった新時代の殴るデッキに負けるようになっていきます。

 受けデッキが、攻めるデッキに勝てなかったら何に勝つねん。

 そんなわけでGPでボコボコにされて傷心だった斜にかま逆張りシャコガイルオタクが考えたのがこのデッキだったんですね。

 実際それらのギミックに対しては《Dの牢閣 メメント守神宮》が結構明確な回答になっており、【ムカデループ】や【ゲイルヴェスパー】、《大邪眼B・ロマノフ》入りの【デスザーク】や《ロスト・ソウル》が入っている【アナカラーシャコガイル】以外にはまぁまぁ勝てるようになりました。

 いやーGPの時点で思い付いていればなぁ、という感想もあるんですが、これはGPの敗北がなかったら完成していないデッキなので、その世界線は存在しないですね。しょうがない。

 

 ちなみに私が「これだけは世界で一番だと言えるものってありますか?」って質問されたら、「シャコガイルでトリプルブレイクした回数」と回答すると思います。

 

おわりに

 「斜に構えるデュエル・マスターズ」、第1回はこれにて終わりになります。

 今回は初めての試みにはなりましたが、如何だったでしょうか?

 斜に構えるとは言ってますが、実のところカードって結構先入観の影響を受けがちで、自信を持って使えているとは到底言い切れない状況にあるのが殆どです。

 いまは環境的にちょっと特殊な部分も多いのですが、もしかしたらあまり知られていないけどいま強いデッキやカードなんかも、カードプールの何処かには眠っているかもしれません。

 そうでないかもしれませんが、そう思った方がロマンもあって楽しいじゃないですか。

 皆様も是非、身近なカードや好きなカードについて改めて考えてもらって、そのポテンシャルを活かし切れているのか考えてみて欲しいです。きっと新たなアイデアが浮かんでくるかもしれません。

 仮にそうならなくとも、改めてカードと向き合うことは何も悪いものではないと思います。きっと、貴方の技量を伸ばしてくれることでしょう。

 

 というわけで、今回はここまで。

 それでは、また次回の記事でお会いしましょう!


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