デュエル・マスターズ背景ストーリー、今回は19~23弾・不死鳥編です!
その名の通り、ゲームでもストーリーでも不死鳥=フェニックス種族がメインテーマとなった不死鳥編。
シリーズ屈指の問題児と言われることも多い(?)本シリーズですが、その物語と衝撃の結末は意外と知られていません。というわけで、今回もどうぞお付き合いください。
目次
0、前回までのあらすじ
クロスギアの誕生がもたらした戦乱。その行き着く先は、世界の滅亡でした。地上のすべてが時空の裂け目へと飲み込まれてゆき……
そして1万年後、世界は全く新しい姿を見せます。
出典:デュエル・マスターズ
1、DM-19 不死鳥編
終末魔導大戦から1万年。時空の裂け目の活動は失速し、裂け目の外には新たな世界が形作られました。
出典:デュエル・マスターズ
そこで繁栄したのは、2文明にまたがる新たなクリーチャー達。俗にハイブリッド種族と呼ばれる5種族と、そのサポート種族ですね。
火&自然はぬいぐるみのような姿の冒険者、ドリームメイトとビークル・ビー。
光&自然は天使を継ぐ者たち、アーク・セラフィムとセイント・ヘッド。
水&光は変幻自在の機械の兵団、グレートメカオーとキカイヒーロー。
水&闇、他生物を取り込む異形の悪魔、グラン・ドデビルグランド・デビルとディープ・マリーン。
そして火と闇、半龍半人の戦闘民族、ティラノ・ドレイクとブレイブ・スピリット。
出典:デュエル・マスターズ
これら種族は、(強さはともかく)種族指定でのサポートが多く、名実ともに主役といえる存在でした。5種族でサイクルを成すカードも多いですね。
一方で、旧種族達の多くは苦しい立場にありました。自らの文明を離れた者、歪んで異形となった者……故郷を失った彼らは、細々と生き延びるのが精一杯だったのです。
出典:デュエル・マスターズ
そんな新世界に、時空の裂け目『ユニバース』を門として、5体の超巨大クリーチャーが出現しました。――不死鳥。
不死鳥達が身体の球体を輝かせると、周囲の生命が一瞬で吸い尽くされました。その力の前に、クリーチャーたちはなすすべもありません。世界はまたたく間に不死鳥に支配されました。
出典:デュエル・マスターズ
もはや不死鳥からは逃れられない。そう悟った地上の種族たちは、他種族から何かを奪うことで生き延びようとします。
かくして、5大種族の抗争が幕を開けたのです。
2、DM-20 魔闘龍×騎兵団
打倒不死鳥のための活動を、もっとも早くから開始したのがグレートメカオー勢力でした。彼らは他種族の資源を奪うべく、各地に斥候となるロボット軍団を派遣します。
最初に武力衝突が起きたのは中央大陸でした。ドリームメイト領土において、300体のグレートメカオー部隊がドリームメイトと激突。勝利を確信していたグレートメカオーたちですが、本陣に届いたのは僅か数体のドリームメイトによって壊滅させられたとの報告でした。
この一件から、グレートメカオーたちはさらなる情報収集の重要性を痛感。絶滅したサイバーロードの残したマザーコンピュータ『アカシック7』の解析に乗り出します。秘密裏に調査を進めるべく、彼らは探知されない特殊部隊を開発し始めました。
開発と調査の一方で、グレートメカオー軍は他種族への侵攻も怠りません。ティラノ・ドレイク陣営に対しては、海底からの奇襲を試みます。グレートメカオー達の高度な戦略の前に、ティラノ・ドレイクは劣勢に陥りました。
出典:デュエル・マスターズ
たとえ傷を負っても、生粋の戦闘種族であるティラノ・ドレイクは屈しません。長たる《覇竜凰ドルザバード》を筆頭に、彼らは徹底抗戦を見せました。
『闘龍』の異名に恥じない奮闘で、ティラノ・ドレイクたちは辛くもグレートメカオーを撤退させることに成功します。しかし、資源は強奪され、戦死者・負傷者はおびただしい数に上りました。
出典:デュエル・マスターズ
3、DM-21 封魔王の系譜
自らの勢力の半壊を受け、手負いの《ドルザバード》はグランド・デビル勢力へと共闘を求めます。元よりロボット軍団の台頭に危機感を募らせていたグランド・デビル側もこれを快諾。闇の軍事同盟が結成されました。
グランド・デビル達はさっそく活動を開始します。グレートメカオー、そして不死鳥に対抗すべく、未完成だった秘術を解き放ったのです。死の世界に繋がる門を開く、禁じられた”蘇生の術”――
その名は《インフェルノ・ゲート》。
現実でもプレミアム殿堂とされた強力な呪文ですが、物語においてもその力は絶大。デーモン・コマンドら1万年前の種族たちが死の国から這い出します。
中でもひときわ異彩を放っていたのは、旧世界における光文明の覇者・《聖霊王アルカディアス》の変わり果てた姿でした。
残された天使たちの命を保証するため、《アルカディアス》はその魂と肉体を悪魔に売り渡していたのです。
こうして、強力な戦力を手にしたティラノ・ドレイク&グランド・デビル同盟軍はグレートメカオーを圧倒。闇の勢力が拡大していきます。
4、DM-22 超神龍雷撃
グランド・デビル軍の台頭を見過ごす不死鳥たちではありませんでしたが、封魔の軍勢の成長は予想以上でした。グランド・デビルたちは不死鳥と拮抗するほどの戦力に到達していたのです。
……完全に余談ですが、当時ゲームでも一番強かったハイブリッド種族がグランド・デビルなのは奇妙な偶然ですね。
予想外の苦境に立たされる不死鳥たちを助けたのは、ドリームメイトの暗躍でした。
彼らは半ば封鎖されていた時空の裂け目、『ユニバース』の入り口を拡張したのです。
拡張された《ザ・ユニバース・ゲート》から飛来したのは《彗星》と呼ばれる大量の小型不死鳥たち、そしてかつての《超神星》を遥かに凌ぐ究極の不死鳥でした。
スケールの違いすぎる相手に、ティラノ・ドレイクとグランド・デビルの連合軍は、《インフェルノ・ゲート》の完全開放を目指します。《インフェルノ・ゲート》よりも強いカードなんて切札ジョーでも作りませんよ旧世界の最強種族、ドラゴンの完全復活こそが不死鳥に対抗する手段だと考えたのです。
これにより、旧世界からドラゴンが復活。世界の住人たちは、ドラゴンに打倒不死鳥の希望を見出します。
出典:デュエル・マスターズ
呼び出した張本人たるティラノ・ドレイクやグランド・デビルたちはドラゴンと自らの融合に成功しました。単独での戦闘力は不死鳥に及ばずとも、集団で渡り合えるだけの力を得ることができたのです。
開くはずのない死の世界への扉を開いたことは、時空の歪みも引き起こしました。光と水のドラゴンが誕生したのです。……デュエマ背景世界、時空の歪みと解いちゃダメな封印が多すぎる……
5、DM-23 冥龍王の帰還
ある日、《超神星ブラックホール・サナトス》が飛来。生命力を吸収し、戦うほど巨大化する《サナトス》に、誰もが絶望しました。
その時、《超神星ビッグバン・アナスタシス》が出現。《アナスタシス》は5大種族の味方をし、彼らの生命力を回復させました。
そしてそのまま2大不死鳥は激突。2体は跡形もなく消え去りました。残りの不死鳥もそれに続きました。
・・・は????
「ドリームメイトとは何者なのか」「グレートメカオーが調査した1万年の歴史とは」「究極銀河とドラゴンの決戦の行方は」などなど、数多くの謎を残しつつ、不死鳥編の物語は突然の終わりを迎えました。
《ブラックホール・サナトス》が何者で、なぜ出現したのか? 書籍にもフレーバーテキストにも、一切の言及がありません。どうやらすべてのドラゴンが敗北した(!)のち《ビッグバン・アナスタシス》が出現したらしいことは辛うじて読み取れるのですが、それでも何だか慌ただしい幕引きです。
出典:デュエル・マスターズ
ついでに、文明をまたいだハイブリッド種族の世界もいつの間にか5文明の抗争・他文明を出し抜こうとする光文明、といういつもの構図にすり替わっています。
身も蓋もない話をしてしまうと、ハイブリッド種族とフェニックスが不評だったことから舞台をリセットしたのかな……という事情が感じられます。あくまで憶測ですが、当時のデュエル・マスターズの不振を考えると可能性はありそうですよね。
(デュエマの”暗黒時代”についてはこちらの記事に纏めています)
……と、メタい視点で結論付けてしまうのも味気ないので、もう少しフレーバー的に解釈してみましょう。あるドリームメイトのフレーバーにこんな内容が書かれています。
彼にとっては不死鳥ですら、夢の世界の産物に過ぎない。彼は夢に生き、夢に命を捧げる。
《大作家グリム・グリメェー》 フレーバーテキスト
出典:デュエル・マスターズ
不死鳥編世界は、デュエマ背景世界の中でも他との関わりが薄い、ちょっと異質な存在です。現実と夢の狭間の、うたかたの世界。歴史に繋がっているかもしれないし、繋がっていないかもしれない。……個人的な解釈ですが、そう捉えるとこの世界が魅力が深まると感じています。ぜひ皆さんも、改めて不死鳥編世界のクリーチャーたちと向き合ってみてください!
……ところで不死鳥編世界のクリーチャーといえば、物語に全く登場してないハイブリッド種族が1つあるような……????
というわけで(?)、次回のストーリー記事は番外編を計画中です!お楽しみに!(予定は変更となる場合がございます)
【参考資料】
全方位カードファイル8~10(小学館)