互いの動きを鈍らせるカードと言えば、何を想像するでしょうか?基本的には、結界像などのモンスターや、《虚無空間》などの永続罠を思い浮かべるでしょう。中にはこれらのカードにトラウマを持っている方もいるのでは無いのでしょうか。
こんにちは、ぺぴゃです。
「第二回トレカライターコロシアム」4つ目の記事は、少し真面目な解説記事です。
ネタ切れ感半端ないって?
まあ、、、うん。
さて、皆さんはこのカードに見覚えがあるでしょうか?
《マクロコスモス》
【 永続罠 】
自分の手札またはデッキから「原始太陽ヘリオス」1体を特殊召喚する事ができる。また、このカードがフィールド上に存在する限り、墓地へ送られるカードは墓地へは行かずゲームから除外される。
私が世界で一番嫌いなカードです。
このカードの効果はとっても簡単。
「お互いの、本来墓地に送られるカードは全て除外されるよ」と言う効果です。
要するにこのカードが存在する限り、お互いのプレイヤーは墓地の利用が難しくなると言う事ですね。
因みに、除外されるのは墓地に「送られる」カードであり、墓地に「戻る」カードは問題なく墓地に行きますし、ペンデュラムカードは、フィールドから本来墓地に送られるカードがエクストラデッキに行くのであって、《マクロコスモス》が存在すると、こちらの効果が優先され、本来墓地に送られるカードは除外されます。
このカードの不親切なポイントは、「お互い」に効果が適用される点で、自分が発動したはずのカードなのに自分にも被害が来てしまうのです。
こんな傍迷惑なカードですが、使う人は使うようで、その採用理由としては「協力な妨害札になる」と言う事を前提に、以下のような物が挙げられます。
- 先攻で盤面を展開した後の妨害の補填
- 自分のデッキには殆ど影響がない
- 自分のデッキの動きをサポートしてくれる
1つ目は、自分が先攻を取ることと、相手にとってそのカードが致命傷であることを前提に採用されるため、サイドデッキへの採用が一般的です。
2つ目は、そのカードが致命傷になるデッキが流行っているのならメインデッキから採用するケースもありますが、やはりサイドデッキの採用が一般的でしょう。
今回お話するのは、3つ目の、「自分の動きをサポートしてくれる」と言う物です。
目次
デメリットが自分には影響がないカードって?
《マクロコスモス》の話が続きます。
自分には影響がないと言っても、さじ加減の問題なのですが、例としては「サンダー・ドラゴン」デッキが挙げられます。
《雷鳥龍-サンダー・ドラゴン》
【 効果モンスター 】
星 6 / 光 / 雷族 / 攻1800 / 守2200
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:このカードを手札から捨てて発動できる。自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から「雷鳥龍-サンダー・ドラゴン」以外の「サンダー・ドラゴン」モンスター1体を選んで特殊召喚する。
②:このカードが除外された場合またはフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。自分の手札を任意の数だけデッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキに戻した数だけデッキからドローする。
サンダー・ドラゴンデッキのカードは、主に「墓地のカード及び除外されているカード」に適用される効果が多いため、モンスターが墓地に行かなければ動けないと言うことが殆ど無く、寧ろ《太陽電池メン》一枚が初動になれる分、サポートカードになっているとも言えなくは無いです。
【 効果モンスター 】
星 4 / 光 / 雷族 / 攻1500 / 守1500
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから雷族モンスター1体を墓地へ送る。
②:このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、雷族モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動する。自分フィールドに「電池メントークン」(雷族・光・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。
③:自分のフィールド・墓地の「電池メン」効果モンスター1体を対象として発動できる。エンドフェイズまで、このカードはその同名カードとして扱う。
ただ、《雷龍融合》の墓地から除外して発動する効果や、《超雷龍-サンダー・ドラゴン》等の破壊耐性など、カードが墓地に行かない事で不便な点が幾らかあるため、あくまでも「自分にはそれほど影響がないけど相手への影響は大きいカード」として使用されます。
【 通常魔法 】
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分のフィールド・墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、雷族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを持ち主のデッキに戻し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
②:墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから雷族モンスター1体を手札に加える。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
【 融合モンスター 】
星 8 / 闇 / 雷族 / 攻2600 / 守2400
「サンダー・ドラゴン」+雷族モンスター
このカードは融合召喚及び以下の方法でのみ特殊召喚できる。
●雷族モンスターの効果が手札で発動したターン、融合モンスター以外の自分フィールドの雷族の効果モンスター1体をリリースした場合にEXデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事ができない。
②:このカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに自分の墓地の雷族モンスター1体を除外できる。
また、「メタルフォーゼ」デッキの《大熱波》も挙げられます。
【 通常魔法 】
メインフェイズ1の開始時に発動する事ができる。次の自分のドローフェイズ時まで、お互いに効果モンスターを召喚・特殊召喚する事はできない。
お互いに効果モンスターを召喚・特殊召喚出来なくなる恐ろしいカードです。
「メタルフォーゼ」モンスターは、効果モンスター以外のモンスターが多いため、《大熱波》の効果が適用中でも何体かのモンスターを展開出来ますが、メタルフォーゼの理想の展開は期待できないため、こちらも「自分にはそれほど影響がないけど相手への影響が大きい」カードと言えるでしょう。
しかし、「サンダー・ドラゴンより影響ありそうじゃねえか」と感じる点が、この「それほど影響がない」と言う言葉のさじ加減の問題となっています。
デメリットをメリットに変えるって?
《マクロコスモス》の話に戻りましょう。
《マクロコスモス》の影響がそれほど無いデッキが存在するのは分かりましたね。
それでは、《マクロコスモス》が自分にとってメリットになるようなイカれたデッキがあるのでしょうか?
あるんです。
例の1つに、「霊獣」デッキが挙げられます。
《聖霊獣騎 カンナホーク》は、①の「除外されている自分の「霊獣」カード二枚を墓地に戻して「霊獣」カードをサーチする 」効果と、②の「自身をエクストラデッキに戻して、除外されている「霊獣使い」モンスター1体と「聖霊獣」モンスター1体を特殊召喚する」効果を繰り返し使用することで妨害やリソースを増やして行くのですが、この動きをする際に除外されている「霊獣」カードが多ければ多いほど有利になるのです。
【 融合モンスター 】
星 6 / 風 / 雷族 / 攻1400 / 守1600
「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター
自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。①:1ターンに1度、除外されている自分の「霊獣」カード2枚を対象として発動できる。そのカードを墓地へ戻し、デッキから「霊獣」カード1枚を手札に加える。
②:このカードをエクストラデッキに戻し、除外されている自分の「霊獣使い」モンスター1体と「精霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。
更に言えば、《聖霊獣 ラムペンタ》の効果で、本来なら除外される「霊獣」カードは1枚ですが、《マクロコスモス》適用下だと、デッキから墓地に送られる「霊獣」モンスターも除外されるため、このカード一枚で二枚の「霊獣」カードを除外できちゃいます。
【 効果モンスター 】
星 4 / 風 / 獣族 / 攻1600 / 守400
自分は「精霊獣 ラムペンタ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
エクストラデッキから「霊獣」モンスター1体を除外し、そのモンスターと同じ種族の「霊獣」モンスター1体をデッキから墓地へ送る
また、《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》を主に活躍させるデッキなら、《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》の攻撃力を上げる手段として、《マクロコスモス》を採用でき、これもデッキのサポートカードとして成り立ちます。
【 効果モンスター 】
星 3 / 炎 / 悪魔族 / 攻? / 守?
このカードの攻撃力と守備力は、ゲームから除外されている自分のカードの数×400ポイントになる。
もう1つ例を紹介しましょう。
みんな大嫌い《スキルドレイン》です。
【 永続罠 】
1000ライフポイントを払う。このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上に表側表示で存在する効果モンスターは全て効果が無効化される。
「フィールド上の表側表示のモンスターの効果を全て無効にする」と言う何ともイヤらしいカードですが、モンスター効果を無効にされることがメリットになるような頭のおかしいデッキなど存在するのでしょうか?
あるんです。
例えば、「クリフォート」デッキ
《クリフォート・ディスク》
【 ペンデュラムモンスター 】
星 7 / 地 / 機械族 / 攻2800 / 守1000
【P効果 青1/赤1】
①:自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。
この効果は無効化されない。
②:自分フィールドの「クリフォート」モンスターの攻撃力は300アップする。
【モンスター効果】
①:このカードはリリースなしで召喚できる。
②:特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1800になる。
③:通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。
④:「クリフォート」モンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「クリフォート」モンスター2体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。
《クリフォート・ディスク》のように、「クリフォート」モンスターの殆どには、「リリース無しで召喚出来る」と言う効果があります。(以下ではこれを「妥協召喚」と呼びます)
その妥協召喚、または特殊召喚されたクリフォートは、元々の攻撃力が1800になるのですが、《スキルドレイン》の適用下だと、この「攻撃力が1800になる」と言う効果が都合良く消え、「通常召喚できる攻撃力2800のバケモノ」になります。
因みに、他にも攻撃力を下げて妥協召喚出来るモンスターがいますが、《スキルドレイン》適用下だと、例外無く攻撃力が戻り、後に《スキルドレイン》がフィールドから消えても、攻撃力は戻ったままの状態が続きます。
《神獣王バルバロス》
【 効果モンスター 】
星 8 / 地 / 獣戦士族 / 攻3000 / 守1200
このカードは生け贄なしで通常召喚する事ができる。その場合、このカードの元々の攻撃力は1900になる。3体の生け贄を捧げてこのカードを生け贄召喚した場合、相手フィールド上のカードを全て破壊する。
また、《スキルドレイン》では無効に出来ない、「効果外テキスト」と言う物があるので、そこには注意が必要です。(これに関してはもう1つ記事が書けそうなくらい複雑なので説明を省きます)
最後に
さて、ここまで読んで頂くと「お互いに影響が及ぶカード」を上手く利用すれば自分が有利な状況を作ることが出来ることが理解出来たと思います。
今回は《マクロコスモス》や、《スキルドレイン》を例に挙げましたが、勿論他にも使い方次第で本来自分にマイナスに働くはずが、プラスに働くカードは色々あります。
そして、この知識を蓄えておくことで、デッキ構築以外に、デュエル中でも役に立つ場合があります。
例えば相手が先攻で何枚か魔法・罠カードをセットしてターンエンドしたとします。
自分のターンのスタンバイフェイズに、相手が《マクロコスモス》を発動したら、相手の他のカードが見えていなくても「メインデッキに《マクロコスモス》を採用していると言うことは「メタビート」か「霊獣」デッキあたりかな」と言うように、見えたカードから相手のデッキを推測しやすくなります。
これを機に、構築の幅を広げたり、デュエル中の考察材料を増やすためにも、このような使い方次第で自分が有利な状況を作れるカードを探してみてはいかがでしょうか。