目次
あらすじ
こんばんは。私はキンプウエン。
名前は最悪おぼえなくていい。
復帰しました。ヤッター。
こんなに時間がかかったのは紛れもなく、私の見通しの甘さ故なのだが。
本篇が前・中・後に分かれ、5本の記事を書かねばならなくなるぐらい私の見通しはあまい。
いっそ1~5とタイトルに書いておけばよかった。
そんなことはどうでもいい。デッキが完成し、やっとこれで、地元のデュエリストと顔を合わせることができる。
いざ、デュエル!
久しぶりの遊戯王
キン「《ローンファイア・ブロッサム》召喚!効果発動!」
カズ「《無限泡影》」
キン「・・・・ターンエンド」
・・・・・・
キン「手札から《儚無みずき》発動!」
テツ「《墓穴の指名者》」
キン「・・・・・・どうぞ」
・・・・・・・・
完
初遊戯王は散々だった。
なんならキーカードの《アロマセラフィースイート・マジョラム》すら拝むことすらままならなかった。
死闘は翌朝の4時まで続いたのだが、9割は私が一方的に負け続けた。1割はカズの「閃刀姫」が魔法カード肥やしに《成金ゴブリン》を使って、「アロマ」の効果が発動したことで期せずして拮抗して、結局負けた試合。
ようは10割負けた。
・・・・・・・・・・( ;ω;)
これが仕方ないことは理解の上だった。特にこの時、《オルフェゴール・ディヴェル》や《転生炎獣ガゼル》が制限されていない上に、それに対しての対策カードなど持ち合わせているわけなどなかった。
満を持して負けたのだ。何も言えぬ。
・・・・・・余計、悲しくなってきた。
帰り道、翌朝4時の空は赤みを帯びてほのかに明るかった。あぁ、12月の寒さが目に染みる。
悔しい。
感情として一番最初に思ったことはコレだった。だが、この感情を噛みしめるたびに、
リベンジしたい!
と、感じるようになった。
次は完成した「ローズ・アロマ」で戦おう。次までには完成させておくからな。
・・・・
まぁ、その次はけっこうすぐに来るんだけどね。
年末の悪魔
12月の末、地元からデュエリストが遊びに来た。
カズ
現「オルフェゴール」使い。最近あった腹立つことは「サン〇オのシナモンのフルネーム知ってる?」「え、シナモンロールでしょ」「ブブーwwwシナモロールでしたーwww」と煽られたこと。
テツ
現「転生炎獣」使い。欲しいときに欲しいカードを引く能力もち。ゆえに、環境から離れてもこいつの「転生炎獣」にだけは勝てない。
レイ
現「叢雲ダ・イーザ」使い。「シナモロール煽り」をカズと二人がかりでやって怒らせた。
この3人がやってきた。
年末に揃って休みが取れたから、プチ旅行もかねて我が家にやってくることは知っていた。それまでに何とかして、汚名を返上できるだけのデッキを使えるようにしないと。
焦る私。一向に兆しが見えないデッキ構築。
結論としては手札誘発や汎用までは手を出せなくとも、「アロマ」の動きができるまでには完成させることができた。回復して、効果使って、体力有利を活かして戦う、実に基本的なことではあるが。一番の変更点としては《イービル・ソーン》を使った横に広げる展開ができるようになったことだろう。
それに一度戦った相手、すでに研究済みだ! どこで何をすればよいのかも手に取るようにわかる!
前に、翌朝の4時まで私の死闘の相手として戦ってくれたカズは今回はおやすみ。というか、カズから後々聞いたことなのだが、
「ライフ払ったり回復したりで、ライフ計算がわけわからなくなる」
ということであまりカズからは「アロマ」のことは好まれていなかった。それは私もわかる。プレイヤーである私もよく間違う。
まずは第一戦、キンプウエン VS レイ
キン・レイ「「デュエル!」」
「叢雲ダ・イーザ」は構造上、魔法や罠カードに頼るシーンが多いはず。ならば《アロマセラフィースイート・マジョラム》の対象不能が効いてくるはず! 研究気質なのはレイ、お前だけではないのだ!
結果、
こいつにラリアットされるだけで終わった。
みんな華奢なんだよ「アロマ」は。2600はでかいって。
無念。
だが、戦って分かったことは、しっかり考えて作られているなぁ、ということだ。まぁ、実際は対象不能をつけることすらできなかったんだけど、「”選んで”破壊」と表記されたカードを使っていたりと、どんなデッキタイプにも対応できるだけの力があった。
よく見る《ライオウ》や《インスペクト・ボーダー》を採用していないのは独学ならではのこだわりを垣間見たな。
幸先がとっても悪い・・・・・・気を取り直して。
つづいて、キンプウエン VS テツ
キン・テツ「「デュエル!」」
先攻はテツ。まぁいい、「アロマ」は後攻で動くほうが強い。
テツ「《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》リンク召喚」
キン「お、おう」
テツ「効果発動。ライフを払い《真紅眼融合》を墓地へ送り、デッキから《ブラック・マジシャン》と《真紅眼の黒竜》を融合」
テツ「《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》」
キン「馬鹿野郎!ちょっと待て、おい!!」
馬鹿なっ!
ぼくのデータにないぞ、そんなカードはっ!!!
当然、このカードの存在を風のうわさで聞いたことがあったが、まさかこんな場所で拝めるとは思ってもみなかった。武藤遊戯と城之内のエースカードの融合で、初代から知っている身からしたら「なんて夢のあるカードなんだ」と思う。
能力も「夢みたいな能力」であるが。
「夢みたいな能力」をざっくりまとめると
①:実質、効果モンスター2体で出てくる。
②:殴り勝つしかない。(打点3000以上)
③:打点3000以上出しても、返り討ちに合う。
④:姑息にカード効果で倒そうとすると、逆効果。
RPGの負けイベントのボス。
この表現が妥当である。
負けたよ。また指一本も触れれずに。
けど、なぜだろうか、以前のような悔しさはなかった。
・・・・あぁ、「RPGの負けイベント」という認識だから仕方ないと割り切ったんだろうな。
イベントボスと揶揄するぐらいだから、いつか私も勝てるくらい強くなれる日が来るのだろうか。
あるいは「監獄:リミットレギュレーション」に収監される日が先か・・・・
(ちなみに、制限改定された2020年4月現在でも勝ったと言える試合はしていない、規制されたんかホンマに?)
ということで、最弱の私を差し置いて、それぞれでデュエルを始めだした客人一行。
こんなんことなら、カードショップさながら深夜営業の場代でもとっときゃよかった。まぁいいさ、研究気質の私としては見てることも楽しみの一つだ。
やはり、そこでも猛威を振るったのは「ドラグーン」だった。一応、カズが唯一の対抗策である《超融合》を使って倒すなどの策を練っていたが、そのほとんどが単純なデッキパワーで押し切られ負けるだけだった。
テツ>>>カズ>レイ >>>>・・・・・・・・・・・・・・・・・・
序列で表すとこうである。右の描写限界の先に私がいる。
またしても、この遊戯王大会は明け方までかかった。若いね、まだまだ。
・・・・・・思い出としてはこれだけだ。
この日の遊戯王だけ妙に記憶がなかった。
今までデッキを作って戦って、負けて、負けて、負けて、ときどき勝って喜んで、改良してまた負けて、また勝って・・・・
さんざん負けてばかりの私であっても戦いのひとつひとつが、どんな形であれ記憶に刻まれているのに。
今思えば、あの日の「ドラグーン」こと「年末の悪魔」との出会いは私の遊戯王人生で初めて"つまらなかった"出来事だったのかもしれない。
デュエリストは突然に
2月。
打倒「ドラグーン」を見据え、私は新しいデッキを作った。作ったと表現するのは間違いかもしれない。
「ローズ」は「ローズ」、「アロマ」は「アロマ」で分けただけだもの。
それに2月の上旬に発売したパック「レアリティコレクション-プレミアムゴールドコレクション」が出たことで、手札誘発であったり、手に入りにくかった汎用の強いカードが手に入りやすくなった。これもまた私のデッキの完成度を上げる要因になってくれた。
これで弱かった頃とはおさらば! 汎用カードに頼って強くなるのはどうにも抵抗があるが・・・・
打倒「ドラグーン」にまで手が伸びるとまでは言わないが、環境デッキではないカズの「蟲惑魔」や「マドルチェ」ぐらいには勝てるようになってるといいな。
キン「よし! デュエルやるか!」
カズ「やるか!」
カズが私とデュエルをするために、机を映す用のビデオカメラを買った。これで不便とはいえ遊戯王がいつでもできるようになった。
オンラインでデュエルとは、奇しくも実にタイムリーな遊び方である。
キン・カズ「「デュエル!」」
カズ「 《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》リンク召喚。 効果発動。ライフを払い《真紅眼融合》を墓地へ送り、デッキから《ブラック・マジシャン》と《真紅眼の黒竜》を融合 」
カズ「 《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》 」
キン「お前もかよ!」
ちっくしょう! どいつもこいつもアナコンダから「ドリームマッチ」が出てくるよ!
だが、なぜあの12月に散々忌み嫌っていた「ドラグーン」を使っているのかを聞いたところ、至極真っ当な回答が返ってきた。あ、ちなみにデュエルは負けましたよ、負け負け。
カズ「テツに勝つにはこれしかなかった」
キン「ですよねー」
毒を以て毒を制す。
古来より伝わる、強者との戦い方よ。これにはうなづくしかあるまい。
テツ>カズ>>>>>・・・・・・・・・キンプウエン
またこの立ち位置だよまったく。
・・・・・・そういえば地元でこのカズとテツの戦いを見続けたレイはどうしたんだろうか。
単純に興味があった。
現最強クラスのデッキ同士の対決を目の前で見ているわけだから、何か面白い対策であったりを考えているのではないかと期待をしていた。
彼のことだ。「叢雲ダ・イーザ」をもっと強くしてくれているに違いない。
カズ「レイは引退したよ」
キン「えっ」
カズ「喧嘩して以降、音信不通になった」
キン「・・・・」
「環境」に属さず、ひとり独学で勝とうとした、
誰よりも遊戯王を学び、
誰よりも遊戯王が好きだったはずの、
デュエリストは突然に
消えた。