はじめに
遊戯王OCG環境では、10月にも新カードが登場し、環境はさらなる進化を遂げています。
9月からどのような変化があったか、今はどのようになっているのか、早速見ていきましょう!
2023年9月の環境はこちら!
目次
「最強」の定義
本記事では最強デッキを「遊戯王環境での相対的な強さ」と定義します。
Tier1とは「環境内に不利なデッキが少ない、あるいは相性差を覆しやすいデッキであり、大会で持ち込みが一番多いと予想される対策必須のデッキ」です。
Tier2とは「Tier1やTier2のデッキにある程度勝てる見込みがあり、大会でも毎回一定数いると予想されるデッキ」です。
Tier3とは「弱点が多い、デッキパワーが低いなどの理由で使用者は少ないものの、特定のメタゲームでは活躍することができるデッキ」です。
先月からのカードプールの変化
10月1日からリミットレギュレーションが新たに施行されました。
この改訂で《古衛兵アギド》《古尖兵ケルベク》《混沌魔龍 カオス・ルーラー》の禁止、《ティアラメンツ・クシャトリラ》の制限カード指定によって【ティアラメンツ】に重めの規制がかかりました。
他のTier上位デッキの規制は軽く、前期のOCG環境からTier上位デッキの変動は少なかったです。
10月28日に『PHANTOM NIGHTMARE』が発売されました。
このパックでは《蛇眼の炎燐》《賜炎の咎姫》など、炎属性に関する強化によって【R-ACE】【炎王】などの環境の炎属性を中心としたデッキも強化されました。
Tier1
【ピュアリィ】Tier1
【ピュアリィ】は、「ピュアリィ」速攻魔法を駆使して戦うエクシーズ召喚主体のテーマです。
「ピュアリィ」速攻魔法には共通効果で以下の効果があります。
『①:○○する(○○は固有効果)。さらに、以下の効果を適用できる。●自分の手札を1枚選んで捨て、デッキからレベル1の「ピュアリィ」モンスター1体を特殊召喚する。②:このカードを素材として持っている「ピュアリィ」Xモンスターは以下の効果を得る。(以降は固有効果)』
この共通効果のおかげで「ピュアリィ」速攻魔法は初動の《ピュアリィ》《ピュアリィ・リリィ》にアクセスすることが可能となっています。
《エピュアリィ・プランプ》の効果で素材を補充し、《エクスピュアリィ・ノアール》を成立させる盤面を目指します。
《エクスピュアリィ・ノアール》はエクシーズ素材を5つ以上持っていると相手が発動した効果を受けず、相手ターンにも使えるデッキボトムバウンス効果も備えているので強力な妨害にもなります。
【R-ACE】Tier1
【R-ACE】は、「R-ACE」カードとして扱う魔法・罠カードをサポートとして駆使して戦うテーマです。
《R-ACEタービュランス》が起動効果で「R-ACE」魔法・罠カードをフィールドに4枚もセットできるという、とても豪快かつ強力な効果を持っています。
この《R-ACEタービュランス》の効果で伏せられるカードも、墓地から「R-ACE」モンスターの手札回収や蘇生などのリソース回収、モンスター効果無効や破壊などの妨害、とこちらも強力なカードとなっています。
また《黒魔女ディアベルスター》《原罪宝-スネークアイ》によって、デッキの初動となる《R-ACEハイドラント》を簡単にリクルートできる手段が増えたため、デッキの安定性が高まっています。
Tier2
【ラビュリンス】Tier2
【ラビュリンス】は、通常罠をサポートする効果を持つ「ラビュリンス」カードを駆使して罠で相手を妨害しつつ、高打点の「ラビュリンス」モンスターで攻めていくデッキです。
「ラビュリンス」モンスターの中でも特に強力なモンスターが《迷宮城の白銀姫》です。
《迷宮城の白銀姫》は特殊召喚方法の緩さ、破壊・対象耐性、通常罠をデッキからセットできる効果のどれも強力です。
特に通常罠をデッキからセットできる効果は、好きな通常罠カードにアクセスできるため、《ドラグマ・パニッシュメント》《次元障壁》など、状況や相手のデッキに応じた通常罠を持ってくることができます。
《迷宮城の白銀姫》を含む「ラビュリンス」モンスターは《ウェルカム・ラビュリンス》《ビッグウェルカム・ラビュリンス》でリクルートもできます。
《ビッグウェルカム・ラビュリンス》には条件付きの妨害効果も備わっています。
「ラビュリンス」魔法・罠カードは《白銀の城の召使い アリアンナ》《白銀の城の火吹炉》《白銀の城の竜飾灯》などのテーマ内カードでアクセスも容易です。
【神碑】Tier2
【神碑(ルーン)】は「デッキ破壊」を勝ち筋とした魔法カード中心のテーマです。
「神碑」速攻魔法には以下の共通効果があります。
- このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
- 発動後、次の自分バトルフェイズをスキップする。
- 2つの効果から1つを選択して発動する。
- 1つ目が『○○する。その後、相手のデッキの上からカードをX枚除外する。(Xはカードによって異なる)』という効果。
- 2つ目が『EXデッキから「神碑」モンスターをEXモンスターゾーンに特殊召喚する。』という効果。
選択できる1つ目の効果によって何かしらのアクションをしつつデッキ破壊を行います。
《輝く炎の神碑》や《凍てつく呪いの神碑》などは相手の妨害をしつつデッキ破壊ができるので、デッキ破壊が完了するまでの時間を稼いでくれます。
選択できる2つ目の効果によってEXデッキから「神碑」モンスターを特殊召喚できます。
特に《神碑の翼フギン》は【神碑】デッキの軸となるフィールド魔法《神碑の泉》をサーチできます。
フィールド魔法である《神碑の泉》は、「神碑」速攻魔法をデッキに戻すことで毎ターン最大3枚ドローできる他、「神碑」速攻魔法を相手ターンにも発動できるようになります。
これによって毎ターン手札を補充しつつデッキ破壊を行うデッキとなっています。
デッキ破壊を完了するために生き延びなければいけないので、モンスターをあまり使わない特徴を活かして《群雄割拠》《御前試合》《センサー万別》《スキルドレイン》などの永続罠カードで相手を縛りながらデッキ破壊を行なっていきます。
【覇王魔術師】Tier2
【覇王魔術師】は、ペンデュラムテーマである「覇王門」と「魔術師」を組み合わせた展開系のデッキです。
「覇王門」と「魔術師」を繋ぐカードが《覇王門の魔術師》です。
「覇王門」と「魔術師」どちらの名称も持っているため、《覇王眷竜ダークヴルム》や《EMドクロバット・ジョーカー》などからのアクセス手段を豊富に持ち合わせています。
《覇王門の魔術師》は特殊召喚効果やサーチ効果を持っているので、このカードを軸にしてペンデュラム系デッキが得意なモンスターの展開を伸ばしていきます。
最終盤面には《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》《召命の神弓-アポロウーサ》《ヴァレルロード・S・ドラゴン》《時空のペンデュラムグラフ》など多くの妨害が用意できます。
【炎王】Tier2
【炎王】は、破壊をトリガーに効果を発動していく、炎属性中心のデッキです。
《真炎王 ポニクス》を初動として《炎王の聖域》をサーチし、《炎王の孤島》をフィールドに置きます。
《炎王の孤島》の効果で《聖炎王 ガルドニクス》をサーチすることによって、《聖炎王 ガルドニクス》の特殊召喚効果が起動。
手札・デッキ・フィールドの中から獣族・獣戦士族・鳥獣族の炎属性モンスターを破壊できるため、《炎王神獣 キリン》《炎王獣 バロン》を破壊し、展開や妨害、リソース確保に繋げます。
破壊をトリガーとして途切れにくいリソースと妨害を作り続けるのが【炎王】の特徴です。
《炎王獣 ガネーシャ》《炎王獣 ハヌマーン》によってモンスターや魔法・罠を無効にできるため、妨害の質もよく、展開の初めに召喚することで手札誘発もケアしやすくなっています。
Tier3
【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】Tier3
【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】は、フィールドと手札の「VS」モンスターを入れ替えて戦う、コントロール系のデッキです。
「VS」モンスターは共通で、自分・相手ターンに手札のモンスターを相手に見せ、そのモンスターの属性に対応した効果を適用できます。
また上級の「VS」モンスターは、手札にいる場合にフィールドの「VS」モンスターを手札に戻して特殊召喚する効果があります。
これにより状況に応じた「VS」モンスターを出し、妨害効果やドロー効果で手札誘発を引き込むなどしてフィールドをコントロールします。
属性・種族が散らばっているので、《スモール・ワールド》《センサー万別》などが使いやすいのも強みの一つです。
【烙印】Tier3
烙印深淵の獣(ビーステッド)】は《氷剣竜ミラジェイド》や《深淵の獣ルベリオン》などの強力な融合モンスター・「烙印」関連のモンスターを駆使して戦うデッキです。
《烙印融合》が一度通れば《神炎竜ルベリオン》や《烙印竜アルビオン》を融合召喚できます。
《烙印融合》は、融合素材にする《悲劇のデスピアン》などの効果でアドバンテージを稼いだり、《深淵の獣ルベリオン》を融合素材にしてその後の展開に繋げたりもできます。
《神炎竜ルベリオン》や《烙印竜アルビオン》の効果で《氷剣竜ミラジェイド》を融合召喚することで、盤面の制圧とリソースの確保を同時に図ります。
《氷剣竜ミラジェイド》の効果の発動コストとして墓地に送ることができる《烙印竜アルビオン》が「烙印」魔法・罠カードをサーチかフィールドにセットできるので、後続の《烙印融合》や《赫の烙印》などをサーチまたはセットすることができます。
《烙印融合》は「烙印」カードなので《デスピアの導化アルベル》でサーチができます。そして《デスピアの導化アルベル》は《烙印開幕》からリクルートもできるので、「烙印」カードへのアクセスが豊富に用意されています。
また、エンドフェイズに墓地から発動、カードをサーチや回収する効果が【烙印】には多くリソース面で試合を有利に運びやすいデッキとなっています。
【センチュリオン】Tier3
【センチュリオン】は、永続罠となったモンスターをフィールドに出せるのが特徴の、シンクロ召喚主体のデッキです。
メインデッキの「センチュリオン」モンスターは共通効果で、自分・相手のメインフェイズに永続罠カードとなっている自身をモンスターゾーンに特殊召喚できます。
「センチュリオン」モンスターは《スタンドアップ・センチュリオン!》《誓いのエンブレーマ》の効果などで、永続罠扱いとして魔法・罠ゾーンに置くことができます。
《スタンドアップ・センチュリオン!》はモンスターの特殊召喚に反応して「センチュリオン」モンスターを素材に含んだシンクロ召喚を行える効果を持っているので、素材が揃っていれば相手ターンにもシンクロ召喚を行うことができます。
この特徴を活かし、自分ターンに《騎士皇レガーティア》、相手ターンに《赤き竜》をシンクロ召喚。《赤き竜》の効果で相手ターン中に《琰魔竜王 レッド・デーモン・カラミティ》を出し、そのターン中の相手のカードの発動を封じます。
この《琰魔竜王 レッド・デーモン・カラミティ》を相手ターンに出す強力な展開は《重騎士プリメラ》《従騎士トゥルーデア》《スタンドアップ・センチュリオン!》《誓いのエンブレーマ》のどれか1枚と手札コスト1枚から行うことができるため、1枚初動が豊富です。
環境のまとめと今後の展望
10月のOCG環境は、【R-ACE】【ピュアリィ】が環境トップの筆頭候補となっています。
しかし、その他デッキも引けを取らないデッキパワーを持っています。分布でも【R-ACE】【ピュアリィ】ばかりの環境とはなっておらず、【ラビュリンス】【神碑】【覇王魔術師】などのデッキも活躍しています。
また冒頭でも述べたとおり『PHANTOM NIGHTMARE』で強化された《蛇眼の炎燐》《賜炎の咎姫》などの炎属性関連のカードは、【R-ACE】【炎王】などの炎属性中心の環境デッキをさらに強化するカードなので、環境に影響を及ぼしそうです!
おわりに
遊戯王OCGの10月の環境について解説いたしました。
この記事が皆さんのデッキ構築・環境への理解の手助けとなっていれば幸いです。
それでは11月の環境解説記事でまたお会いしましょう!