起源神は終わったデッキなのか?

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起源神は終わったデッキなのか?

起源神は終わったデッキです。

目次

はじめに

 こんにちは、北白河と申します。記念すべき五回目となる今回は、私が愛してやまず……それでいて、未だ答えが見つかっていないひとつの「神」と呼ばれるアーキタイプについて紹介・考察していこうと思います。もちろん、その考察に基いた「現在の」構築も紹介していきますよ。

 その名は「起源神」。神化編のラスボスにして、最も強く美しき原初の神。TCG界全てを見渡しても唯一無二のギミックを持つ六体の神。そして……デュエマというゲームから見捨てられた神です。

私は神を信じます。なぜなら、神はここにいるからです。

画像出典: デュエル・マスターズ公式サイト

ゼロからわかる起源神

 起源神についてもう少し詳しい話をしていくと、DM-35 「神化編 第4弾 超極竜VS六体神(ネバーエンディング・サーガ)」にて収録された、カード名に「起源神」とつく5体のゴッドとその中核となる《神核アトム》の合計六枚のカードのことを指します。

 古いカードゆえテキストを知らない方も多いと思うので、以下テキストです。

【 クリーチャー 】 種族 ゴッド / オリジン / 文明 闇 / パワー3000+ / コスト3  G・リンク《起源神レプトン》の左横、《起源神クォーク》の右横、または《神核アトム》の下側(バトルゾーンに自分の指定ゴッドがあれば、このカードをリンクしてもよい。リンクしたゴッドは、各ゴッドの特性〔パワーや能力〕を持つ1体のクリーチャーとなる。バトルゾーンを離れる時は、どちらか1枚を選ぶ)このクリーチャーは、リンクしている時、シールドをさらに1枚ブレイクする。このクリーチャーがリンクしている時、自分のターンの終わりに、自分のシールドを1枚手札に加えてもよい。

出典:デュエル・マスターズ

【 クリーチャー 】 種族 ゴッド / オリジン / 文明 光 / パワー2000+ / コスト4 G・リンク《起源神ニュートロン》の右横、または《起源神プロトン》の下側。このクリーチャーがリンクしている時、自分の手札に加えた、名前に《起源神》とあるシールドカードはすべて「S・トリガー」を得る。

出典:デュエル・マスターズ

【 クリーチャー 】 種族 ゴッド / オリジン / 文明 水 / パワー3000+ / コスト4G・リンク《起源神ニュートロン》の左横、または《起源神エレクトロン》の下側。このクリーチャーがリンクしている時、自分のターンの終わりに、そのターン自分が手札に加えたシールド1枚につきカードを1枚引いてもよい。

出典:デュエル・マスターズ

【 クリーチャー 】 種族 ゴッド / オリジン / 文明 水 / パワー4000+ / コスト5ブロッカー自分がカードを引く時、1枚のかわりに2枚引いてもよい。そうした場合、自分の手札を1枚捨てる。G・リンク《神核アトム》の左横、または《起源神クォーク》の上側(バトルゾーンに自分の指定ゴッドがあれば、このカードをリンクしてもよい。リンクしたゴッドは、各ゴッドの特性〔パワーや能力〕を持つ1体のクリーチャーとなる。バトルゾーンを離れる時は、どちらか1枚を選ぶ)

出典:デュエル・マスターズ

【 クリーチャー 】 種族 ゴッド / オリジン / 文明 光 / パワー5000+ / コスト6このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとしてシールドゾーンに加える。G・リンク《神核アトム》の右横、または《起源神レプトン》の上側(バトルゾーンに自分の指定ゴッドがあれば、このカードをリンクしてもよい。リンクしたゴッドは、各ゴッドの特性〔パワーや能力〕を持つ1体のクリーチャーとなる。バトルゾーンを離れる時は、どちらか1枚を選ぶ)このクリーチャーは、リンクしている時、シールドをさらに1枚ブレイクする。

出典:デュエル・マスターズ

【 クリーチャー 】 種族 ゴッド / オリジン / 文明 闇 / パワー9000+ / コスト9G・ゼロ - バトルゾーンにこのクリーチャーがリンクできる、カードが5枚リンクしている自分のゴッドがあれば、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーに含まれるカードの枚数よりコストが小さい相手のクリーチャーをすべて破壊する。その後、このクリーチャーに含まれるカードの枚数よりコストが小さいクリーチャーをすべて、自分の墓地からバトルゾーンに出す。W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする)G・リンク《起源神プロトン》の左横、《起源神エレクトロン》の右横、または《起源神ニュートロン》の上側。

出典: デュエル・マスターズ

 クリーチャー世界の惑星を支配しオリジンの星に作り替えるためにその絶大な力を振るいましたが、《超神羅ロマノフカイザー・NEX》との激戦の末に敗れ去り、オリジナル・ハートもろとも塵と消えました。

今住みたい物件ナンバーワン

出典:デュエル・マスターズ

 ゲーム的には縦2枚×横3枚という6枚構成のド派手なG・リンクを行うゴッドであり、墓地・シールド・手札と三つの領域に干渉しながらリンクを進めていくテクニカルでトリッキーなカード群であり……

そして、どうしようもなく弱いのです。

ここがダメだよ起源神

 一つずつ挙げていけば本当にキリがないのですが、考察対象として細かいところまで掘り下げていきます。

1:初動が弱い

 起源神の初動は3ターン目の《起源神ニュートロン》から始まります。場に出たての《起源神ニュートロン》は3マナ3000バニラです。マッハファイターや軽量除去を耐えてターンが帰ってきて4マナの起源神のどちらかを出して、やっと場に効果つきのクリーチャーが残ります。

 この間、当然ながらフルタップ。他の動きなんてできません。こんな昭和のデュエマみたいな動きをしている間に、相手はすでに平成のバイク令和のミサイルを走らせています。

 あ、当然《起源神ニュートロン》が引けなければ初動は4ターン目以降になりますね。ちなみに確率的に3ターン目までに(ドロー等のサポートなしで)4積みのカードが最低1枚引ける確率は55~60%です。不安な確率だ。

2:なかなか揃わない

 各パーツが3~6マナとすこぶる重いため、基本的に出せるパーツは1ターンに1回に限られます。《神核アトム》は他5体の起源神がリンクするとG・ゼロを得るので、素出しだけだと完成は最短7ターン目ですね。遅い。もちろん相手に除去が一枚もなければの話です。一応《起源神クォーク》《起源神エレクトロン》がドローサポートのため手札にはあんまり困りません。

 リンクしている《起源神レプトン》があると《起源神》とあるカードにS・トリガーがつき、《起源神ニュートロン》のシールド回収能力も相まってスーサイド気味に加速することもできるのですが、肝心の《神核アトム》は名前が《起源神》でないので対象外です。《起源神核アトム》じゃダメだったの!?

 もちろん、その間相手の猛攻に耐える必要があります。《起源神ニュートロン》の効果で自分のシールドをモリモリ減らしながら!《起源神プロトン》がシールド追加効果を持ってますが、6マナにしてまさかの単発効果。いやもうちょっと頑張ってよ!

 そんなデュエマのゲームシステムに喧嘩を売るような体たらくなので、六体神が完成するかどうかは概ね後述する《プロジェクト・ゴッド》のめくれ運にかかってきます。

3:揃っても勝てない

 やっとの思いで揃えた六体神は、パワー26000のQ・ブレイカー。いやここまでやって5枚ブレイクできないのかよ!確かにゴッド特有の除去耐性はあるけどさあ!もう一声あってもよかっただろ!

 効果のほうは、アタックトリガーで自身のリンク数より少ないコストの相手のクリーチャーの全破壊と自軍全リアニメイト。つまりコスト5ですね。狭いよ!相手のフィニッシャー格が除去できないのは百歩譲って許すとして、「以下」じゃなくて「より少ない」のせいで墓地の《起源神プロトン》だけ戻ってこれねえんだよ!

 このように、一枚で全てを終わらせるはずのフィニッシャーとしてはかなり隙が多い構造になっています。仮にもラスボスなのにフィニッシュ性能で部下の神帝に負けてるのどうなの?あっち四枚しか使わないんだよ?開発部は本当にテストプレイしたの?

4:そもそもデッキ構築がキツい

 六体神は、その名の通り六種類のカードで構成されています。とりあえず各パーツ4積みしてみましょうか。はい、この時点でデッキの6割が埋まりました。また、ほぼ起源神専用強化パーツである《プロジェクト・ゴッド》も4積みですね。もう12枚しか残ってねえよ!起源神パーツをちょっと削ったとしても焼け石に水で、枠は常にパンパンです。これを嫌ってパーツのうち3つか4つだけを採用する構築があるほどにこの問題は根深いです。

 残りの枠にはできるだけ防御トリガーを積みたいですね。色の合う《ホーリー・スパーク》系のカードを積んでみるとどうなるでしょうか。《起源神ニュートロン》の効果で、自分のターンの終わりにめくれます。こういう悲劇を防ぐために、ただでさえ少ない選択肢がさらに減ります。

 そして起源神は白青黒の三色。上手く組まないと色が事故ります。多色を増やすとタップイン事故も起きます。3~5ターン目くらいまで毎ターンフルにマナを使いたいデッキにもかかわらず、です。「3ターン目に黒マナがなくて《起源神ニュートロン》が出ない!」「あと1マナで起源神が出るけど、手札に出したい起源神とタップインのカードしかない!」は起源神あるあるです。

 デッキの大半が固定パーツかつマナの使い道もほとんどそれに費やされてしまうためデッキ構築難度は非常に高く、それでいてリターンを増やす方法も少ないという強烈な矛盾を、起源神は抱えています。

5:強化パーツが来ない

 2010年3月に登場した起源神ですが、あれから9年経っても名指しで強化されたり再登場したことは一度もありません。過去カードのリメイクや、デュエマの歴史を振り返る的な企画でも一貫してハブられています

 なぜかというと、神化編のボス枠は毎回全て神帝が持って行ってしまうからです。そりゃあっちは映画にもなったし強いしで人気もあるけどさあ!サハスラーラの枠くらい起源神にくれてもよかったんじゃないんですか!

 種族面で見てもゴッドのプッシュ自体がエピソード3期まで遡る必要があり、オリジンに至っては背景ストーリー上ではっきりと滅亡しています。もはやメインセットでのサポート追加はよほどのことがない限り望めないでしょう。たまにまったく無関係な所から棚ボタみたいな強化はあるんですが、まったくもって供給が足りていません。すでにダメなのに、未来すらお先真っ暗なのです。

 ……とまあ、このように起源神というアーキタイプは大きなところから小さなところまで突っ込み所に満ちています。早いデッキには蹂躙され、中速デッキには殴り負け、遅いデッキには完封されてしまう。「あと一歩足りない……」という小さなマイナス要素が集まった結果、「何もかも足りない……!」になってしまったアーキタイプ、それが起源神なのです。

それでも起源神を使いたい!

 それでも、起源神に全く長所がないわけではありません。その一つが……


【 呪文 】 

文明 水 / コスト4

自分の山札の上から5枚を墓地に置く。
その中にゴッドがあり、バトルゾーンにある自分のゴッドとリンクできるなら、そのカードをバトルゾーンに出してリンクしてもよい。

※再録の際にカード画像のテキストから上記のテキストに変更が行われています。裁定も同時に変更されており、リンクできれば複数体のゴッドを出すことが可能です。

出典:デュエル・マスターズ

 《プロジェクト・ゴッド》。 もちまぐろさんの記事ではゴッド・ノヴァと組み合わせていましたが、起源神は間違いなくこのカードを最も使いこなせるデッキです(あっちのデッキより起源神が強いわけではないです。カードパワー全然違うし)。

 理由は単純で、各ゴッドが複数体のリンク先を持っているからです。《起源神ニュートロン》《プロジェクト・ゴッド》から《神核アトム》含むリンク先三体を同時に踏み倒しというのは、全ての起源神使いが夢見る展開です。この独特のプレイ感が、起源神を使う理由になり得ます。

 注意点として、《プロジェクト・ゴッド》は「今バトルゾーンに出ているゴッド」とリンクできるゴッドしか出せません。例えば仮に《起源神ニュートロン》だけがバトルゾーンに出ている状態で残りのパーツ五枚すべてが墓地に落ちたとしても、直接《起源神ニュートロン》とリンクできない《起源神プロトン》《起源神エレクトロン》はバトルゾーンに出せません。ケチ!

 また、《起源神ニュートロン》のシールド回収は《起源神》以外のトリガーもちゃんと使えるため、「序盤に並んだ敵のシステムクリーチャーを《テック団の波壊Go!》で一掃」「《青寂の精霊龍 カーネル》が出て敵攻勢がピタっと止まる」なんてこともあります。腐ってもコスト踏み倒しであり、デザイン通り機能すれば十分な効果が見込めます。

 加えて《起源神エレクトロン》は「全てのドローを《エマージェンシー・タイフーン》に置換する」も同然のドロー性能を持ち、稀に関係ないデッキにも単独採用が検討されるほどです。加えてブロッカー持ちのため、起源神では唯一現行パックに収録されてもおかしくない程度のカードパワーを持っています。(でもいいとこレアかアンコモン止まりだろうな……)

 まとめると、起源神は素のカードパワーに難があるだけで設計思想としては実はそんなに悪くありません。シールドから展開し、カードを引き、墓地を肥やす。揃ったら軽量ブロッカーを掃除しながら墓地から一気に小粒をリアニメイトしてトドメ。この流れを実現する起源神の存在そのものがデッキのエンジンであり、ゴール地点でもあるのです。この二つがあれば、デッキは組めます。今回はこの流れに沿った、純正の六体神を揃える構築をやっていこうと思います。

起源神のしもべたち

 デッキが組めるとはいえ、どんなカードがあれば起源神をサポートできるのでしょうか?候補を検討していきましょう。

 まず第一に、《起源神ニュートロン》を使う上で絶対必要なS・トリガーです。できるならいつめくれても嬉しく、ゴリゴリに重くて効果の大きいやつがいいです。どうせ重いなら、多色でマナ基盤になるやつがいいですね。というわけで、第一候補はおなじみ《テック団の波壊Go!》です。

事実上のテック団の団長

出典:デュエル・マスターズ

  いつめくれても盤面に触れて、最近流行りのGRにも耐性あり。色も完璧です。文句なし。とにかく効果が大きければ大きいほどいいので、《撃髄医 スパイナー》《唸る鉄腕 ギリガザミ》なども大丈夫です。前者ならスーパーボーナスで起源神パーツのリアニメイト、後者なら《テック団の波壊Go!》《プロジェクト・ゴッド》を踏み倒せますね。

 やや軽めですが、万一手打ちしても十分な効果と防御効果を見込める《青寂の精霊龍 カーネル》《罪罰執行 ジョ喰ンマ》なども採用できるでしょう。特に前者はマナ基盤にもなり、六体神完成の時にはリアニメイトまでできます。相手や状況を選びますがハマると強い《地獄門デス・ゲート》《予言者リク》もアリですね。

 意外にデッキと噛み合うのが《Dの牢閣 メメント守神宮》で、起源神が高パワーブロッカーになるばかりかトリガー化して出てきたダブりの起源神が防御札に化けます。Dスイッチによるタップ効果も相手のターンの始めに使えるのでいつ引いてもうれしいですね。

 同じD2フィールドなら色こそ合いませんが、トリガーとしてだけ使うことを前提にすれば《Dの妖艶 マッド・デッド・ウッド》は最高の相性を誇ります。Dスイッチの山札への除去能力をウルトラ・セイバーで破壊に置換する(リンクした起源神は多色なので、「山札に行くかわりにウルトラ・セイバーで自分を破壊」と宣言できる)ことで、相手だけ全体除去しながら今破壊したものを含む墓地の起源神パーツを一気にバトルゾーンに戻すという派手な動きが可能になります。これらのD2フィールドを積むなら専用の構築にしておき、トリガーはクリーチャーを多くしたいですね。

 直接の防御効果こそありませんが忘れてはいけないのが《インフェルノ・サイン》であり、《プロジェクト・ゴッド》で外した起源神パーツや《青寂の精霊龍 カーネル》を釣ってこれるためかゆいところに手が届きます。殿堂入りでさえなければ……と悔しくなる程度には幅広い局面で役立ってくれます

 このときに採用してはいけない……というか、相性がいいように見えて実は明確に他に劣るので採用したくないのが《炸裂の影デス・バースト》や《アクア・バースター》などの炸裂サイクルです。使った後に六体神で釣ってこれるデザイナーズコンボではあるのですが、六体神が殴ってるということはもう勝ちを優先すべき状況であり、自壊しての防御やバニラとして場に残ることは求められていません。同じ墓地から釣れるトリガー生物なら、概ね出たターンに効果とブロックで2体止めて墓地に行く《青寂の精霊龍 カーネル》のほうが遥かに強いです。

 細かいことなのですが、単色トリガーを採用する際はできるだけ闇のカードを優先したいです。3ターン目に絶対に《起源神ニュートロン》を出したいデッキなので、いつでもマナに置けるアンタップインの黒マナを用意できると安心できます。わずかな差ですが、その差がないと何もできないというパターンが頻発するのが起源神というデッキです。

 多色カードの数にもよりますが、アンタップインのカードが多ければ2ターン目までに動くための軽量のサポートカードを採用することも可能です。まず真っ先に候補に挙がるのが《ブラッディ・タイフーン》。今欲しいパーツを探しながら墓地まで肥やせる優れものです。今組もうとしている六体神型ではやや微妙ですが、枠に余裕のあるコンボ型なら即投入レベルの便利カードです。単純なドロー兼墓地肥やしとして《エマージェンシー・タイフーン》《【問2】ノロン⤴》《戦略のD・H アツト》もいいですね。絶対に《起源神ニュートロン》を引きたい場合はアド損ですがとにかく軽い《ゴッド・シグナル》という手もあります。やろうと思えば《プロジェクト・ゴッド》の積み込みまで可能です。

 最後に、トリガーでも軽量サポートでもありませんがピンポイントで役に立つカードをいくつか紹介します。ひとつは《霊騎右神ワイアード》。他のゴッドを出した時に手札を1枚シールドに置くことができるため、下半分の起源神が揃っていると毎ターン踏み倒しが発生し、それでいてシールドの総枚数は減っていないという強烈なムーブが可能になります。コスト5で他の能力は実質何もありませんが、定着すれば防御性能を飛躍的に高めてくれる一枚です。

え、今日は相方いないんですか?

出典:デュエル・マスターズ

 もうひとつが、《卍堕呪 ゾグジグス》です。本来は無月の門で大量のカードを内包するドルスザク向けのカードですが、G・リンクで構成カードが多くなる起源神でも有用です。効果による大量ドローを《起源神エレクトロン》で2ドロー1ディスカードに置換し、墓地に《神核アトム》《起源神プロトン》以外の起源神パーツを大量に溜めてから六体神で攻撃すると《起源神エレクトロン》《起源神クォーク》の組と《起源神ニュートロン》《起源神レプトン》の組を大量に作ることができ、(一塊にしないのがミソ)、G・リンクのルールによりリンクに成功したゴッドは召喚酔いを無視できるためそのまま致死打点が並びます。さらにバウンスで取りこぼした相手を一掃し、おまけに限定的ですが呪文封じも可能です。フィニッシュ力に泣いた起源神が手に入れた新たな必殺技と言えるでしょう。

無月社からやってきた派遣社員

出典:デュエル・マスターズ

デッキレシピ:終わった後の起源神

4《起源神ニュートロン》4《起源神レプトン》4《起源神クォーク》4《プロジェクト・ゴッド》1《Dの牢閣 メメント守神宮》4《起源神エレクトロン》4《青寂の精霊龍 カーネル》1《霊騎右神ワイアード》4《起源神プロトン》2《卍堕呪 ゾグジグス》4《テック団の波壊Go!》1《罪罰執行 ジョ喰ンマ》3《神核アトム》2《防護の意志 ランジェス》2《破邪の意志 ティツィ》2《甲殻 TS-10》2《シェイク・シャーク》2《バツトラの父》2《C.A.P. カイト》

 起源神パーツを可能な限り詰め込み、《プロジェクト・ゴッド》の打率を上げた構築です。序盤のドローサポートを完全に切り、多色トリガー8枚とユーティリティ5枚を足しました。正直な話をすると、この5枚前後の枠は完全に使う人の好みが出ると思います。《撃髄医 スパイナー》をとにかく詰める人もいるでしょうし、トリガー率を上げるために他の起源神パーツを減らす人もいるでしょう。自分でも特に《罪罰執行 ジョ喰ンマ》の枠はもっと他に正解があると思っています。もうかれこれ二年ほどずっと起源神の最適のバランスについて考えているのですが、どうしてもはっきりとした答えが出ません。少しいじった程度では、起源神というベースの主張が強すぎて違いを感じられないのです。

 回し方はほとんどデッキ概要とカード概説で説明しきりましたが、2ターン目まではタップイン処理と色調節に徹し、3T《起源神ニュートロン》から一枚ずつリンクしていくか《プロジェクト・ゴッド》を使ってなんとしても六体神を完成させていきます。その後、あれば《卍堕呪 ゾグジグス》を使って所定の墓地肥やしからのリアニメイトを決めてフィニッシュします。ない場合は素直に殴ります。

 完成までは、トリガーと《霊騎右神ワイアード》でひたすらしのぎます。殴り返しが怖いので、安全が確認できない限り作成途中の起源神では攻撃しません。どうしても殴るときは、解体にちょっと耐性が持てるTブレイカー以上になってからやりましょう。こうなると三回殴って強引に勝つパターンも生まれます。

 このデッキの展開の順番ですが、悲しいことに正解がありません。《プロジェクト・ゴッド》による展開が運任せな以上、どう転んでもある程度の裏目が発生するからです。手堅く手札から出していくか《プロジェクト・ゴッド》 で賭けに出るかを決定する基準としては、「《プロジェクト・ゴッド》でリンクできるゴッドのうち見えていない枚数」を「見えていないカードの総枚数」で割った値が1/4~1/5を超えていれば、概ね撃ち時です。これは単純な確率の問題で、出せる枚数の期待値が1を超えてから撃ちたいって話ですね。もちろん上振れ下振れはありますから、絶好の状況で全外しとか一枚で三体神が六体神になるとかもよくあります。祈れ。

 デッキレシピの余談ですが、身も蓋もないことを言ってしまうと現時点のカードプールで《プロジェクト・ゴッド》で六体神を揃えることを目的とする構築ならば《起源神ニュートロン》《起源神レプトン》《プロジェクト・ゴッド》《青寂の精霊龍 カーネル》《テック団の波壊Go!》各4、《起源神クォーク》《起源神エレクトロン》《起源神プロトン》《神核アトム》各最低3の合計32枚まではほとんど確定している、と思っています。二年前に復帰するために起源神関連カード一式を揃えたその日にここまでは辿り着けました。残りの僅か8枚のために、私は822日(2019年8月13日時点)の間苦しみ続けています。そして起源神そのものに救済が訪れない限り、これからもデュエマか私の命が終わる日まで延々と苦しみ続けるでしょう。この苦しみを誰かと共有したくて、私はこの記事を書いています。

いろんな起源神がいるんだな

 今回は純正の六体神完成を狙う構築を紹介しましたが、起源神を使うデッキは少数とはいえ他にも存在します。ここでは各デッキのほんのさわりの部分だけ紹介します。ちなみにどれも組んだことがありますが、等しくトップメタには太刀打ちできませんでした。

1:サハスラーラ起源神

 起源神が《プロジェクト・ゴッド》で容易に3体以上リンクすることを利用して、コストが11以上になった起源神を《転生スイッチ》から《第七神帝サハスラーラ》に転生させる起源神です。進化元に《神の裏技ゴッド・ウォール》を使用した後に《第七神帝サハスラーラ》を降臨させると絶対に場を離れない無限アタッカーが完成して《終末の時計 クロック》かプリン効果系のトリガーを踏まない限りそのまま勝ちます。

七柱目の起源神

出典:デュエル・マスターズ

 非常に豪快で勝ちに直結するコンボなのですが、大きな弱点として「驚くほど構築の幅が狭く、トリガーが積めない」というものがあります。ただでさえ枠のないところに追加のコンボパーツを3枠も投入するため、全パーツ4積みならこの時点で40枚に到達してしまいます。派手な見た目と裏腹に何を削って何を足すかに苦心する、ある意味起源神らしいデッキと言えるでしょう。

2:無限攻撃起源神

 《神核アトム》のアタックトリガーで《学校男》《堕魔 ドゥポイズ》などの自壊クリーチャーと《オッケーBros.》や《光牙忍 ソニックマル》《逆転王女 プリン》などのアンタップクリーチャーを墓地から出し、破壊とリアニメイトを繰り返すことで無限攻撃を行うデッキです。

 最大の特徴は、場合によっては起源神を4種類しか使用しないということです。《オッケーBros.》を使う場合、必要なリンク数がコスト2をリアニメイトできる3体で済むため《起源神ニュートロン》から《プロジェクト・ゴッド》《神核アトム》とあと一枚をリンクさせるだけでもう足ります。低確率ながら4ターンキル(3T《起源神ニュートロン》→4T《プロジェクト・ゴッド》《神核アトム》《起源神レプトン》《起源神クォーク》、2マナのコンボパーツ2種類が落ちると発生)すら発生する爆発力は、起源神の中でも随一です。

 《逆転王女 プリン》などを使う場合は六体神が必要になります。コンボパーツが単独でも受け札として使えるので、四神型のようにコンボに特化しなくともフィニッシュ力強化を狙ってコンボパーツを少数差すことでも機能するのが売りです。

悪いことしかしなくてもオッケー!

出典:デュエル・マスターズ

 4神型の弱点は、《プロジェクト・ゴッド》《起源神ニュートロン》への極端な依存です。踏み倒しと墓地肥やしを同時に行うムーブが強力な反面、この二種を揃えないと《神核アトム》がまず出ないという大きな弱点があります。もちろん、展開を安定させるためにドローソースや山札操作を積む必要も発生してしまい、最終的にはやっぱり枠はカツカツになります。

 もちろん、六体神型の補助として入れる場合もどうやってコンボパーツを揃えるかが重要になってきます。ただでさえ枠の少ない六体神型にどこまでパーツを入れていいのか、という問題もあります。リスクとリターンをどこまで取るかという選択が迫られるデッキです。

3:トリガー三神ビート

 シールド関係の効果を持つ下半分の起源神だけを投入し、防御に優れる優良トリガーをガン積みして相手によるブレイクだけでなく自分でトリガーさせつつビートする型です。起源神は「揃ったらいいな」というサポートパーツとして運用するため《プロジェクト・ゴッド》がほぼ不採用であるばかりか起源神そのものへの依存度が低く、構築自由度が非常に高いのが特徴です。

海外での名前はThe Chronarch

出典:デュエル・マスターズ

 弱点というか問題点は、起源神である必要が薄いところです。トリガービートという戦略そのものに一定の強度があるため、総合的に見てより強い構築というものが存在する場合起源神が抜けるということすら考えられます。当初のコンセプトが途中で抜けるのはデッキビルダー共通の悲しい事件なので、せっかくなので活かしてあげたいですね。

起源神にとっての「救済」とは?

 先ほど公式からの救済と言いましたが、具体的にはどんなものが来れば起源神は強くなるのでしょうか?クロニクルデッキのテーマになるとか、直接的な超強いリメイクが来るとか、効果にエラッタが入るとかそういったものは夢でしかないのでここでは割愛します。

 まずは光/闇の超強力なS・トリガーです。このカラーの有名なトリガーには《支配のオラクルジュエル》《天使と悪魔の墳墓》などがありますが、前者は全体タップ効果が、後者は自分にも被害を及ぼす点でなかなか採用しづらいです。これを解決した重量トリガー(あるいは5コストのブロッカーと防御効果持ちクリーチャー)が登場すれば、《青寂の精霊龍 カーネル》《テック団の波壊Go!》と合わせて強固なトリガー兼マナ基盤を築けるでしょう。

 次に、ゴッドサポートです。ゴッドは何度も復活した人気ギミックであり、またフィーチャーされる可能性がゼロではありません。わかりやすく言えば、色が合ってておまけのついた《ゴッド・ルピア》や、ゴッド限定の軽量サーチやドローが欲しいわけです。最近の傾向としてプッシュしたいギミックにはかなり手厚いサポートがなされるというものがあるので、いざゴッドが復活すれば期待できます。

 最後に、軽量の《名も無き神人類》効果を持ったクリーチャー。これを採用することで、最大七体神が実現できます。現行の《名も無き神人類》は7コストであることから採用が非現実的ではありますが、低コストでこの効果が実現できれば起源神の世界はかなり変わってくると思います。

おわりに:起源神は終わったデッキなのか?

 というわけで、起源神でした。たぶんこの世で唯一の起源神のゼロからの考察記事だと思います。起源神、二年前にそのあまりの不遇さに魅了されて「これを使って勝ちたい!」って思って復帰の原動力になったデッキなので、愛着というか一種の執着心があるんですよ。その執着心を燃料にしてデッキを組み続けた結果、今のデッキビルダーとしての自分がいると思ってます。あなたにとっての「執着するに足るデッキ」はありますか。そして、そのデッキはあなたにとって「終わって」しまってはいないでしょうか。そのデッキのことをちょっとでも思い出して、もう一度組んでみようとか弄ってみようとかそういう気分になってもらえたのなら……もっと言えば、起源神を組んでみようかなと思ってもらえれば、執筆者として12000字も使った甲斐があるというものです。いつの間にかこの企画の推奨文字数の四倍も書いてました。分割すればもっと早くたくさん記事書けてたのでは?

 第六回目となる次回はまた新カードによりちょっと挑戦的なコンセプトのデッキが浮かんだので、それについてやっていこうと思います。電波デッキの匂いがしてきてるので自分でも楽しみです。

 では最後に、タイトルの問いに対する答えをもう一度。

 起源神は終わったデッキです。そして、また始まるのを待っているデッキです。もし叶うなら、その始まりには私が最初に立ち会えたら嬉しいなと思います。それでは、次の記事で。


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