はじめに
読者の皆さま、こんにちは。かもめ先生です。
この記事は「デッキ構築のいろは」を紹介する初心者応援記事の第3回です。
第2回の記事はこちらから↓
前回の「相性の良いカードを探そう!」に続き、今回は「デッキにしてみよう!」という内容で紹介していこうと思います。
それでは今回も、どうぞよろしくお願いします。
前回までのおさらい
前回は「相性の良いカードを探そう!」ということで、「いろんなツールを使ってカードを探してみよう!」と「カードが持つ役割を考えてみよう!」の2点についてお話してきました。
「いろんなツールを使ってカードを探してみよう!」ではNeuronや遊戯王wikiを用いた、さまざまなツールを使ったカードの調べ方について。
「カードが持つ役割を考えてみよう!」ではさまざまなカードの用語や、展開や妨害といったカードの持つ役割について紹介しました。
今回の「デッキにしてみよう!」では前回で触れた内容、とくに「カードの役割」について関係する部分もありますので、まだお読みになってない方は先に読んでおくと理解も深まりやすいでしょう。
目次
デッキにしてみよう
使いたいカードと相性の良いカードを見つけることができたなら、まずは一度ぜんぶ入れてデッキにしてみましょう。
とりあえずメインデッキが40枚あれば、デッキとしてプレイすることができます。
EXデッキは15枚まで。ちなみにEXデッキは0枚であっても問題ありません。
どちらのデッキの方が使いやすい?
突然ですが、読者の皆さまにここで質問です。
みんな大好きテーマ【HERO】を用いたデッキを2つ用意してみました。
ぜんぶ3枚ずつで構築したデッキと、ぜんぶ1枚ずつで構築したデッキを用意してみました。
皆さまはどちらのデッキの方が使いやすいと思いますか?
結論から言うと、この質問に正解はありません。
ただ一つ言えることは、どちらのデッキにも明確な長所と短所が存在するということです。
ぜんぶ3枚の方は展開の安定感は高いけど、相手のデッキによってはどうにもならなくなってしまう状況もある
ぜんぶ1枚ならいろんな場面で強いカードも入っているが、安定感が低いので動けなくなってしまうことも多い
この2つはあくまで極端な例として用意しました。
ぜんぶ3枚ずつ採用したデッキとぜんぶ1枚ずつ採用したデッキの長所と短所が分かりましたね。
実際にデッキ構築する際は、特定のカードを3枚、ほかは2枚、1枚といった感じで採用することになります。(いわゆる「選択と集中」というものです)
そういう訳で記事の後半では「どのようなカードをどれだけ採用するか」について、詳しくお話していこうと思います。
デッキの方向性を決めておこう
カードの採用枚数のお話の前に、「デッキの方向性」についてもお話しておきましょう。
「デッキの方向性」というとお堅い感じですが、ここでは「なんとなくこうしたいな~」くらいなもので大丈夫です。
たとえば「大会で使って勝ちたいデッキ」や「〇〇のカードを出したい(見せたい)デッキ」のような感じです。
先ほど例に挙げたデッキも、デッキの方向性によっては正しい構築となり得ます。
【HERO】で事故らないように戦いたいから、それに関係するカードをぜんぶ3枚ずつ採用した。
【HERO】のいろんなカードを使いたいから、それをぜんぶ1枚ずつ採用した。
このような「デッキの方向性」であれば、先述のデッキも何ら間違いではないと言えるでしょう。
ですが「大会で勝ちたい」となると、先ほどのデッキでは詰めが不十分です。
相手の妨害を受けてもなお止まらないような展開力であったり、相手の盤面を一掃するための除去カードであったり、先攻後攻どちらであってもある程度のパフォーマンスを出すことができる構築であったり……。
「勝つ」ための努力には、さまざまな側面から向き合う必要があります。
もちろん「勝つ」以外の目的であっても、見ているものこそ違えど努力そのものは同じこと。
「《E・HERO フレイム・ウィングマン》を使いたい」「【E・HERO】や【E-HERO】などすべての【HERO】を採用して組みたい」などなど。
「なんとなく」でも構わないので、「このデッキは〇〇したい」という点については、しっかり定めておくように心がけておきましょう。
またそうした「デッキの方向性」が分からないというのであれば、まずはいろんな構築を試しながら実際にプレイしていき、その中でゆっくりと探していきましょう。
採用枚数を考えよう
カード枚数の重要性が分かったところで、枚数をどうすれば良いか考えていきましょう。
遊戯王での採用枚数は最大3枚なので、1・2・3枚のいずれかで採用することになります。
基本となる考え方
基本的な採用枚数は、以下のように考えることができます。
3枚 | なるべく1ターン目から使いたいカード 序盤~終盤まで、いつ手札に来ても困らないカード |
2枚 | 強力だが序盤の展開ではあまり使わないカード 手札コストの効果があるので、手札に被っても問題ないカード |
1枚 | 限られた状況で必要となるカード 中盤以降、手札にあると便利なカード |
3枚積みの例としては《魔界発現世行きデスガイド》、2枚積みでは《クイック・シンクロン》、1枚積みでは《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》などが例として挙げられます。
《魔界発現世行きデスガイド》はリクルート効果を持っているのでさまざまな展開へと繋ぐことができるので3枚欲しいカード。
《クイック・シンクロン》は自分の効果で特殊召喚できるチューナーですが、手札コストを要求している点やレベル5と少し重い点を考慮して2枚積み。
《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》は強力なカードですが、墓地に光・闇属性が必要なので中盤以降でなければ出すことが難しいため1枚の採用と、さまざまな理由が考えられます。
メインデッキ40枚におけるカード配分の例
また、カードの種類についても基本となる配分があります。
一般的なビートダウン型のデッキであれば、モンスター・魔法・罠カードの配分は下記のようなものとなります。
モンスターカード | 15〜25枚 |
魔法カード | 10〜15枚 |
罠カード | 5〜10枚 |
最近ではゲームスピードが上がっているので、モンスターカードの採用を増やして罠カードを減らしている傾向にありますが、デッキ構築に慣れないうちはこのくらいの配分を目指すと良いでしょう。
初期手札の重要性について
20数年の歴史を経た現代の遊戯王は、非常にゲームスピードが早くなっています。
先攻1ターン目、後攻1ターン目、先攻2ターン目、後攻2ターン目と跨いだ頃には、そのゲームの勝敗が決まっていることもしばしばです。
このようなスピード感であるからこそ、初手(初期手札)の引き込み方が勝敗に大きく関わってきます。
先ほどのサンプルデッキを例に見てみましょう。
左が3枚積みデッキ、右が1枚積デッキでの5枚+1ドローを確認してみました。
右の手札ではサーチやリクルートの効果を持ったカードが無いのに対し、左の手札ではサーチカードである《E-エマージェンシーコール》や特殊召喚効果を持った《E・HERO ソリッドマン》《V・HERO ファリス》を引き込むことができています。
先ほどのお話からもわかるように、やはり初手の安定性といった点では3枚積みデッキの方が優れていることが分かりますね。
40枚デッキでの採用枚数と初手存在率
枚数 | 先攻(初手5枚) | 後攻(初手6枚) |
1枚 | 12.5% | 15.0% |
2枚 | 23.7% | 28.0% |
3枚 | 33.8% | 39.4% |
4枚 | 42.7% | 49.6% |
5枚 | 50.7% | 57.7% |
6枚 | 57.7% | 65.0% |
7枚 | 63.9% | 71.1% |
8枚 | 69.4% | 76.4% |
9枚 | 74.2% | 80.8% |
10枚 | 78.3% | 84.5% |
40枚デッキにおけるデッキ採用枚数に対し、それらが初手に存在する確率は上記のようなものとなります。
遊戯王では最大でも3枚しか採用できませんが、それをサーチするカードや類似カードを併せて採用することで、役割的に同じものとして数えることができます。
例えば【HERO】における《E・HERO エアーマン》であれば、それをサーチ可能な《増援》や《E-エマージェンシーコール》、そしてリクルート可能な《ヒーローアライブ》も同様のカードにカウントできます。
これで《E・HERO エアーマン》3枚、《増援》1枚、《E-エマージェンシーコール》3枚、《ヒーローアライブ》3枚と採用できるので、計10枚の採用枚数として確率を計算できるという訳ですね。
初手バランスの確認方法
「初手5切り確認法」と勝手に呼んでいるものです。(5年ぶりの紹介)
メインデッキをシャッフルして上から5枚ずつに分けて並べていき、動けそうかどうか確認していく方法です。
40枚デッキであれば、5枚ずつ切ることで8つの束にできます。
8つの束で、動くことができる・できないに分けていくという作業を繰り返していきます。
これでおよそ7割(10回中に7回)が動くことができるくらいが理想かなと思います。
もちろんデッキを使う状況(大会やカジュアルなどの違い)に合わせて、合格となる基準を調整すると良いでしょう。
カードの役割から考えよう(応用編)
基本の内容が理解できてきたら、もう少し詳しく枚数配分について考えてみましょう。
ここで重要となるのが、第2回でお話した「カードの役割」の内容です。
そちらの記事では「カードの役割」について、「展開」「打点」「除去」「妨害」といった4つに分けてお話しました。
この4つの役割と、先ほどの採用枚数の考え方を組み合わせてデッキを構築してみましょう。
このサンプルデッキは、2024年6月に発売される『TACTICAL-TRY DECK 終撃竜サイバー・ドラゴン』と同じ内容となっています。
非常に完成度の高い構築済みデッキなので、こちらを例にカードの役割と採用枚数の考え方を学んでいきましょう。
【サイバー・ドラゴン】の展開札の例
初動カード メイン9枚 |
《サイバー・ドラゴン》×3《サイバー・ドラゴン・コア》×3《エマージェンシー・サイバー》×3 |
展開補助カード メイン13枚EX1枚 |
《サイバー・ドラゴン・ヘルツ》×2《サイバー・ドラゴン・ネクステア》×1《サイバー・ダーク・キメラ》×1《銀河戦士》×2《パワー・ボンド》×2《サイバー・リペア・プラント》×1《サイバーダーク・ワールド》×1《機械複製術》×1《三戦の号》×1《三戦の才》×1《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》×1 |
【サイバー・ドラゴン】の除去札の例
モンスター除去 メイン4枚EX2枚 |
《壊星壊獣ジズキエル》×1《機械仕掛けの夜-クロック・ワーク・ナイト-》×2《サンダー・ボルト》×1《キメラテック・メガフリート・ドラゴン》×1《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》×1 |
魔法・罠除去 メイン1枚EX1枚 |
《ハーピィの羽根帚》×1《キメラテック・ランページ・ドラゴン》×1 |
万能除去 メイン2枚EX1枚 |
《ライトニング・ストーム》×2《閃刀姫-アザレア》×1 |
【サイバー・ドラゴン】の妨害札の例
汎用妨害 メイン5枚EX1枚 |
《セリオンズ“キング”レギュラス》×1《発禁令》×1《墓穴の指名者》×2《禁じられた一滴》×1《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》×1 |
手札誘発 メイン6枚 |
《灰流うらら》×2《増殖するG》×2《レッド・リブート》×1《無限泡影》×1 |
【サイバー・ドラゴン】の打点札の例
アタッカー | 《サイバー・ドラゴン》2100《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》2100~ |
フィニッシャー | 《サイバー・エンド・ドラゴン》4000貫通《サイバー・ツイン・ドラゴン》2800×2《キメラテック・ランページ・ドラゴン》2100×3《パワー・ボンド》+元々の攻撃力《サイバー・ドラゴン・ズィーガー》+2100 |
例えばサンプルデッキであれば、上記のように分類することができます。(あえて無理やり分類したカードもあります)
メインデッキの採用枚数だけで考えると、展開札22枚、除去札7枚、妨害札11枚といった構成となっています。(打点は攻撃力のラインなので、枚数として見ることは少ない)
このように見てみると、デッキの大半は展開用のカードが占めていることが分かります。
そして残りの枠を除去札と妨害札でバランスよく割ったような形となっています。(【サイバー・ドラゴン】は除去が得意なテーマなので汎用の除去札は少なめ)
【サイバー・ドラゴン】デッキは【サイバー】モンスター1枚と展開カード1枚の、計2枚から動くというのが基本となっています。
そして展開札の中でもとくに《サイバー・ドラゴン・コア》の重要度が高く、サーチカードである《エマージェンシー・サイバー》と合わせて6枚の最大枚数の採用となっています。
もし《サイバー・ドラゴン・コア》が引けなかったとしても、《サイバー・ドラゴン》やそれにつながるカード+展開カードを引いていれば、そちらから動くことも可能です。
このように2枚初動が基本的な動きとなることから、展開カードの枚数に重きを置いているという訳ですね。
また大会などでも使用できるというデッキのコンセプト上、手札誘発カードも採用されています。
これらのカードは、相手の先攻1ターン目に使用できる妨害カードとしての役割を持っています。
しかしながら【サイバー・ドラゴン】は先述した展開カードの要求がすこし高いこともあり、妨害となる手札誘発カードを最大投入はせず、展開カードを多めに採用しています。
これは「自分の展開を通して勝つ>>>相手の展開を妨害する」という「デッキの方向性」によるところで、慣れてくるとこうした枚数調整にもさまざまな意味合いを見出すことができるようになってきます。
この「展開札と妨害札(除去札)の配分をどうするか」は、上級者であってもさまざまな考え方があるところなので、デッキ構築の腕を磨きながらじっくりと向き合ってみると良いでしょう。
場面に応じてデッキ構築しよう
また自分が遊ぶ場面がどういった場所なのかによって、構築もいくらか変化します。
大会での「勝ち負け」が重要な場面であるなら、先ほどのような「手札誘発」などを含めた妨害札の枚数が重要となってきます。
これは相手の先行ターンを妨害する数少ない手段であることや、手札誘発で手札誘発を防ぐといったプレイが必要となることなど、さまざまな理由が重なっています。
大会で使用されることが多いデッキではテーマ内のカードが25枚前後でまとまっていることが多く、残り15枚の枠を手札誘発などの汎用カードを採用できるくらい余裕があるからですね。
カジュアルデッキの構築について
それに対していわゆるファンデッキやカジュアルデッキというような「楽しむ」ことが重要な場面であるなら、自分のやりたいことや見せたいことを重視して展開札やコンボに必要となるカードを多めに採用した方が良いとされています。
たとえば扱いにくいことで有名な《ラーの翼神竜》を使うデッキを組む場合であれば、【ラーの翼神竜】のサポートカード以外にもさまざまなカードをデッキに採用する必要がありますよね。
そうしたカードを採用していくと、すぐに40枚の枠がいっぱいになってしまいます。
そうすると手札誘発のような汎用カードを積んでいる余裕がなくなってくるんですね。
もちろんカジュアルデッキであっても手札誘発カードを採用すること自体は問題ありません。
ただ手札誘発カードを採用することで、自分のやりたいことや見せたいことの成功率が低くなってしまっては本末転倒なので、その辺りのバランスを考慮する必要があります。
「目指すコンボはどのくらいの成功率なのか」「どれだけデッキの空きスロットがあるか」「どこまで勝ちを狙った構築にするか」などなど。
「デッキの方向性」と「デッキのバランス」をうまく見比べながら、構築していくよう心がけておきましょう。
まとめ
さて、そういう訳で今日のお話しはここまで。
次回はいよいよ「実際にプレイしてみよう!(仮)」となりますので、またそちらの記事でお会いしましょう。
それでは!