前回の記事⇒【ZweiLance】モチベーションを維持するとは
目次
はじめに
こんにちは、ZweiLanceです。
突然ですが、皆さんはデッキで調整で新しいカードを試そうと思ったとき、どのような方法でカードを選びますか?
とりあえずカードリストを眺めたり、ストレージを漁ってみたり…という方も多いのではないでしょうか。
確かにそれも大切なアプローチの一つなのですが、今回紹介するのは少し違った方法です。
それは「仮説を立て、要件から逆算する」というものです。
この方法を習慣化していくことで、調整を通して革新的なアイデアに辿り着ける精度が格段に上昇します。
以下、解説していきます。
パンクする脳内、散らかる思考
まず、例として以下の状況を想定してみます。
《ザパンプ》型の【赤青ミッツァイル】を調整していたとして、同型戦に対して満足な勝率が出せずにいる。大会に持ち込むにあたり同型戦への対策は必須であり、勝率は少しでも底上げしておきたい。【赤青ミッツァイル】以外の対面への勝率を考慮すると、自由枠は最大でx枚。
少し前に実際に私が直面したケースです。(《WaveAll ウェイボール》型がスタンダートになる前)
最大母数である【赤青ミッツァイル】、当然頻発する同型戦。
不毛さを少しでも解消すべく、このx枠で少しでも対策したい。
何か有効なカードは無いだろうか。
このようなケースにおいて、「とりあえず赤、青、無色のカード一覧に一通り目を通してみる」という方も多いのではないでしょうか。
しかし、この方法にはリスクが大きく2つあり、
一つは、「どんなカードが特に有効か」が明確ではないため、正しく候補の取捨選択ができない可能性があるということ
もう一つは、膨大な情報量を一気に脳で処理しようとすると、パンクする可能性があるということ
身近な例で言えば、ショッピングでも品種が多すぎるお店より、厳選され少ないお店の方が売り上げが伸びたりします。
人間は情報が多過ぎるとパフォーマンスが落ちるものなので、比較対象が多過ぎると、見落としや処理落ちが発生するのは当然といえます。
そうならないために有効なのが、「仮説を立て、要素から逆算する」という方法です。
要件に合わせ、カードを特注する
では、同型戦で優位に立ち回るにはどうすべきか、まずは仮説を立てていきます。
例とした構築の自由枠には最初《バリスイトーヨー/水筒の術》が入っていました。
確かに堅実にアドバンテージを稼げカードではありますし、《ザパンプ》からの繋ぎも美しく、次のターンには安全に《夢のジョー星》や《BAKUOOON・ミッツァイル》に繋げられるでしょう。
しかし、同型戦はまさに速度勝負。「次のターン」では遅く、そのターンにゲームを決定付けなければ相手の展開を許すのみ。
ゲームを決定付けるレベルの展開力に関しては、ご存じの通り《魔神轟怒”万軍投”》以外存在しません。
仮説1:相手より先に動けるだけの展開力に関しては、万軍投以外解答にならない
だとすれば、盤面処理によって相手の動きを遅らせ、こちらの動きを間に合わせるのはどうか。
ジョーカーズ且つ小回りの効く除去である《フンバルさん/フンバ・フライ・ダイ》によって相手の《ザパンプ》、《花美師ハナコ》の除去を試みるも、そのターン結局こちらは展開が進んでいないし、ハンドを1枚失ってしまいます。
その間のドローでこちらも解答札を引き込める可能性もありますが、基本的にはその場凌ぎに過ぎません。
加えて、《ザパンプ》の効果と一切のシナジーがないのも、この型である必要性があまり感じられません。
仮説2:除去によって相手のキルターンを遅らせることは可能、しかしこちらの展開の要求値も上がる
除去ではなく、仮に《爆鏡ヒビキ》のような露骨なメタカードを入れたとしても、クリティカルなタイミングはあったとしても、《オケ狭間 官兵衛》や《ヤッタレマン》で簡単に突破されてしまいますし、何より仮説2同様に手札1枚の損失と、展開が進んでいないことで、たらればな役割になってしまいます。
シナジーの薄さも仮説2と同様です。
仮説3:メタカードで稼いだ時間を勝ちに繋げようにも、そもそも無視されるケースが多く、こちらの展開の要求値も上がっている。
このようにして三つの仮説を立てました。これらをまとめると、
《ザパンプ》から繋がる同型戦に強いカードが欲しく、展開に関しては《万軍投》以外有効とはいえず、除去は有効だけどそれだけだとジリ貧に、メタカードもいまいち
こんな感じです。
こうして見えてきたのが、除去+αのアドバンテージを得られるカードであれば決定的な差を付けることができるのでは
という新しい仮説です。仮説同士の掛け算により、新たな仮説が生まれました。
以下、この仮説により求められる要件です。
・コスト4以下の呪文
・相手の盤面に干渉できる
・自分のリソースを損なわない
・火文明または水文明のカード(望ましくはないが無色も可)
ここまで絞り込んで初めて、各種カードまとめサイトのデータベースに各条件を打ち込んで検索をかけたり、条件に適したカードをストレージからピックアップしていきます。
思いもよらぬ出会い、想像を超えたシナジー
結果、【赤青ミッツァイル】では見慣れない以下のカードに辿り着きました。
他にも候補はあったのですが、今回は特に面白かった3種類をピックアップします。
《ドンドン吸い込むナウ》
ジョーカーズではないのが惜しいですが、相手の《ザパンプ》や《ヤッタレマン》をバウンスしながら、《魔神轟怒”万軍投”》や《BAKUOOON・ミッツァイル》、《メラメラ・ジョーカーズ》といったキーカードをハンドに加えることができます。
加えてトリガーなので、例えば相手のミッツァイルやB我の着地を許した後も、逆転の目がある点もかなり評価できます。対面を問わず、《ザパンプ》から繋いでメタクリーチャーの除去やリソース確保にもなる優秀なカードでした。
1.2.4で《トムのゼリー》をバウンスして手札を増やすというシクテクもあります。ドヤ顔できます。
《ジョルネード・グランドライン》
吸い込むと違ってリソースとしての役割は果たしませんが、貴重な青ジョーカーズでもあり、除去+展開を達成するカードです。
"マスター必殺トルネード"はやや使いにくくはありますが、次のターンに《オケ狭間 官兵衛》を出すだけで 《夢のジョー星》や《BAKUOOON・ミッツァイル》に 繋げられるので、試す価値はありました。
《ガチャボンバ・チャージャー》
こちらもジョーカーズではないのが惜しいですが、相手の《ザパンプ》や《ヤッタレマン》を破壊しながら、展開が可能。加えて、赤マナが増えます。
このデッキにおいて「マナが増える」ということは、本来チャージするはずだった手札1枚分が浮いた、と同義であり、1ブーストで1ドローと同等レベルのアドバンテージを獲得することができます。
上記2種のカードと違い、バウンスではなく破壊なので、再展開を許すリスクも少なく、一方的に此方の動きを押し付けやすいカードでした。
《ミクセル》等の強力なメタカードも、動きの中で自然に処理することが可能です。
特に、《ザパンプ》→《ガチャボンバ・チャージャー》→ 《オケ狭間 官兵衛》(赤マナ余り1且つ場にジョーカーズが4体) の動きは本当に理想的で、厳選の段階で特に手応えを感じられたカードです。
一見するとどれも「そんなの入れてる奴いないじゃん」なカード達ですが、このように要件から逆算することで、実はワンチャン...?なカードを見落とすことなく、革新的なカードに出会う確率を高めてくれるのです。
「これしかない」は幻のポケモン級
これらを実際に使ってみると、当然ながらまたいくつか課題は出てきます。
一発で「これしかない」なカードに出会うことは、そうそうありません。
しかしその課題解決に対してもまた仮説を立てていくことで、その精度は徐々に高まっていきます。
"そのカードでは要件を満たしきれない理由"が明確になるということは、それはつまり、これまでの仮説をより詳細にするための貴重な材料となります。
結果的に私は「そもそも《ザパンプ》ではなく《Wave All ウェイボール》を軸にした方が現環境戦いやすい」という理由でこのテーマは放棄してしまったのですが、その判断に至れたのもこの過程があったからです。
こうして様々なカードを試す過程で、《DROROOON・バックラスター》や《バングリッドX7》が環境に増え、《ザパンプ型》が強いのではないか、という大本の仮説に対してのアンサーも見えてきたのです。後手が辛すぎる。
結果的にそのカードを使うことにはならなくとも、「一度試した」という経験は活き続けますし、別の問題に直面した際に使える引き出しも増えていきます。
仮説を立て、要件から逆算する
とりあえずストレージを漁ってみる前に、「あったら嬉しいこんなカード」を箇条書きで良いので紙に書き出してみると、より一層デッキ調整が捗るかもしれません。
おわりに
本記事を持ちまして、私の記事の寄稿は最終回となります。
これまで多くの方にご愛読いただき、誠にありがとうございました。
皆さんの反響を見るのが、何よりのモチベーションでした。
場所は変われど、執筆活動自体は今後も続けていきますので、今後とも応援して頂けますと幸いです。
ガチまとめとライターの皆様の今後の活躍を、この場を借りてお祈り申し上げます。
ZweiLance